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36 母になる人
クラクシオン様にサロンに連れてこられました。
「では、母上、マリアナをお願いします」
「任せなさい。あなたの仕事があるでしょう。さあ、行きなさい」
「では、お願いします。マリアナ、怖くないからね。お昼には迎えに来るよ」
「はい」
クラクシオン様は、クラクシオン様しかできない仕事があるそうだ。
忙しい中でも、わたしを気に掛けてくださり感謝しかありません。
「マリアナ、私はクラクシオンの母、もうすぐマリアナの母にもなる皇后で、フライと言います。昔のマリアナは私の事を叔母様と呼んでいたわ」
「はい、よろしくお願いします」
叔母様とはさすがに呼べないよね。
もう幼い子供ではないもの。
「紹介するわね。第一皇女のシリピリー、17歳よ」
シリピリー様はクラクシオン様と同じ髪色に、瞳は少し明るい青色をしていた。
どうやら、皇后様の血筋を受け継いだのだろう。
シリピリー様はにっこり微笑んで、お辞儀をした。
「マリアナ、お帰り。私達は親友だったのよ。マリアナの記憶がなくても、私は覚えているわ。何の問題はないわ」
「シリピリー様、ただいま帰りましたわ。これからよろしくお願いします」
わたしはお辞儀のお返しをした。
今日はクラクシオン様が選んでくださった青いドレスを着ています。靴は胸元を飾る白いレースとお揃いの白い靴を履いています。
「マリアナ、お帰り。私は第二皇女のアメリアよ。マリアナと同じ16歳よ。私達は姉妹のように過ごしていたわ。今度は本物の家族になれるのね。とても嬉しいわ」
アメリア様もにっこり微笑んでお辞儀をした。
アメリア様は皇后様の血筋を色濃く受けついたのか、薄いブラウンの髪に淡いブルーの瞳をしている。
背丈は同じくらいだ。けれど、アメリア様は健康そうな顔色をして、お顔が少しだけふっくらしている。
「ただいま帰りましたわ。アメリア様、また姉妹のようにしていただけると嬉しいですわ」
わたしはお辞儀のお返しをした。
「さあ、挨拶は終わったわね。今日は宮殿に皇室御用達の下着のお店と化粧品のお店を呼んでいるのよ。お店に出向く事も多いけれど、護衛は男性の騎士になるので、女性が身につける物は、宮殿に来て戴くようにしているのよ」
「はい、その方が安心ですね」
「ええ、私達はどうしても誘拐されやすいので、皇帝陛下にそうするように言われております」
皇后様は、理由も加えて教えてくださった。
確かに誘拐されたら、大変な事になります。
誘拐されていた身だ。身にしみて思います。
誘拐されてはいけません。
なくしてしまった物の多さに、悲しみに暮れてしまうもの。
クラクシオン様のお陰で、突然、泣き出すことも少なくなってきました。
「ゆっくり買い物もできるので、マリアナも焦らずに、買い物を楽しみましょう」
「はい」
わたし達は、比較的大きな部屋に入っていった。
「この部屋は、お客様が来たときや、大勢で食事をするときに使うお部屋よ。そうね、小ホールのような物だわ」
小ホールの中は、まるでお店のようにいろんな商品が並べられている。
わたしは予め、体の寸歩を測られていたので、その寸法の物が置かれているらしい。
「シリピリーとアメリアは自分で選びなさい」
「あら、お母様、私達も一緒にマリアナの下着や化粧品を選びますわ」
「では、一緒に選んでいきましょう」
皇后様と皇女様達は、わたしの下着を一緒に選んでくださいます。
ドゥオーモ王国では、下着は支給されていたので、選ぶという行為は初めてで、可愛らしい物からセクシーな物。種類は様々あって、驚いてしまった。
何も持っていないわたしは、皇后様と皇女様達が、まず選んでわたしに見せてきます。
「こんなの恥ずかしいわ」
でも、わたしが身につけている物は、このお店の品にはありません。
きっと庶民の物と変わらないのでしょう。
なので、皆さんが選んでくれる物にしました。
