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66 マリアナがいない
シリピリーの婚約解消の手続きは、一応、国同士の約束であった為に、使者を送る事に決定した。極寒の中の移動は、かなりの激務になる。
猛者を従えていても、寒さで疲弊してしまう。
誰を使者にするかと、父上と父の近衛騎士も含めて、相談になった。
馬車は、途中までならいけるだろうが、影の話しでは、山岳地帯だという。
雪の中で登山をするのは危険だと、結局、正式な婚約解消は暖かくなってからすることになった。
騎士だとしても、誰一人として捨て人ではない。帰還して、その次の仕事もしてもらわなくてはならない。
送り込んだ影は、今日中に撤退しているだろうか?
無事に帰還できることを願いながら、長い会議は終わった。
やっとマリアナのもとに戻れる。
それにしても、今日のアナは何をそんなに願っていたのだろう。
ナイフや剣は、何に使うために欲しがったのだろうか?
あの時は、自害をするのではないかと心配して、きちんと話しを聞かなかった。
母上も、剣もナイフも持っている。
自分に危害が与えられた時に、自衛できる手段がないことは不安なのだろうか?
ドゥオーモ王国では、もしかしたら、持っていたのかもしれない。
きちんと話しを聞いてやるべきだ。
侍女達と茶会をしていてくれると安心できるのだが、アナはアメリアの婚約パーティーで、アルギュロスに他人だと言われてから塞ぎ込んでいた。
ずっと何かを考えていた。
アナの思考はとても複雑で、裏を読むと表が出たり表を読むと明後日の事を考えていたり、予想も付かない。
子供の頃も変わった思考の持ち主で、幼いアナに振り回されていたが、成長したアナは、口に出して考えないので、もっと複雑になった感じがする。
ただ愛おしさは、昔より深い。
辛い思いをしてきたアナを、必ず幸せにしてみせると決意している。
アナの部屋の前に立つと、アナに付けている護衛の男が敬礼した。
「何もなかったな?」
「何もございません」
「今夜は夜勤か?」
「はい」
「しっかり護衛を頼む」
「承知しました」
男は敬礼した。
俺は扉をノックして、扉を開けた。
アナがいると思っていたが、そこにいたのは、アナの侍女達だった。
やることがないのか、部屋の片付けをしていた。
「奥様はお眠りになりました。寝室にずいぶん前に入られました」
「ずいぶん早いな?どこか具合が悪いのか?」
「寒いとおっしゃって、白狐のコートをお召しになったまま部屋に入っていかれました」
「確かに今夜は冷える」
「寒いとおっしゃって出てこられたら、暖炉を付けるつもりでしたが、とても静かで眠られたのかもしれません」
「部屋の中を見てこよう。皆も休んでいいぞ」
「はい、お部屋の具合を見てくださってから休ませてもらいます。暖炉が必要なら、どうぞおっしゃってください」
侍女長のカリタは頭を下げた。
他の侍女も頭を下げている。
俺は寝室の扉を開けた。
確かに冷える。
ベッドを覗き込んだら、アナはいなかった。
「護衛は何をしていた。いないではないか」
俺の声を聞いた侍女達と扉の番をしていた護衛の騎士が駆け込んでくる。
「どちらの扉も開いておりません」
「まさか」
俺は床にある隠し扉に触れようとしたら、埃が隠し扉の周りに散っている。
「いつの間に?」
間違いなく、この隠し扉から逃げ出したのだ。
「騎士を集めよ!マリアナを捜索してくれ。外に出ておる」
「はっ!」
今日の当番の騎士が駆けだした。
侍女達はおろおろしている。
「すみませんでした」
皆が揃って頭を下げる。
「おまえ達には落ち度はない。では、行ってくる」
俺はこの通路の先を知っている。
そこに向かって走った。
猛者を従えていても、寒さで疲弊してしまう。
誰を使者にするかと、父上と父の近衛騎士も含めて、相談になった。
馬車は、途中までならいけるだろうが、影の話しでは、山岳地帯だという。
雪の中で登山をするのは危険だと、結局、正式な婚約解消は暖かくなってからすることになった。
騎士だとしても、誰一人として捨て人ではない。帰還して、その次の仕事もしてもらわなくてはならない。
送り込んだ影は、今日中に撤退しているだろうか?
無事に帰還できることを願いながら、長い会議は終わった。
やっとマリアナのもとに戻れる。
それにしても、今日のアナは何をそんなに願っていたのだろう。
ナイフや剣は、何に使うために欲しがったのだろうか?
あの時は、自害をするのではないかと心配して、きちんと話しを聞かなかった。
母上も、剣もナイフも持っている。
自分に危害が与えられた時に、自衛できる手段がないことは不安なのだろうか?
ドゥオーモ王国では、もしかしたら、持っていたのかもしれない。
きちんと話しを聞いてやるべきだ。
侍女達と茶会をしていてくれると安心できるのだが、アナはアメリアの婚約パーティーで、アルギュロスに他人だと言われてから塞ぎ込んでいた。
ずっと何かを考えていた。
アナの思考はとても複雑で、裏を読むと表が出たり表を読むと明後日の事を考えていたり、予想も付かない。
子供の頃も変わった思考の持ち主で、幼いアナに振り回されていたが、成長したアナは、口に出して考えないので、もっと複雑になった感じがする。
ただ愛おしさは、昔より深い。
辛い思いをしてきたアナを、必ず幸せにしてみせると決意している。
アナの部屋の前に立つと、アナに付けている護衛の男が敬礼した。
「何もなかったな?」
「何もございません」
「今夜は夜勤か?」
「はい」
「しっかり護衛を頼む」
「承知しました」
男は敬礼した。
俺は扉をノックして、扉を開けた。
アナがいると思っていたが、そこにいたのは、アナの侍女達だった。
やることがないのか、部屋の片付けをしていた。
「奥様はお眠りになりました。寝室にずいぶん前に入られました」
「ずいぶん早いな?どこか具合が悪いのか?」
「寒いとおっしゃって、白狐のコートをお召しになったまま部屋に入っていかれました」
「確かに今夜は冷える」
「寒いとおっしゃって出てこられたら、暖炉を付けるつもりでしたが、とても静かで眠られたのかもしれません」
「部屋の中を見てこよう。皆も休んでいいぞ」
「はい、お部屋の具合を見てくださってから休ませてもらいます。暖炉が必要なら、どうぞおっしゃってください」
侍女長のカリタは頭を下げた。
他の侍女も頭を下げている。
俺は寝室の扉を開けた。
確かに冷える。
ベッドを覗き込んだら、アナはいなかった。
「護衛は何をしていた。いないではないか」
俺の声を聞いた侍女達と扉の番をしていた護衛の騎士が駆け込んでくる。
「どちらの扉も開いておりません」
「まさか」
俺は床にある隠し扉に触れようとしたら、埃が隠し扉の周りに散っている。
「いつの間に?」
間違いなく、この隠し扉から逃げ出したのだ。
「騎士を集めよ!マリアナを捜索してくれ。外に出ておる」
「はっ!」
今日の当番の騎士が駆けだした。
侍女達はおろおろしている。
「すみませんでした」
皆が揃って頭を下げる。
「おまえ達には落ち度はない。では、行ってくる」
俺はこの通路の先を知っている。
そこに向かって走った。
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