《完結》愛されたいわたしは幸せになりたい

綾月百花   

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56  初夜(2)

 その時、夫婦の部屋の扉がノックされました。

 わたしはビックリして、掛布を頭まで被りました。


「準備はできているか?」


 お声はシオンのものです。

 鼓動が早くなってきます。

 本当に来てくださった。

 わたしを迎えに来たのよね?

 どんな顔をしたらいいのかしら?


「はい、準備はできておりますが……」


 カリタが、言葉を濁した。


「なんだ、もう寝てしまったのか?」


 静かな足音がベッドに近づいてきて、わたしはドキドキしておりました。


「それとも隠れておるのか?」


 ペラッと掛布を捲られて、冷ややかな空気が布団の中に入ってくる。

 その時、シオンと視線が合った。

 シオンは、ニコリと微笑んだ。


「隠れん坊は、俺の勝ちだな」


 シオン様は、わたしを掬い上げるように抱き上げると、「では、おやすみ」とメイドの皆さんに声をかけて、夫婦の部屋に入っていきました。

 扉はカリタが閉めました。

 閉まる寸前、カリタは、笑顔で頷いておりました。

 シオンはペリオドス様とは違うから、安心して身を任せればいいのです。

 『奥様、不安なのですね。大丈夫ですわ。クラクシオン皇太子殿下は、紳士的ですから、お任せしていれば、全て上手く事が運びますわ』とカリタが言っていた。

 シオンに全て任せておけば、上手くいく。

 わたしはシオンを信用している。

 シオンは、ベッドに私を座らせた。


「怖いのか?」

「ええ」

「アナを永遠に愛すると、今日神に誓った。アナは俺を永遠に愛してくれるのか?」

「永遠に愛させてください」

「愛することを許すし、俺も愛させて欲しい」

「愛してください」

「それなら、何も怖いことはない。俺に任せていればいい」


 シオンは、レースのガウンを脱がせていく。


「テスタは、何という欲情を誘うガウンもネグリジェも作るのだ?」

「ネグリジェもテスタ様が作られたのですか?」

「ああ、あいつは、学生時代から絵を描き、布を裁断し、学園の制服をずいぶん洗練された物に作り替えた経歴がある。制服を全生徒分作り替えた報酬で、自分の店を構えた。ドレスも紳士服も作る。ネグリジェは初めて目にするな。この帝国一の名を手にした男が作ったネグリジェは、なかなかそそる」

 ガウンの次は、ネグリジェのボタンを外していく。


「だが、所詮、贈り物の包装に過ぎない。一番美しいのは、アナだ」


 素肌を晒したわたしを見て、シオンは優しく微笑んで、自分のウエストの紐を引っ張った。

 シオンのガウンがはだけて、素早く脱ぎ捨てた。

 鍛え抜かれた素肌が、目に焼き付き、視線を逸らせない。

 わたしも体を鍛えてきたけれど、男女の違いはこれほどある物なのかと、初めて殿方の肌を見て、すごく逞しいと思った。


「美しい肌をしておる。触ってもいいだろうか?」

「ええ、シオンの体も触れたいわ」

「いいぞ、先に触れるか」

「いいの?」

「いいぞ」


 手を引かれて、ベッドに向かい合って座った。


「どこに触れたい?」

「シオンの腕に、それから胸に」

「触るがいい」

「はい」


 わたしは正座をして、そっとシオンの腕に触れた。

 ああ、固い。

 わたしのように柔らかくない。

 両腕を触って、そっと抱きしめた。

 殿方の腕は固いのだ。

 胸に触れたシオンの胸は、もっと固かった。

 体を離すと、手で胸に触れる。

 やはり固い。

 撫でてみても、筋肉が発達しているのが分かる。

 男性と女性は、これほど作りが違うのかと、触って覚えていく。

 そっと胸からお腹へと降りていくと、腹筋も発達している。

 ここも固いのね。

 わたしの体は、どこもかしこもやわやわだけれど、剣術はしていたわ。

 ペリオドス様を打ち負かすほど、わたしは強かったのに、この強靱な筋肉は、どうしたら鍛えられるのかしら?