メイド達は優秀なので、何も言いませんが、わたしの持ち物が見窄らしい事は自分でも分かっています。
月の物が来るときは、別の下着がある事も初めて知りました。
今までは、月の物が来たときは、部屋に閉じ籠もり、下肢にタオルをあてがっていました。
それが何かを教えてくれたのは、家庭教師でした。
処置の仕方は、誰も教えてくださいませんでした。
帝国では、血液を吸う専用のシートがあるそうです。
使い方は、皇后様が教えてくださるそうです。
胸当ては、ブラジャーと言うそうです。
今までは持ってなかったのですが、試着で初めて身につけました。
しっかり胸を包まれるような感じがして、とても着け心地がいいのです。
ネグリジェもシルク素材の物が多いです。
あとはスケスケのネグリジェです。
夏は涼しそうですが、恥ずかしい物です。
そうしたら、皇后様も皇女様達もスケスケのネグリジェを選んでいくのです。
わたしにあてがい、頷いておいでです。
「夏は涼しそうですが、素材が恥ずかしいですわ」
「何をおっしゃっているの?兄様と結婚をなさるのに、色気もない物を身につけてどうなさるの?」
どうなさるの?と聞かれて、初めて理解しました。
要は、このスケスケのネグリジェを着て、クラクシオン様を誘えとおっしゃっているのです。
無理よ。
無理。
絶対に無理です。
わたしには色気などありませんわ。
皇后様と皇女様達は、スケスケのネグリジェ選びに夢中なので、わたしは普通のネグリジェ選びをしました。
下着とネグリジェを選び終わると、今度は化粧品売り場にやって来ました。
これも初めて見る物です。
異国のマリアという化粧品がいいと紹介されました。
皇后様も皇女様達もお使いだとか。
なので、わたしもそれを使う事に致しました。
店員は使う順番を丁寧に教えてくださいます。
肌を綺麗にお化粧する物も肌色を合わせてくださいました。
実際にお化粧をしてくださいます。
今までの白粉とは、全く違います。
見違えるようにお肌が美しくなりました。
その化粧を落とすための化粧品もあるそうです。
お化粧をした後は、その化粧品を使って肌をクレンジグするそうです。
石鹸も洗顔用の物があるそうです。
口紅も頬紅も何種類か選んでくださいました。
皇后様と皇女様達も化粧品はご自身達の物も買うそうです。
皇后様と皇女様達が推薦してくださった物も足されて、すっかり物持ちになりました。
一度色合わせをしておけば、後は、追加で欲しいと言えば、宮殿に届けてもらえるそうです。
皇后様と皇女様達がいい香りのする物の香りを嗅いでおりました。
「マリアナ、好きな香りを探しなさい」
「はい」
真似をして香りを嗅げば、花のような香りがしました。
いろんな香りを嗅いで、どれがいいのか分からなくなってきます。
調香師がいて、皇后様と皇女様達は自分の香りを作ってもらっています。
先に作られた皇后様が、わたしの隣に立ち、わたしを導いてくださいます。
2種類のうちで選んでいきます。
好きな香りが決まっていきます。
お花の香り、果物の香り、性格診断、好きな色……いろんなテストをしていくと、わたしの香りができるそうです。
全てのテストを手伝ってもらって、やっと調香師に香りを作っていただきました。
「ハンカチに香りを付けて持ち歩くといいのよ」
アメリア様が教えてくださいます。
「わたし、ハンカチも持っていません」
「今日はハンカチはあったかしら?」
「こちらにございます」
お店の店員が、手を挙げた。
アメリア様がハンカチ売り場に連れてきてくださいました。
「ご自身で刺繍をしてもいいですけれど、刺繍がされた物もありますから、そちらを購入されてはどうかしら?」
「では、そうします」
二枚選ぶと、アメリア様は首を振られました。
「旅などございますし、淑女の身だしなみで、最低7枚は持っていた方がいいわよ」
「そんなにも?」
「ええ、毎日同じ物では、お洒落でもないですもの」
「分かりました」
わたしは刺繍をしたことはありません。
