琴陵姉妹の異世界日記

もっけさん

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ハルモニア王国 王都

75.これからの事を

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 戦利品を持ち帰り、自宅のリビングに集合しています。
「目的のハイエルフは逃したけど、掘り出し物をゲット出来たのでビール飲んで良いよ~。今日は、酒盛りだ」
 容子まさこから飲酒の許可が下りた。
 あざーっす!
「各自手を洗ってリビングに集合。今日は、簡単な料理で済ますので悪しからず。お酒は、冷蔵庫から好き選んで飲んで良し」
 容子まさこがご飯の支度をしている間に、奴隷に誓約魔法を使う。
「隷属魔法で私達の情報は漏れないと思うけど、念のため誓約魔法を掛けさせて貰うね」
 誓約魔法なしで日本に来れたのは、恐らく彼女が私の所有物になったからだろう。
 スムーズに自宅に連れて来れて良かった。
「……ん」
 言葉少なに小さく頷く奴隷ちゃんを見て、大丈夫か? と少し不安になる。 
「私は、奴隷扱いはしない。従業員になって馬車馬の如く働いてね。日当金貨1枚で週休一日。産休・生理休暇・雇用保険・社会保険・ボーナスあり。働いて自分を買い戻すも良し、給与を返済に当てずに使うも良し。好きにすれば良いよ。一応世間体があるから、給与の一割は天引きで借金返済に充てるからね」
 週休二日制にしたいが、如何せん人手不足だ。
 週休一日しか出せない。
 アンナは仕事人間だし、容子まさこは趣味が絡むと休日出勤を厭わない。
 ブラック企業には、ありがたい人材である。
「ヒロコ様、彼女は奴隷です。待遇は、明確に分けないとダメです」
 私の対応に、アンナが苦い顔をしている。
「ここは、日本です。奴隷は存在しないし、非人道的な事したら私がお天道様に叱られる」
「俺は奴隷扱いなのに、エルフ娘は解放するのはおかしいっす! 俺も一人の人間として扱って欲しいっす」
 ワウルが不満顔で文句を言ってきたが、綺麗に無視スルーした。
「今から鑑定してスキルを弄る。ワウル、あんた言語最適化のスキル取らせるの忘れとったから、一緒に取れ」
「俺の話は、無視スルーっすか」
「野郎に人権はない。衣食住は保証してやる。小遣いもくれてやるから、ちょっと黙れ」
 下僕は、下僕らしく働け。
 つか、お前は容子まさこの下僕だろう。
 文句を言うな、と睨みつければ黙った。
 ヘタレめ。
「さてと、やりますか」
 誓約魔法を行使し、奴隷紋が変化したと思ったら、左胸に太陽を象った模様が浮かび上がった。
 私の小指に刻まれた紋章も綺麗に消えている。
 誓約魔法で隷属魔法を上書きしてしまったようだ。
「ステータスを弄りますか、No.1052さん」
「何で私の名前を……。鑑定をしたの?」
 奴隷ちゃんが、驚くのも無理はない。
 神様からギフトで貰った鑑定の前では、丸裸にできるのだよ。
「奴隷ちゃんの隠蔽よりも、私の鑑定が上だったという話だよ。ステータスオープン」

---------STATUS---------
名前:なし(No.1052)
種族:ハーフエルフ[サイエス人]
レベル:15
職業:奴隷
年齢:82歳
体力:10
魔力:21981
筋力:3
防御:3
知能:5113
速度:2
不幸:666
■装備:ボロ布
■スキル:隠密22・隠蔽18・魔力操作95・生活魔法35・魔力操作52・並列思考16・索敵8・変装18
■ギフト:[拡張空間ホーム共有化]
■称号:[宥子ひろこの従魔(制約魔法試行中)]・[亡国の王女]
■加護:[須佐之男命・櫛稲田姫命]
■pt統合
-------------------------------

