95 / 181
エルブンガルド魔法学園 中等部
派閥争いに巻き込まれてしまった
しおりを挟む
エルブンガルド魔法学園は、国が運営している国公立の学校である。
魔力があるものは、その多さに関係なく強制的に学校へ入学させられる。
基本的に貴族が多いのだが、五分の一くらいは平民も交じっている。
魔力無しの者も、研究と言う名目で入学は可能だ。
しかし、それなりの知識が要求されるため殆ど居ないのが現状だ。
さて、私はと言うと首席入学を果たし、アルベルトを押しのけて祝辞まで述べた兵として遠巻きに見られている。
中には『変人令嬢』とあだ名をつける不届き者もいるのだが、アリーシャやガリオンに相談したら「否定出来ない」と言われてしまったのが最近の落ち込んだ出来事だ。
クラスは実力別になるのだが、アルベルトの暴走を唯一止められる人間としてクラスのランクを落とされた。
マジでふざけんなよと毒吐いたことは記憶に新しい。
授業内容も暗記したものを復習するレベルなので、退屈で仕方がなかった。
そんなわけで、授業とは別に本来入るはずだったクラスの課題を回して貰う事にした。
知識は、いくらあっても困らない。
一生の宝物だからな!
平穏な学園生活がスタートしたと思ったら、学園内での派閥があり知らない内に巻き込まれそうになっていた。
有名なのは、リズベットの姉・エリーナ筆頭の白薔薇の会とグレイス・オスローが率いる夕焼けの騎士団、イクス・セオリーが纏めている境界線の夜明け。
なんとも中二病臭がする派閥名である。
見事に保守派、中立、改革派と別れており、私は境界線の夜明けの頭に据えられようとするし、アルベルトはアルベルトで青薔薇の会なるものが出来て担ぎ上げられている。
青薔薇の会は、白薔薇の会と対になるようにとエリーナが手を回して作ったものだ。
そこまでして、アルベルトが欲しいのだろうか?
それとも王妃の座が欲しいのか、はたまた両方欲しいのかは不明だが喧嘩を売られたことには変わりはない。
私は神輿になる気はないので、自分で作ったよ!
その名も『ヘリオトロープの会』。
自分の誕生花を名前にして、募集を掛けた。
内容は『未経験者歓迎。経験者優遇。貴賤問わず有能であれば即採用。リリアン・アングロサクソンに従者する人募集中。種族は問わない。最低月給大銀貨五枚~最高金貨一枚。業務内容、リリアン・アングロサクソン及び腹心の助手。実働八時間、昼休憩あり、おやつ付き。試用期間六ヶ月、試用期間後に本採用となり希望があれば学園卒業後に就職可能。学園在住は土日休み、テスト一週間前からテスト期間は休み。そのほか、応相談』という内容のものを校内の一番目立つところにイラスト付きのポスターを貼らせて貰った。
アングロサクソン家ではなく、私個人との雇用契約の内容が書かれたポスターである。
ヘリオトロープの会であって、求人広告ではないと言い訳しておく!
