《完結》愛されたいわたしは幸せになりたい

綾月百花   

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2   便利な執務ロボット

「ジュリアン、愛しているよ」

「いやん、ペリオドス様、こんなところで恥ずかしいわ」


 食事が並べられたダイニングルームで、仲睦まじい男女の声がする。

 使用人達は、目を逸らし、ある者は、キッチンへと姿を消す。

 日常的なスキンシップであるが、間近に見ていたくないと思う者も多いのか?俺は、皆に見せびらかしたいが。

 どうだ、これこそ、王太子としての威厳であるだろう。

 愛されておるのだ。

 ジュリアンの愛は、本物だ。

 ジュリアンは男爵家の三女で、頭のできはあまりよくないが、可愛いのだ。

 可愛いドレスを着せて、宝石で飾るとお人形のように愛らしくなる。

 淡いピンクの髪に、瞳は情熱的な赤色をしている。

 恥ずかしそうに、頬を染めている。

 赤い瞳がそう見せているような気もするが、とにかく仕草も可愛い。

 俺の形だけの妻であるマリアナは、夜空のような濃紺の瞳に、髪は淡い金髪だ。

 昔は可愛いと思った事もあったが、あの女は、成長するにしたがって、ニコリとも笑いもしなくなった。つまらない女に育っていった。

 あんな女を妻にしなければならないなど、罰としか思えない。

 評価できることは、執務ができることだ。

 俺は、印を押すだけで全て片付く。

 書類を読み返す必要がないほど、しっかりと仕事がこなされている。

 帝国にはロボットがいるようだ。

 ロボットは、言葉を話さず、ひたすら仕事をこなすと言う。

 マリアナと同じではないか?

 ロボットにはドレス等は要らないが、マリアナにはドレスは必要だ。

 ロボットのマリアナには、派手やかなドレス等いらない。

 ロボットとマリアナとの違いは、それくらいだろうか?

 マリアナはひたすら執務をこなすことを喜びにしているので、俺は楽ができる。

 執務に追われないので、大好きなジュリアンと一日中、イチャイチャしていられる。

 本当はジュリアンをただ一人の妻にしたかったが、ジュリアンは王妃教育について行けなかった。

 それに、男爵家では家柄がよくない。

 ロボットのような女は、あれで侯爵家の長女らしい。

 5歳にしてマナーや躾も行き届いていたあの女は、なんでも吸収するように身につけていったと聞く。

 剣術でも、俺は負けたことがある。

 一度、負けたが、それ以来、負けてはいない。

 俺もあいつに負けないように剣術の稽古をした。

 馬術もあいつに負けないほど鍛錬した。

 勉学も競うようにした。

 俺も努力をしているのだ。

 執務の好きな女は、仕事が終わるまで部屋から出て来ないだろう。

 扉がノックされて、扉が開いた。


「マリアナはまだ仕事をしているのか?」

「父上、お先に戴いております」

「国王陛下、お先に戴いています」


 俺の腕に掴まりながら、ジュリアンが父上に頭を下げた。


「母上も、すみません」

「いいえ、いいのよ。新婚ですものね」


 母上は、俺の結婚に賛成してくれた。


『結婚するなら、愛し合う者同士がいいわね』と父上に口添えしてくださった。

「新婚というなら、マリアナもそうであろう。マリアナはどうした?」

「まだ執務をしているのではありませんか?あの女は、相当、仕事が好きなようだ」

「ペリオドス、おまえは、今日、執務をしたのか?」

「しておりませんよ。仕事をするのは、あの女の勤め。俺の仕事は世継ぎを授かる事ですので」


 父上は、大きな溜息をついた。


「父が引退したら、おまえが王になるのだぞ。執務もできない者が、王にはなれない。明日からは、マリアナと一緒に執務をするように」

「ですが」

「ですがではない。第二夫人を迎える事は許したが、第一夫人はマリアナだ。マリアナとも仲良くしなさい」

「それは無理です。愛しているのは、ジュリアンだけですから」

「とにかく、執務は一緒にしなさい。分かったね?」


 父上は、ジュリアンの事をよく思ってはいない。

 マリアナとの仲を深めさせようとしているのが、見え見えだ。

 ニコリとも笑わない女のどこが可愛いか?

 目の下に隈ができて、痩せて美しくもない。

 マリアナは賢いが、子ができたとき、可愛いのはジュリアンの子だと思うのだ。

 執務など、できる者がすればいい。

 あの女が、執務をしてくれるのなら、任せておけばよい。

 俺とジュリアンは、さっさと食べて、ダイニングルームを出て行った。

 寝室に向かっている。

 待ちきれないと顔に書いてあるジュリアンと愛を深めるのだ。

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