126 / 181
エルブンガルド魔法学園 中等部
アルベルト攻略開始4
しおりを挟む
何かにつけて一緒に行動するようになってから、周囲はアルベルトが私に心変わりしたと捉え始めた。
外堀を埋めるのも時には必要だから手は抜かないわ。
一番の収穫は、勉強を教わる段階で他の攻略者とも接点が持てたところだろうか。
王妃の座は欲しいけれど、好みの男は囲っておきたいのよね。
万が一王妃がダメでも、それなりに爵位もお金も持っていそうな相手ならキープしておきたい。
放課後、青薔薇の会でアルベルトを中心とした勉強会をする。
ガリオンは、リリアンっていう女が作ったヘリオトロープの会に所属しているため勉強会に参加する資格はないと言ってアルベルトが追い出してしまった。
逆ハーを楽しみたかったのに余計な事すんなと思ったけど、青薔薇の会に所属するメンバーのスペックだけを見ればアルベルトに取り成すよりも現状を甘んじて受け入れる方が私にとって得だと言える。
私の城と思えば、悪くない空間だ。
勉強をするのはつまらないけど、玉の輿をゲットするためにも勉強は必須。
やると決めたからには手は抜かないわ。
カリカリとペンで課題をしながら、分からない場所を教科書を開いて確認する。
前世で義務教育で散々勉強してきたけれど、やっぱり勉強って慣れないわ。
「アル様、これってどういう意味ですか?」
マナーの授業で季節の唄遊びがある。
どことなく俳句や短歌を彷彿させるのだが、私はそういうのは苦手で例文を短く纏めるように書かなければならないのだが、さっぱり分からない。
例文は、『白露に風がしきりに吹きつけている秋の野のさまは、まるで糸に通してとめてない玉が美しく散り乱れているようですね』である。
「白露に 風吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける、が答えだ」
「アル様は、博識なんですね」
アルベルトから答えを教えて貰いノートに書き写す。
文脈からして百人一首が頭に浮かんだが、そんなわけないかと考えることを放棄した。
「この唄遊びって何が楽しいんでしょう」
「さあな。先人の考えることは分からん。ただ、大昔に召喚された聖女が故郷を恋しく思って綴った唄と言われているな」
「どれくらいあるんですか?」
「百くらいはあるぞ。唄遊びの解説本なら、確か図書室にあったと思う。参考になるかは分からんが、読んでおくといい」
そう言われて、思わずウゲッと顔を顰めた。
「コレット嬢は、唄遊びは苦手なのかい?」
カルセドニーに問われて、コレットは唇を尖らせて少しむくれた風を装って否定する。
「違いますよ。昔の人は、考えることがよく分からないと思っただけです」
「風流があって私は好きですけどね」
「カルセドニー様は、唄遊びがお好きなんですね。私は、魔法学が得意なんです。魔力量は少ないですが、発動の精密さと上級魔法が使えるので編入試験を通ることが出来ました」
ラッキー、良い事聞いちゃった♡
これは、覚えるっきゃない!
高感度アップの試練だと思えば、乙女ゲームマスターの私に掛かれば選択肢を覚えるのと同じくらい簡単なことだ。
「マナーと歴史さえ良ければ、上級クラスに入れる逸材が編入してきたって噂が流れたっけ」
ルークが、思い出したように私の噂を語ってくれた。
「そうなんですか? 少し恥ずかしいです。男爵家に引き取られたばかりなのでマナーは焼付け刃なので精進しないとダメなんですけども、歴史は人物の名前を覚えたりするのが苦手で……。どうしても苦戦してしまうんです」
歴史を覚えて何の役に立つのかさっぱり分からないとは口に出さなかったが、あれほど意味のない教科はないと思っている。
「俺も昔は歴史が苦手だったな。あいつに貰った本で興味を持って調べるうちに自然と覚えるようになったが、あの本に出会わなかったら一生歴史に興味を持たない人生を歩んでいたと思う」
アルベルトが、コレットの意見に深く同意した。
「アル様が歴史に興味を持ったきっかけの本ってどんな本ですか?」
「絵が沢山描かれた本だ。俺専用と言って態々お抱えの画家に描かせた代物だ」
「凄く興味があります」
遠回しに貸してくれアピールをしてみるが、綺麗にスルーされてしまった。
本当になんなの?
上手く行っていると思っても、変なところでアルベルトのスルー技術に躓いてしまう。
「分からないことがあれば聞くと良い。俺が、教えてやる」
「ありがとう御座います。とっても頼りになります」
教えるの下手過ぎて分からないから、結局教師に教わりにいく羽目になるのかと思うと溜息が出そう。
でも、ここまでは順調にことが進んでいる。
目指せ逆ハー!
