37 / 71
37 距離
今日もまた魚料理だった。
外出をするのを止めたら、三食、宮殿で魚料理を食べなくてはならないが、俺は外出する気分になれずに、最近、宮殿に留まっている。
ジュリアンは、癇癪を起こしているが、聞き流している。
まだ化粧品を見に行ってないと駄々をこねるが、そこに連れていけば、また「買って」「買って」とうるさくされるのであれば、行かなければいい。
「化粧品は諦めるから、遊園地に連れて行って」
「この暑い中、人混みに出掛けるのが面倒だ」
今は夏真っ盛りだ。
わざわざ、暑い場所に行く必要があるのか?
ジュリアンはメリーゴーランドの木馬に乗るのが楽しいらしいが、俺はそんな子供のような物に乗りたいとは思わない。
ただジュリアンが乗っている姿を見ているだけなら、その時間は、俺にとって無駄な時間なのだ。
そうして、ジュリアンを置き去りにして、涼やかな東屋に行き、庭園を見ている。
その方が有意義なのだ。
ジュリアンに振り回されるよりも、自分自身を見つめられる。
今までの愚かな自分を振り返る事ができる。
国に戻ったら、父上に話そう。
これからは、真っ当な大人になり、王太子としての任務をきちんとする誓いをしようと思う。
マリアナが、新しい産業を考えられるように、執務は俺がしよう。
母上は、マリアナを虐めているが、今度は俺が母上からマリアナを守ってあげよう。
母上は、もう仕事をしてないのだから、もう口出しはさせない。
今日も反省と決意をして、夕食を戴く。
相変わらず、同じ食事が並ぶ。
ジュリアンは、もう諦めたのか、叫ぶこともなくなったが、やはり果実酒で飲み込んでいる。
魚は俺がほぐさなくては、食べられないのが、情けない。
もう手を貸すのも面倒だが、汚く食べられるよりは、心証はよくなるだろう。
国の為だと思い、ジュリアンの世話を焼く。
毎日、食後は椅子から落ちているので、最近のジュリアンの額や頬は腫れている。
首が折れないのが不思議だ。
無防備に毎日、落ちているのに頭が落ちることはない。
人の体は、強いのだなと、ふと思う。
この頃は、床に落ちたジュリアンを抱えるのは、俺の近衛騎士の一人だ。
王太子の俺が運ぶ必要があるのか?と考えた末の命令だ。
日中も、俺の代わりを頼んでいる。
ジュリアンが我が儘を起こさないように、見張ってもらっている。
真実の愛は、マリアナにあったのだ。
マリアナに会いたい。
宿場町の暴力を謝罪したい。
ノックの音がして、扉を開けると、宰相が立っていた。
「今日も寝てしまわれましたか?」
「宰相、見ての通りベッドは第二夫人に占領されております」
「では、ペリオドス王太子はどこで休まれていらっしゃるのですか?」
「ソファーで眠っている」
「それは、気づかずに申し訳ございません」
宰相は、今日も綺麗なお辞儀を披露する。
「では、別のお部屋を手配しましょうか?」
「ソファーでも別にいい」
「それはいけません。ドゥオーモ王国の王太子をソファーで休ませるなど、帝国の恥でございます。直ぐに手配致します。その間に、お風呂にでも行かれてはどうでしょう?」
「では、そうさせていただきます」
俺は宰相を真似て、綺麗なお辞儀をしてみた。
今までいい加減だった何もかもが、何事もきちんとしなくてはと思えてならない。
微笑を浮かべた宰相に「では」と声を掛けて、俺は風呂に向かった。
風呂から戻ると、部屋の前に宰相が立っていた。
「お待たせ致しました」
俺は頭を下げた。
「では、お部屋に案内致します」
案内された部屋は、隣の部屋だった。
室内の様子は同じようだ。
「今日からはベッドで眠れそうです」
「ごゆっくりおやすみください」
宰相は綺麗なお辞儀をして、部屋から去って行った。
俺はジュリアンが眠っている部屋に戻ると、自分の荷物を隣の部屋に移した。
それから、ベッドに横になった。
狭いソファーで眠っていたので、体が伸びる。
窓から、涼しい風が入ってきた。
なかなか涼しい部屋で、最初の部屋より快適そうだ。
俺は広いベッドでゆったりと眠った。
朝起きると、シャワーを浴びて、散歩をするのが習慣になった。
それから、ジュリアンの部屋に行くと、ジュリアンはまた腹までボタンを外した状態で大の字で眠っている。
「グゥー、クワァー」とイビキをかいて、今日も喧しいし、臭い。
