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Side楸
しおりを挟むドラムが入るとぐんと良くなった。
亮は練習を重ねていたのかドラムの腕はいい。リズム感も合うし、センスがあった。
一曲引いて愛梨が、お喜びした。
「ほらね、やっぱりいい音ができた」
自信満々に愛梨が胸を張る。
薫も感動したのか、満足げだ。
「亮はどうだった?私たちの曲は」
「仲間に入れてくれるなら、すごく嬉しい」
「リーダーはどう?」
「リーダー?僕が?」
愛梨が頷いている。
このバンドを作ったのは愛梨だと思うけど、愛梨の魂胆だ。
「薫もリーダーは楸でいいよね?」
「愛梨でしょう」
「私じゃ駄目なの。楸なの」
愛梨は楸の腕に掴まって、飛び跳ねている。
「じゃ、楸でいいよ」
薫は苦笑しながら、楸の背中を叩いた。
「引き受けてやれよ」
「愛梨に言われたら断れないよ」
楸はリーダーらしく、亮の正面に立った。
「亮が入ってくれたら嬉しい」
「やったぜ」
亮が嬉しそうに声を上げた。
愛梨が飛び跳ねて喜んでいる。
「文化祭の出場の申し込みに間に合ったわ」
一番の功労賞をもらうのは愛梨だと三人は思ったが、愛梨が喜んでいるからそれでいいかと思った。
まるで天使のような輝く笑顔と行動力は素晴らしい。
「このグループの名前を考えよう」
ぐんぐん引っ張って行くのは愛梨だ。
「そんなに急に決められないよ」
薫と亮がぼやいている。
「僕は決めているんだけど聞いてくれる?」
「さすが楸、どんな名前?」
「angelなんてどう?」
「いいね」
「いいかも」
「angelでいいね。みんなのangelになるのね」
一応頷くが、みんな気付いている。
angelなのは愛梨だ。愛梨って名前でもいいくらいだけど、そんなこと言い出したら却下されるだろう。
「明日、文化祭の申し込み行くよ、リーダー」
「わかった、わかったから」
今すぐ行くみたいに、愛梨が腕を引っ張ってくる。
「せっかくだから、もう少し練習する?」
陰のリーダーは満開の笑顔で、すぐにでも練習をしたいと体中で訴えて、キーボードの前に立った。
「するする」
亮がドラムに向かって歩いて行く。
angelの結成だ。
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