コピー使いの異世界探検記

鍵宮ファング

文字の大きさ
135 / 295
第6章 恋する乙女に花束を

第134話 蜂の刺客はマジヤバイ

【ダリア平原 馬車】
「ほぉ、マイ馬車持ちとは珍しい!それに調理舎まで完備されているとはぁ!」
「見てて楽しいか?ただの調理場だぜ?」
「それがいいんですよぉ!こんなピカピカ輝いている調理場なんて見た事がなぁい!宝石とか使ってるんですかぁ!」

 馬車に入れて早々、フラッシュは自分が正義の味方(仮)である事を忘れ、初めて見るキラキラの調理舎を見てはしゃいでいた。
 流石にはしゃぎすぎて馬鹿をやられると困る為、リュウヤはフラッシュの世話係をやっている。他の女の子にやらせると危険な事になりかねないから……

「ごめんなさい。ウチの脳筋が」
「あのおっさん、本当に近衛兵なのか?ただの変態やろ」

 このパーティに入って早々のナノに早速嫌われるとは、ある意味最強の男だ。フラッシュ。
 ただ、いつまでもあの変態に付き合ってもいられない。タクマとナノは、自分のギルドカードを見せた。
 ナノの適正武器は「槌、短剣」魔法は「地面、風、無」。ここを出る前に作ってきたが、やっぱりちゃんと適正武器と魔法が書かれている。改めて自分のカードがおかしい事を教えられる。

「俺はタクマ。そんで隣の猫娘が……」
「ノエちん、でしょ?」
「は、はい。いや~、アイドルになったから知名度ガン上げですね!ちょーヤバいって感じです!」

 チェイpもとい、ドン・チェイス監修だったからか、ノエルは清楚ギャルのような口調で自慢する。
 しかし、リオはその自尊心高めの発言に対し「皆トーナメント出場してたじゃない。それにあんなデカデカとしたライブ。忘れようにも忘れられないわよ」と、マジレス気味で返した。

「と、とにかく。その恋の魔術師に会えると言う合言葉を教えて欲しい」
「いいわ。その合言葉って言うのはね……」

 リオはタクマ達に合言葉を話そうとした。しかしその時、大地が揺れ出した。
 更に、危険薬物で溶かされた草の臭いがしてくる。

「て、敵襲でありんすか!?」
「こんな時に!?タイミングの悪い奴らよ」

【ダリア平原】

「これだよねぇ、ピアちゃん!」
「馬が勝手に馬車を引いてってるし、2両編成。間違いない、コレがアルルお姉ちゃんの言ってた奴だって。フォルテちゃん」

 蜂のような縞模様の服を着た2人のギャル娘は、周りを酸のようなもので溶かされて怯える馬を見て笑う。
 すると、その馬車から現れるタクマ達を見て、ピアと呼ばれた少女は「あ、アレ」と指を差す。

「お主ら、何者じゃ!」
「アレって、虫人じゃないですか?それもスズメバチ族の……」
「ムシビト?ただ蜂のコスプレした2000年代のギャルだろ。どう見ても」

 リュウヤは刀を構えながら、2人の虫人を見て言う。
 確かに、蜂のような縞模様の服を着ているが、よく見ると何処かの女子校のブレザー制服のようなデザインをしている。更に、ドリルとか、ユニコーンとか、とにかく尖ったような盛り盛り、クルクルの髪型。そして極め付けのルーズソックス。
 どこからどう見ても、ただのギャルだ。一つ彼女達を見分けられる違いを挙げるのであれば、ピアは赤いドリル髪。フォルテは青のクルクル髪。ぱっと見鬼かと思う。

「アタシらは、この辺でアルルちゃんの求めてる男を誘拐する為にやってきた、スズメバチ族のピアと」
「フォルテだょ!」

 2人は、ガラケーで写真を撮るかのように決めポーズを取った。多分彼女達がガラケーを持っていれば、「マジヤバ!」とかデカデカと描かれたプリクラを量産している事だろう。
 
「……いや、普通誘拐するのにデカデカと「誘拐」とか言わないでありんしょう」
「そうよ。それに、ウチの馬鹿はいらないから、好きなだけ持ってきなさい」

 そう言うと、リオはグルグルに縛ったフラッシュを2人の前に差し出した。

「ちょ、リオリオ……確かにこのおっさん嫌いやけど……」
「やりすぎですよぉ!お嬢様ぁ!」
「いや、それはマジでいらない。ない寄りのなし」
「ふぐぅ!」
「顔わかんないし、変な仮面だし、いらなーい」
「あびびぃ!」

