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3 魔物の森
10 14歳のお誕生日
しおりを挟む狩りから帰ってきたら、そのまま手を洗い食堂に行く。
「今日も疲れたわね」
「疲れて、くたくたですわ」
リリーはここに来て、ずいぶん月日が経ったように思える。日にちの感覚はなくなり、食べて寝て、戦い、食べて、寝て、戦い……という生活をただ続けている。
金貨もずいぶん貯まってきた。
「リリー・ホワイト・アコラサードさん」
「……はい」
リリーが返事をすると、大きな丸いケーキが目の前に出された。
はて、なんだっけ?
「お誕生日おめでとうございます」
食堂のシェフが集まり拍手をしてくれた。
「……あら、誕生日でしたか?ありがとうございます」
大きなケーキを受け取り、リリーは食堂の皆にも拍手をされた。時々、こういったイベントを目にしたことはあったが、自分の誕生日をすっかり忘れていたリリーは、今、自分が14歳になったことを知った。
「ケーキは丸ごと食べられますか?」
「とても食べきれないので、5つに切ってください。パーティーメンバーと食べます」
「わかりました。席にお持ちしますね」
「お願いします」
シェフは一旦ケーキを受け取り、厨房の中へと入っていった。
「リリー、誕生日だったのか?」
「忘れていましたわ」
「ここにいると日にちの感覚がなくなるからな」
「そうね。プレゼントを用意できなくて残念だわ」
アトミスがリリーの手に触れる。
食事を取るのに行列ができてしまった。
アトミスは料理をお皿に載せていく。リリーはまだアトミスの真似をして食べ物を選んでいる。唯一自分で選んでいるのはオレンジジュースだ。リリーはオレンジジュースが好きだ。おかわりにもらいに行くほど。
食事を食べているとシェフがケーキを持ってきてくれた。
ロウソクを14本立てられ火を灯される。リリーはロウソクを微風の魔術で消した。
「分けましょうか?」
「お願いします」
シェフが5つのお皿にケーキを分けてくれた。
「どうぞ、みなさんも召し上がってくださいな」
「いいのか?」
「アハトの時は、丸ごと食べたよな」
「ワボルもフィジも丸ごと食べたぞ」
「リリーの心遣いですわ。皆さんでいただきましょう」
アトミスがお皿を分けてくれた。
「リリーお誕生日おめでとう」
「ありがとう」
皆が祝ってくれた。
両親にも手紙を書かなくては……。
ビエント様はもう私のことは忘れてしまったかしら?
……笛をずっと吹いてはいない。
こんな危険な場所に、好きな人を呼び出す訳にはいかないから、吹きたくても我慢をしている……。
「アハト、申し訳ないのですが、1週間ほどお休みをいただきたいの。家族がどうしても帰って来いと連日電話が入っているの」
「遠慮せずに行ってこいよ」
「何か家族にあったのかもしれないだろう」
「俺たちの事は気にするな」
「リリー一人で平気ですか?」
「アハト達もいますから、ごゆっくりしてきてくださいな」
「食事を食べたら、自宅に戻りますわ」
「どうのように戻るのですか?」
「馬車かしら?」
「私が空を飛んで森の外まで送りましょうか?」
「リリーの睡眠時間が減ってしまうわ」
「どんなところか見てみたいのよ」
「それならお願いするわ」
リリーは微笑んだ。
人を運んだ事はないが、鞄と同じようにすれば上手くいくだろう。
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