完結【第7回ホラー・ミステリー小説大賞サスペンス応募作】宝石の行方

Mr.後困る

文字の大きさ
13 / 18

燃え上がる館

しおりを挟む
長距離馬車の御者であるフランクリンは王都の外れにある屋敷から火の手が上がっているのを見た。
直ぐにフランクリンは消防団に通報し、 消防団は鎮火に当たった。
とは言え既に屋敷は炎に包まれ、 聞こえる叫び声もか掠れ気味だった。
若い消防団員が無茶をして火の中に入り、 自身も火の手に巻かれながらも
やっと救出したのは既に炭化したいる人間だった。

「装飾からして良い身分の人だったんだろうな」
「可哀想に・・・見分けが全然つかないぞ・・・」
「酷いな、 もう炭じゃないか」
「・・・・・まだ生きてるのか?」

その一言に全員の背筋が凍った。
炭化している人間から声が上がったのだ。

「あ、 いや・・・えと・・・」
「・・・・・」

この男は数時間後に命を落とすまで意識が有ったという。





王城の一室ではルイ3世とロウとチェンが居た。

「調査の結果、 屋敷内には大量の揮発油ガソリンが大量に撒かれており
一気に点火されて屋敷全体が燃えたそうです
屋敷内の窓ガラスは全て頑強な枠組みと割れない様に鉄線が入っており
溶接迄してあります、 窓からの脱出は不可能
更にドアも重くて頑丈な物に入れ替えてあり開けるのには時間がかかります」

チェンが報告書を読み上げる。

「となると、 最初から閉じ込めて殺すつもりだったのか」

ロウが重苦しい顔で呟いた。

「その様ですね、 被害者達はカボン子爵の家臣団全員です」
「黒焦げなのに何故分かる?」
「歯形を確認しました」
「なるほど・・・」

ルイ3世は溜息を吐いた。

「カボンは?」
「救出され数時間は生きていた様ですが既に・・・」
「・・・・・これは事故か? 事件か?」
「恐らくは意図的かと、 不自然な量の揮発油ガソリン
不自然な改築、 まず間違い無く殺すつもりだったのでしょう」
「無理心中するつもりだったのか? それとも何者かにハメられた?」
「カボン子爵が揮発油ガソリンを買い漁っていたのは確かですし
屋敷の改築も子爵の指示です、 工務店から確認取れています」
「屋敷は? カボン子爵のタウンハウスとは別じゃないか」
「子爵の所有物件で間違い無いです」
「?????」

頭を抱えるルイ3世。

「まぁしかし「父上!!」

王太子のマーカスが部屋に乱入して来た。

「マーカスか? 何だ? 何用だ? 今忙しいのだが?」
「リチャードが居ません!!」
「リチャード? 誰だ?」
「私の執事です!!」
「首にした」
「何故!?」
「お前は廃嫡にして親戚筋から新しい王太子を選ぶ事にした
そんなお前に何時までも執事を付けるのは無駄だからな」
「なっ」
「おい、 部屋に押し込んで置け」
「父上!! 父上ッー!!」

マーカスは護衛に連れられて部屋に戻された。

「全く・・・」
「マーカス殿下は如何なさるつもりで?」
「良い使い道が思いつかん、 見てくれは良いから何処かの国に婿に出すか」
「それが良いでしょう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

婚約破棄、別れた二人の結末

四季
恋愛
学園一優秀と言われていたエレナ・アイベルン。 その婚約者であったアソンダソン。 婚約していた二人だが、正式に結ばれることはなく、まったく別の道を歩むこととなる……。

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

処理中です...