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オブシディアン領で労働中
武器の輸入問題が浮上しました2
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ナリスからオブシディアン領へ入るには、2つのルートがある。
一つは、年中雪が積もっている高山を抜けてくる方法。
もう一つが、巨大な運河を渡ってくる方法だ。
高山を抜けてくる者は、殆ど居ない。
一応、山脈を隔てた先に敵国があるので、検問所兼砦がある。
そこは、念のためフェディーラの方で調査を進めて貰おう。
放っておいても良い気もするのだが、私の感が警戒音を鳴らしているんだよなぁ。
第六感を信じているわけではないが、胸騒ぎがするのだ。
こういう時の感は、逆らわないようにしている。
運河の入港場近くの宿屋で宿を取り、馬を繋いでから護衛とルールールを連れて保安検査場を訪れる。
私の顔を知らない役人達は、一様にこちらを怪訝な顔をして見てくる。
「失礼。そこの貴方、保安検査場の責任者と面会をしたいのだけど宜しくて」
「嬢ちゃん、ここは遊び場じゃねぇんだ。早くお家に帰んな」
シッシッと手で追い払うような仕草をする検査員に、ルールールーが低い唸り声を上げた。
「グルルルルッ」
「ヒッィイ!」
見た目が虎にも見えるルールールの威嚇に、驚くのも致し方ない。
「ルールール、落ち着きなさい。わたくしは、こういう者ですわ」
アングロサクソン家の家紋が入ったハンカチーフを見せると、検査員の顔色が変わった。
「ああああ、あなた様はっ!! リ…んんんっ~~~!?」
名前を叫ばれる前に、奴隷達が検査員の身体を拘束し口を塞いでいる。
後で褒めてあげないとね。
「お忍びで来ているの。だから、名前を口にするのは止めて頂戴」
私は、検査員の耳元に囁く。
検査員は、コクコクと頭を縦に振った。
パチンと指を鳴らすと、奴隷達は拘束していた手を放し直立している。
「では、呼んできて頂けるかしら。くれぐれも、ね……」
笑みを浮かべてお願いをする私に、
「はい、只今!!」
検査員は、最敬礼し責任者を呼びに走って行った。
それを見送りつつ、私は鑑定眼鏡で詰み下ろされている荷物を一つ一つ見て回る。
降ろされた荷物の大半は、特に問題ないものばかりだ。
しかし、やはり幾つか武器の部品が搬入されている。
荷物はグレイシア商会の物と分かったが、何故老舗の商会がそんな事をしているのだろうか。
一人考え込んでいると、先程の検査員の上司と思われる男性がやってきた。
「貴方が、ここの責任者かしら?」
「そうです。アルカディア・エターナルと申します。本日は、どのようなご用件でこちらへいらっしゃったのですか?」
迷惑そうに私を見るアルカディアに、私はグレイシア商会の荷物を指して言った。
「あちらの荷物の検査をして頂けますか?」
「……グレイシア商会の荷物をですね。分かりました。少々お待ちください。おい、そこのお前! そっちは、良いからこっちを検査しろ」
他の荷物検査をしていた検査員に仕事を中断させて、グレイシア商会の荷物検査を命令している。
私はアルカディアに荷物検査を命じたのだが、当人は部下に命令している。
これでは、命令系統に問題が出てしまう可能性がある。
これは、フリックに言ってお灸をすえる案件だな。
検査の結果、鑑定眼鏡の通り武器の部品が積み荷から見つかった。
「少し中でお話しても宜しくて?」
薄く笑みを浮かべる私に対し、事の重大さに気付いたのかアルカディアは居住まいを正している。
今更だとは思うが、言葉にするまい。
アルカディアが検査員にグレイシア商会の者を至急呼ぶようにと命じた後、私に向き直り言った。
「では、こちらへどうぞ」
「ありがとう」
私は、奴隷とルールールを引き連れて奥にある部屋へと通された。
一つは、年中雪が積もっている高山を抜けてくる方法。
もう一つが、巨大な運河を渡ってくる方法だ。
高山を抜けてくる者は、殆ど居ない。
一応、山脈を隔てた先に敵国があるので、検問所兼砦がある。
そこは、念のためフェディーラの方で調査を進めて貰おう。
放っておいても良い気もするのだが、私の感が警戒音を鳴らしているんだよなぁ。
第六感を信じているわけではないが、胸騒ぎがするのだ。
こういう時の感は、逆らわないようにしている。
運河の入港場近くの宿屋で宿を取り、馬を繋いでから護衛とルールールを連れて保安検査場を訪れる。
私の顔を知らない役人達は、一様にこちらを怪訝な顔をして見てくる。
「失礼。そこの貴方、保安検査場の責任者と面会をしたいのだけど宜しくて」
「嬢ちゃん、ここは遊び場じゃねぇんだ。早くお家に帰んな」
シッシッと手で追い払うような仕草をする検査員に、ルールールーが低い唸り声を上げた。
「グルルルルッ」
「ヒッィイ!」
見た目が虎にも見えるルールールの威嚇に、驚くのも致し方ない。
「ルールール、落ち着きなさい。わたくしは、こういう者ですわ」
アングロサクソン家の家紋が入ったハンカチーフを見せると、検査員の顔色が変わった。
「ああああ、あなた様はっ!! リ…んんんっ~~~!?」
名前を叫ばれる前に、奴隷達が検査員の身体を拘束し口を塞いでいる。
後で褒めてあげないとね。
「お忍びで来ているの。だから、名前を口にするのは止めて頂戴」
私は、検査員の耳元に囁く。
検査員は、コクコクと頭を縦に振った。
パチンと指を鳴らすと、奴隷達は拘束していた手を放し直立している。
「では、呼んできて頂けるかしら。くれぐれも、ね……」
笑みを浮かべてお願いをする私に、
「はい、只今!!」
検査員は、最敬礼し責任者を呼びに走って行った。
それを見送りつつ、私は鑑定眼鏡で詰み下ろされている荷物を一つ一つ見て回る。
降ろされた荷物の大半は、特に問題ないものばかりだ。
しかし、やはり幾つか武器の部品が搬入されている。
荷物はグレイシア商会の物と分かったが、何故老舗の商会がそんな事をしているのだろうか。
一人考え込んでいると、先程の検査員の上司と思われる男性がやってきた。
「貴方が、ここの責任者かしら?」
「そうです。アルカディア・エターナルと申します。本日は、どのようなご用件でこちらへいらっしゃったのですか?」
迷惑そうに私を見るアルカディアに、私はグレイシア商会の荷物を指して言った。
「あちらの荷物の検査をして頂けますか?」
「……グレイシア商会の荷物をですね。分かりました。少々お待ちください。おい、そこのお前! そっちは、良いからこっちを検査しろ」
他の荷物検査をしていた検査員に仕事を中断させて、グレイシア商会の荷物検査を命令している。
私はアルカディアに荷物検査を命じたのだが、当人は部下に命令している。
これでは、命令系統に問題が出てしまう可能性がある。
これは、フリックに言ってお灸をすえる案件だな。
検査の結果、鑑定眼鏡の通り武器の部品が積み荷から見つかった。
「少し中でお話しても宜しくて?」
薄く笑みを浮かべる私に対し、事の重大さに気付いたのかアルカディアは居住まいを正している。
今更だとは思うが、言葉にするまい。
アルカディアが検査員にグレイシア商会の者を至急呼ぶようにと命じた後、私に向き直り言った。
「では、こちらへどうぞ」
「ありがとう」
私は、奴隷とルールールを引き連れて奥にある部屋へと通された。
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