花姫だという私は青龍様と結婚します

綾月百花   

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10   15歳でお召し上

7   龍星とリハビリ

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 食事がやっと普通食が食べられるようになってから、唯の歩く練習が始まった。

 普通の骨折の時は1週間で治りすぐに歩けたが、今回は足首の粉砕骨折だったので治療は難しかったと龍星は教えてくれた。

 龍之介が天罰で勝間に唯と同じ痛みを分けたと、龍星は教えてくれた。

 彼女の足は、完全に治療することは難しく、おそらく一生杖をつくことになるだろうと教えてくれた。

「龍之介様を怒らせると、怖いのね?」

「父上は御嵩家の青龍神社の生き神様だから、その力は偉大です」

「お父さんのことを素直に尊敬できる龍星は、偉いわ」

 車椅子で長い廊下に連れてこられて、今から唯は歩く練習を始める。

「ここなら段差はないので、歩きやすいと思います」

「うん」

 龍星は車椅子にロックをすると、唯の手を掴んで立たせた。

「足をつけてみてください」

「うん」

 唯は久しぶりに両足で立った。

「痛くはないですか?」

「うん、大丈夫」

「ゆっくり歩いてみましょう」

 唯は傷ついた足を前に出すと、次に健康な足を前に出す。

 素足で一歩踏み出して、唯は足の違和感に龍星を見上げた。

「なんか変よ」

「痛みはどうですか?」

「痛くはなかった」

「多少の違和感は慣れるしかないでしょう。粉砕していた骨を繋ぎ合わせたのだから」

「うん」
 唯はまた一歩前に足を出す。

「この足じゃ、もうテニスはできないね。あっそうか、ここにはテニス場はなかったね。軽やかに走る必要はないのね」

「母上」

 龍星は唯の前に屈んだ。

「走ることは可能です。すべてを諦めてしまわないでください」

「ごめんなさい」

 真剣な眼差しの龍星に誤ると、龍星はにっこり微笑むと立ち上がって、唯の横に立った。

「さあ、歩きましょう」

「はい」
 
 唯はひたすら前に進む。長い廊下の端まで歩いて、大きく息をつく。

「疲れましたか?」

 唯は曖昧に微笑む。

「情けないね。こんなに短い距離なのに」
 
 唯は体の向きをかえて、ゆっくり足を前に出す。足に痛みが走りバランスを崩すと、龍星が唯を抱き上げた。

「今日はここまでです」

「端まで歩く」

「今、痛みが走りましたね。少し診察します」

「神様はなんでもお見通しなのね」

 車椅子はそのままにして、唯は部屋まで龍星に抱き上げられたまま運ばれた。

 ベッドに寝かされて、診察を受ける。

 龍星は唯の足をじっと診ている。

「触れますよ」

「うん」

 龍星は唯の足首を動かし、関節の状態を診ていく。

「ああ、見つけました。一本靱帯が切れていますね。霊気で縫合しますから、少し眠っていてください」

「そんな急に眠れないよ」

「大丈夫です」

 龍星が唯の目を掌で塞ぐと唯は静かに眠っていた。


……
…………
………………


 翌朝、また龍星に長い廊下に連れてこられた。

「母上、今日も頑張りましょう」

「龍星って爽やかだけど、やっぱり体育会系ね」

 やる気が漲っている龍星の手に掴まり、唯は立ち上がった。

 ゆっくり足を出していく。

「昨日より違和感がなくなっているわ」

 龍星は満足そうだ。

「たぶん、もう大丈夫です。落ちた筋肉を付けていけば完治です」

「龍星って腕のいいお医者さんね」

「人間界で医学部に入りました。記憶操作で、ほぼ全学科を制覇しました」

「わぁすごい。頭もいいのね」

 唯に褒められ、龍星は嬉しそうだ。

「父上に超えてみよと言われました」

「そっか。龍之介様もちゃんとお父さんしているのね」

「父上は厳しいですよ」

「どんなふうに?」

「武術ばかりしている俺に、人間界の言葉も文字も覚えろと家庭教師をつけられました」

「家庭教師?」

「ええ、辰也と辰也の父上に猛勉強をさせられました。神事も手伝わされています」

「龍星は立派な神様になれるわね」

 二人で話しているうちに、端まで歩いてしまった。

「なんだかもう治ったみたい」

「明日からは外で歩いてみましょうか?」

「ほんとうに?」

 唯は嬉しそうに笑った。

「筋力トレーニングも兼ねて湖の周りの遊歩道を歩いてみましょう」

「ありがとう、龍星」

 唯はギュッと龍星に抱きついた。


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