案の定、イクスは当てが外れてしまったことに腹を立てていたらしいが知らん。
エリーナに関しては、最初は嘲笑っていたが人が引き抜かれていることに気付き始めて焦っているようだ。
そして今、私の設立した派閥はジワジワと参加者が増えている。
門を叩いた者に対しては、全員一度お試し期間で採用した。
使えるかどうかは、その期間で成果を出すしかない。
最低限、平仮名とカタカナ、四則演算は出来るようにならないとクビである。
卒業後の就職先まで決められるなら、特に次女や次男以下はこちらに流れてくるだろう。
派閥争いなんて面倒臭いことをするつもりは無かったが、売られた喧嘩は買う主義なのでエリーナの悔しがる顔が見ものである。
イクスに関しては、今のところノータッチだ。
青薔薇の会は、アルベルトと側近だけという寂しい会になっているらしい。
と言うのも、馬鹿なアルベルトが勉強に付いていけなくなるのを見越した上での勉強会をしているのが実態だった。
金が絡むと時々凄いアイディアを出すのに、座学はからきしだし、実技の魔法は使えば跳ね返る(私の魔力を使って精霊にやらせている)ので良いところがない。
世間的に次期王太子候補の立ち位置なので、成績が悪すぎるのも困ると側近も王妃も判断したようだ。
『クソから電話だよ』の着ボイスが聞こえて、電話に出るとアルベルトが泣きついてきた。
「課題が終わらない!! 助けてくれ」
「またですか。これで何度目ですか。お友達に教えて貰って課題をやりなさい」
「向こうも課題のレポートに追われて、それどころじゃないんだ! 前に言っていた下着の撮影に協力するから助けてくれ!!」
その言葉に、私はキランッと目が輝いた。
頭の中でそろばんを弾き出した答えは、
「では、下着撮影は無報酬でしてくれるなら手伝いましょう」
と返すと暫く沈黙された悲壮な声で是と返事が返ってきた。
「何のレポートですか?」
「精霊魔法と通常魔法の違いと特徴についてだ」
「了解です。では、誓約書を持って行きますので準備をお願いします」
私は電話を切り、アリーシャに後を任せてガリオンを護衛として連れてアルベルトのところへと向かった。
レポートを手伝う前に、誓約書にサインと血判を貰い確認した上でレポートの作成を手伝ったよ。
口頭で説明しても、アルベルトの記憶に残らないのは分かっているので、物語口調で語ってやった。
英雄思考が強いので、中二病を擽る台詞を所々入れて話すと覚えるのだから教えていて面白い。
馬鹿だけどアホではないので、一度覚えると意外と長く覚えられるタイプである。
その才能は羨ましい限りではあるが、いかせん中二病を発動して話さなければ覚えないのが辛い。
「……というのが概要ですわ。こちらは、参考程度の資料です。貴重な品なのでくれぐれも汚さないで下さいませ。後、下着の撮影は日を追って連絡致しますわ」
一冊の漫画本を手渡して、私はガリオンを連れて席を立った。
魔力があるものは、その多さに関係なく強制的に学校へ入学させられる。
基本的に貴族が多いのだが、五分の一くらいは平民も交じっている。
魔力無しの者も、研究と言う名目で入学は可能だ。
しかし、それなりの知識が要求されるため殆ど居ないのが現状だ。
さて、私はと言うと首席入学を果たし、アルベルトを押しのけて祝辞まで述べた兵として遠巻きに見られている。
中には『変人令嬢』とあだ名をつける不届き者もいるのだが、アリーシャやガリオンに相談したら「否定出来ない」と言われてしまったのが最近の落ち込んだ出来事だ。
クラスは実力別になるのだが、アルベルトの暴走を唯一止められる人間としてクラスのランクを落とされた。
マジでふざけんなよと毒吐いたことは記憶に新しい。
授業内容も暗記したものを復習するレベルなので、退屈で仕方がなかった。
そんなわけで、授業とは別に本来入るはずだったクラスの課題を回して貰う事にした。
知識は、いくらあっても困らない。
一生の宝物だからな!
平穏な学園生活がスタートしたと思ったら、学園内での派閥があり知らない内に巻き込まれそうになっていた。
有名なのは、リズベットの姉・エリーナ筆頭の白薔薇の会とグレイス・オスローが率いる夕焼けの騎士団、イクス・セオリーが纏めている境界線の夜明け。
なんとも中二病臭がする派閥名である。
見事に保守派、中立、改革派と別れており、私は境界線の夜明けの頭に据えられようとするし、アルベルトはアルベルトで青薔薇の会なるものが出来て担ぎ上げられている。
青薔薇の会は、白薔薇の会と対になるようにとエリーナが手を回して作ったものだ。
そこまでして、アルベルトが欲しいのだろうか?
それとも王妃の座が欲しいのか、はたまた両方欲しいのかは不明だが喧嘩を売られたことには変わりはない。
私は神輿になる気はないので、自分で作ったよ!
