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第二章
13 二人旅
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朝靄の中で、シュワルツはフラウムを毛布に入れ、胸に抱いて、道から外れた林の中の石の上に座った。
夜中中歩いていたが、明け方、フラウムが歩きながら眠りかけて、急いで支えた。
「少し休憩しようと」と言うと頷き、シュワルツにしがみつき、林の中まで入ってきた。
もう暫く歩くと、宿場町に着くだろう。
そこまで歩かせるか考えたが、宿屋に泊まるのも危険な気がして、こうして野宿をしている。
シュワルツは職務上、眠らず歩き続ける訓練を受けているが、フラウムはそんな訓練は受けていない。
軍事ごとは素人なのだ。
よく夜中中、歩いてくれたと、我慢強い恋人を褒めながら、林まで歩いて座った途端に、フラウムは意識を手放した。
食べ物屋が開くまで、ここで休もう。
索敵して、誰もいないことを確認すると、周りから遮断した。
二人の姿も気配も消えただろう。
馬車から咄嗟にブランケットを持ち出したフラウムの機転の良さに、感服する。
この寒空の下で、凍死してもおかしくはない。
シュワルツの軍服もコートも暖かな素材でできているが、それでも寒い。フラウムが着ているのは、平民の普段着だ。薄い生地なのできっと寒かっただろう。
一枚の毛布に二人でくるまり、フラウムを抱きながら、シュワルツも目を閉じる。
あと三時間くらいは、店は開かないだろう。
温かいフラウムを胸に抱き、仮眠をする。
+
「フラウム、起きて。目を開けられる?フラウム」
髪を撫でられ、頬に頬を当てられ、その温かさに、また眠りに落ちかけ、唇を塞がれ、呼吸が苦しくて、フラウムは目を開けた。
「眠らせてあげたいけど、食事に行こう」
「あなた、今、キスしたわね?」
「誰も見てはいない」
フラウムは辺りを見回して、そこが林の中であることに気づいた。
「こんなところで眠ったら、風邪を引いてしまうわ」
「フラウムを抱いていたから、温かだったよ」
フラウムの頬が紅くなる。
恥ずかしくて、この甘ったるい空気を変えなくてはと、フラウムは考えた。
傲慢に口を利いたら、少しは空気が変わると思ったフラウだったが、とうのシュワルツは照れているフラウムが可愛くて仕方がない。
「……お腹が空いたわ」
「行こうか?」
「ええ、あなた、とても目立つから、毛布を着ていた方がいいわ」
「フラウム、名前は呼んではくれないのか?」
「宮廷に着くまでは、あなたよ。容姿も名前も目立ちすぎよ」
シュワルツに手を借りながら、フラウムは立ち上がった。
「見えなくなっているのではないのか?」
「見えづらくなっているだけよ。顔が消えていたら、それこそ大騒ぎよ」
フラウムは林の中から出ようとして、シュワルツを振り返った。
「魔法を解いてくださらない?」
「解除」
シュワルツはわざわざ口に出して、笑いながら魔法を解除した。
人の気配が、一斉にしてくる。
「馬車は行ってしまったかしら?」
「眠った時間は3時間だよ。その時間に通ったなら、行き違いになった可能性もあるね。どちらにしろ、宮廷までは徒歩だ」
「どれくらいかかるのかしら?」
二人は並んで歩き出した。
「三日、四日、五日、五日かな?フラウムの歩の早さだとそれくらいになりそうだ」
「早く歩くわ」
「フラウムは騎士の訓練を積んではいない。山道を歩けるだけ、まだ早いだろう」
