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エクストラチャプター:プリンス・レオポルド・テリブル・24アワー
トゥー・イン・ハーフ
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ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセル。
外側エリア外の開拓地区。
ブリュッセルの拡張の為に工事を進めているのだが
現代の大工達が過去の名工達には遠く及ばない為に設計作業は遅々として進まない。
1600年経つのにまだ基礎工事すら終わっていない。
「体の良いスラム街を作る言い訳、 か」
リャクがぽつりと呟く。
ブリュッセルで働く下働きを住ませる為のスラム街
それが現状のブリュッセル開拓地区である。
奴隷禁止を掲げているヨーロッパ連合としてはかなりギリギリなラインである。
奴隷では無いが奴隷でももっと良い場所に住めるだろう
自由は有っても金は無い連中である。
後に二度の大戦の後で激減したブリュッセル内の働き手や技術者を育てる為に
現在では住み込みで権利を確保される事になり
開拓地区はスラム街としての役割を終え
節約狂いか脛に傷持つもので無ければ住もうとは思わない場所になるのだが
それはまた別の話。
その時代でも相変わらず建設は進まないが
「まぁしかし思ったより治安は悪いな」
「そこの兄さん、 役人か?」
襤褸を着た男が尋ねる。
「平民が話しかけるな」
「悪いけどもここではそういうの関係無いから、 と言うか寧ろ貴族は嫌いだ」
「何で?」
「ここに住んでる貴族様が散らかしまくってるんだよ」
「・・・・・」
溜息を吐くリャク。
「そりゃ災難だ」
「災難じゃねぇよ災厄だ、 二本の剣を持った貴族様が夜な夜な人を斬り倒してる」
「そうかい、 じゃあ一応衛生局に連絡入れておいてやるよ
感涙を流して我を崇めるが良い」
「へへっー」
心にもない感謝の言葉とおじきを受け流しながらリャクは進んだ。
「ここか」
血にまみれた洞窟の様な、 家とも言えない場所にやって来たリャク。
「ちゃんと掃除くらいしておけよ・・・全く・・・」
洞窟の中に入るリャク。
「・・・・・あんのか、 持ち歩かないのか、 奴は」
刀架※1に掛けて有る二振りの短刀を見て溜息を吐く。
※1:刀を保管・飾るために掛けておく物、 刀掛けとも言う。
「なら待つか・・・・・本当に汚ねぇな、 ソファーに脱ぎっぱなしの服
ゴミだらけの床、 そもそも土壁じゃなくてマジの土、 よく崩れないな、 全く持って酷い家だ
お前よくこんな所住めるな」
「・・・・・リャク兄様? 何故ここに?」
家に帰って来たリョウが問いかける。
「お前を待ってたんだ、 そうでなければこんな所に態々来ない」
「それは・・・どのような御用件で?」
「あー、 良い、 ほら」
刀架から短刀を投げ渡すリャク。
「え? 何ですか?」
「その面だとどうせベルモンドの倅の所に仇討ちに行くつもりだろう?」
「・・・・・その通りです」
「じゃあ今からお前を殺すわ」
「何故ですか!!?」
「切腹したキョウの名誉の為に蒸し返すな」
そう言ってリャクが刀を抜く。
示現流の蜻蛉の構え、 振り下ろす袈裟斬りの構え。
「・・・・・」
リョウは頭の中でテラーの教えをリフレインさせる。
『負けた後は負けた後に考えれば良い』
リョウが二振りの短刀を抜いた瞬間。
真っ二つになった。
「え」「え」
左右の視界と声が別れ、 リョウは真っ二つになった。
「惨めなリョウよ、 キョウは確かに強者だった
妙な喋り方をするが面倒見も良かっただろう
慕うのは勝手だ、 だが我々はセルデンの息子、 奴のみに腐心してはならん
キョウとて、 こんな終わり方を望まなかっただろう
