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Side愛梨
しおりを挟むやっと結成したangelは文化祭で成功した。
大歓声の中、幕が下りた。
毎日、楸の部屋に集まり練習して、愛梨は途中で抜けて、みんなのご飯を作る。
合宿のような練習ができて、曲もオリジナルの曲を楸と愛梨が作った。
亮の成績は下がるかと親に心配されていたので、勉強の時間も作った。
三人で亮の勉強を見た。
特進科のトップスリーに教わって、勘のいい亮は覚えるが早かった。
短時間集中の勉強で外部入学生の中でトップ近くまで上がったことで、親にも反対されずにすんで、練習に集中できた。
みんなで作詞や作曲を始めた。
薫と亮は、初めての体験でずっとうなっていたけれど、そんな表情からも歌ができる。
撮影をして動画サイトにあげて、人気も出てきた。
楸に友達を作ってあげたいと思って始めたバンドメンバー集めだったが、愛梨にも友達ができた気がした。
四人のバンドメンバー。
楸と愛梨のデュエットも綺麗なハーモニーでまとまる。
途中で抜けるつもりだった愛梨だが、メンバーの一員になり、彼らたちと一緒に過ごしている。
女の子たちからのやっかみはあって、女子には無視され続けている。
それでも寂しくなかった。
高校生活の小さな箱の中で、たった三年過ごすだけ。人生の中で、きっとその三年はわずかな時間だ。
些細な虐めで、潰れたくはない。
楸のために集めた友達は、愛梨にもかけがえのない友達になった。
二年になり三年になり、曲ができる度に、動画サイトに投稿し、動画サイトで評価され、プロダクションから声がかかるようになった。
「みんなプロになりたい?」
「僕は試してみてもいいと思う」
「俺も自分の実力がどれほどか知りたい」
「俺も広い場所で思いっきりドラムを叩きたい」
「それじゃ、受けよう!」
気合いを入れるように、愛梨は大きな声を出して、腕を突き上げる。
「ほらほら、Yeah!だよ」
男子の反応が薄くて、愛梨はリーダーと楸を呼ぶ。
「Yeah!」
「Yeah!
「えー」」
「いえー」」
「もう、揃わないなー」
愛梨は腰に手を当てて、男子を見上げる。
「もっとテンション上げようよ」
「上がってるから」
楸が苦笑して、テンションが上がりすぎの愛梨を落ち着かせる。
だって、嬉しいんだよ。
オーディションを受けることに決まった。
学校に相談したら、名誉なことだから体育館を使っていいと言われて、学校の体育館で演奏することになった。
前日からキーボードやドラムを設置して、本番を待った。
生徒会が動いてくれて、体育館に椅子を並べてくれた。
全校生徒がangelの成功を祈っていた。
祈っていると思っていた。
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