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3 魔物の森
9 初めてのお給料
しおりを挟む危険だけれど単純な魔物退治を一月こなした頃、リリーは給料をもらった。
金貨30枚。
一日1枚の計算になる。
紙幣ではなく金貨だ。
金の相場は知らないが、金をお金に換えれば、大金になるに違いない。
重く感じる金貨をお財布に入れて、鞄にしまった。
リリーの日用品を購入してもらい、アトミスの荷物と一緒に送ってもらった。
「リリー私のお下がりですけど、受け取ってくださいますか?」
綺麗でお洒落なワンピースを3枚いただいた。
「いただいてもいいのですか?」
「もう着られない物ですもの。バザーに出すくらいしか使い道はない物よ」
「ありがとうございます」
ピンク色のワンピースに白色のワンピース、薄い水色のワンピースが袋に入っていた。
白い箱の中には、白色の靴が入っていた。
「新品みたいですね」
「伯爵家ですもの。侍女がいつも手入れをしてくれるわ」
「……そうですね。私も侍女にお風呂も入れてもらっていました」
アトミスは微笑む。
「これはプレゼントよ」と渡されたのは、白いネグリジェと白いガウンだった。ネグリジェもガウンも大きめなサイズで用意されていた。
成長期なので、とてもありがたいわ。
「支給品は丈夫だけれど、女の子だということを忘れそうになってしまうわ。お洒落をしなくてはね」
「金貨をもらってくださいな」
「いらないわ。私も金貨をもらっているけれど、こんなにたくさんもらっても、使い道がわからないわ」
「私は無一文なので、助かりましたけれど……」
レースの靴下に、下着も可愛らしい物を選んでもらった。
ピンクや水色や白の下着は、自分が女の子だということを思い出させてくれる。
「自宅から持ってきた洋服を処分できます。旅は働きながらしてきたので、汚れもしましたし、洗濯はあまり綺麗にできなくて……。乾かすのは自分の風魔法だったりして……。新品同様だったお気に入りの服は日増しに見窄らしくなっていって……、もっと持ってこれば良かったと思っても、鞄に入る量は決まってくるしで……」
リリーはため息を吐いた。
「王都に住んでいたのよね?」
「ええ、そうですわよ」
「時間はかかったのかしら?」
「魔法で空を飛んできたので、雨で足止めをされなかったら、三日ほどでしたけれど、1週間雨で、足止めをされましたの」
「食べ物はどうしたの?」
「家からバケットを5本もらってきたので、それで凌いでいました」
「リリーは空を飛べるのね」
「はい。お姉様は?」
「私は飛べないわ」
「魔術師はみんな飛べるのかと思っていましたわ」
「アハトもワボルもフィジも飛べないわよ」
「……そうなんですか?」
リリーは驚いた。
「師匠が飛べるはずだからとおっしゃったの。木の上から飛び降りたりして練習しました。怪我だらけになりましたけれど」
リリーはベッドに座っているアトミスの体を浮かせた。
「すごいわ。浮いているわ」
「鞄を浮かせる練習をしたので、お姉様も浮かせられます」
ゆっくりベッドに降ろした。
「私もできるかしら?」
「わかりませんわ。師匠なら知っているかもしれませんが……」
リリーはあくびをした。
「そろそろ寝ないと、夕方起きられないわね」
「……はい」
二人はベッドに横になった。すぐに二人は眠ってしまった。
夕方に起きて、制服に着替える。
アトミスの後をついて、リリーは歩く。
最近では、親鳥を追う雛のようだと、寄宿舎内の名物になっているが、当の二人はそんな噂があることを知らない。
「リリー、背が伸びたわね」
「ええ、少し制服が窮屈ですわ」
「リリーは今が成長期ですもの。新しいサイズをいただいたらいかが?」
「そんなに簡単にくださるのですか?」
「窮屈な服を着て、動きづらくて負傷をしたら大変ですもの」
「それなら、魔物退治が終わったら事務所に行きますわ」
「それがいいわね」
アトミスはリリーの長い髪を指先で梳く。この国では見かけない白銀の髪と透き通るような青い瞳は、とても美しい。
「よかったわ、洋服は少し大きめで頼んでおいたから、着られると思うわ」
「化粧品代と下着代を受け取っていただきたいわ」
「我が家は寄付をしているほど裕福ですわ。気になさらないで」
「……では、ありがたくいただきます」
アトミスは微笑んだ。
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