更新休止【異世界ファンタジー追放ざまぁハーレム主人公チート】デュエリスト・イン・ザ・ブロークンワールド【注釈付き】

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チャプター3:キル・トゥー・バード・ウィズ・ワン・ストーン

ラリー・デュエリスト

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再誕歴7700年ディセンバー5日。

ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセルの
ブリュッセル王宮にて呼び出されるヴォイドとチーズ。
待合室で待たされ隣同士になる二人。

「おやおや? アンタまで呼ばれるとは本格的に何で呼ばれたかわかんねぇな」
「・・・・・」

チーズの軽口を無視するヴォイド。
顔には焦燥が浮かんでいる。

「おいおい、 如何したんだよ」
「病気で借金漬けだった彼女が消えてしまった・・・」

涙を流すヴォイド。

「うん」
「彼女は昔から病気で・・・親の借金を返す為に・・・
色々と働いていたんだ・・・俺は会社の金で何とかしようとしたんだ・・・
でも急に消えてしまった・・・」
「それって普通に詐欺じゃないの?」
「そんな訳ない!! 彼女はそんな事をする人間じゃない!!」

チーズに掴みかかるヴォイド。

「彼女を探さなければ・・・」
「そうか、 大変だね、 他の連中は?」
「他?」
「フロッグとか」
「知るかよ・・・」
「あ、 っそ」
「御二方、 陛下が御待ちです」

王室付きのメイドが二人を案内する。
案内された所は謁見の間である。

「おやおや、 これはこれは・・・」

玉座にはベネルクス95世。
そして既に謁見の間には4人の男女。
ブリュッセル郊外ラーケンに本拠を構える
老舗決闘代行業【ベネルクス・ゴールド・ライオン】
代表、 元S級決闘者レオ・ベスカーマン。
ベネルクス国内最大手決闘代行業【シルバー・コイン】
社内決闘者序列1位、 S級決闘者ジョウゲン。
外国資本の決闘代行業【カッパー・インターナショナル】
社内決闘者序列1位、 S級決闘者エッフェル。
ベネルクス五大公爵の一人ルクセンブルク公爵の肝入りで起業した
決闘代行業【ルクセンブルク・インフェルノ・フェニックス】
社内決闘者序列1位AAA級決闘者ポイニクス。

「これはこれは雑魚の皆さんこんにちは」
「あぁん? 雑魚ぉ?」

ポイニクスがつっかかる。

「やめなせいよお嬢ちゃん」

ジョウゲンがポイニクスを止める。

「でもぉ」
「まぁまぁ落ち着きなさって、 所詮はそれなりの規模の会社
私達とは雲泥の差が有りますよ」
「会社の規模なら負けるが強さならば負けねぇよ」

チーズが尚も挑発する。

「んんー」
「陛下の御前です、 静粛にお願いします」

メイド達が制する。

「喋る前に一言言わせて頂きましょう」

ベネルクス95世が呟く。

「面とか兜とらないのですか?」
「取らないですね」

即答するチーズ。

「と言うかそこの女の方がヤバい※1 でしょ、 下着姿じゃんか」


※1:ヤバいとはヤバいと言う事である。


「下着じゃ無いですぅー、 水着ですぅー、 ビキニですぅー
アメリカ最新ファッションですぅー」
「アメリカ時代を先取りし過ぎて終わってんな
兎も角、 面と兜は取りません」
「・・・・・まぁ、 良いでしょう、 こちらの話を先にしましょうか」

ベネルクス95世は呆れながら話を進めた。

「ブラック・シンゲツ・コーポレーションに所属していたフェザーの事ですが」
「あ、 フェザーのクビ云々は俺は知りません
全部ヴォイドさんが勝手にやった事です」
「おい!!」

チーズに掴みかかるヴォイド。
そして払いのけるチーズ。

「いや、 マジで※2 マジで株主さん達に聞けばわかりますよ」


※2:真面目の略称。


「お前は『自分が居れば他の決闘者は要らない』って言ってただろうが」
「確かに言ったかもですけどねぇ、 首にしろなんて言って無いでしょ」
「貴様ッ!!」
「お黙りなさい」

ベネルクス95世が制する。

「ヴォイド、 フェザーを解雇した後、 如何しました?」
「し、 知りません・・・」
「貴方が消したのでは?」
「「「「「それは無い」」」」」

部屋に居た5人の決闘者(元含む)がシンクロした。

「フェザーを殺せる決闘者は限られている、 S級、 AAA級は確実
そしてそのクラスの決闘者ならば決闘ならまだしも暗殺を請け負う事をする理由が無い」
「その通り」
「・・・チーズ、 でしたか、 貴方が殺したのでは?」
「殺したなら殺したって言いますよ、 俺様は」
「・・・・・」

頭を抱えるベネルクス95世。

「まぁ良いでしょう、 フェザーの事ですから何処かで生きているでしょう
国外に出た形跡は無いですし、 国内を探せば見つかる筈・・・」
「陛下、 こちらも質問して宜しいでしょうか?」