コレットは、愛想笑いを浮かべながら今度はどんな手で距離をもっと近づけようかと考えていた。
外堀を埋めるのも時には必要だから手は抜かないわ。
一番の収穫は、勉強を教わる段階で他の攻略者とも接点が持てたところだろうか。
王妃の座は欲しいけれど、好みの男は囲っておきたいのよね。
万が一王妃がダメでも、それなりに爵位もお金も持っていそうな相手ならキープしておきたい。
放課後、青薔薇の会でアルベルトを中心とした勉強会をする。
ガリオンは、リリアンっていう女が作ったヘリオトロープの会に所属しているため勉強会に参加する資格はないと言ってアルベルトが追い出してしまった。
逆ハーを楽しみたかったのに余計な事すんなと思ったけど、青薔薇の会に所属するメンバーのスペックだけを見ればアルベルトに取り成すよりも現状を甘んじて受け入れる方が私にとって得だと言える。
私の城と思えば、悪くない空間だ。
勉強をするのはつまらないけど、玉の輿をゲットするためにも勉強は必須。
やると決めたからには手は抜かないわ。
カリカリとペンで課題をしながら、分からない場所を教科書を開いて確認する。
前世で義務教育で散々勉強してきたけれど、やっぱり勉強って慣れないわ。
「アル様、これってどういう意味ですか?」
マナーの授業で季節の唄遊びがある。
どことなく俳句や短歌を彷彿させるのだが、私はそういうのは苦手で例文を短く纏めるように書かなければならないのだが、さっぱり分からない。
例文は、『白露に風がしきりに吹きつけている秋の野のさまは、まるで糸に通してとめてない玉が美しく散り乱れているようですね』である。
「白露に 風吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける、が答えだ」
「アル様は、博識なんですね」
アルベルトから答えを教えて貰いノートに書き写す。
文脈からして百人一首が頭に浮かんだが、そんなわけないかと考えることを放棄した。
「この唄遊びって何が楽しいんでしょう」
「さあな。先人の考えることは分からん。ただ、大昔に召喚された聖女が故郷を恋しく思って綴った唄と言われているな」
「どれくらいあるんですか?」
「百くらいはあるぞ。唄遊びの解説本なら、確か図書室にあったと思う。参考になるかは分からんが、読んでおくといい」
そう言われて、思わずウゲッと顔を顰めた。
「コレット嬢は、唄遊びは苦手なのかい?」
カルセドニーに問われて、コレットは唇を尖らせて少しむくれた風を装って否定する。
「違いますよ。昔の人は、考えることがよく分からないと思っただけです」
「風流があって私は好きですけどね」
「カルセドニー様は、唄遊びがお好きなんですね。私は、魔法学が得意なんです。魔力量は少ないですが、発動の精密さと上級魔法が使えるので編入試験を通ることが出来ました」
ラッキー、良い事聞いちゃった♡
これは、覚えるっきゃない!
高感度アップの試練だと思えば、乙女ゲームマスターの私に掛かれば選択肢を覚えるのと同じくらい簡単なことだ。
「マナーと歴史さえ良ければ、上級クラスに入れる逸材が編入してきたって噂が流れたっけ」
ルークが、思い出したように私の噂を語ってくれた。
「そうなんですか? 少し恥ずかしいです。男爵家に引き取られたばかりなのでマナーは焼付け刃なので精進しないとダメなんですけども、歴史は人物の名前を覚えたりするのが苦手で……。どうしても苦戦してしまうんです」
歴史を覚えて何の役に立つのかさっぱり分からないとは口に出さなかったが、あれほど意味のない教科はないと思っている。
「俺も昔は歴史が苦手だったな。あいつに貰った本で興味を持って調べるうちに自然と覚えるようになったが、あの本に出会わなかったら一生歴史に興味を持たない人生を歩んでいたと思う」
アルベルトが、コレットの意見に深く同意した。
「アル様が歴史に興味を持ったきっかけの本ってどんな本ですか?」
「絵が沢山描かれた本だ。俺専用と言って態々お抱えの画家に描かせた代物だ」
「凄く興味があります」
遠回しに貸してくれアピールをしてみるが、綺麗にスルーされてしまった。
本当になんなの?
上手く行っていると思っても、変なところでアルベルトのスルー技術に躓いてしまう。
「分からないことがあれば聞くと良い。俺が、教えてやる」
「ありがとう御座います。とっても頼りになります」
教えるの下手過ぎて分からないから、結局教師に教わりにいく羽目になるのかと思うと溜息が出そう。
でも、ここまでは順調にことが進んでいる。
目指せ逆ハー!
コレットは、愛想笑いを浮かべながら今度はどんな手で距離をもっと近づけようかと考えていた。
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました
【完結】お飾りではなかった王妃の実力
鏑木 うりこ
恋愛
王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。
「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」
しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。
完結致しました(2022/06/28完結表記)
GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。
★お礼★
たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます!
中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる