お前は、ヒロインではなくビッチです!

もっけさん

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幼少期

馬鹿王子から初めて手紙を貰いました

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 我儘王子から初めて手紙を頂きました。
 内容は、抗議の手紙でした。
 ザッと流し読みして、要約したことばがこれだ。
「王妃に賄賂を贈りやがって! 婚約者の母と婚約者を蔑ろにするな」
である。
 本当に頭が残念な王子様である。
 しら~っとした目で手紙を読んだ後、私はアリーシャに渡した。
「これ、焼却炉に燃やしといて」
「一応、王国からのお手紙ですよ」
「こんな罵詈雑言と集りのお手紙を持っておきたくないわ」
 ただでさえ、あのバカ王子のお守りは手がかかるのだ。
 私のストレス源その一に、貴重な時間を割きたくない。
「燃やすより証拠として残して置いたら如何ですか? 破棄する時に、証拠は沢山あった方が良いですし」
 アリーシャの言葉に、それもアリだなと納得した。
「じゃあ、私の目が触れぬ場所に保管して頂戴」
「畏まりました。お返事は如何なさいますか?」
「勿論書くわよ。面倒臭いけど。王子が良識人でまともだったら、私も譲歩するんですけどねぇ。コレだから、正直無理」
 自分の感情を優先する男に、私は無理無理と手を振った。
 そんな私の反応に、アリーシャは苦笑いを零している。
 城に行くたびに、帰宅後の愚痴大会が始まるのだから彼女からしたらトバッチリも良いところである。
「リバーシもトランプも良い感じに流行っているわね」
「アイディル領の木材は安くて丈夫ですからね。リバーシの盤や駒には良い素材だと思います。後、リリアン様が考案した和紙の作成も順調に進んでいますよ」
「正式な書類に採用するには改良の余地ありだけど、耐久性は優れているから使えなくはないわね。孤児院の方はどう?」
 アリーシャは、パラパラと手帳を開き走り書きのメモを確認している。
「毎日、結構な人が勉強を教わりに来ていますよ。写真館とお見合い相談所も好評です」
「優秀な人材がいれば、青田買いするから連れて来て」
「分かりました。次回の視察時に、声を掛けてみます」
 アリーシャは、段々メイドの板がついてきた。
 名目上は護衛なのに、メイドふんするアサシンかと思うくらい文武両道である。
 一方、ガリオンは脳筋なので執事教育が上手く進んでいないようだ。
 武に秀でているが、策略や知略は全然ダメである。
 バーバリー伯爵夫人クソババアに仲良く扱かれているので、最低限猫は被れるようになったがメアリー曰く全てが雑とのこと。
 現在、フリックスにマンツーマンで扱かれている。
「あのバカ王子の機嫌を取るのもワザとらしいし、無視して良いかなぁ」
「旦那様だったら、お古でも渡しておいて恩を売れと言いそうですが」
「それはあり得る! 生産ラインで弾かれたものを渡しておけば良いか。入れ物だけ豪華にしておけば、文句も出ないでしょう。アリーシャ手配してくれる」
「分かりました」
 これで少しは人の話に耳を貸せるくらいには改善したら良いなと思っていたが、あのバカ王子は私の予想の斜め上をいく馬鹿だった。
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