「アナ、くすぐったいぞ」

「あ、ごめんなさい。とっても立派な筋肉をしていたから、触れてみたかったのよ。どうしたら、こんなに筋肉を鍛えられるのかしらって、思っていたのよ。わたし、前にも話したと思うけれど、ペリオドス様を倒せるほど、強いのよ。剣の鍛錬だってしていたのに、全然、違うんですもの」

「そうか」


 シオンは、わたしの髪を撫でた。


「男と女では、筋肉の付き方が違う。女でも、俺のように鍛えればなることもあるそうだが、俺は今のアナの方が好きだよ。次は俺が触ってもいいか?」

「ええ、なんだか、昔のお医者さんごっこみたいね」

「アナ、覚えているのか?」

「え?」

「お医者さんごっこをしたことがあったな?」

「ええ、したわよね?」

「ああ、したとも。その後に、俺は父上に叱られたがな」

「まあ、それは大変だったわね。あれ、う~ん、それは5歳の前の話ね」

「そうだとも。まだ覚えていることがあるかもしれないな?」


 そっと肩から腕を撫でられて、ぞわっと体が震えた。


「あっ」

「どうした?」

「だって、急に撫でるんですもの」

「柔らかな細い腕だ。片手で折ってしまいそうだ」

「いやよ、折らないで」

「折るものか。他の誰にも触れさせたりもしない」

「わたし、触れられるのは、いやよ。シオンだけなら、いいわ」

「ああ、ちゃんと俺が守る」


 わたしがしたように、抱きしめてくれた。


 固い筋肉に、頬を預けて、逞しい体を堪能する。

 わたしが抱きしめたときは、少しも恥ずかしくなかったのに、今度は、ものすごく恥ずかしい。

 顔に熱が集まってくる。

 背中を撫でる大きな掌が、温かくて、恥ずかしいのに、心地いい。心地いいけど、とても恥ずかしい。

 矛盾しているけれど、矛盾の理由は、きっと恥ずかしいからだと思う。

 シオンの体を触るだけ触ったので、わたしだけ、嫌だとも言えない。

 困ったわ。

 なんだか、墓穴を掘ったような。

 そっと密着していた体が離れると、そっと唇を塞がれた。

 キスをしながら、シオンが胸を撫でてくる。

 体がベッドに倒されて、シオンは私を撫でる。

 くすぐったいようで、なんだか知らない気持ちが芽生えてくる。

 嫌ではない。

 子供の頃のお医者ごっことも違う。

 あの時は、互いに触りあっただけだった。

 わたしは単純に異性に興味があったのだ。

 大好きなシオンなら、見せてくれる。触らせてくれると思って、わたしから誘って、わたしからドレスを脱いだ。

 今、思い出すと、すごく大胆な事をしたのだと思う。

 あの時は、好奇心の方が先に立っていた。

 わたしの胸はそれほど大きくはない。

 揉んでもシオンは、気持ちがいいのかしら?

 心配になってきた。

 最後まで、できるのかしら?

 わたしは男女の営みを知らない。

 男の人を喜ばす方法も知らない。

 貧弱な胸なのに、シオンは両胸を揉んで、尖りを摘まんだ。


「あっ」


 その瞬間、体が跳ねた。

 これはなに?

 痺れるような感覚。

 気持ちがいいの?

