お前は、ヒロインではなくビッチです!

もっけさん

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エルブンガルド魔法学園 中等部

奴隷を買い漁ることにしました

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 ボッタクリ商法で危機感を煽らせ、『特売』や『先着』で希少性を購買意欲をそそらせて買わせる手法を身に着けたベアトリズの作戦は、功を成し皆お金の管理に厳しくなった。
 特に福袋の値段が買う者によって異なるので、買ったは良いが好みでない物を物々交換する時に値段の話になってくるのを見越したベアトリズの作戦は思いのほか上々だった。
 ボッタクリとつり銭ごまかしの数々の証言が、ボロボロと出てくるので私のところまで抗議の声が上がって来た。
 私は、抗議に対して言ったのは「碌に計算もせずに言い値で払うお前たちが悪い」だった。
 流石に、つり銭ごまかしやボッタクリしたお金を懐に入れるのは商人としてのプライドが許さないので、奴隷達に月末支払われる成功報酬とは別にそれぞれごまかしたお金は返金した。
 勿論、いつ何を買った時につり銭をごまかしたのか、ボッタくったのかを明記した紙を渡した。
 私も時々日用品を買うので、ベアトリズとの交渉のやり取りを屋敷で働く者たちは一度は目撃しているだろう。
 私もベアトリズも一歩も引かない値段交渉を手本にして、たどたどしくではあるが交渉する者も現れた。
 お陰で暗算もすっかり板についたようで、個人差はあるが一通り分数までは出来るようになった。
 屋敷の中で文字の読み書きと暗算、魔力適正のある者に関しては魔法の勉強もさせている。
 威力はともかく、習得出来れば金貨一枚が手当としてつくので俄然やる気を出してくれた。
 求人募集を掛けると、下級貴族の三男や次女以下が挙って応募してきた。
 勿論、平民達からの応募も殺到した。
 貴賤問わずに募集を掛けたから、連日面接の嵐である。
 平民の殆どは文字や算数が出来ないので、仮に採用したとしても最低限の知識として半年以内に書類作成や暗算が出来るようにならないとクビ宣告はしてある。
 お試し期間は貴族も平民も同じだが、ハードルは平民の方が高いと言えるだろう。
 面接は、フリックに丸投げして私とフェディーラは領内に点在している奴隷商を巡っていた。
 父には奴隷の不正売買について報告を上げており、摘発するために罠を仕掛けるので軍資金をクレクレしている。
 返事はまだだが、罠を仕掛ける分にはGOサインを貰っているので奴隷の買い漁りをしているところだ。
 旧オブシディアン領の奴隷商で急成長した二つの奴隷商に目を付けている。
 勿論、他の奴隷商からも奴隷は買っている。
 怪しまれて警戒されては、元も子もないからな。
「今日回るのは、領内一の奴隷商フレデリック商会とクランクシャフト商会の二つね。場所も割とナリスに近い場所にあるのが気になるわ」
「ナリスから仕入れるのに、国境が近い方が色々と楽なのかもしれません。フレデリック商会の本店は、屋敷の近くにありますので前領主がよく利用していた奴隷商の一つですよ」
 資料を捲りながら、フェディーラの説明を聞く。
 違法奴隷を扱っているのであれば摘発対象としてマークしなければならない。
「ヘリオト商会もここ最近では事業拡大しているから、これを機に従業員の補充もしないとね」
「領主の仕事も疎かになさらないようにお願いします」
「分かっているわよ。ちゃんとこなしているでしょう」
 フェディーラとフリックの補助を受けながらではあるが、領内の陳情書や公共設備の修復など決済に必要な案件を朝から晩まで書類に目を通し、精霊にお願いして裏を取ったりと寝る間を惜しんで仕事をしている。
 ヘリオト商会に関しては、携帯に逐一確認の連絡が入るので問題なく回っている。
 私の負担が大きいので、出来れば私の代わりになる人材を王都に置いておきたい。
 ベアトリズなら任せられる可能性が高いが、今はその時ではない。
 本当にままならないものである。
「基本的に犯罪奴隷以外は、全て買い付けるつもりよ。我儘なお嬢様で通すわ。フェディーラは、私に振り回される従者ってことで話を合わせなさい。私がどんな態度を取っても、絶対に顔に出すんじゃないわよ」
 子供らしさの欠片もない私が、精一杯子供らしさをアピールしたらドン引きされたのは記憶に新しい。
 だからこそ、絶対に動揺するなと釘を刺した。
「あれは、衝撃的でしたから不覚にも顔に出てしまっただけです。同じ失態はしません」
「なら宜しくてよ。見えて来たわね。行くわよ」
 フレデリック商会の前で馬車を停車させ、フェディーラにエスコートされながら馬車を降りた。
 入口には厳つい男が二人立っている。
「奴隷を買いに来ましたの。入っても宜しくて?」
 普段は、あまり着ない高級素材をふんだんに使用したドレスを身に纏い高慢で我儘なお嬢様を演じながら物怖じしない様子で入口に立つ男たちに声を掛けた。
 一瞬、不愉快そうな顔をしたが私が身に着けているもの全てが高級品であることを悟ったのか掌を返したように態度を変えた。
「……オーナーを呼んできます。どうぞ中でお待ち下さい」
 最低限の言葉遣いに失格の烙印を押してやりたいところだが、今回の目的は別にあるので下手な行動は慎むべきだと言い聞かせて我慢する。
 通された部屋は、そこそこ良い調度品が飾れた場所でVIP扱いとまではいかないものの、それなりの上客として扱ってくれているようだ。
 数分ほど待たされて、オーナーと呼ばれた男が部屋に入って来た。
「ようこそ、フレデリック商会へ。私は、エドワーズ・フレデリックと申します。以後、お見知りおきを」
「私は、リリスよ。奴隷を買い付けに来たのだけど、見せて貰えるかしら?」
 エドワーズを一言で言い表すなら、金髪碧眼の優男風雰囲気イケメンと言いたいところだが、腹黒臭がどことなく醸し出している。
「どのような奴隷でしょうか?」
「そうね。私の玩具になる奴隷かしら。お金に糸目は付けないわ。見てみないことには分からないから、案内して頂戴」
 抽象的な言葉で、断定的な表現を避けて奴隷を見せろと迫る。
 エドワーズの顔が若干崩れたが、それも一瞬のことだった。
「お嬢様の御眼鏡に叶う者がいるかどうか分かりませんが、案内させて頂きます」
 エドワーズに促されて、奴隷達がいる部屋へと移動した。
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