チーズがベネルクス95世に問う。

「・・・・・何ですか?」
「俺様の方が強いのに何でフェザーを探しているのですか?
決闘者が必要なら俺様がやりますよ」
「あまり貴方とは関わり合いたく無いですね
貴方は態度が大き過ぎる、 そして性格が悪い」
「態度が大きくなるのは仕方ない
世界一強い決闘者は世界一態度がデカい、 これは自然の摂理※3
自然の摂理だから俺様は何一つ悪くない」


※3:不自然の代名詞たる人間が自然を語るとは如何なものか


「世界一強い決闘者、 か」

エッフェルがくっく、 と笑う、

「疑うのならば挑むが良い、 何時でも相手になろう」
「いや、 結構、 女王陛下からまだ本題が有る」
「本題? それは一体なんですか?」

ベネルクス95世を見るチーズ。

「・・・貴方が殺したヴォエンを知って居ますね」
「ドラゴンスレイヤー(笑)ですよね」

場の空気が一気に張り詰めた。

「・・・彼はドラゴニュート※4 との決闘も行い勝利して来た
隣国であるドラゴヴァニア※5 との領土問題解決の為の
国家間決闘にはドラゴヴァニアのドラゴニュートも恐れを抱き
最近はこちらに絡む事も無くなっていた」


※4:ドラゴンの特性を持つ獣人、 ドラゴンへの変身能力を持つ者もおり
戦闘能力はドラゴン以上と称される、 この世の最強種族候補の一角。

※5:小国ながらも国民の殆どがドラゴニュートで戦力が侮れない国家。
ヨーロッパ連合に加盟しており国家間決闘で領土問題を解決している、


「なるほど、 ヴォエンが死んで勘違いした蜥蜴擬き共が
領土寄越せとグダグダ言ってるから決闘して来いと言う事ですね」

チーズが要約した。

「・・・簡単に言えばそう言う事ですね」
「わっかりましたー、 契約書とかルールとかは如何なっています?」
「ルールはクラシカル※6 五連勝ち抜き戦※7 見せ合い無し無制限※8
日時はディセンバー12日0時、 場所はベネルクスフジ※9」


※6:勝利条件は相手の降参か
相手を殺すが気絶するかの戦闘不能にさせる最初期からあるルールの一つ。
デスマッチよりは多少有情だが採用するケースは少ない。

※7:決闘を行う者をそれぞれの陣営5人ずつ用意して順番に戦わせる。
勝った者は負ける迄交代はせず、 相手陣営を全員敗北させれば勝利。

※8:決闘が始まる前に使う武器を見せ合わず
どんな武器でも何個でも使用可能。

※9:ドラゴヴァニアに近い場所にあるベネルクス王国の山。
山頂付近が窪地になっており風を凌げるので居住する事が可能である。
山地でありながら農地としても活用されている。
一説ではオーディン12神の倭国侵攻において
退却時に追撃した来た富士山をサンダー・オーディンとビック・オーディンが迎撃し
二柱の犠牲の元、 富士山を砕き足止めに成功。
その砕かれた破片がベネルクスフジになったと言われる。


「報酬は?」
「元々は貴方がヴォエンを殺したからこうなっているのです
無償でやるのが筋でしょう」
「えー」
「えー、 じゃないですよ
貴方以外の4人を雇うお金がかかるのです
寧ろその分のお金を請求したい所です」
「あ、 俺様一人で5人抜きするんで他の連中要りませんよ」
「・・・ドラゴニュート5人相手に全勝?」
「はい、 俺様めっちゃ強いんで」
「・・・・・」
「良いんじゃ無いですかね」

ジョウゲンが割って入る。

「我々が付いて行って彼が5人抜きして我々の出番が無ければタダで良いですよ」
「だな、 もしも5人抜き出来る奴ならば
その戦いを見る事で強力なライバルの技を確認出来る、 金を払っても付いて行きたい」
「それはいーねぇ、 どうせ、 5人抜きなんて出来ないだろうし
もしも5人抜き出来たらタダで良いよ」
「ワシの若い奴の勉強になるだろう、 良いだろう、 乗った」

他の者達も後に続いた。

「ならば分かりました、 ではその条件で行って来なさい」
「了解しましたー、 じゃあ失礼しまーす」

スキップをしながら去って行ったチーズ。

「あ、 おい待て!!」

慌てて追いかけるヴォイド。



そして二人が居なくなった後の謁見の間に静寂が響く。

「あのチーズと言う男、 如何思います?」

ベネルクス95世が尋ねる。

「アレは化け物です、 流石にドラゴニュート5人抜きは厳しい
だがしかし2,3人は倒せるかもしれない」

レオが冷静に告げる。

「いや、 5人抜きもあり得なくは無いでしょう」

ジョウゲンが冷や汗を流しながら言った。

「何回か攻撃しようと思いましたが隙がまるでなかった
今までに無い強敵でした」

エッフェルが固唾を飲み込んだ。

「ちょっと過大評価し過ぎじゃ無いですねぇ」

ポイニクスが呆れた様に手を広げる。

「・・・フェザー・・・」

ベネルクス95世は心の頼りにしている男の名前を呟いた。
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