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向い合せの二組

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ルイ王国王都のラズ公爵家のタウンハウスの応接間。
既に家具の大半が運び出されソファーと机が有るのみであった。
机で向き合っている二組。

この屋敷の主であるラズ公爵家令嬢リーゼ。
そしてリーゼの婚約者であるマーズ王国王子のメイズ。

もう片方にはルイ王国王太子のマーカスを名乗る顔面を包帯で巻いている男。
マーカスの側近であるこの王国の騎士団長の子息であるダン。
同じく側近の大臣子息のオリ、 マーカスの執事のリチャード。

この二組の周囲には護衛の騎士達が大勢並んでいた。


「落ち着いて話し合いましょう、 何が何だか状況が一切分からない
こうも大勢でいると何が起こるか分からない
何が何だか分からないのに怪我は誰もしたくない、 そうでしょう?」

メイズが話し始めた。

「・・・ではまず初めはお前は誰だ?」

包帯男が最初に口を開いた。

「マーズ王国王子のメイズです、 貴方は?」
「この国の王太子マーカス」
「その包帯は何ですか?」
「黙れッ!!」

立ち上がる包帯男を諫めるダンとオリ。

「放せッ!! 二人共ッ!! 俺はリーゼを斬らねばならぬッ!!」
「落ち着いて下さい殿下!! 相手は一国の王子です!!」
「そうです!! 国際問題になります!! シーが帰った来ても問題が残りますよ!!」
「~~~~~~~~~~~~~ッ!!」

包帯男は座った。
彼は息を切らしていた。

「・・・シー子爵令嬢とは誰ですか? 初めて聞く名前ですが」
「シーは殿下の恋人です」
「あぁ、 不貞を行っていた相手ですか」
「~~~~~~~~~~~~~ッ!!」

メイズの言葉に再度激昂する包帯男を諫めるダンとオリ。

「王太子殿下、 具申致しますが王太子殿下は興奮なさっている模様
僭越ながら私からラズ公爵令嬢と王子殿下に御説明しましょうか?」

リチャードが提案する。

「良いだろうッ!! さっさと話せッ!!」

包帯男がどがっと座る。

「ではご説明させて頂きます
昨日の事です、 王太子殿下とシー子爵令嬢はお忍びで出かけました
その際に暴漢に襲われシー子爵令嬢が連れ去られたのです
王太子殿下はその際に傷を負い、 包帯を巻いているのです」
「連れ去られた・・・?」

怪訝そうな顔をするリーゼとメイズ。

「護衛は一体何をしていたのですか?」
「護衛は居ませんでした」
「「!!?」

リーゼとメイズは驚愕するのだった。

「殿下!? 貴方は何を考えているのですか!? 一国の王太子が護衛も付けずに出かけるなんて!!
リーゼこれはこの国では普通なのか!?」
「そんな事はありません!! 貴族令嬢令息が護衛無しで出歩くなんて自殺行為ですよ!?
リチャード!! 貴方は執事なのに何で止めなかったの!?」
「一度は止めましたが殺されかけたので二度と止めません」
「な・・・この国では執事は奴隷か何かなのか!?」

メイズが絶叫する。

「王太子殿下はこういう人です、 貴方も薄々分かっているのでは?」
「・・・そうだったな」

リーゼの言葉に自分はマーカスが何かすると思って婚約者を守る為に
この屋敷に来たのだとメイズは思い出した。

「しかしこっそりと護衛をつけるべきでは無かったのか?」
「国王陛下に具申申し上げましたが、 陛下は特に何もなさりませんでした」
「「・・・・・」」

恐らくマーカスは見捨てられたのだろうとメイズもリーゼも思った。

「・・・・・大怪我をしたのはお気の毒ですが
リーゼには何の関係も無いではありませんか、 何故こんなに大勢の騎士を連れて来たのですか?」
「決まっているッ!! シーを連れ去ったのはリーゼだろうッ!!」
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