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1 二度目の家族
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目を覚ました亜里砂は、真っ赤な顔をしていた。
「夜、泣いてたから」
そう言うと。亜里砂は俯いて「ごめんなさい」と謝った。
「夢を見るの。いつもはお父さんが抱きしめてくれてたけど、お父さんはもういないから」
「再婚、反対すればよかっただろう?」
「反対できないよ。私、迷惑ばかりかけてきたから」
亜里砂はため息をつく。
「ごめんなさい。夜、うなされていても、放っておいて」
「昨日、死ぬんじゃないかと思ったんだ」
「もし、私が狂ったら、病院に入れてほしいって言ってたって、お父さんに伝えて」
「なんだよ、それ」
「ごめんなさい。迷惑だったね。手紙に書いておく。引き出しに入れておくからわたして」
亜里砂はベッドから降りると、すぐに紙とペンを取り出して書き始めた。
「おい、抱きしめていたら眠れるのか?」
「夢を見るときもある。私、壊れてるから」
友麻に肌に残る傷跡を見せていく。
「たばこを押し当てられた痕は、綺麗に消えないんだって。だから火傷の場所を切り取って、傷にしたの。これならいつか傷は薄くなるんだって。こんな傷が、私の体にはたくさんあるの。熱湯をかけられたこともある。あの時の痛みと恐怖が、忘れられないんだ。ご飯はね。もらえるときは、1日1コの菓子パンだった。暑い日も凍えるような日もベランダに出された。菓子パンもベランダもトラウマなの。ごめんなさい。面倒な子で」
「一緒に寝てやるよ。そうしたら少しは夢を見なくなるんだろう?」
「誰にも迷惑はかけたくない」
亜里砂は泣きながら、手紙を書き始めた。
封筒に入れると、引き出しに入れた。
「ここね」
「おい」
「顔を洗ってくる」
小さな体が、もっと小さく見える。
友麻は引き出しを開けて、しまわれたばかりの手紙を開けた。
猫のついた可愛い封筒に、お揃いの便せんが入っている。
文字は年齢より綺麗だと思う。
『お父さん、私を病院に入れて。安楽死が認められたら死なせて。それまではずっと目覚めないように薬で眠らせて 20XX年 X月X日 亜里砂』
「なんだよ、これは」
まるで遺書だ。
封は閉じられていなかった。
封筒に入れながら、友麻は遺書を持ち出す。
ダイニングに行って、両親に手紙を突き出す。
「なに?友麻」
「遺書だ」
祐輔がすぐに気付いて、手紙を開ける。
読み終えて立ち上がった。
「俺、昨日、亜里砂を抱きしめながら寝たんだよ。あいつ死にそうなほどうなされて泣いてたから」
「すまない。迷惑をかけた」
「いいよ。別に。俺が夫婦の寝室に行くのがいやだったから、自己判断でした。今夜からも一緒に寝るから。あいつ死にたがってるじゃないか。まだ中学生になったばかりなのに」
「病院に連れて行こう」
「お父さんはもういないって言ったんだ、あいつ」
「志緒理すまない。亜里砂を一人にできない」
「もう遅いよ。あいつは再婚を認めている」
祐輔は頭を抱える。
「いいな。亜里砂とこれから一緒に寝るからな」
友麻は部屋に戻っていく。
休日でも大学生は忙しい。スキルを上げるために研究をして学会発表もある。
すぐに着替えて、大学に向かう。
大学に到着してから、母親のスマホに亜里砂が話したトラウマの事を書いて送った。
二人で出かける約束をしていたのを思い出したから。
「父親の方はスーツに着替えていたから、仕事だろう。まったく親のくせに何を見てきたんだよ」
「友麻、どうしたんだよ?独り言?」
「なんでもない。夜までに今日のノルマ終わらせるぞ。今夜から泊まりはなしだ」
「なんだよ、彼女でもできたのかよ?」