汗の匂いと生臭い匂い。酒の匂い。
耐えられない。
メイドを呼び、ジュリアンを起こし、綺麗にするように指示を出す。
部屋の匂いが取れるまで、俺はまた散歩に出掛ける。
東屋に座っていると、宰相が近づいてきた。
「この頃は出掛けないようですが、今日はどちらかに案内致しましょうか?帝国は店以外にも観光地もございます」
「あの我が儘な第二夫人を連れていかなければならないかと思うと、どこにも行きたくなくなるのです」
黙っていようかと思ったが、とうとう宰相に話してしまった。
「できれば、マリアナに会いたいのですが。会って謝罪したいのです」
「マリアナ様はお会いにならないでしょう」
「聞いてもいないのに、どうして決める?」
「マリアナ様から、聞いておりますので。会うつもりはないかと思います」
「まだ、体の具合が悪いのか?」
「体調はずいぶんよくなりましたが、まだ安静が必要なようです」
「国で無理をさせたからでしょうか?殴った傷はもう治っているはずです」
「心の傷は簡単には治らないのです」
「……でも、会いたい」
「真実の愛で結ばれたジュリアン様がおいでになるのに、仮面夫婦のマリアナ様に会いたいなど、勝手な言い草ですね」
「今は、まず謝罪したい」
「マリアナ様にお伝えしておきます」
宰相は綺麗なお辞儀をして、去って行った。
それから、ジュリアンの部屋に戻ると、ジュリアンはシャワーを浴びて、帝国で買ったばかりのドレスを着ていた。
美しいドレスに綺麗に化粧されて、見た目だけは可愛く見えるが、近くに寄ると、やはり匂う。臭い匂いがするのだ。
歯磨きはしたのか?
口は濯いだのか?
ひょっとすると食べ物を噛まずに飲み込んでいるので、胃の腑が傷んでいるのかもしれないが、この匂いは気分が悪くなる。
とてもじゃないが、同じ馬車に乗ろうとも思えない。
「リオス、似合う?私、かわいい?今日はどこかに行きましょう」
「いや、気分が乗らない」
「そんなぁ~」
「ジュリアンがベッドを占領するから、俺はずっとソファーで眠っていたのだ。昨夜から、隣の部屋を借りられた。夜は、俺はそちらで寝ることにしたから」
「ごめんなさい。ソファーで眠らせていたなんて」
「そのせいで、疲れているんだ」
「……」
「了解してくれるね。夜は別部屋だ。ジュリアンの寝相が悪すぎて、一緒には眠れない」
「ごめんなさい」
「いいさ、部屋は借りられた。もうソファーで眠ることもなくなった」
「……」
ジュリアンは俯いた。
「出掛けないのなら、エッチしましょう?」
「体調が悪いと言っているだろう」
「……」
「そろそろ朝食の時間だ。準備はできているな?」
「はい」
ジュリアンはソファーから立ち上がると、俺の腕に腕を絡めた。
エスコートするのも嫌だが、仕方がない。
食事が並べられる部屋に移動すると、宰相が扉から出てきた。
「今、お呼びに向かうところでした」
「手間を掛けては悪いと思い来ましたが、ちょうどお時間でしたか。よかった」
俺は愛想よく微笑む。
「では、お部屋にどうぞ」
宰相は扉を開けた。
中に入ると、今日も焼き魚が並んでいる。
「では、ごゆっくり」
宰相は、部屋を出て行った。
この食事は、この国を去るまで続くのだろう。
「どうして、毎日、毎食、同じ食事なの?」
「黙って食べろ」
俺は、ジュリアンの口を手で押さえると、「黙れ」と再度告げた。
ジュリアンの瞳に涙が溜まっていく。
手を退けて、俺は椅子に座った。
ジュリアンのお膳を寄せて、最初に焼き魚をほぐす。
諦めたのか、ジュリアンは椅子に座った。
「私、魚が一番嫌い」
俺はジュリアンの顔を睨んだ。
「黙って食べろ。丸呑みでも、なんでも、出された物は全部腹の中に入れろ」
小さな声で、命令して、俺は自分のお膳の物を食べ出した。
外出をするのを止めたら、三食、宮殿で魚料理を食べなくてはならないが、俺は外出する気分になれずに、最近、宮殿に留まっている。
ジュリアンは、癇癪を起こしているが、聞き流している。
まだ化粧品を見に行ってないと駄々をこねるが、そこに連れていけば、また「買って」「買って」とうるさくされるのであれば、行かなければいい。
「化粧品は諦めるから、遊園地に連れて行って」
「この暑い中、人混みに出掛けるのが面倒だ」
今は夏真っ盛りだ。
わざわざ、暑い場所に行く必要があるのか?