「五日もかかるのね。無事に到着できたらいいけれど」
予定通り馬車が動いていたら、今日、テールの都に到着したはずだ。
なかなか予定通りにいかない。
「フラウム、何が食べたい?」
「何が食べられそうなの?どれくらい賃金はあるの?」
シュワルツはポケットから銅貨を数枚取り出して、見せた。
お店に入って食べるほどはない。
早朝のこの時間に開いている店は、パン屋くらいしか思い浮かばない。
「五日分として考えれば、一食、パン一つ分くらいかな?」
「宿場町は、どれくらいあるの?」
「ここが最後だな」
「それなら、五日分のパンを買っていった方がいいのかしら?」
「そうだね」
「川はありそう?」
「今から山に入っていく。川はあるが、激流だ。天気次第か?」
シュワルツは空を見上げた。
お世辞にでもいい天気とは言えない。
朝から雲が垂れて、雪が降りそうだ。
「山なの?冷えるわね?」
「ということで、早めに行こう」
フラウムは、頷いた。
村まで歩いて、パン屋を探した。
小銭でできたてのバターロールを10個買うと、シュワルツが持ってくれた。
袋に入ったパンを一つ取り出すと、その一つをフラウムに手渡した。
シュワルツも一つ、取り出して、それを口にする。
「お行儀悪いが、歩きながら食べてくれ、暗くなるまでに安全な場所まで移動したい」
「はい」
フラウムは食べ歩きを初めてした。
パンを少しずつ食べる。できたてのパンは柔らかくて、まだ温かかった。
食べ終えると、シュワルツはブランケットをフラウムに着せた。
「あなたが着て、目立ってしまう」
「しかし、寒いだろう?」
「見つかって戦いなったら、わたしは足手まといになってしまうの。だから、お願い」
フラウムはブランケットを脱ぐと、シュワルツにマントのように着せた。
「寒いのに、すまない」
「歩いているから平気よ」
平気だと言っているフラウムの頬は寒さで紅くなっているし、指先も凍えるように冷たい。せめて、指先だけでも温めたくて、シュワルツは手を繋ぐと、ブランケットの中に入れた。
「危ないわ」
「今は平気だろう?少しは甘えてくれ」
「うん、本当は寒いの。あなたは温かいわ」
「フラウム、熱を出すなよ」
「気をつけるわ」
+
山道に慣れたフラウムも連日の慧眼の疲れ、昨晩の夜間歩行の疲れと寒さに、歩みが遅くなる。お昼のパンを食べた後から口数も減った。
「フラウム、平気か?」
「……うん」
フラウムは手を引いて歩かなければ、足が前に出ないようだ。
無理をさせている……と思っても、シュワルツには手段がない。
乗っていた馬車は、どうなったのか?
全滅したのだろうか?
テールの都から救援も来ない。
もしや、自分は皇帝から見捨てられたのか?と疑問も浮かんできた。
このまま宮廷に行っても大丈夫なのか?
皇帝からの暗殺依頼なら、誰も助けに来ないだろうし、宮廷に行けば殺される。
自分一人が殺されるならば、生まれのせいと諦めも付くが、フラウムまで巻き込むことはできない。
殺される心当たりは何もない。
ただ次期皇帝、皇太子になっただけだ。
捕らわれている第二皇子の方が、皇太子に相応しくなったのならば、皇太子の座ならくれてやるが、命まで狙われるのは、理不尽だ。況してや、愛してやまないフラウムを苦しめ、道連れにするなどあってはならない。
様子を見に行くにしても、フラウムを一人残して行くわけにもいかない。
先に、プラネット侯爵家を訪ねて、フラウムを安全な場所に保護してもらい、それから宮廷に行くか。
プラネット侯爵家まで、フラウムは歩けるか?