「まあ、そんなところだ」
同じチームの友人たちと話しながら、友麻は研究室のパソコンを起ち上げた。
「夜、泣いてたから」
そう言うと。亜里砂は俯いて「ごめんなさい」と謝った。
「夢を見るの。いつもはお父さんが抱きしめてくれてたけど、お父さんはもういないから」
「再婚、反対すればよかっただろう?」
「反対できないよ。私、迷惑ばかりかけてきたから」
亜里砂はため息をつく。
「ごめんなさい。夜、うなされていても、放っておいて」
「昨日、死ぬんじゃないかと思ったんだ」
「もし、私が狂ったら、病院に入れてほしいって言ってたって、お父さんに伝えて」
「なんだよ、それ」
「ごめんなさい。迷惑だったね。手紙に書いておく。引き出しに入れておくからわたして」
亜里砂はベッドから降りると、すぐに紙とペンを取り出して書き始めた。
「おい、抱きしめていたら眠れるのか?」
「夢を見るときもある。私、壊れてるから」
友麻に肌に残る傷跡を見せていく。
「たばこを押し当てられた痕は、綺麗に消えないんだって。だから火傷の場所を切り取って、傷にしたの。これならいつか傷は薄くなるんだって。こんな傷が、私の体にはたくさんあるの。熱湯をかけられたこともある。あの時の痛みと恐怖が、忘れられないんだ。ご飯はね。もらえるときは、1日1コの菓子パンだった。暑い日も凍えるような日もベランダに出された。菓子パンもベランダもトラウマなの。ごめんなさい。面倒な子で」
「一緒に寝てやるよ。そうしたら少しは夢を見なくなるんだろう?」
「誰にも迷惑はかけたくない」
亜里砂は泣きながら、手紙を書き始めた。
封筒に入れると、引き出しに入れた。
「ここね」
「おい」
「顔を洗ってくる」
小さな体が、もっと小さく見える。
友麻は引き出しを開けて、しまわれたばかりの手紙を開けた。
猫のついた可愛い封筒に、お揃いの便せんが入っている。
文字は年齢より綺麗だと思う。
『お父さん、私を病院に入れて。安楽死が認められたら死なせて。それまではずっと目覚めないように薬で眠らせて 20XX年 X月X日 亜里砂』
「なんだよ、これは」
まるで遺書だ。
封は閉じられていなかった。
封筒に入れながら、友麻は遺書を持ち出す。
ダイニングに行って、両親に手紙を突き出す。
「なに?友麻」
「遺書だ」
祐輔がすぐに気付いて、手紙を開ける。
読み終えて立ち上がった。
「俺、昨日、亜里砂を抱きしめながら寝たんだよ。あいつ死にそうなほどうなされて泣いてたから」
「すまない。迷惑をかけた」
「いいよ。別に。俺が夫婦の寝室に行くのがいやだったから、自己判断でした。今夜からも一緒に寝るから。あいつ死にたがってるじゃないか。まだ中学生になったばかりなのに」
「病院に連れて行こう」
「お父さんはもういないって言ったんだ、あいつ」
「志緒理すまない。亜里砂を一人にできない」
「もう遅いよ。あいつは再婚を認めている」
祐輔は頭を抱える。
「いいな。亜里砂とこれから一緒に寝るからな」
友麻は部屋に戻っていく。
休日でも大学生は忙しい。スキルを上げるために研究をして学会発表もある。
すぐに着替えて、大学に向かう。
大学に到着してから、母親のスマホに亜里砂が話したトラウマの事を書いて送った。
二人で出かける約束をしていたのを思い出したから。
「父親の方はスーツに着替えていたから、仕事だろう。まったく親のくせに何を見てきたんだよ」
「友麻、どうしたんだよ?独り言?」
「なんでもない。夜までに今日のノルマ終わらせるぞ。今夜から泊まりはなしだ」
「なんだよ、彼女でもできたのかよ?」
「まあ、そんなところだ」
同じチームの友人たちと話しながら、友麻は研究室のパソコンを起ち上げた。
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