地獄でキョウに叱られてろ、 俺も何れ逝く」
そう言ってリャクは刀を振ってその場を去って行った。
ポールとジュンの壮絶な殴り合いによって互いに病院送りになり
更にリョウの死によって、 ハウバリン公爵の穏健派と過激派は互いに対立が激しくなった。
とは言え直接はやり合わない、 照明を落とす、 暴走した馬車を突っ込ませる
道端を歩いて居る際に人を上から落とす等である。
再誕歴7524年オーガスト28日。
ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセル。
内側エリア、 ベネルクス学生病院にて入院中のジュンが
メリーとシャンから報告を聞いていた。
「と言う事であります!!」
「大声は出さなくて良い、 しかし私の為に二人も来るとはな、 暇なのか?」
「いえ!! 病院食は味気ないと思いアップルパイを焼いて来ました!!」
そう言って包みを見せるメリー。
「・・・・・シャンが焼いたのか?」
「いえ!! 自分が焼きました!! 本来はシャンのみでしたが無理を言って付いて来ました!!」
「・・・・・・・・・・そうか」
叱るべきか否かを悩んだが、 病院食が味気ないのも事実。
アップルパイを頂く事にした。
「・・・普通に旨いな」
「講義に料理の授業が有ったので一緒に取ったのですがメリーは本当に呑み込みが良いんですよ」
「いえいえ!! 両親ともにセルデン領の兵士だったので自炊は得意なんであります!!
しかし菓子作りは初めてですが面白いですね!!」
「そうか・・・先程言ったが向こう側の攻撃には気をつけろよ」
「気をつけろって・・・抗議しないんですか?」
「しないだろう」
アップルパイを食べながらシャンが尋ね、 アップルパイを食べながらジュンが答えた。
「何故?」
「貴族の争いでは単なる牽制だ
一々抗議していたら話にならんよ・・・茶は無いのか?」
「!! し、 失念していました!! 今すぐ持って来ます!!」
ダッシュで走るメリー。
「・・・はぁ・・・」
溜息を吐くジュンだった。
外側エリア外の開拓地区。
ブリュッセルの拡張の為に工事を進めているのだが
現代の大工達が過去の名工達には遠く及ばない為に設計作業は遅々として進まない。
1600年経つのにまだ基礎工事すら終わっていない。
「体の良いスラム街を作る言い訳、 か」
リャクがぽつりと呟く。
ブリュッセルで働く下働きを住ませる為のスラム街
それが現状のブリュッセル開拓地区である。
奴隷禁止を掲げているヨーロッパ連合としてはかなりギリギリなラインである。
奴隷では無いが奴隷でももっと良い場所に住めるだろう
自由は有っても金は無い連中である。
後に二度の大戦の後で激減したブリュッセル内の働き手や技術者を育てる為に
現在では住み込みで権利を確保される事になり
開拓地区はスラム街としての役割を終え
節約狂いか脛に傷持つもので無ければ住もうとは思わない場所になるのだが
それはまた別の話。
その時代でも相変わらず建設は進まないが
「まぁしかし思ったより治安は悪いな」
「そこの兄さん、 役人か?」
襤褸を着た男が尋ねる。
「平民が話しかけるな」
「悪いけどもここではそういうの関係無いから、 と言うか寧ろ貴族は嫌いだ」
「何で?」
「ここに住んでる貴族様が散らかしまくってるんだよ」
「・・・・・」
溜息を吐くリャク。
「そりゃ災難だ」
「災難じゃねぇよ災厄だ、 二本の剣を持った貴族様が夜な夜な人を斬り倒してる」
「そうかい、 じゃあ一応衛生局に連絡入れておいてやるよ
感涙を流して我を崇めるが良い」
「へへっー」
心にもない感謝の言葉とおじきを受け流しながらリャクは進んだ。
「ここか」
血にまみれた洞窟の様な、 家とも言えない場所にやって来たリャク。