金貨の持ち合わせはない。
いつもは、上着の内ポケットに数枚入れておくのに、今回は自分で準備した物ではなかったので、それもない。銅貨が数枚入っていたのは偶然、前の任務の時に美しい紅玉を見つけて衝動買いしたからだ。誰かのプレゼントで買った物ではなくて、ただ、美しく惹かれた物だったのだ。今なら、その紅玉はフラウムにプレゼントしたいと思うが、その時は、特に誰かのために買った物ではなかった。
食事代も馬車賃もなく、愛する人を無茶なスケジュールで、山道を引きずるように歩かせて、情けない。
「フラウム、少し、休もう」
「大丈夫よ。手を引いてくれているから、歩けているでしょう。夕方までに安全な場所に着きたいの」
「それなら、行こうか?」
「うん」
儚げな微笑みを見て、胸が締め付けられる。
なんと情けない。
本来なら、今日、フラウムを母君に会わせてあげられたのに、命をかけて助けた母君に会いたかろうに、堪えるように笑みまで見せてくれる。
フラウムの手をしっかり握り治して、手を引く。
夜中中歩いていたが、明け方、フラウムが歩きながら眠りかけて、急いで支えた。
「少し休憩しようと」と言うと頷き、シュワルツにしがみつき、林の中まで入ってきた。
もう暫く歩くと、宿場町に着くだろう。
そこまで歩かせるか考えたが、宿屋に泊まるのも危険な気がして、こうして野宿をしている。
シュワルツは職務上、眠らず歩き続ける訓練を受けているが、フラウムはそんな訓練は受けていない。
軍事ごとは素人なのだ。
よく夜中中、歩いてくれたと、我慢強い恋人を褒めながら、林まで歩いて座った途端に、フラウムは意識を手放した。
食べ物屋が開くまで、ここで休もう。
索敵して、誰もいないことを確認すると、周りから遮断した。
二人の姿も気配も消えただろう。
馬車から咄嗟にブランケットを持ち出したフラウムの機転の良さに、感服する。
この寒空の下で、凍死してもおかしくはない。
シュワルツの軍服もコートも暖かな素材でできているが、それでも寒い。フラウムが着ているのは、平民の普段着だ。薄い生地なのできっと寒かっただろう。
一枚の毛布に二人でくるまり、フラウムを抱きながら、シュワルツも目を閉じる。
あと三時間くらいは、店は開かないだろう。
温かいフラウムを胸に抱き、仮眠をする。
+
「フラウム、起きて。目を開けられる?フラウム」
髪を撫でられ、頬に頬を当てられ、その温かさに、また眠りに落ちかけ、唇を塞がれ、呼吸が苦しくて、フラウムは目を開けた。
「眠らせてあげたいけど、食事に行こう」
「あなた、今、キスしたわね?」
「誰も見てはいない」
フラウムは辺りを見回して、そこが林の中であることに気づいた。
「こんなところで眠ったら、風邪を引いてしまうわ」
「フラウムを抱いていたから、温かだったよ」
フラウムの頬が紅くなる。
恥ずかしくて、この甘ったるい空気を変えなくてはと、フラウムは考えた。
傲慢に口を利いたら、少しは空気が変わると思ったフラウだったが、とうのシュワルツは照れているフラウムが可愛くて仕方がない。
「……お腹が空いたわ」
「行こうか?」
「ええ、あなた、とても目立つから、毛布を着ていた方がいいわ」
「フラウム、名前は呼んではくれないのか?」
「宮廷に着くまでは、あなたよ。容姿も名前も目立ちすぎよ」
シュワルツに手を借りながら、フラウムは立ち上がった。
「見えなくなっているのではないのか?」
「見えづらくなっているだけよ。顔が消えていたら、それこそ大騒ぎよ」
フラウムは林の中から出ようとして、シュワルツを振り返った。
「魔法を解いてくださらない?」
「解除」
シュワルツはわざわざ口に出して、笑いながら魔法を解除した。
人の気配が、一斉にしてくる。
「馬車は行ってしまったかしら?」
「眠った時間は3時間だよ。その時間に通ったなら、行き違いになった可能性もあるね。どちらにしろ、宮廷までは徒歩だ」
「どれくらいかかるのかしら?」
二人は並んで歩き出した。
「三日、四日、五日、五日かな?フラウムの歩の早さだとそれくらいになりそうだ」
「早く歩くわ」
「フラウムは騎士の訓練を積んではいない。山道を歩けるだけ、まだ早いだろう」
「五日もかかるのね。無事に到着できたらいいけれど」
予定通り馬車が動いていたら、今日、テールの都に到着したはずだ。
なかなか予定通りにいかない。
「フラウム、何が食べたい?」
「何が食べられそうなの?どれくらい賃金はあるの?」