その名も『ヘリオトロープの会』。
自分の誕生花を名前にして、募集を掛けた。
内容は『未経験者歓迎。経験者優遇。貴賤問わず有能であれば即採用。リリアン・アングロサクソンに従者する人募集中。種族は問わない。最低月給大銀貨五枚~最高金貨一枚。業務内容、リリアン・アングロサクソン及び腹心の助手。実働八時間、昼休憩あり、おやつ付き。試用期間六ヶ月、試用期間後に本採用となり希望があれば学園卒業後に就職可能。学園在住は土日休み、テスト一週間前からテスト期間は休み。そのほか、応相談』という内容のものを校内の一番目立つところにイラスト付きのポスターを貼らせて貰った。
アングロサクソン家ではなく、私個人との雇用契約の内容が書かれたポスターである。
ヘリオトロープの会であって、求人広告ではないと言い訳しておく!
案の定、イクスは当てが外れてしまったことに腹を立てていたらしいが知らん。
エリーナに関しては、最初は嘲笑っていたが人が引き抜かれていることに気付き始めて焦っているようだ。
そして今、私の設立した派閥はジワジワと参加者が増えている。
門を叩いた者に対しては、全員一度お試し期間で採用した。
使えるかどうかは、その期間で成果を出すしかない。
最低限、平仮名とカタカナ、四則演算は出来るようにならないとクビである。
卒業後の就職先まで決められるなら、特に次女や次男以下はこちらに流れてくるだろう。
派閥争いなんて面倒臭いことをするつもりは無かったが、売られた喧嘩は買う主義なのでエリーナの悔しがる顔が見ものである。
イクスに関しては、今のところノータッチだ。
青薔薇の会は、アルベルトと側近だけという寂しい会になっているらしい。
と言うのも、馬鹿なアルベルトが勉強に付いていけなくなるのを見越した上での勉強会をしているのが実態だった。
金が絡むと時々凄いアイディアを出すのに、座学はからきしだし、実技の魔法は使えば跳ね返る(私の魔力を使って精霊にやらせている)ので良いところがない。
世間的に次期王太子候補の立ち位置なので、成績が悪すぎるのも困ると側近も王妃も判断したようだ。
『クソから電話だよ』の着ボイスが聞こえて、電話に出るとアルベルトが泣きついてきた。
「課題が終わらない!! 助けてくれ」
「またですか。これで何度目ですか。お友達に教えて貰って課題をやりなさい」
「向こうも課題のレポートに追われて、それどころじゃないんだ! 前に言っていた下着の撮影に協力するから助けてくれ!!」
その言葉に、私はキランッと目が輝いた。
頭の中でそろばんを弾き出した答えは、
「では、下着撮影は無報酬でしてくれるなら手伝いましょう」
と返すと暫く沈黙された悲壮な声で是と返事が返ってきた。
「何のレポートですか?」
「精霊魔法と通常魔法の違いと特徴についてだ」
「了解です。では、誓約書を持って行きますので準備をお願いします」
私は電話を切り、アリーシャに後を任せてガリオンを護衛として連れてアルベルトのところへと向かった。
レポートを手伝う前に、誓約書にサインと血判を貰い確認した上でレポートの作成を手伝ったよ。
口頭で説明しても、アルベルトの記憶に残らないのは分かっているので、物語口調で語ってやった。
英雄思考が強いので、中二病を擽る台詞を所々入れて話すと覚えるのだから教えていて面白い。
馬鹿だけどアホではないので、一度覚えると意外と長く覚えられるタイプである。
その才能は羨ましい限りではあるが、いかせん中二病を発動して話さなければ覚えないのが辛い。
「……というのが概要ですわ。こちらは、参考程度の資料です。貴重な品なのでくれぐれも汚さないで下さいませ。後、下着の撮影は日を追って連絡致しますわ」
一冊の漫画本を手渡して、私はガリオンを連れて席を立った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,926
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる