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1 二度目の家族
2 虐められています
しおりを挟むこの家に来た日から亜里砂は兄の友麻と寝ている。両親公認なので、ベッドはダブルベッドが置かれている。
友麻に抱きしめられて眠るようになったら、過去の怖い夢はだんだん見なくなっていった。亜里砂は高校三年生になり友麻は24歳になり。友麻は大学を卒業して仲間たちと起業した。ソーシャルエンジニアになり、亜里砂の父と同じような仕事に就いた。大学卒業前は父親にいろいろ教わっていた。今でも仕事の話を二人でしていることが多い。
「お母さん、お弁当ありがとう」
「亜里砂が欲しがるならキャラ弁も作っちゃうわよ」
「さすがに、高校三年生でキャラ弁持ってきてる子いないよ」
亜里砂はちゃんと『お母さん』と呼べるようになった。
今では普通の家族だ。
母の手作りの洋服を着て、エプロンも手作りだ。
亜里砂のために作られた服は、世界で一着しかない。
母に教わり裁縫も上達した。大学は服飾関係の学科を選ぼうかと思えるほど母の仕事に興味を持った。
「亜里砂、今日、帰ってきたら、新作のモデルになってくれる?イメージを撮って、プレゼンに持っていきたいの」
「早めに帰ってくる」
「お願いね」
「はーい」
高校の制服を身につけた亜里砂は、鞄に弁当をしまうと、亜里砂の長い髪を後ろから友麻が引っ張る。
「なに?お兄ちゃん」
友麻の顔がにんまり笑う。
「いい響きだ。もう一回呼んで。今度は友ちゃんって呼んで」
亜里砂の顔が真っ赤になる。
その顔を見て、友麻は意地悪な顔をする。
「朝から恥ずかしいこと言わないでよ」
スーツ姿の友麻の肩をバシバシ叩く。
友麻のことは、臨機応変。お兄ちゃんから友ちゃん、友麻と呼んでいる。
友麻は名字を、亜里砂と同じ紅葉にしなかった。亡くなった父の姓、稲田を名乗っている。大学生で既に起業して、学会で名前を売っているので、名字が変わると功績が消えると言い張った。名字が違うのに兄なの?名字が違うのに妹なの?と誰からも聞かれるので、面倒だから名前で呼んで欲しいと友麻に言われた。
「朝から仲がいいことだ」
朝のコーヒーを飲みながら父親が、仲のいい兄妹と仲のいい親子の会話を聞きながら、父親は満足そうにしている。結婚してから仕事も順調で、底をついていた貯金もできるようになり、心にも余裕ができていた。
「遅刻しちゃう。行ってきます」
「行ってらっしゃい」
慌ただしく出てく亜里砂を三人は見送って、それぞれ仕事に向かう。
「ありがとうな、友麻。亜里砂があんなに明るくなったのは友麻のお陰だ」
「俺は亜里砂が好きなだけだ。勝手にしてることだから気にするな」
「早く帰れよ」
「親父もな」
二人は地下鉄で別れる。
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