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幼少期
魔力コントロールしましょう
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スミス先生監修のもと、少し遠出して魔法の練習をすることになった。
と言うのも、大精霊ノームと契約したことを父から相談を受けたようで早急に魔法学の勉強のハードルを上げねばとなったらしい。
通常魔法よりも威力もコスパも最強なので、暴走したらとんでもないことになりかねないからだと。
どこの珍獣だよと思わなくもなかったが、魔法はロマンなので実践が出来るのは有難い。
使えることは使えるが、私は人よりも魔力量が多く魔力コントロールが下手くそなのだ。
アリーシャとガリオンも同行している。
護衛ということもあるが、一緒に魔法学を学んでいるからだ。
一刻半ほど馬車で揺られグロッキーな状態です。
尻も痛いし、ガタガタ揺れるのが辛い。
サスペンションを取り付けた馬車を開発してもらおう。
もしくは、乗馬の許可をもぎ取って移動範囲を広めるか。
こういう時に移転魔法とかあれば良いのだろうが、移転魔法は確立されていないらしい。
こればかりは想像力だけでは再現出来ないので、原理を理解しないと再現できない魔法があるのだと知った。
馬車酔いに青ざめながら辿り着いた場所は、荒野でした。
「……凄い荒れ地ですね」
街の郊外にここまで荒れた土地があるとは思わなかった。
むき出しの土に草木一本も生えていない。
まるで原子爆弾投下後の広島のようだ。
「昔は緑も豊な場所だったが、今では不毛の地になっておる。こういう場所は世界にいくつかあるが、この国でも所々にこういう場所が出来る。何故出来るかは謎のままじゃ」
崩壊の予兆が表面化までしているのか。
ノームが言っていた後百年が、現実味を佩びた。
例の提案については、ノームが動いているので報告待ちかな。
「確かに、ここなら邪魔にはならないですね」
うっかり魔法で人を巻き込んで大惨事になったら目も当てられない。
「普通は、訓練場でするものじゃが……。リリアン様は、訓練場自体を破壊しかねませんので」
チラッと私を見て言葉を濁すスミスに、
「ノーコンだとはっきり言いなさいよ! 私だって、それくらい自覚してるわ」
と文句を言った。
身体強化はお手の物なのだが、放出系の魔法のコントロールはからっきしだった。
一度、光属性の下級魔法『灯』を発動させる授業があった。
発動したのは良いが、威力が強力過ぎて目をやられました。
目を覆って呻きながら床を転がったのは苦い思い出である。
淑女とは到底言い難い姿を晒したのだから。
「リリアン様は、内包されている魔力が人よりも多すぎるためコントロールするのが難しいのでしょう。ここなら失敗しても問題ありません」
「そうね。荒野だものね!」
これ以上荒廃しようもないなら、魔法の練習をするにはもってこいの場所ではある。
「では、水玉を出して見て下さい」
スミスは、手のひらに水玉をぷかぷか浮かせている。
私も真似るように手のひらに水玉を出すが大人一人分の大きい水玉が出来た。
しかも重いので、重力に逆らえずバシャンッと落ちて全身濡れネズミの状態になった。
「……先生」
「コントロールが上手くいかないと、ああなりますので気を付けましょう」
「ちょっ、スミス先生! 私をダメな見本にするなんて酷いです」
スミスに抗議すると、彼は笑って流した。
「一番分かりやすい見本なので、つい。リリアン様は、もっと魔力の出力を極限まで抑えて下さい」
「ううっ……分かってますよぅ」
水道の蛇口を思い浮かべながら、必死に魔力の出力を抑える。
水玉は先ほどよりは小さくなったが、ただ水が浮いているだけで球体にすらなっていない。
「ガリオン君は、コントロールが上手ですね。そのまま、維持し続けて下さい。アリーシャさんは、球体をイメージして下さい。楕円形ですよ。リリアン様は、球体にして下さい」
「魔力を抑えるのに精一杯なのよ」
球体なんて作る余裕なんてない。
球体にしようとすると、水玉が膨らんで暴発して濡れネズミになる。
「魔法が使えてもコントロール出来なければ宝の持ち腐れですよ」
スミス先生の言葉は最もで、私は魔法を極めるんだと意気込んでいたが、魔力量が多いことが弊害になるとは思わず悪戦苦闘していた。
魔力コントロールは、意外なことにガリオンが突出して優秀でアリーシャは普通。
ドベは、私と言う結果に終わった。
私だけ何度も水を頭から被っていたので、帰る頃には鼻水を垂らしていた。
「ブェックシュン」
令嬢らしからぬくしゃみに、ガリオンが肩を震わせて笑いを堪えているのを見てムッとする。
「ガリオン、笑いたければ笑いなさいよ」
「アハハハハハハハハッハ」
「にいさん、ひとをゆびさしたらダメだよ」
「でも…ぷっ…くくく」
笑い上戸なのか、腹を抱えてゲラゲラ笑っている。
あんだけ失態を見せていれば笑わずにいられないだろう。
「笑っていられるのも今のうちだからね! あっと言う間に追い越して、私が逆に笑いものにしてやるんだから」
