琴陵姉妹の異世界日記

もっけさん

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ハルモニア王国 王都

124.国外出張します

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「アンナ、暫くハルモニア王国を離れる。その間、悪いけどCremaクリマの社長代理になって。勿論、手当は出すから」
 朝食の席で世間話をするように喋ったら、
「は? 行き成り何を言い出すんですか!? 折角、店が軌道に乗り始めたばかりなんですよ」
「一度軌道に乗ってしまえば、後は操縦を誤らなければ大丈夫。化粧品やポーション作りは後任が育っている。問題はない。不測の事態が起きたら、念話を使えば即戻れる。万事解決でしょう」
 ズズッと味噌汁を啜りながら、ちらりと容子まさこを見た。
容子まさこは、どうする? 神職系スキル持ちの人らをある程度育て終わたんだろう? 以前からドワーフの洞窟に行きたい言うてたし。その約束も果たさないとね。邪神討伐には、それ相応の装備が必要になるから。素材集めはやい方が良いに越したことは無い。各地に拠点じたくを購入しておけば、いつでも行き来できるで。各地に神社建て捲ったら面白い事が起こりそうじゃない?」
宥子ひろこ、マーライオン・アレルギーだもんな。マーライオンの威光と信仰心を潰しつつ、神社を立てて信仰を集める魂胆か。良いんじゃない? でも、ドワーフの洞窟ってどこにあるか分からんでしょうに。それは、どうすんの? この世界は、人間至上主義みたいだし。探すの苦労すると思うけど」
「そんなん、イスパハンに聞けば知っているでしょう」
 イスパハンに話を振ってみると、
「知っているが、案内となると難しいぞ」
と苦い顔で返された。
 まあ、そうだよね。
 土足で人の家に踏み込むような無礼者を放置する方がおかしいわ。
「人種差別が激しいこの世界で、行き成りドワーフの集落に押し掛けたら警戒されるわな。まあ、その辺りはイスパハンの交渉力に掛かっているとしてだ。無理ならサクッと諦めて、違うところに行けば良い。基本拠点は此処だけど、他にも拠点は沢山あった方が良い。一ヵ所潰れても、崩壊しない基盤をあっちこっちに作れば良いと思わん?」
 慈善事業と並行に、各地で神社建設や人員育成をすれば、それは楽しいことになりそうだ。
 神通力の源である信仰を奪えば、この手で邪神を嬲り殺すが出来るだろう。
 Cremaクリマだって作るつもりはなかった。
 ただ、資金がないと行動に制限が掛かるので始めたに過ぎない。
 その延長で慈善事業をしたり、神社を作ったりした。
 私の目的は、今も昔も変わってない。
 邪神を叩き潰す。
 一番手っ取り早いのは、天照大御神異世界の神の威光を世界中に浸透させること。
 今は私の行動が、邪神の異世界召喚を妨害していると天照大御神は言っていた。
 私のような被害者が、今のところ出ていないのは朗報だろう。
 私が、最後の勇者召喚者(笑)になるのか。
 良いね!
 勇者として、邪神アーラマンユを討伐して颯爽と地球に帰る。
 理想だわ。
 今年の抱負はそれだな!
「大体、人間至上主義ってのが気に食わん。他者と違いがあるのは当然だし、それを攻撃材料として正当化してるのが更に気に食わん! まあ、この国を出る前に各領を回って神社兼家を建てまくる。本格的な出国は、もっと先になると思うけど。アンナが、どうしても私に付いてきたいなら、早急に自分の後任を育てること。私の後任はアンナだからね!」
「アンナ、諦めろ。姉は、言い出したら聞かんぞ」
 容子まさこの言葉に絶望するアンナ。
 ちょっと可哀そうかな……と思ったのは、ほんの束の間の事だった。
「分かりました。早急に、私の代わりを務められる者を探します!」
などと、寝言をほざいた。
 そんな短期間で優秀な人材が育つわけがないと高を括ってました。



 約束通り、アンナは自力で自分の後任を見つけてきた。
 何を隠そうキャロルとルーシーです。
 ルーシーは暗記が完全記憶へ、キャロルは暗算が演算へスキルが変化していた。
 そして商人のノウハウを叩き込み、二人で一人前と判断し、それぞれに社長代理補佐の肩書を手に入れました。
 私は任命してないのに、勝手に任命しちゃっていたよ。
「これで私も同行出来ますね!」
と良い笑顔で言われた時は、思わず眩暈がしたよ。
 立ち眩みで、一瞬貧血起こしかけたわ。
「あ…うん、ソウダネ」
 もう何も言うまいと、口を噤んだ私は偉い。
「アンナも加わるとなると、車で移動出来た方が良いね。大人組の日本国戸籍は久世くせ師匠経由で揃えて貰ったし、車の教習合宿に応募して免許を取ろう」
「免許があれば車買えるし、移動時間も短縮できるならありだね」
 容子まさこも免許取得には、乗り気の様だ。
 長距離を大勢で移動するなら、ワンボックスカーに乗れたら楽になるだろう。
 大型免許を取って、バスを運転するのも憧れる。
「よし、大人組は日本に戻って車の免許取りに行く! チルドルとジャックは連絡係。サイエスこっちで何かあったら即連絡。スラムの若者たちが、警邏隊としてスラム街を巡回している。面倒なことは、早々起きないと思うけど二人なら大丈夫でしょう」
 憲兵は当てにならないので、警邏隊員の求人募集を掛けてみたら結構釣れた。
 規定人数より多くの応募があったので、実地訓練と称したブートキャンプを決行し、ふるいを掛けて残った六十名が警邏正隊員私の私兵になった。
 主にスラム街の治安維持のため、巡回及び荒事の解決をして貰っている。
 私や容子まさこが目にかけている人イコール出世コースのエリート集団という構造が出来ているらしい。
 カウトする殆どが、一芸に秀でている者達なので灰汁が強い。
 それを纏めることが出来るアンナは凄いよ。
 お飾りトップの私とは大違いだよね。
容子まさこ、孤児院の事はどうするつもり?」
「リオンが、纏め役的な事をしているから無問題。何かあったら連絡するようにスマホ渡しておいた。あいつ、取説なしで一時間で使いこなしてたよ。ソーラーパネルの充電器も渡してあるし、多分大丈夫でしょう」
「何で勝手にスマホ渡しとるんじゃ! この世界では、スマホ自体が超文明なんですけど!!」
「別に良いじゃん。リオンは、私の下僕二号君だよ。リオンにスマホをどうこう出来る技術はない。それに構造を知らずに、スマホをバラしてもガラクタにしかならないでしょう。物を軽々しく扱う人間じゃないし、人間的に信頼できる」
 容子まさこのドヤ顔の説明に、私はガックリと肩を落とした。
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