なので、刺繍のされたハンカチを7枚選んで、アメリア様に見て戴きました。
「とても愛らしいセンスですわ。マリアナは記憶をなくしていても、好きな物は変わってないようね」
「そうなのですか?」
「ご自身では分からないかもしれませんけれど、一緒にいると昔と変わりません」
「ありがとうございます」
「昔の方がお転婆で、もっと元気でしたけれどね」
「そうですか」
「私達も年齢を重ねて、年頃になりましたもの。私も当時よりもおとなしくなりましたわ」
アメリア様はクスッと笑って、私の手を引きました。
「では、お母様と一緒に参りましょう」
「はい」
皇后様とシリピリー様は、まだネグリジェを選んでいました。
「決まりましたか?」とアメリア様は近づかれていきました。
「シリピリーの物も探していますのよ。シリピリーは婚礼が決まっていますからね」
「そうなのですか?おめでとうございます」
シリピリー様は優しそうに微笑まれました。
「ありがとうございます。北にある王国に望まれて、嫁ぐ事になりましたの。マリアナがクラクシオンお兄様と結婚してくださいますから、お母様も寂しくないですわね?」
「寂しいに決まっているでしょう。シリピリーはシリピリーしかいないのよ。マリアナはマリアナです」
「そうですね、お母様。我が儘を言いましたわ」
「いいのよ。子はいずれ巣立つものですもの。おめでたい事よ」
「お母様、ありがとうございます」
「帝国に居る時間は、もうあまりありませんが、不自由がないように準備をしましょう」
「ありがとうございます」
シリピリー様は、皇后様にお辞儀をすると、今度はわたしに微笑みかける。
「婚礼の時期は同じ頃になりそうなの、一緒に婚礼に必要な物を選びましょう」
「はい」
シリピリー様は、とても幸せそうです。
帝国の北にあるラーメ王国のゴルド・ラーメ王太子殿下の元へ嫁ぐそうです。
ゴルド・ラーメ王太子殿下は帝国にある学校に留学していたそうです。その頃、一緒にシリピリー様も学校に通っていて、仲良くなられたとか。
ゴルド・ラーメ王太子殿下は卒業と同時に帰国されましたが、手紙の交換はしているそうです
婚約式は、学校時代に既に終わっているそうです。
期日は、まだ正式に決まってはいないそうです。
ラーメ王国まで遠く、話し合いがすんなりと進まないとか。
同じ頃に婚礼だとおっしゃっていらしたけれど、シリピリー様の方が早いかもしれないですね。
北国なら、寒くなる前に旅立たなければ、雪に覆われてしまいます。
皇后様は凜となさっています。
娘が他国に嫁ぐのは、きっと寂しい事でしょう。
自国なら、すぐに会いに行けるでしょうが、他国では遠すぎます。
喜びであり、寂しさもあるのでしょう。
ラーメ王国は、帝国の次に大きな王国です。
きっとこの大陸で一番小さなドゥオーモ王国とは、違うのでしょう。
ドゥオーモ王国の王太子妃をしてきた身としては、これから国務や執務に追われるのかしらと思ってしまうけれど、きっとラーメ王国のゴルド様は、ペリオドス様とは違う人です。
一緒に執務や国務をするのは、きっと楽しいでしょう。
わたしは、一人でこなしてきたので、苦痛でしかなかったですけれど、事業を行うときは楽しかったなと思い出しました。
川ができたとき、池で魚の養殖を始めたとき、堤防を作ったとき、ダムを造ったとき、どれも、全力で走ってきた。
シリピリー様はきっと一人でこなすのではなく、ゴルド様と共に一緒に国を作っていくのでしょう。それは楽しいのかもしれないと思ったのです。
「マリアナ、疲れていないですか?」
「はい」
「そろそろいいかしら?」
「はい」
皇女様達がお返事をなさいました。
「では、休憩しましょう」
わたし達が購入した物は、メイドが一人ずつ付き、 集められています。
小ホールのような部屋から出た。
皇后様と皇女様達の後を付いて歩く。
クラクシオン様が最初に連れていってくださったサロンに戻っていった。
メイドがお茶を淹れてくれる。
茶菓子は、黒くて丸い物。なんだろう?