 知らぬ間に、声も出ている。

 恥ずかしくて、声を止めようとしても、止まらない。

 両手で口を押さえるけれど、やはり声は出てしまう。

 もう主導権はシオンに握られている。

 胸の尖りを口に含まれた瞬間、体がビクンと震えた。

 怖い。

 体に走る何かが、わたしを狂わせている。

 理性をぐちゃぐちゃにしてくる。

 助けを求めて、手を伸ばせば、その手を、シオンは握ってくれる。


「怖くはない。好きだよ、マリアナ」

「シオン、もう本当の夫婦になったの?」

「先に繋がりたいの?」

「怖いの。今度はシオンに捨てられるかもしれない……でしょう?捨てるなら、抱かないでね?」


 わたしは、どうしていいのか分からなくなって、子供のように泣き出した。


「俺はアナを捨てたりしない」


 いきなり、固い物が体の中に入ってきて、わたしは暴れた。

 体が裂かれるような痛みが走っている。

 シオンがわたしを強く抱きしめてきた。

 身動きがとれない。

 痛いから逃げだそうとしても、少しも体は動かない。

 これほどの痛みは、頭を怪我した時の次くらいに痛い。

 暴れるわたしを強く抱きしめながら、じっと動きを止めた。


「アナ、もう夫婦だよ。もう国際裁判所でも夫婦と認められる。離縁はできない。安心しなさい」

「シオン、痛い」


 ジンジンと結ばれた場所が痛む。

 シオンはじっと動きを止めて、泣いているわたしを抱きしめている。


「慣らしてから、ゆっくり挿入しようと思っていたけれど、アナは不安なんだよね。無理矢理でも結ばれた方が安心できると思ったんだ。無理をさせてごめんね」

 わたしは泣きながら、何度も頷いていた。

 この痛みが結ばれる痛みなら、ジュリアン様は痛くはなかったのだろうか?

 毎日、何時間も、それこそ、朝から夜まで抱き合っていたこともあったのに。夜も朝まで抱き合っていたのに。

 わたしには、素質がないかもしれない……と思うと、それも悲しくなってきた。

 シオンの子を授かりたいのに、こんなに、毎回、痛いなんて、耐えられるだろうか?

 わたしは我慢強い方だと思うけれど、この体を裂く痛みが毎回訪れるなんて。

 シオンは、身動き一つしない。

 わたしを抱きしめて、わたしの首に何度もキスをしている。

 だんだん体の痛みが治まってきて、わたしはこれからの夫婦生活の心配をしていた。

 まだ泣いているわたしの顔を見た、シオンは「どうしたの?」と聞いてくる。

 もう痛みで泣いているわけではないと分かっているようだ。

 シオンはわたしの心が分かるのかしら?

「わたし、シオンの妻になれるかしら。こんなに痛いなんて知らなかったの。ジュリアン様は一日中抱き合っても、嬉しそうな声を出していたのに、わたしだけ痛いのかしら?シオンも第二夫人をもらうのかしら。わたしは、また愛されないのかしら?」

 不安な思いが、次から次へ言葉に出てくる。

 シオンは、わたしの顔を見て、わたしの言葉が終わるまで、じっと聞いている。

「馬鹿だな」

 シオンはまず、わたしの頭を撫でた。

 まるで幼い子供にするように。優しく撫でてくれる。

「俺はアナしか愛さない。第二夫人もいらない。子供ができなかったら、他の兄弟が次期帝王候補になるだろう。心配するな。痛かったのは、無理矢理、結ばれたからだ。先に、アナの純潔を奪った俺の責任だ。あの淫乱な第二夫人がどんな風に抱かれていたのかは俺は知らないが、これからはアナに快楽というものを教えていくよ。痛いのは最初だけだから、怖がらなくても大丈夫だ」

「分かったか?」と聞かれて、わたしは子供のように頷いた。

「今夜は、まだ早いから、アナに痛くない事を教えてもいいかな?」

「痛くないなら。……痛かったら、止めてくれる?」

「ああ、約束しよう」


 シオンは、わたしと指切りしてくれた。

 安心して、体から力が抜けていく。

 シオンが、そんなわたしを抱きしめながら、顔中にキスをする。


「くすぐったいわ」


 わたしがクスクス笑い始めたら、シオンが、ゆっくり動き始めた。

「あっ」

「怖くない約束だよ」

「はい」


 わたしはシオンを見つめて、シオンがくれる快楽を受け止めた。

 最初は痛かっただけだったのに、自分の声ではないような声が出て、シオンに溺れていった。

 いつの間にか、シオンに抱きしめられて眠りに落ちていた。

 目を覚ますと、シオンがわたしを見ていた。

 急に恥ずかしくなる。


「おはよう、よく眠れたか?」

「おはようございます、よく眠れました」

「体は痛むか?」


 わたしを抱きしめていたシオンは、手を離した。

 痛くないとは言えない程度に、体が痛み、その痛みが昨夜の睦言で起きた事を思い出して、顔が熱くなる。

 痛みに泣いていた後、何度もシオンはわたしを貫いて、わたしの中に証を残していた。

 カーテンの外が明るくなる頃に、わたしは疲れて眠りに落ちていった。

 今は何時だろうか?