ジュリアンはメリーゴーランドの木馬に乗るのが楽しいらしいが、俺はそんな子供のような物に乗りたいとは思わない。
ただジュリアンが乗っている姿を見ているだけなら、その時間は、俺にとって無駄な時間なのだ。
そうして、ジュリアンを置き去りにして、涼やかな東屋に行き、庭園を見ている。
その方が有意義なのだ。
ジュリアンに振り回されるよりも、自分自身を見つめられる。
今までの愚かな自分を振り返る事ができる。
国に戻ったら、父上に話そう。
これからは、真っ当な大人になり、王太子としての任務をきちんとする誓いをしようと思う。
マリアナが、新しい産業を考えられるように、執務は俺がしよう。
母上は、マリアナを虐めているが、今度は俺が母上からマリアナを守ってあげよう。
母上は、もう仕事をしてないのだから、もう口出しはさせない。
今日も反省と決意をして、夕食を戴く。
相変わらず、同じ食事が並ぶ。
ジュリアンは、もう諦めたのか、叫ぶこともなくなったが、やはり果実酒で飲み込んでいる。
魚は俺がほぐさなくては、食べられないのが、情けない。
もう手を貸すのも面倒だが、汚く食べられるよりは、心証はよくなるだろう。
国の為だと思い、ジュリアンの世話を焼く。
毎日、食後は椅子から落ちているので、最近のジュリアンの額や頬は腫れている。
首が折れないのが不思議だ。
無防備に毎日、落ちているのに頭が落ちることはない。
人の体は、強いのだなと、ふと思う。
この頃は、床に落ちたジュリアンを抱えるのは、俺の近衛騎士の一人だ。
王太子の俺が運ぶ必要があるのか?と考えた末の命令だ。
日中も、俺の代わりを頼んでいる。
ジュリアンが我が儘を起こさないように、見張ってもらっている。
真実の愛は、マリアナにあったのだ。
マリアナに会いたい。
宿場町の暴力を謝罪したい。
ノックの音がして、扉を開けると、宰相が立っていた。
「今日も寝てしまわれましたか?」
「宰相、見ての通りベッドは第二夫人に占領されております」
「では、ペリオドス王太子はどこで休まれていらっしゃるのですか?」
「ソファーで眠っている」
「それは、気づかずに申し訳ございません」
宰相は、今日も綺麗なお辞儀を披露する。
「では、別のお部屋を手配しましょうか?」
「ソファーでも別にいい」
「それはいけません。ドゥオーモ王国の王太子をソファーで休ませるなど、帝国の恥でございます。直ぐに手配致します。その間に、お風呂にでも行かれてはどうでしょう?」
「では、そうさせていただきます」
俺は宰相を真似て、綺麗なお辞儀をしてみた。
今までいい加減だった何もかもが、何事もきちんとしなくてはと思えてならない。
微笑を浮かべた宰相に「では」と声を掛けて、俺は風呂に向かった。
風呂から戻ると、部屋の前に宰相が立っていた。
「お待たせ致しました」
俺は頭を下げた。
「では、お部屋に案内致します」
案内された部屋は、隣の部屋だった。
室内の様子は同じようだ。
「今日からはベッドで眠れそうです」
「ごゆっくりおやすみください」
宰相は綺麗なお辞儀をして、部屋から去って行った。
俺はジュリアンが眠っている部屋に戻ると、自分の荷物を隣の部屋に移した。
それから、ベッドに横になった。
狭いソファーで眠っていたので、体が伸びる。
窓から、涼しい風が入ってきた。
なかなか涼しい部屋で、最初の部屋より快適そうだ。
俺は広いベッドでゆったりと眠った。
朝起きると、シャワーを浴びて、散歩をするのが習慣になった。
それから、ジュリアンの部屋に行くと、ジュリアンはまた腹までボタンを外した状態で大の字で眠っている。
「グゥー、クワァー」とイビキをかいて、今日も喧しいし、臭い。
汗の匂いと生臭い匂い。酒の匂い。
耐えられない。
メイドを呼び、ジュリアンを起こし、綺麗にするように指示を出す。
部屋の匂いが取れるまで、俺はまた散歩に出掛ける。
東屋に座っていると、宰相が近づいてきた。