皆さん、それを摘まみ、口に運んでいる。
それが何か分からずに、食べずにいると、皇后様が「食べないの?」と聞いてきた。
「これは何でしょうか?」
「チョコレートよ」
アメリア様が驚いた顔をなさった。
「チョコレート?」
「昔は好きだった物よ。食べてご覧なさい。きっと美味しいわ」
「はい」
わたしは黒くて丸い物を、皆さんがしたように口に入れた。
舌の上で溶ける。
甘い。
甘いだけではなく、コクがある。
こんなに美味しい物は初めて食べた。
「美味しい」
皇后様と皇女様達が微笑んだ。
「たくさん、食べなさい」
「はい」
「お母様、マリアナにいろんな食べ物を出して差し上げましょう。昔のように、お茶会をしましょう」
アメリア様が皇后様に申し上げました。
「そうね。忘れてしまったのなら、今から覚えればいいのよ。お茶会をこれからしましょう。いいわね、マリアナ」
「はい」
皇后様と皇女様達は優しく微笑んだ。
この人達とのお茶会は怖くなさそうだ。
緊張していた肩から力が抜ける。
チョコレートも美味しい。
お代わりを戴いたら、皆さんが嬉しそうにしてくださった。
「では、母上、マリアナをお願いします」
「任せなさい。あなたの仕事があるでしょう。さあ、行きなさい」
「では、お願いします。マリアナ、怖くないからね。お昼には迎えに来るよ」
「はい」
クラクシオン様は、クラクシオン様しかできない仕事があるそうだ。
忙しい中でも、わたしを気に掛けてくださり感謝しかありません。
「マリアナ、私はクラクシオンの母、もうすぐマリアナの母にもなる皇后で、フライと言います。昔のマリアナは私の事を叔母様と呼んでいたわ」
「はい、よろしくお願いします」
叔母様とはさすがに呼べないよね。
もう幼い子供ではないもの。
「紹介するわね。第一皇女のシリピリー、17歳よ」
シリピリー様はクラクシオン様と同じ髪色に、瞳は少し明るい青色をしていた。
どうやら、皇后様の血筋を受け継いだのだろう。
シリピリー様はにっこり微笑んで、お辞儀をした。
「マリアナ、お帰り。私達は親友だったのよ。マリアナの記憶がなくても、私は覚えているわ。何の問題はないわ」
「シリピリー様、ただいま帰りましたわ。これからよろしくお願いします」
わたしはお辞儀のお返しをした。
今日はクラクシオン様が選んでくださった青いドレスを着ています。靴は胸元を飾る白いレースとお揃いの白い靴を履いています。
「マリアナ、お帰り。私は第二皇女のアメリアよ。マリアナと同じ16歳よ。私達は姉妹のように過ごしていたわ。今度は本物の家族になれるのね。とても嬉しいわ」
アメリア様もにっこり微笑んでお辞儀をした。
アメリア様は皇后様の血筋を色濃く受けついたのか、薄いブラウンの髪に淡いブルーの瞳をしている。
背丈は同じくらいだ。けれど、アメリア様は健康そうな顔色をして、お顔が少しだけふっくらしている。
「ただいま帰りましたわ。アメリア様、また姉妹のようにしていただけると嬉しいですわ」
わたしはお辞儀のお返しをした。
「さあ、挨拶は終わったわね。今日は宮殿に皇室御用達の下着のお店と化粧品のお店を呼んでいるのよ。お店に出向く事も多いけれど、護衛は男性の騎士になるので、女性が身につける物は、宮殿に来て戴くようにしているのよ」
「はい、その方が安心ですね」
「ええ、私達はどうしても誘拐されやすいので、皇帝陛下にそうするように言われております」
皇后様は、理由も加えて教えてくださった。
確かに誘拐されたら、大変な事になります。
誘拐されていた身だ。身にしみて思います。
誘拐されてはいけません。
なくしてしまった物の多さに、悲しみに暮れてしまうもの。
クラクシオン様のお陰で、突然、泣き出すことも少なくなってきました。
「ゆっくり買い物もできるので、マリアナも焦らずに、買い物を楽しみましょう」
「はい」
わたし達は、比較的大きな部屋に入っていった。
「この部屋は、お客様が来たときや、大勢で食事をするときに使うお部屋よ。そうね、小ホールのような物だわ」
小ホールの中は、まるでお店のようにいろんな商品が並べられている。
わたしは予め、体の寸歩を測られていたので、その寸法の物が置かれているらしい。
「シリピリーとアメリアは自分で選びなさい」
「あら、お母様、私達も一緒にマリアナの下着や化粧品を選びますわ」
「では、一緒に選んでいきましょう」
皇后様と皇女様達は、わたしの下着を一緒に選んでくださいます。
ドゥオーモ王国では、下着は支給されていたので、選ぶという行為は初めてで、可愛らしい物からセクシーな物。種類は様々あって、驚いてしまった。
何も持っていないわたしは、皇后様と皇女様達が、まず選んでわたしに見せてきます。
「こんなの恥ずかしいわ」
