琴陵姉妹の異世界日記

もっけさん

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ハルモニア王国 王都

109.スラム街大改造計画

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 ひょんな事から容子まさこが、拾って来たストリートチルドレンを引き取って思ったのは、彼らは何事にも貪欲な精神の持ち主だということだった。
 貧困街スラムにまだ眠る人材おたからの原石が、手付かずで残っている事だろう。
 そこで、私はアンナと相談してスラムの土地・家屋を全て買い取ることにした。
 スラム街の買取りは比較的簡単だった。
 元々、お金に困っている人が多かったからね。
 偶に足元を見る輩もいたけど、そういうのは相手にしなかったら不利と悟り、最終的には安価で売ってくれた。
 日本の建築技術をルーシーに覚えて貰い、イスパハンに伝え小さな模型を作らせて経験値を積ませた。
 彼は鍛冶職人ではあるが、建築にも興味が沸いたのか、貪欲に知識を吸収している。
 商業ギルドに木材や資材を融通して貰い、建物の取り壊しと立て直しを急ピッチで作業を進めて貰っている。
 冬が訪れれば作業効率が落ちる。
 何より、スラムの住人の寝床が溢れて凍死者が出てしまう
「皆、今日も一日キリキリ働き旨い飯と酒にありつくぞ!」
 朝礼で本日の作業工程の申し送りをして、皆に発破を掛ける。
 賃金は、一日銀貨7枚。
 三食食事つきなら、銀貨4枚で労働力を募ったら結構な人が集まった。
 食事係にキャロル・マリー・イーリンとおチビちゃん二人を投入し、毎日料理ばかり作って貰っている。
 老若男女同じ賃金です。
 建築関係は危険がつきものなので、それに従事する人は須らく賃金が1銀貨プラスされる。
 外で魔物を狩る冒険者と同じくらい収入が得られるのだ。
 仮設住宅をどんどん設置して、三階建てのプレハブが速い速度でどんどん建っていく。
 サイエスで調達できない材料は、日本で爆買いした。
 プレハブの建て方をルーシーとイスパハンに見学させた甲斐があった。
 建物を取り壊した時の廃材は、きっちり回収してリサイクルしている。
 手が器用な人に家具や食器などを作って貰い、目まぐるしい勢いでスラム街が見違えるくらい最先端な技術が投入された街へと早変わりしている。
 私は地主なので、入居者契約する際に『土足厳禁』を盛り込んだ。
 この建物は、日本式です。
 土足なんてもっての外!
 最初は面倒だとか色々文句も上がったが、素足で部屋を動き回れるのは思ったよりも快適だったようで早々に受け入れられた。
 靴を脱ぐ習慣を徹底させるだけで、病気の発症率が減った。
 床に寝ころべるのでラグを引いて、のんびりする人もいるのだとか。
 魔石を使用した炬燵を作ったら売れるかな?
 真冬到来までに住居は一区切りついたので、集会場兼神社を建設してみた。
 屋内式なので、誰でも参拝出来る神社だ。
 勿論、日本の参拝の仕方を絵の説明書きが書かれた立て札を建ててある。
 主神は天照大御神、加護を授けてくれた三柱も祀られている。
 因みに、この神社はスラム街の避難所としての役割を担う為、設計は厳重になっている。
「スラム一帯の整備は完了した。後は、今まで働いてくれた人らをどうするかだね」
 計算や識字率が低いから、まずはそれを改善せねばならない。
 清掃員や警備隊、簡単なお使いなど、職業斡旋所を神社の傍に建てて様子を見る事にした。
 出資者はCremaクリマなので、出費が凄い事になっている。
 稼いでも稼いでも、すぐにお金が出ていく。
 馬車馬のように働いているのに、お金が一向に貯まらないのは何故だろう……。
 そんなこんなしている内に、Cremaクリマの従業員も増えました。
 スラムの住人の八割が、Crema従業員だ。
 読み書き算術が出来ないと困るので、勉強しながら働いて貰う形をとっている。
 当然、日当も銀貨4枚と安くなる。
 月二十日働いたら金貨8枚になる。
 家賃として金貨1枚、保険料などの福利厚生で金貨1枚を徴収している。
 最初は福利厚生や保険に疑問を抱いていた住民だが、噛み砕いて説明をすると納得し快く払ってくれるようになった。
 週休二日制で長期休暇有、有給休暇有、保険有・雇用保険有(スラム内のみ)とメリット盛りだくさん。
 ただし馬車馬のように働くことになるのと、一人ではちょっと贅沢できる金額だが家族を養うだけの給与ではないため、必然的に共働きになる。
 働きに出るお母さんの為に、お年寄りに乳幼児達の面倒を見て貰うシステムも作ってみた。
 幼稚園や保育園のようなものだ。
 保母さんや保父さんになりたい人も募集して、地域ぐるみで子供を育てるという意識を植え付ける。
 改革は楽しいし、時間を忘れるくらい仕事に没頭するが、要らないトラブルも引き寄せる。
 以前私に捨て台詞を吐いたテレサが、アーラマンユ教会にチクられた。
 結果、アーラマンユ教会から神父が押しかけていちゃもんを付けてきた。
 その一報を聞いた時に、面倒くせぇと苦虫を噛み潰したような顔をしていたとイーリンは後に語っていた。
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