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45 婚礼まで、あと僅か
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領地から戻ると、留守番のイグが、わたくしを抱きしめてきた。
「ウエディングドレスができてきたよ」
「まあ、早いわね」
「試着して、不備がないか確かめてくれと言われた」
「では、後で着てみるわ」
「夕食はまだだな?」
「まだだぞ!」
会話に割って入ってきたのは、陛下だ。
「すぐに食事に行く、伝えてきてくれ」
「僕はマリアを迎えに来たのだ」
イグは陛下の言葉を無視して、わたくしの手を引く。
「お腹が減ったであろう」
「ええ、お腹が空いたわ」
「早く行こう」
「皆さんと一緒に食事にしましょう」
「では、父上も母上もキエフも行きますよ」
騎士達は荷物を馬車から降ろしている。
「お疲れ様でした」
わたくしは、騎士達に頭を下げると、イグに腕を引かれ歩いて行く。
「まあ、イグレッシアったら、相当、寂しかったのね」
王妃様は、後ろで笑っている。
「僕はマリアーノの結婚式が終わったら、皇帝陛下に一緒に連れて行ってもらおうと思うんだ」
「そんなに慌てなくてもいいのだぞ」
「思い立ったが吉日って言うでしょう?それに、一緒に連れて行ってもらえば、護衛は要らないでしょう」
「それは、そうだが。いいのか?本当に。別の者を行かせてもいいのだぞ」
「別の者も一緒に学べないかな?僕一人では荷が重い」
「誰かと一緒に行きたい者がいるのか?」
「特に誰とかないけれど、優秀な人がいたら助かる」
「すぐに人選を行おう」
「キエフは決めたのか?」
「決めた。僕には騎士団より向いているかもしれない」
わたくしも、そう思う。
領地を見に行ってよかった。
キエフシア王子は出掛ける前より、爽やかな顔をしていた。
+
食後、お風呂に入ってから、ウエディングドレスを着てみた。
イグが嬉しそうな顔をした。
「綺麗だよ。マリア」
「ありがとう」
「結婚式まで二週間だ」
「あっという間だったわ」
「王宮の中は、客人を迎える準備に入っているよ」
「ええ」
「早く、マリアに触れたい」
そっと頬を撫でて、遠慮気味にキスをする。
触れるだけで離れていく唇でも、ドキドキするのです。
結婚式のキスで倒れてしまうそうな気がしますの。
「汚してしまうかもしれないので、着替えてきます」
「この後、少しだけデートをしないか?」
「ええ、いいわ。少しだけ、待っていて」
わたくしは、室内に戻って。ネルフに着替えを手伝ってもらって、普段着に着替えた。
「イグレッシア王子とデートをしてきます。遅くならないと思いますけれど、今日は休んでもらっていいです」
「では、お部屋を片付けたら、休ませて戴きます」
ネルフは頭を下げる。
「お嬢様、婚礼前ですので、ほどほどにですわよ」
メリスは母のようなことを告げて、刺繍を片付け始めた。
「ええ、分かっていますわ」
わたくしは、二人にお辞儀をして、廊下に出て行った。
「メリスに釘を刺されたな」
「そうね」
イグは苦笑を浮かべて、わたくしと手を繋ぎ、廊下を歩いて行く。
階段を降りて、一階に降りると、庭に出た。
「わぁ、すごく美しい」
「この時期は、王宮しか植わっていない、黄色い薔薇が咲いているんだ。昼間の薔薇も美しいが、月明かりに見る薔薇も美しい」
「知らずにいました」
「出掛けている間に開花したのだ。結婚式まで咲くだろう」
庭園を散歩していると、国王陛下と王妃様も散歩していた。
「おまえ達も来ていたのか?」
「昨日、咲き始めましたので、早速、デートをしております」
「この薔薇は、キルルゴ国の薔薇だ。王妃と供にやって来たのだ。この庭は王妃の庭だよ」
「そうでしたか。お邪魔をいたしました」
王妃様は微笑んでいらっしゃいます。
イグは頭を下げると、わたくしの手を引く。
わたくしも頭を下げました。
「国王陛下と王妃様は仲がよろしいのですね」
「国民には内緒にしているみたいだけど、父上と母上は政略結婚と言われているけれど恋愛結婚なんだよ」
「あら、知らなかったわ。でも、ずいぶん、遠距離恋愛でしたのね。異国まで国王陛下は訪ねていっていたのかしら?」
「祖母に聞いたら、公務もせずに、キルルゴ国に出掛けて、キルルゴ国の国王陛下に結婚のお願いに通っていたらしい」
「なんだか素敵ね」
「王妃の専属騎士は、父の右腕だったという騎士だ。母上を思って信頼できる騎士を母上に付けている」
「それで、イグも腕の立つ騎士をわたくしに付けてくださったのですね」
「僕もマリアに恋をした。好きになってくれてありがとう」
「こちらこそ、ありがとう。わたくし、結婚は諦めていたのよ」
「もう昔のことは忘れてしまおう」
「そうね」
ベンチに座って、夜風に揺れる黄色い薔薇を二人で見ていた。
「ウエディングドレスができてきたよ」
「まあ、早いわね」
「試着して、不備がないか確かめてくれと言われた」
「では、後で着てみるわ」
「夕食はまだだな?」
「まだだぞ!」
会話に割って入ってきたのは、陛下だ。
「すぐに食事に行く、伝えてきてくれ」
「僕はマリアを迎えに来たのだ」
イグは陛下の言葉を無視して、わたくしの手を引く。
「お腹が減ったであろう」
「ええ、お腹が空いたわ」
「早く行こう」
「皆さんと一緒に食事にしましょう」
「では、父上も母上もキエフも行きますよ」
騎士達は荷物を馬車から降ろしている。
「お疲れ様でした」
わたくしは、騎士達に頭を下げると、イグに腕を引かれ歩いて行く。
「まあ、イグレッシアったら、相当、寂しかったのね」
王妃様は、後ろで笑っている。
「僕はマリアーノの結婚式が終わったら、皇帝陛下に一緒に連れて行ってもらおうと思うんだ」
「そんなに慌てなくてもいいのだぞ」
「思い立ったが吉日って言うでしょう?それに、一緒に連れて行ってもらえば、護衛は要らないでしょう」
「それは、そうだが。いいのか?本当に。別の者を行かせてもいいのだぞ」
「別の者も一緒に学べないかな?僕一人では荷が重い」
「誰かと一緒に行きたい者がいるのか?」
「特に誰とかないけれど、優秀な人がいたら助かる」
「すぐに人選を行おう」
「キエフは決めたのか?」
「決めた。僕には騎士団より向いているかもしれない」
わたくしも、そう思う。
領地を見に行ってよかった。
キエフシア王子は出掛ける前より、爽やかな顔をしていた。
+
食後、お風呂に入ってから、ウエディングドレスを着てみた。
イグが嬉しそうな顔をした。
「綺麗だよ。マリア」
「ありがとう」
「結婚式まで二週間だ」
「あっという間だったわ」
「王宮の中は、客人を迎える準備に入っているよ」
「ええ」
「早く、マリアに触れたい」
そっと頬を撫でて、遠慮気味にキスをする。
触れるだけで離れていく唇でも、ドキドキするのです。
結婚式のキスで倒れてしまうそうな気がしますの。
「汚してしまうかもしれないので、着替えてきます」
「この後、少しだけデートをしないか?」
「ええ、いいわ。少しだけ、待っていて」
わたくしは、室内に戻って。ネルフに着替えを手伝ってもらって、普段着に着替えた。
「イグレッシア王子とデートをしてきます。遅くならないと思いますけれど、今日は休んでもらっていいです」
「では、お部屋を片付けたら、休ませて戴きます」
ネルフは頭を下げる。
「お嬢様、婚礼前ですので、ほどほどにですわよ」
メリスは母のようなことを告げて、刺繍を片付け始めた。
「ええ、分かっていますわ」
わたくしは、二人にお辞儀をして、廊下に出て行った。
「メリスに釘を刺されたな」
「そうね」
イグは苦笑を浮かべて、わたくしと手を繋ぎ、廊下を歩いて行く。
階段を降りて、一階に降りると、庭に出た。
「わぁ、すごく美しい」
「この時期は、王宮しか植わっていない、黄色い薔薇が咲いているんだ。昼間の薔薇も美しいが、月明かりに見る薔薇も美しい」
「知らずにいました」
「出掛けている間に開花したのだ。結婚式まで咲くだろう」
庭園を散歩していると、国王陛下と王妃様も散歩していた。
「おまえ達も来ていたのか?」
「昨日、咲き始めましたので、早速、デートをしております」
「この薔薇は、キルルゴ国の薔薇だ。王妃と供にやって来たのだ。この庭は王妃の庭だよ」
「そうでしたか。お邪魔をいたしました」
王妃様は微笑んでいらっしゃいます。
イグは頭を下げると、わたくしの手を引く。
わたくしも頭を下げました。
「国王陛下と王妃様は仲がよろしいのですね」
「国民には内緒にしているみたいだけど、父上と母上は政略結婚と言われているけれど恋愛結婚なんだよ」
「あら、知らなかったわ。でも、ずいぶん、遠距離恋愛でしたのね。異国まで国王陛下は訪ねていっていたのかしら?」
「祖母に聞いたら、公務もせずに、キルルゴ国に出掛けて、キルルゴ国の国王陛下に結婚のお願いに通っていたらしい」
「なんだか素敵ね」
「王妃の専属騎士は、父の右腕だったという騎士だ。母上を思って信頼できる騎士を母上に付けている」
「それで、イグも腕の立つ騎士をわたくしに付けてくださったのですね」
「僕もマリアに恋をした。好きになってくれてありがとう」
「こちらこそ、ありがとう。わたくし、結婚は諦めていたのよ」
「もう昔のことは忘れてしまおう」
「そうね」
ベンチに座って、夜風に揺れる黄色い薔薇を二人で見ていた。
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