でも、わたしが身につけている物は、このお店の品にはありません。
きっと庶民の物と変わらないのでしょう。
なので、皆さんが選んでくれる物にしました。
メイド達は優秀なので、何も言いませんが、わたしの持ち物が見窄らしい事は自分でも分かっています。
月の物が来るときは、別の下着がある事も初めて知りました。
今までは、月の物が来たときは、部屋に閉じ籠もり、下肢にタオルをあてがっていました。
それが何かを教えてくれたのは、家庭教師でした。
処置の仕方は、誰も教えてくださいませんでした。
帝国では、血液を吸う専用のシートがあるそうです。
使い方は、皇后様が教えてくださるそうです。
胸当ては、ブラジャーと言うそうです。
今までは持ってなかったのですが、試着で初めて身につけました。
しっかり胸を包まれるような感じがして、とても着け心地がいいのです。
ネグリジェもシルク素材の物が多いです。
あとはスケスケのネグリジェです。
夏は涼しそうですが、恥ずかしい物です。
そうしたら、皇后様も皇女様達もスケスケのネグリジェを選んでいくのです。
わたしにあてがい、頷いておいでです。
「夏は涼しそうですが、素材が恥ずかしいですわ」
「何をおっしゃっているの?兄様と結婚をなさるのに、色気もない物を身につけてどうなさるの?」
どうなさるの?と聞かれて、初めて理解しました。
要は、このスケスケのネグリジェを着て、クラクシオン様を誘えとおっしゃっているのです。
無理よ。
無理。
絶対に無理です。
わたしには色気などありませんわ。
皇后様と皇女様達は、スケスケのネグリジェ選びに夢中なので、わたしは普通のネグリジェ選びをしました。
下着とネグリジェを選び終わると、今度は化粧品売り場にやって来ました。
これも初めて見る物です。
異国のマリアという化粧品がいいと紹介されました。
皇后様も皇女様達もお使いだとか。
なので、わたしもそれを使う事に致しました。
店員は使う順番を丁寧に教えてくださいます。
肌を綺麗にお化粧する物も肌色を合わせてくださいました。
実際にお化粧をしてくださいます。
今までの白粉とは、全く違います。
見違えるようにお肌が美しくなりました。
その化粧を落とすための化粧品もあるそうです。
お化粧をした後は、その化粧品を使って肌をクレンジグするそうです。
石鹸も洗顔用の物があるそうです。
口紅も頬紅も何種類か選んでくださいました。
皇后様と皇女様達も化粧品はご自身達の物も買うそうです。
皇后様と皇女様達が推薦してくださった物も足されて、すっかり物持ちになりました。
一度色合わせをしておけば、後は、追加で欲しいと言えば、宮殿に届けてもらえるそうです。
皇后様と皇女様達がいい香りのする物の香りを嗅いでおりました。
「マリアナ、好きな香りを探しなさい」
「はい」
真似をして香りを嗅げば、花のような香りがしました。
いろんな香りを嗅いで、どれがいいのか分からなくなってきます。
調香師がいて、皇后様と皇女様達は自分の香りを作ってもらっています。
先に作られた皇后様が、わたしの隣に立ち、わたしを導いてくださいます。
2種類のうちで選んでいきます。
好きな香りが決まっていきます。
お花の香り、果物の香り、性格診断、好きな色……いろんなテストをしていくと、わたしの香りができるそうです。
全てのテストを手伝ってもらって、やっと調香師に香りを作っていただきました。
「ハンカチに香りを付けて持ち歩くといいのよ」
アメリア様が教えてくださいます。
「わたし、ハンカチも持っていません」
「今日はハンカチはあったかしら?」
「こちらにございます」
お店の店員が、手を挙げた。
アメリア様がハンカチ売り場に連れてきてくださいました。
「ご自身で刺繍をしてもいいですけれど、刺繍がされた物もありますから、そちらを購入されてはどうかしら?」
「では、そうします」
二枚選ぶと、アメリア様は首を振られました。
「旅などございますし、淑女の身だしなみで、最低7枚は持っていた方がいいわよ」
「そんなにも?」
「ええ、毎日同じ物では、お洒落でもないですもの」
「分かりました」
わたしは刺繍をしたことはありません。
なので、刺繍のされたハンカチを7枚選んで、アメリア様に見て戴きました。
「とても愛らしいセンスですわ。マリアナは記憶をなくしていても、好きな物は変わってないようね」
「そうなのですか?」
「ご自身では分からないかもしれませんけれど、一緒にいると昔と変わりません」
「ありがとうございます」
「昔の方がお転婆で、もっと元気でしたけれどね」
「そうですか」
「私達も年齢を重ねて、年頃になりましたもの。私も当時よりもおとなしくなりましたわ」
