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レストラン・スコヴィルの客

喧しい男(王子side)

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高級宿屋に併設されているカフェテラスに移動したサンライズとウルとスノー。

「カフェラテ、 甘くしてくれ、 お前達は?」
「紅茶、 ストレートで」
「私も紅茶を」
「何だ、 私が子供舌みたいじゃないか」

事実サンライズは子供舌である、 コーヒーが呑めない。
注文を取ったウェイトレスが下がった。

「・・・・・しかしここからでも見えるぞ、 入国審査の行列」
「そうですねぇ・・・折角のオープンテラスでもこれは・・・」
「おや? おやおやおやおやおやぁ? これはこれは奇遇だなぁ!!」

サンライズがうわ、 と言う嫌な顔をする。

「お久しぶりだなぁサンライズ殿下、 元気してたか?」

やや赤みかかった髪の毛の少し跳ねた髪の毛の身形の良い男がやって来た。
どかっ、 とサンライズ達と当然の様に相席する。

「あ、 俺はホットね、 アリアリで頼むわー」
「おい、 他に席空いてるだろ、 何で態々相席だよ」
「おいおい、 折角知り合いに会えたんだぜ?
少しは旧交を温めておきたいじゃないか」
「全く・・・」
「殿下、 この男、 誰ですか?」
「この国の第9皇子だよ」
「皇子!?」
「おいおい、 止しとくれ、 第9何て貴族程度の価値しかねぇんだぜ?」

ケラケラと笑う。

「おっと、 ツレとはお初か、 俺はウォーム・ボウル・ビアだ」
「ウル・ストロングです」
「スノー・ボルです、 殿下とは如何言った御関係で?」
「昔王国に留学していた時に遊んでやってたんだよ
つーかストロング? 話題の彼女の弟かなんかか?」
「話題?」
「ラビー・ストロングは今皇族の中でも話題だぜ?
俺は興味無いけど、 それよりもこんな所で如何したよ?」
「貴方こそ、 皇族がこんな国境で何をしているんですか?」
「ふっふーん、 俺は今シクラメンからの輸入品を扱う商人をやってるんだよ」
「皇族が? 商人?」
「あぁ、 俺は第9皇子だからほぼ帝位継承は無理だからな
皇族特権を存分に活用させて貰っているという訳だ」
「皇族特権?」
「俺は皇族特権で国境はほぼフリーパスで通れるんだよ
あの長ったらしい行列を無視して商隊で通れるんだ」

ガタッと立ち上がるサンライズ。

「お、 おい、 如何した?」
「ちょっとその商隊に紛れて我々もシクラメンに入国出来ないか?」
「良いぜ、 昔のよしみだ」
「ついでにウェーサーカ法国にまで連れてってくれないか?」
「それは昔のよしみでも駄目ー」
「まぁ無理か・・・」
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