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第三章セレクトガチャ

第32話【暇潰し】

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「殿下~」

学園を歩いていると同級生の一人に声をかけられるピーマン。

「実は私の家で今度パーティするんですが殿下も如何ですか?」
「・・・・・止めておこう」
「如何してですか? 何か我が家に御不快な所でも?」
「パーティに着ていく服が無い」

殺し屋に払った手付金を捻出する為に手持ちの物は売り払ってしまっているのだ。

「ど、 如何したのですか?」
「・・・・・・・・・・・・孤児院に寄付する為に売り払った」
「そ、 そうだったんですか、 お優しいですね・・・」

咄嗟に嘘を吐くピーマン。
実際はそんな事をしていないのだが噂は広まりパーティの類には呼ばれなくなった。
パーティに呼ばれなくなった分、 カラシナと過ごす時間が多くなったピーマン。
しかし金欠の為にデートコースが散歩や談笑程度の物しか出来なくなった
毎回それでは不味いと感じたピーマンは時間を潰す為に
ミンチとお茶会をする事にしたのだった。
これならばお茶会の代金はミンチ側が持つし時間も潰せる
ミンチの事は嫌いだが殺すのだから多少は優しくしてやろうと
ピーマンは考えたのだった。

そしてピーマンはミンチとお茶会をしていた。

「・・・・・ミンチよ」
「何ですか殿下?」
「これは何だ?」

歪な形のクッキーを見せるピーマン。

「それは父が作ったクッキーです」
「・・・・・ミンチの父親が?」
「えぇ、 父が最近殿下が寄付を始めた事に感銘を受けて自分も寄付をすると
色々コストカットをしているのです、 その内の一環として
このお茶会のお菓子は全て父の手製です」
「ふぅむ・・・」

クッキーを口に運ぶピーマン、 形は歪だがちゃんとクッキーである。

「君の父上は立派な方だな」
「殿下が寄付を始めたからですよ、 このお茶も我が家で作った物です」
「ほう!!」

紅茶を一杯飲むピーマン。
ピーマンの舌では普通の紅茶との違いは分からない。

「旨いじゃないか」
「恐れ入ります」
「ミンチは寄付はしないのか?」
「私は投資先をESGに変更しました」
「・・・・・え? なんて?」
「投資先をESGにしました」
「・・・・・そ、 そうなのか」
「ご説明しましょうか?」
「い、 いや良い、 大丈夫だ、 クッキー旨いな」

慌てて静止してむしゃむしゃとクッキーを食べるピーマンだった。
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