 ブフォッ!! 
 思わず吹いた。
 彼女のステータス、何か色々と酷すぎる。
 特に不幸値が666とか怖っ。
 ないわぁー。
 私も大概酷いステータスだけど、ここまでじゃなかったわ。
 下には、下がいるもんなんだね。
「一応聞くけど、No.1052って何?」
「そう呼ばれていた」
 だから、名前欄が『なし』になっていたのか。
 これは、私が名付けるべきなんだろうね。
「じゃあ、今この瞬間からイザベラね! はい決定」
 ステータスを弄って名前の部分をナンバーではなく、イザベラに変更してやった。
 奴隷を番号で呼ぶのが、サイエスでは基本的な考えなのか?
 商品として売られていたのだ。
 そう考えると、気分が悪い。
「その変装は、解除してね。顔がダブって見えるから気持ち悪い」
「……分かりました」
 渋々だが変装を解除してくれた。
 いやー、思った以上に別嬪さんが居ました。
 髪は黒のボブカット、前髪で目元が隠れているのが残念ポイントだ。
清掃cleaning! アンナ、この子を風呂に入れてきて。服は、ワンピースで良いよね」
 アンナにブラ付きワンピースを手渡し、イザベラを風呂場へ放り込んだ。
 シャンプーなどの使い方は、彼女が教えてくれるだろう。
「さて、不幸のバッドステータスをどうにかしないとね。幸運値の高いカルテットから素材を貰って、幸運を分配をさせるアイテムを作って貰うかな」
 何やら面倒事を背負い込んだ気がする。
 亡国の王女とか、嫌な予感がプンプンする。
 彼女の不幸が、彼女自身で完結するのか、周囲を巻き込むのか。
 一体どちらに作用するのだろう。
 アイテム作りは、容子まさこ達に丸投げしよう。
「ワウルも、給金は日当金貨1枚な。危険な仕事をする場合は、危険手当が支給される。残業代も出るから安心して、死ぬまで馬車馬のように働いてね」
 ニッコリと笑みを浮かべて雇用条件を伝えたら、
「ううっ……生活苦に悩まされないけど、あまり嬉しくないっす」
 喜ぶどころか落ち込んでいる。
 一体何が不満なんだ!
 そうこうしている内に、風呂から上がったアンナはイザベラを連れてリビングで寛いだ。
「さっぱりした」
「ヒロコ様、ビール飲みたいです」
 酒を要求するアンナに、私はハイハイと冷蔵庫を開けて500ml缶のビールを三本取り出す。
 イザベラは、オレンジジュースで良いだろう。
 テーブルの上に、それぞれ飲み物を置いた。
「何っすか、これ?」
「缶ビール。エールのようなもの。お酒だよ。イザベラは、オレンジジュースな」
 ステイオンタブを引っかけて開けた物を手渡すと、ワウルは恐る恐る口を付けている。
 イザベラは、一口飲んでから豪快にゴクゴク飲み干してお代わりを要求していた。
「飯出来たよー!!」
 まったり寛いでいたら、容子まさこのご飯できたの合図に、ワラワラと食卓に移動する。
 各自、自席に着席したが、奴隷組は棒立ちだった。
「ワウルは容子まさこの隣に座り、イザベラは私の隣に座りな」
 イザベラを隣に座らせ手を合わせて、
「「「頂きます!」」」
と、ご飯開始の合図を切った。
 大皿に盛られた料理をガツガツ食べ始める姿に呆気に取られる奴隷二人。
 付いてけない彼らに、容子まさこが出汁巻きを突きながら忠告をした。
「自分のご飯は、自分で確保しないと食いっぱぐれるよ。我が家の飯は、争奪戦です」
 琴陵ことおか家の食事は、毎回争奪戦だ。
 現在カルテットは参加していないが、容子まさこの罰が解禁したら争奪戦が苛酷になるのは容易に想像できる。
「南瓜のご飯美味しいですね。クリーミーで舌ざわりが良いです」
 アンナは、上品にかつ高速で食べている。
 その細い体のどこに入るのかさっぱりだ。
 体系が変わらないのは羨ましい。
「南瓜のグラタンうまー。自宅で食べる料理が一番かも。やっぱり向こうの食事は不味いし」
 私の暴言に、
「ですね。このポテトも美味しい。商品にしませんか?」
と、レシピを商品化を進めるアンナ。
 話に付いて行けない二人は、漸く一口目に辿り着いた。
「「あ、美味しい」」
 やっと手を付けた二人は、ガツガツと食べ始めた。
 うん、最初はそういう反応だよね。
 ここに来たばかりのアンナを見ているようだよ。
 無言で食べ続ける彼等を見ながら、私は食事を再開しつつレシピの販路をアンナと話していた。
 デザートを持って席に戻ってきた容子まさこが、
「3LDKの家で、五人と通い三人が住むには無理があると思う。新しく家を購入しない? 商業ギルドの伝手使って、奴隷購入して労働力確保しないと会社が回らないよ」
 確かに、イザベラを買ったことで奴隷に対するハードルは低くなった。
 秘密厳守で情報漏洩の心配のない奴隷は、非常に魅力的でもある。
「家を購入するより、中古のビルを一棟買うのは?」
「メンテナンスに費用がかかるなら、新築で建てた方が良くない? 出来れば駅近が、良いなぁ」
「そうか?」
「売る時に、交通の便が良ければ高値で売れるでしょう」
 新しい居住に関して、容子まさこが口を挟んでくる。
 駅近じゃなくても良いじゃんと思っていたら、アンナが新しい案を提示してきた。
「此処を処分して、新しい拠点を探すという事ですね。それなら地価資産なども考慮して調べた上で、ビルを購入されてはどうでしょう? マンションの一室では、不便さは今と変わらないと思いますので。ビル一棟購入した方が、良いかと思います」
「比較的新しく建ったビルを購入したいなぁ。フロア毎に住居と職場が分けられるしワンフロアぶち抜いて、三畳の個室をパーテーションで仕切ればプライベートは守れるしね」
「三畳とはどれくらいの広さですか?」
「安宿の一人部屋くらいの大きさ。シングルベッド一つ置いて小さいテーブルが置けるくらいかな。私物は、拡張空間ホームの個人フォルダに収納して貰えば問題ないでしょう」
「それなら十分な広さですね」
「共有スペースは、風呂場・リビング・ダイニングくらいかな。各自スマートフォンとパソコンは支給するし、娯楽用にTVゲーム機は買う予定でOK?」
 購入するビルを見てから、細かい内装を決めれば良いか。
「ヒロコ様、TVゲームって何ですか?」
「アンナは、知っていると思ってた。口で説明するには面倒臭いなぁ。スマホゲームの豪華版だよ」
 適当に答えたら、アンナの目が何故かキラキラしている。
 そう言えば、今やっているゲームに嵌っているんだったね。
 無課金で楽しんでいるようで、自分の小遣いの範囲なら課金しても良いと言ってみたが、無課金でどこまでやれるか試しているらしい。
 ゲームのシナリオをサイエスに持ち込んで、出版を目論んでいるようだ。
 異世界に著作権は無いが、あまり影響を与えるようなことはしないように自重して欲しいものである。
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