逆ハーレムは苦行でしかないんですけど!

もっけさん

文字の大きさ
7 / 9

学園生活再び(1)

しおりを挟む
 ロゼット女傑と一緒に魔物狩りに勤しむ傍ら、放置された素材を使って新しい魔道具をこっそり作っていたのがバレました。
 マーサのマジギレは、おしっこチビるかと思うくらい怖かった。
 公爵から汎用性のマジックバック量産と試作で作った検索君1号(3点セット)の改良版の依頼を受けた。
 汎用性マジックバックは、機能を拡張と重量軽減の2つに絞れば誰でも使えるものにした。
 魔力量で入る容量が変わるので、魔力量が少ない人間が持っても意味はないし、盗まれても追跡できないと注意事項で伝えておいた。
 後で責任追及されても面倒だしね。
 検索君1号改良版は、複数の装飾品ではなく一つに纏めるようにとお達しがあり、難易度の高さに
頭を悩ませる事となる。
 出来ないことはないが、コストが高くなる。
 使う人間は、金を持っている貴族か大店の商人あたりが買いそうだ。
 検索君1号と同等の機能をつけるなら、素材は値の張る物となってしまうだろう。
 潤沢な予算で好きに作っていいと言われたので、気合い入れて作りましたとも。
 ループタイの土台にビッシリと細かい字で魔法陣を書き込み、高純度の魔石をはめて使う本人が血を一滴垂らせば完成だ。
 検索1号君と同じ機能だが、小型軽量化した要望通り一つに纏めてみせましたとも。
 一個作るのに一週間かかったので、暫くは検索1号君の改良はやりたくないなぁと思っていた時期がありました。
 公爵に試作品・検索君2号と研究で使った費用の請求書を渡したら、思いっきり苦虫を噛み潰した顔をされてしまった。全く解せぬ。
「注文通りだが、何故こうも研究費が高いんだ?!」
「品質を落とさず、一つの装飾品に集約せよと仰せだったので頑張りました! 3つ揃わないと使えないものより、2号君は1つに機能が全部盛り込まれている方が使い勝手が良いです。私が欲しいくらいですよ」
 そう零すと、ハァァァと大きなため息を吐かれた。
「予算を多めに渡したのが裏目に出たか。低予算で作れないのか?」
「用途に合わせて、個々に作ることなら出来ると思います。一番容量を食うのがAI人工知能なんですよ。次に映像や音声・静止画を記録媒体。その2つを繋ぐ検索機器。AI人工知能と検索機能を搭載した魔術具と映像・記録媒体の魔術具の2つに分けて、検索したいときだけ繋げれば予算は抑えられると思います」
 頭の中でそろばんを弾いて、一つ作るのにかかる大凡の金額の概算を算出させる。
「幾らくらいになる?」
「一つ辺り金貨10~20枚くらいです。画質や音質が粗くても良いなら、金貨5枚前後で手鏡サイズの物は作れます。検索画面は小さいので、老眼には辛いと思いますけど」
と調子に乗って要らんことまで喋ったら、ベシッと頭を叩かれた。地味に痛い。
「検索3号君作りますか?」
「そのネーミングセンスは何とかならないのか?」
「一番わかり易いと思うんですけど……」
 なにか気に入らないことでもあっただろうか?
 疑問に思っていると、
「3号の開発と、品質を落として良いから手鏡サイズのも開発してくれ」
「わかりました。3号と3.5号君の開発ですね。予算いっぱい下さい」
 Please give me moneyと手を出せば、ベシッと思いっきり叩き落とされた。暴力反対でござる。
「予算は、レイヴァンを通せ。それから、来週から復学することになった」
「予算の件は了解です。復学は分かりますけど、何でまた急に? 成績は赤点ギリギリでしたけど、私ここに来るまでは皆勤賞でしたよ?」
 学園に毎日通えば美味しい昼食が食べ放題だし、お菓子も食べられる。
 寮食は不味くはないけど、学食と比べると味が見劣りするのだ。
 お菓子も出ないし……。
「男子を侍らせるしか能のない駄目女だが、授業態度は真面目だったと聞いている。提出物も遅れたことはないらしいな。それなのに成績は悪かったが」
「出席日数も足りているはずですし、卒業できるだけの単位は一応取れてますよ?」
 前世の記憶が生える前までは、確かに男を侍らせ好き放題していた記憶がある。
 ただし、特待生という肩書もあって卒業出来なかったら色々問題が出てくるので、提出物と授業は真面目に受けていたのだ。
 このまま学校にいかなくても、確実に卒業できるのに何故?
 そんな疑問を私の顔から感じ取ったのか、公爵は重い口を開いて言った。
「どこから漏れたのか知らぬが、貴様がクロウ家に滞在していることを知ったそうだ。扱いがマリアの専属侍女ということもあり、日に日に殿下の当たりがキツイのだよ。他にもロドリゲス家・ビアンキ家の子息達から、どういうことかと苦情じみた問い合わせが来ている。叩き潰すのは容易いが、要らぬ敵を作るのは得策ではない」
「要するに、色々面倒臭いから自分で対処してこいってことですね?」
「……うむ、そういうことだ」
 要約すると、そうなっちゃうのかー。
 何であんなバカ男達を引っ掛けたんだろう、今生の私! おバカにも程があるでしょう。
 嫌だと言いたいが、自分で巻いた種だ。刈り取るのも自分しかいない。
「了解しました。3号君と3.5号君の試作はどうします? 復学するとなれば、完成するまで時間取れませんけど」
「給与に特急料金上乗せするが?」
「もう一声! 花の乙女の貴重な睡眠時間を削るんで、休日手当と時間外労働の賃金も下さい」
「来週の復学までに3号と3.5号の試作が完成したら給与とは別に諸々含めて金貨20枚出そう」
「やります!」
 お金につられて乗ってしまった深夜徹夜突貫残業確定コース。
 まだ十代だもの。試作品が完成すれば、思う存分眠って英気を養える。そう考えれば、案外悪い話ではない。
 ただ、また復学するとなれば三バカと顔を合わせることになる。
 マリア様の従順な侍女ですアピールして、三バカから庇護して貰おう。貰えるよね?
 復学に対して若干心配になったが、まずは直近の仕事を片付けなければならない。
 そう、私の働きに大金がかかっているのだから!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました! 裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。 ※2019年10月23日 完結 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

処理中です...