と威勢よく啖呵を切ったのだが、その後数年経ってもコントロールだけはガリオンに勝つことは出来ず悔し涙を流すのは先の話。
と言うのも、大精霊ノームと契約したことを父から相談を受けたようで早急に魔法学の勉強のハードルを上げねばとなったらしい。
通常魔法よりも威力もコスパも最強なので、暴走したらとんでもないことになりかねないからだと。
どこの珍獣だよと思わなくもなかったが、魔法はロマンなので実践が出来るのは有難い。
使えることは使えるが、私は人よりも魔力量が多く魔力コントロールが下手くそなのだ。
アリーシャとガリオンも同行している。
護衛ということもあるが、一緒に魔法学を学んでいるからだ。
一刻半ほど馬車で揺られグロッキーな状態です。
尻も痛いし、ガタガタ揺れるのが辛い。
サスペンションを取り付けた馬車を開発してもらおう。
もしくは、乗馬の許可をもぎ取って移動範囲を広めるか。
こういう時に移転魔法とかあれば良いのだろうが、移転魔法は確立されていないらしい。
こればかりは想像力だけでは再現出来ないので、原理を理解しないと再現できない魔法があるのだと知った。
馬車酔いに青ざめながら辿り着いた場所は、荒野でした。
「……凄い荒れ地ですね」
街の郊外にここまで荒れた土地があるとは思わなかった。
むき出しの土に草木一本も生えていない。
まるで原子爆弾投下後の広島のようだ。
「昔は緑も豊な場所だったが、今では不毛の地になっておる。こういう場所は世界にいくつかあるが、この国でも所々にこういう場所が出来る。何故出来るかは謎のままじゃ」
崩壊の予兆が表面化までしているのか。
ノームが言っていた後百年が、現実味を佩びた。
例の提案については、ノームが動いているので報告待ちかな。
「確かに、ここなら邪魔にはならないですね」
うっかり魔法で人を巻き込んで大惨事になったら目も当てられない。
「普通は、訓練場でするものじゃが……。リリアン様は、訓練場自体を破壊しかねませんので」
チラッと私を見て言葉を濁すスミスに、
「ノーコンだとはっきり言いなさいよ! 私だって、それくらい自覚してるわ」
と文句を言った。
身体強化はお手の物なのだが、放出系の魔法のコントロールはからっきしだった。
一度、光属性の下級魔法『灯』を発動させる授業があった。
発動したのは良いが、威力が強力過ぎて目をやられました。
目を覆って呻きながら床を転がったのは苦い思い出である。
淑女とは到底言い難い姿を晒したのだから。
「リリアン様は、内包されている魔力が人よりも多すぎるためコントロールするのが難しいのでしょう。ここなら失敗しても問題ありません」
「そうね。荒野だものね!」
これ以上荒廃しようもないなら、魔法の練習をするにはもってこいの場所ではある。
「では、水玉を出して見て下さい」
スミスは、手のひらに水玉をぷかぷか浮かせている。
私も真似るように手のひらに水玉を出すが大人一人分の大きい水玉が出来た。
しかも重いので、重力に逆らえずバシャンッと落ちて全身濡れネズミの状態になった。
「……先生」
「コントロールが上手くいかないと、ああなりますので気を付けましょう」
「ちょっ、スミス先生! 私をダメな見本にするなんて酷いです」
スミスに抗議すると、彼は笑って流した。
「一番分かりやすい見本なので、つい。リリアン様は、もっと魔力の出力を極限まで抑えて下さい」
「ううっ……分かってますよぅ」
水道の蛇口を思い浮かべながら、必死に魔力の出力を抑える。
水玉は先ほどよりは小さくなったが、ただ水が浮いているだけで球体にすらなっていない。
「ガリオン君は、コントロールが上手ですね。そのまま、維持し続けて下さい。アリーシャさんは、球体をイメージして下さい。楕円形ですよ。リリアン様は、球体にして下さい」
「魔力を抑えるのに精一杯なのよ」
球体なんて作る余裕なんてない。
球体にしようとすると、水玉が膨らんで暴発して濡れネズミになる。
「魔法が使えてもコントロール出来なければ宝の持ち腐れですよ」
スミス先生の言葉は最もで、私は魔法を極めるんだと意気込んでいたが、魔力量が多いことが弊害になるとは思わず悪戦苦闘していた。
魔力コントロールは、意外なことにガリオンが突出して優秀でアリーシャは普通。
ドベは、私と言う結果に終わった。
私だけ何度も水を頭から被っていたので、帰る頃には鼻水を垂らしていた。
「ブェックシュン」
令嬢らしからぬくしゃみに、ガリオンが肩を震わせて笑いを堪えているのを見てムッとする。
「ガリオン、笑いたければ笑いなさいよ」
「アハハハハハハハハッハ」
「にいさん、ひとをゆびさしたらダメだよ」
「でも…ぷっ…くくく」
笑い上戸なのか、腹を抱えてゲラゲラ笑っている。
あんだけ失態を見せていれば笑わずにいられないだろう。
「笑っていられるのも今のうちだからね! あっと言う間に追い越して、私が逆に笑いものにしてやるんだから」
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