「ちゃんと掃除くらいしておけよ・・・全く・・・」
洞窟の中に入るリャク。
「・・・・・あんのか、 持ち歩かないのか、 奴は」
刀架※1に掛けて有る二振りの短刀を見て溜息を吐く。
※1:刀を保管・飾るために掛けておく物、 刀掛けとも言う。
「なら待つか・・・・・本当に汚ねぇな、 ソファーに脱ぎっぱなしの服
ゴミだらけの床、 そもそも土壁じゃなくてマジの土、 よく崩れないな、 全く持って酷い家だ
お前よくこんな所住めるな」
「・・・・・リャク兄様? 何故ここに?」
家に帰って来たリョウが問いかける。
「お前を待ってたんだ、 そうでなければこんな所に態々来ない」
「それは・・・どのような御用件で?」
「あー、 良い、 ほら」
刀架から短刀を投げ渡すリャク。
「え? 何ですか?」
「その面だとどうせベルモンドの倅の所に仇討ちに行くつもりだろう?」
「・・・・・その通りです」
「じゃあ今からお前を殺すわ」
「何故ですか!!?」
「切腹したキョウの名誉の為に蒸し返すな」
そう言ってリャクが刀を抜く。
示現流の蜻蛉の構え、 振り下ろす袈裟斬りの構え。
「・・・・・」
リョウは頭の中でテラーの教えをリフレインさせる。
『負けた後は負けた後に考えれば良い』
リョウが二振りの短刀を抜いた瞬間。
真っ二つになった。
「え」「え」
左右の視界と声が別れ、 リョウは真っ二つになった。
「惨めなリョウよ、 キョウは確かに強者だった
妙な喋り方をするが面倒見も良かっただろう
慕うのは勝手だ、 だが我々はセルデンの息子、 奴のみに腐心してはならん
キョウとて、 こんな終わり方を望まなかっただろう
地獄でキョウに叱られてろ、 俺も何れ逝く」
そう言ってリャクは刀を振ってその場を去って行った。
ポールとジュンの壮絶な殴り合いによって互いに病院送りになり
更にリョウの死によって、 ハウバリン公爵の穏健派と過激派は互いに対立が激しくなった。
とは言え直接はやり合わない、 照明を落とす、 暴走した馬車を突っ込ませる
道端を歩いて居る際に人を上から落とす等である。
再誕歴7524年オーガスト28日。
ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセル。
内側エリア、 ベネルクス学生病院にて入院中のジュンが
メリーとシャンから報告を聞いていた。
「と言う事であります!!」
「大声は出さなくて良い、 しかし私の為に二人も来るとはな、 暇なのか?」
「いえ!! 病院食は味気ないと思いアップルパイを焼いて来ました!!」
そう言って包みを見せるメリー。
「・・・・・シャンが焼いたのか?」
「いえ!! 自分が焼きました!! 本来はシャンのみでしたが無理を言って付いて来ました!!」
「・・・・・・・・・・そうか」
叱るべきか否かを悩んだが、 病院食が味気ないのも事実。
アップルパイを頂く事にした。
「・・・普通に旨いな」
「講義に料理の授業が有ったので一緒に取ったのですがメリーは本当に呑み込みが良いんですよ」
「いえいえ!! 両親ともにセルデン領の兵士だったので自炊は得意なんであります!!
しかし菓子作りは初めてですが面白いですね!!」
「そうか・・・先程言ったが向こう側の攻撃には気をつけろよ」
「気をつけろって・・・抗議しないんですか?」
「しないだろう」
アップルパイを食べながらシャンが尋ね、 アップルパイを食べながらジュンが答えた。
「何故?」
「貴族の争いでは単なる牽制だ
一々抗議していたら話にならんよ・・・茶は無いのか?」
「!! し、 失念していました!! 今すぐ持って来ます!!」
ダッシュで走るメリー。
「・・・はぁ・・・」
溜息を吐くジュンだった。
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