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エピローグ

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 友麻の腕の中で、けだるい体を預けている。
 激しく抱き合った後は、体が満たされる。
 悪夢は見なくなり、完全に精神科の薬は飲まなくなった。
 精神安定剤になる友麻が、いつも抱きしめてくれるから、体の調子も良くなった。
 友麻は初恋だった。
 初めて見た時に、心を打たれた。
 天使がいるなら、きっと天使の矢が心臓を打ち抜いたのだろう。
 それ以来、ずっと友麻が好きだ。
 突然、距離を置かれて、寂しい思いをしたこともあるが、今では思い出だ。
 友麻は父にスカウトされプロジェクトマネージャーになった。若手育成のために父に仕事を教わっている。ステップアップした友麻は、いつも楽しそうだ。
 もう一人の亜里砂は、子供を産んだらしい。
 結婚もできたと友麻が教えてくれた。
 初恋は実らないと言われているが、初恋は実る。
 リア充撲滅って思っていた時期もあったが、今の亜里砂はリア充撲滅反対します。
 蘭々と初詣に行った時に買ったお守りは、ベッドの棚に置いてある。
 きっと蘭々もアメリカで、新しい恋をしているだろう。
 近いうちに手紙を書いてみよう。
 左手のルビーの指輪を撫でていると、気持ちいい睡魔がやってくる。
「亜里砂、おやすみ」
「うん」
 友麻に抱きしめられて、返事をするがもう夢の中だ。
 亜里砂は友麻の腕の中で、幸せそうに微笑んでいる。 
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