「この頃は出掛けないようですが、今日はどちらかに案内致しましょうか?帝国は店以外にも観光地もございます」
「あの我が儘な第二夫人を連れていかなければならないかと思うと、どこにも行きたくなくなるのです」
黙っていようかと思ったが、とうとう宰相に話してしまった。
「できれば、マリアナに会いたいのですが。会って謝罪したいのです」
「マリアナ様はお会いにならないでしょう」
「聞いてもいないのに、どうして決める?」
「マリアナ様から、聞いておりますので。会うつもりはないかと思います」
「まだ、体の具合が悪いのか?」
「体調はずいぶんよくなりましたが、まだ安静が必要なようです」
「国で無理をさせたからでしょうか?殴った傷はもう治っているはずです」
「心の傷は簡単には治らないのです」
「……でも、会いたい」
「真実の愛で結ばれたジュリアン様がおいでになるのに、仮面夫婦のマリアナ様に会いたいなど、勝手な言い草ですね」
「今は、まず謝罪したい」
「マリアナ様にお伝えしておきます」
宰相は綺麗なお辞儀をして、去って行った。
それから、ジュリアンの部屋に戻ると、ジュリアンはシャワーを浴びて、帝国で買ったばかりのドレスを着ていた。
美しいドレスに綺麗に化粧されて、見た目だけは可愛く見えるが、近くに寄ると、やはり匂う。臭い匂いがするのだ。
歯磨きはしたのか?
口は濯いだのか?
ひょっとすると食べ物を噛まずに飲み込んでいるので、胃の腑が傷んでいるのかもしれないが、この匂いは気分が悪くなる。
とてもじゃないが、同じ馬車に乗ろうとも思えない。
「リオス、似合う?私、かわいい?今日はどこかに行きましょう」
「いや、気分が乗らない」
「そんなぁ~」
「ジュリアンがベッドを占領するから、俺はずっとソファーで眠っていたのだ。昨夜から、隣の部屋を借りられた。夜は、俺はそちらで寝ることにしたから」
「ごめんなさい。ソファーで眠らせていたなんて」
「そのせいで、疲れているんだ」
「……」
「了解してくれるね。夜は別部屋だ。ジュリアンの寝相が悪すぎて、一緒には眠れない」
「ごめんなさい」
「いいさ、部屋は借りられた。もうソファーで眠ることもなくなった」
「……」
ジュリアンは俯いた。
「出掛けないのなら、エッチしましょう?」
「体調が悪いと言っているだろう」
「……」
「そろそろ朝食の時間だ。準備はできているな?」
「はい」
ジュリアンはソファーから立ち上がると、俺の腕に腕を絡めた。
エスコートするのも嫌だが、仕方がない。
食事が並べられる部屋に移動すると、宰相が扉から出てきた。
「今、お呼びに向かうところでした」
「手間を掛けては悪いと思い来ましたが、ちょうどお時間でしたか。よかった」
俺は愛想よく微笑む。
「では、お部屋にどうぞ」
宰相は扉を開けた。
中に入ると、今日も焼き魚が並んでいる。
「では、ごゆっくり」
宰相は、部屋を出て行った。
この食事は、この国を去るまで続くのだろう。
「どうして、毎日、毎食、同じ食事なの?」
「黙って食べろ」
俺は、ジュリアンの口を手で押さえると、「黙れ」と再度告げた。
ジュリアンの瞳に涙が溜まっていく。
手を退けて、俺は椅子に座った。
ジュリアンのお膳を寄せて、最初に焼き魚をほぐす。
諦めたのか、ジュリアンは椅子に座った。
「私、魚が一番嫌い」
俺はジュリアンの顔を睨んだ。
「黙って食べろ。丸呑みでも、なんでも、出された物は全部腹の中に入れろ」
小さな声で、命令して、俺は自分のお膳の物を食べ出した。
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
愛を知った私は、もう二度と跪きません
阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。
家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。
「呪われた男にでも喰われてこい」
そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。
彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。
その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。
「エカテリーナ様、どうかお助けを!」
かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。
王太子に「戦友としか思えない」と言われたので、婚約を解消しました
明衣令央
恋愛
婚約者である王太子ヘンリーから「君のことは戦友としか思えない」と告げられた、公爵令嬢アリスティア。
十年以上の王妃教育を積んできた彼女は、静かに婚約解消を受け入れる。
一年後、幸せな結婚を迎えた彼女にとって、ヘンリーのその後は――もうどうでもいいことだった。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
【優秀賞受賞】賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~【完結】
Tubling
恋愛
無事完結しました^^
読んでくださった皆様に感謝です!
この度、こちらの作品がアルファポリス第19回恋愛小説大賞にて「優秀賞」を受賞いたしました!
ありがとうございます!!<(_ _)>
ルシェンテ王国の末の王女カタリナは、姉たちから凄惨な嫌がらせをされる日々に王女とは名ばかりの惨めな生活を送っていた。
両親は自分に無関心、兄にも煙たがられ、いっそ透明人間になれたらと思う日々。
そんな中、隣国ジグマリン王国の建国祭に国賓として訪れた際、「鬼神」と恐れられている騎士公爵レブランドと出会う。
しかし鬼とは程遠い公爵の素顔に触れたカタリナは、彼に惹かれていく。
やがて想い人から縁談の話が舞い込み、夢見心地で嫁いでいったカタリナを待っていたのは悲しい現実で…?
旦那様の為に邸を去ったけれど、お腹には天使が――――
息子の為に生きよう。
そう決意して生活する私と息子のもとへ、あの人がやってくるなんて。
再会した彼には絶対に帰らないと伝えたはずなのに、2人とも連れて帰ると言ってきかないんですけど?
私が邪魔者だったはずなのに、なんだか彼の態度がおかしくて…
愛された事のない王女がただ一つの宝物(息子)を授かり、愛し愛される喜びを知るロマンスファンタジーです。
●近世ヨーロッパ風ですが空想のお話です。史実ではありませんので近世ヨーロッパはこうだというこだわりがある方はブラウザバックをお願いします。
●本編は10万字ほどで完結予定。
●最初こそシリアスですが、だんだんとほのぼのになっていきます^^
●最後はハッピーエンドです。
【奨励賞】初恋のその先で、私は母になる
妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
第19回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました。読者の皆様のおかげです!本当ありがとうございます。
王宮で12年働き、気づけば28歳。
恋も結婚も遠いものだと思っていたオリビアの人生は、憧れの年下公爵と一夜を共にしたことで大きく動き出す。
優しく守ろうとする彼。
けれどオリビアは、誰かに選ばれるだけの人生を終わらせたいと思っていた。
揺れる想いの中で、彼女が選んだのは――
自分の足で立ち、自分の未来を選ぶこと。
これは、一人の女性が恋を通して自分を取り戻し、母として、そして一人の人間として強くなっていく物語。
※表紙画像はAI生成イラストをつかっています。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。