アメリア様はクスッと笑って、私の手を引きました。
「では、お母様と一緒に参りましょう」
「はい」
皇后様とシリピリー様は、まだネグリジェを選んでいました。
「決まりましたか?」とアメリア様は近づかれていきました。
「シリピリーの物も探していますのよ。シリピリーは婚礼が決まっていますからね」
「そうなのですか?おめでとうございます」
シリピリー様は優しそうに微笑まれました。
「ありがとうございます。北にある王国に望まれて、嫁ぐ事になりましたの。マリアナがクラクシオンお兄様と結婚してくださいますから、お母様も寂しくないですわね?」
「寂しいに決まっているでしょう。シリピリーはシリピリーしかいないのよ。マリアナはマリアナです」
「そうですね、お母様。我が儘を言いましたわ」
「いいのよ。子はいずれ巣立つものですもの。おめでたい事よ」
「お母様、ありがとうございます」
「帝国に居る時間は、もうあまりありませんが、不自由がないように準備をしましょう」
「ありがとうございます」
シリピリー様は、皇后様にお辞儀をすると、今度はわたしに微笑みかける。
「婚礼の時期は同じ頃になりそうなの、一緒に婚礼に必要な物を選びましょう」
「はい」
シリピリー様は、とても幸せそうです。
帝国の北にあるラーメ王国のゴルド・ラーメ王太子殿下の元へ嫁ぐそうです。
ゴルド・ラーメ王太子殿下は帝国にある学校に留学していたそうです。その頃、一緒にシリピリー様も学校に通っていて、仲良くなられたとか。
ゴルド・ラーメ王太子殿下は卒業と同時に帰国されましたが、手紙の交換はしているそうです
婚約式は、学校時代に既に終わっているそうです。
期日は、まだ正式に決まってはいないそうです。
ラーメ王国まで遠く、話し合いがすんなりと進まないとか。
同じ頃に婚礼だとおっしゃっていらしたけれど、シリピリー様の方が早いかもしれないですね。
北国なら、寒くなる前に旅立たなければ、雪に覆われてしまいます。
皇后様は凜となさっています。
娘が他国に嫁ぐのは、きっと寂しい事でしょう。
自国なら、すぐに会いに行けるでしょうが、他国では遠すぎます。
喜びであり、寂しさもあるのでしょう。
ラーメ王国は、帝国の次に大きな王国です。
きっとこの大陸で一番小さなドゥオーモ王国とは、違うのでしょう。
ドゥオーモ王国の王太子妃をしてきた身としては、これから国務や執務に追われるのかしらと思ってしまうけれど、きっとラーメ王国のゴルド様は、ペリオドス様とは違う人です。
一緒に執務や国務をするのは、きっと楽しいでしょう。
わたしは、一人でこなしてきたので、苦痛でしかなかったですけれど、事業を行うときは楽しかったなと思い出しました。
川ができたとき、池で魚の養殖を始めたとき、堤防を作ったとき、ダムを造ったとき、どれも、全力で走ってきた。
シリピリー様はきっと一人でこなすのではなく、ゴルド様と共に一緒に国を作っていくのでしょう。それは楽しいのかもしれないと思ったのです。
「マリアナ、疲れていないですか?」
「はい」
「そろそろいいかしら?」
「はい」
皇女様達がお返事をなさいました。
「では、休憩しましょう」
わたし達が購入した物は、メイドが一人ずつ付き、 集められています。
小ホールのような部屋から出た。
皇后様と皇女様達の後を付いて歩く。
クラクシオン様が最初に連れていってくださったサロンに戻っていった。
メイドがお茶を淹れてくれる。
茶菓子は、黒くて丸い物。なんだろう?
皆さん、それを摘まみ、口に運んでいる。
それが何か分からずに、食べずにいると、皇后様が「食べないの?」と聞いてきた。
「これは何でしょうか?」
「チョコレートよ」
アメリア様が驚いた顔をなさった。
「チョコレート?」
「昔は好きだった物よ。食べてご覧なさい。きっと美味しいわ」
「はい」
わたしは黒くて丸い物を、皆さんがしたように口に入れた。
舌の上で溶ける。
甘い。
甘いだけではなく、コクがある。
こんなに美味しい物は初めて食べた。
「美味しい」
皇后様と皇女様達が微笑んだ。
「たくさん、食べなさい」
「はい」
「お母様、マリアナにいろんな食べ物を出して差し上げましょう。昔のように、お茶会をしましょう」
アメリア様が皇后様に申し上げました。
「そうね。忘れてしまったのなら、今から覚えればいいのよ。お茶会をこれからしましょう。いいわね、マリアナ」
「はい」
皇后様と皇女様達は優しく微笑んだ。
この人達とのお茶会は怖くなさそうだ。
緊張していた肩から力が抜ける。
チョコレートも美味しい。
お代わりを戴いたら、皆さんが嬉しそうにしてくださった。
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