 蜂娘も、生贄に捧げられたフラッシュを、人間以下の存在を見るような目で鋭い槍のような言葉を刺した。
 するとフラッシュは、縄を弾き飛ばし、草むらをグルグルとのたうち回り出した。

「と、とにかく。誰を狙っているのかは分からないが、やるしかないようでござる」
「そうみたいだね、吾郎爺」

 相手は誘拐する為なら手段は選ばない筈。言っちゃ悪いが、彼女達が戦わずに誘拐する作戦を思いつくような人には思えない。
 そう思っていると案の定、ピアとフォルテは、蜂のような槍と大きめのナイフを手に、タクマ達目掛けて襲ってきた。護衛的な事をする筈のリオ諸共。
 
「へへん。おいおい嬢ちゃん、包丁ってのはちゃーんと猫の手で使わねぇと、ケバいネイルごと指が切れちゃうぜ?」
「へぇ、ちょーヤバい反応速度じゃん!もしかして、アンタがタクマ?」
「何を言うておる!そやつはリュウヤじゃ!もう奥さん居るから求婚しても無駄じゃぞ~」

 メアは、ナイフで攻撃してくるフォルテを煽るように言う。するとフォルテは、「マジないわ~。サゲぽよ~」と言い、ピアが戦っているタクマの方に行こうとする。
 しかし、目にも留まらぬ速さで動いた筈が、行く手をおタツに阻まれる。

「ここからはウチらのフィールド。タクマさんの所へは行かしんせん」
「ウチも加勢するで。タっくんは絶対に渡さへん!」

 その頃、タクマの方も、ピアと武器を交えていた。

「キャハハ!なかなかやるじゃん!やっぱり誘拐はこうでなくっちゃ!」
「俺を誘拐したいのはよく分かったけど、俺を連れてって何する気なんだ!」

 タクマは、必死でピアの槍を剣で弾き、訳を訊く。するとピアは、クスクスと笑った後「食べる」と返した。
 その返答に、一瞬タクマは黙る。ん?食べる?それつまり……いやそのまんまだ。あの目を見ればわかる。A5ランク霜降りでも見るかのような目。言わずもがなだ。

「そんな事させるもんですか!それに、あんなの食べたらお腹壊しますよ」
「あんなのって。けど、確かに人肉は美味しくないわ」
「いやアンタ食った事あんの!?」
「ないに決まってるでしょ。アンタ馬鹿?」

 大袈裟なツッコミに、リオは涼しい声で答える。しかも美味しくないとまでノエルに言われる始末。確かに食べられるのは嫌だが、美味しくないと言われるとそれはそれで傷つく。

「若造の肉はまだまだ未熟。前菜に、拙者の老い肉はいかがでござる?」
「うっ!そんな紙みたいに薄っぺらい剣でアタシの槍を弾いた!?」
「4対1ではあるけど、メルサバ行く為に邪魔だから。ちゃっちゃと決めるわよ」

 リオはタクマを押し除け、ピア討伐チームのリーダーのように指揮を取る。他の3人は、それに乗り「アイアイサー」と返し、ピアへの攻撃を開始した。
 そうして、タクマ、ノエル、吾郎、リオの4人はピアを。メア、リュウヤ、おタツ、ナノの4人は、フォルテの相手をする事となった。
感想 2

あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

戦えない魔法で追放された俺、家電の知識で異世界の生存率を塗り替える

遊鷹太
ファンタジー
安全を無視したコスト削減に反対した結果、 家電メーカーの開発エンジニア・三浦恒一は「価値がない」と切り捨てられた。 降格先の倉庫で事故に巻き込まれ、彼が辿り着いたのは――魔法がすべてを決める異世界だった。 この世界では、魔法は一人一つが常識。 そんな中で恒一が与えられたのは、 元の世界の“家電”しか召喚できない外れ魔法〈異界家電召喚〉。 戦えない。派手じゃない。評価もされない。 だが、召喚した家電に応じて発現する魔法は、 戦闘ではなく「生き延びるための正しい使い方」に特化していた。 保存、浄化、環境制御―― 誰も見向きもしなかった力は、やがて人々の生活と命を静かに支え始める。 理解されず、切り捨てられてきた男が選ぶのは、 英雄になることではない。 事故を起こさず、仲間を死なせず、 “必要とされる仕事”を積み上げること。 これは、 才能ではなく使い方で世界を変える男の、 静かな成り上がりの物語。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!

モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。 突然の事故で命を落とした主人公。 すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。  それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。 「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。  転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。 しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。 そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。 ※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。