シュワルツはポケットから銅貨を数枚取り出して、見せた。
お店に入って食べるほどはない。
早朝のこの時間に開いている店は、パン屋くらいしか思い浮かばない。
「五日分として考えれば、一食、パン一つ分くらいかな?」
「宿場町は、どれくらいあるの?」
「ここが最後だな」
「それなら、五日分のパンを買っていった方がいいのかしら?」
「そうだね」
「川はありそう?」
「今から山に入っていく。川はあるが、激流だ。天気次第か?」
シュワルツは空を見上げた。
お世辞にでもいい天気とは言えない。
朝から雲が垂れて、雪が降りそうだ。
「山なの?冷えるわね?」
「ということで、早めに行こう」
フラウムは、頷いた。
村まで歩いて、パン屋を探した。
小銭でできたてのバターロールを10個買うと、シュワルツが持ってくれた。
袋に入ったパンを一つ取り出すと、その一つをフラウムに手渡した。
シュワルツも一つ、取り出して、それを口にする。
「お行儀悪いが、歩きながら食べてくれ、暗くなるまでに安全な場所まで移動したい」
「はい」
フラウムは食べ歩きを初めてした。
パンを少しずつ食べる。できたてのパンは柔らかくて、まだ温かかった。
食べ終えると、シュワルツはブランケットをフラウムに着せた。
「あなたが着て、目立ってしまう」
「しかし、寒いだろう?」
「見つかって戦いなったら、わたしは足手まといになってしまうの。だから、お願い」
フラウムはブランケットを脱ぐと、シュワルツにマントのように着せた。
「寒いのに、すまない」
「歩いているから平気よ」
平気だと言っているフラウムの頬は寒さで紅くなっているし、指先も凍えるように冷たい。せめて、指先だけでも温めたくて、シュワルツは手を繋ぐと、ブランケットの中に入れた。
「危ないわ」
「今は平気だろう?少しは甘えてくれ」
「うん、本当は寒いの。あなたは温かいわ」
「フラウム、熱を出すなよ」
「気をつけるわ」
+
山道に慣れたフラウムも連日の慧眼の疲れ、昨晩の夜間歩行の疲れと寒さに、歩みが遅くなる。お昼のパンを食べた後から口数も減った。
「フラウム、平気か?」
「……うん」
フラウムは手を引いて歩かなければ、足が前に出ないようだ。
無理をさせている……と思っても、シュワルツには手段がない。
乗っていた馬車は、どうなったのか?
全滅したのだろうか?
テールの都から救援も来ない。
もしや、自分は皇帝から見捨てられたのか?と疑問も浮かんできた。
このまま宮廷に行っても大丈夫なのか?
皇帝からの暗殺依頼なら、誰も助けに来ないだろうし、宮廷に行けば殺される。
自分一人が殺されるならば、生まれのせいと諦めも付くが、フラウムまで巻き込むことはできない。
殺される心当たりは何もない。
ただ次期皇帝、皇太子になっただけだ。
捕らわれている第二皇子の方が、皇太子に相応しくなったのならば、皇太子の座ならくれてやるが、命まで狙われるのは、理不尽だ。況してや、愛してやまないフラウムを苦しめ、道連れにするなどあってはならない。
様子を見に行くにしても、フラウムを一人残して行くわけにもいかない。
先に、プラネット侯爵家を訪ねて、フラウムを安全な場所に保護してもらい、それから宮廷に行くか。
プラネット侯爵家まで、フラウムは歩けるか?
金貨の持ち合わせはない。
いつもは、上着の内ポケットに数枚入れておくのに、今回は自分で準備した物ではなかったので、それもない。銅貨が数枚入っていたのは偶然、前の任務の時に美しい紅玉を見つけて衝動買いしたからだ。誰かのプレゼントで買った物ではなくて、ただ、美しく惹かれた物だったのだ。今なら、その紅玉はフラウムにプレゼントしたいと思うが、その時は、特に誰かのために買った物ではなかった。
食事代も馬車賃もなく、愛する人を無茶なスケジュールで、山道を引きずるように歩かせて、情けない。
「フラウム、少し、休もう」
「大丈夫よ。手を引いてくれているから、歩けているでしょう。夕方までに安全な場所に着きたいの」
「それなら、行こうか?」
「うん」
儚げな微笑みを見て、胸が締め付けられる。
なんと情けない。
本来なら、今日、フラウムを母君に会わせてあげられたのに、命をかけて助けた母君に会いたかろうに、堪えるように笑みまで見せてくれる。
フラウムの手をしっかり握り治して、手を引く。
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