 閉められたカーテンの外は明るい。


「腹は減ったか?」


 わたしはお腹に触れた。

 素肌だった。

 シオンも素肌のままだ。

 鍛えられた筋肉は、今日も健在だった。

 じっとわたしは、シオンの胸や腹の筋肉を見てしまう。

 なんて素晴らしい筋肉をしているのだろう。

「ふふ」とシオンが笑った。

「それほど、俺の裸が気に入ったか?」

「羨ましくて」


 咄嗟に出た言葉が、これだった。

 嘘ではないが、確かに羨ましい。

 わたしの体には似合わないと思うが、もし、わたしが男であったなら、こんな立派な筋肉を付けてみたい。


「アナには似合わない。訓練するとは言うなよ」

「ええ」

「この体は、アナに触れる権利がある。触りたければ、いつでも触ってもいい」

「シオンは、きっと多忙だわ。忙しくても、わたしの存在を忘れたりしないでね。わたしは仕事が早いの。この帝国でも、わたしに仕事をください。シオンの為に力になりたいの」

「そうだな、俺の妻の役目は、母上に教わったように、貴族の貴婦人を集めたお茶会や定期的なパーティーの開催などだ。今までが異常であったのだ。仕事は母上に教わればいいが、一番の仕事は」


 シオンはわたしの下腹部を撫でた。

 ぺったんこのそこを、大切に撫でている。


「できれば、アナとの子が欲しい」

「はい」


 わたしはシオンの手に手を重ねた。


「愛し合っていれば、そのうち子ができる」

「そんなに簡単ですか?」

「アナの内は最高であった。嫌がったりしないで欲しい」

「あんなに乱れたわたしを嫌いにならないの?」

「愛していると言っておるのに、まだ信じられぬのなら、今からもう一度、結ばれるか?」

「いいえ、少し、痛むの。愛してくださるなら、愛して欲しいです」

「それは、今からしたいのか?」

「違うの。今は休ませて。今夜、また抱いてください」

「ああ、約束だ」


 シオンはわたしを抱きしめて、キスをした。

 筋肉質な肌が、わたしの柔肌を圧迫して、キスと一緒にわたしを幸せな泉の中にどっぷりと浸からせた。


「シオン、好きよ」

「起きたくなくなるだろう?」

「ずっとこのままいたいけれど、もうお昼かしら?お風呂も入りたいし、シオンのお腹が鳴っているわ。お腹が空いたのでしょう?」

「ああ、腹は減ったな」

「では、起きましょう」


 わたしが起きようとしたら、胸を人差し指で押されて、ベッドに沈んだ。


「ちょっと待っておれ」


 シオンは先に起き上がると、バスローブを身につけて、真新しいバスローブで、わたしを包んだ。そうして、わたしを抱き上げた。

「アナ、シーツを見てごらん」

「はい」


 わたしは今まで横になっていたベッドを見て、ビックリした。

 シーツが赤く染まっていた。


「結ばれた証だ。写真に撮って、永久保存しておかなくてはな」

「いや、写真に撮るなんて。恥ずかしいわ」

「写真はともかく、きちんと結ばれた証だ。アナも覚えておきなさい」

「はい」

「では、行くよ」

「はい」


 そのまま夫婦の部屋の扉の前に移動をする。


「開けよ」

「はっ!」


 男性の声がした。

 扉の外に人がいたなんて知らなかった。

 声も、甘えて話した事も、全て筒抜けなの?

 急に恥ずかしくなった。

 わたしのお部屋には、メイド達が頭を下げている。


「湯を。丁寧に洗ってやってほしい」

「畏まりました」


 代表でカリタが声を出した。

 シオンは浴室の脱衣所にわたしを下ろした。

 クラッと目眩がして、シオンが抱き留めてくれる。


「苦しくはないか?」

「ちょっと目眩がしただけよ。大丈夫ですわ」

「アロージョを呼ぶか?」

「必要ないわ」

「それなら、シャワーは早めに終えなさい。その後、食事にしよう。食事はこの部屋に運ばせる」

「はい」


 シオンはわたしの頭を撫でると、脱衣所から出て行った。

 代わりにカリタが入ってくる。

「奥様、お体は大丈夫ですか?」

「ええ、平気です」

「少し目眩を起こされていたので、軽めのシャワーにとの事です。さあ、シャワーを浴びましょう」


 カリタは、わたしの手を握って、浴室の中に入ってくる。

 体は痛かった。

 結ばれた場所も。体の節々も。

 抱き合うというのは、体力のいる物だと知った。

 そうしてみると、ジュリアン様は、同年代なのに、パワフルな方だったのだと改めて思った。



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