ボッチと異端の花談義。ねぇなんで毎日となりのクラスから凸ってくるの?

名無し@無名

文字の大きさ
2 / 5

ブラック

しおりを挟む
▪️苦くて黒いアレ

「さてさて梨々香」
「…………」
「おーい、梨々香さんや?」
「…………」
「無視ですか? 一周回って無視ですか?」

 なんだよ一周回ってって。頭から最後まで無視してるじゃないか。

「梨々香さーん、り↑り↓か↓さーん?」
「クセのあるイントネーションやめれ」
「あ、起きた起きた! ねぇなんで無視するの? おこなの?」
「……シンプルに眠いの」
「なんで?」
「遅くまで漫画読んでたから」
「漫画読んでたの? それってなんて漫画? 楽しいやつ? それとも主人公は壁に囲まれた街で育って巨人に襲われてそこから右葉曲折あって調査兵団に入って獲物を屠るイェーガーッみたいな作品?」
(うぜぇ)

 反対側に顔を背けると回り込んで覗いてきやがる。コイツ、人の嫌がる事をする天才か?
そして最後だけ具体的なのは何故だ?

 さて、前置きが長くなりましたが皆さんこんにちは。私の名前は美都(みと)梨々香(りりか)と申します。名前だけでも覚えていってね!

「どうも、私は桜木(さくらぎ)愛(まな)です。ラヴと書いて愛(まな)です」
「だから人の脳内を読むなと」
「どぅへへ」
「笑い方キモッ」

 にぱっと明るい顔を見せる愛(まな)改めメタ子。
 相変わらず休み時間になると現れるが、コイツも実はボッチなのだろうか。

「で、何の用?」
「実は……大事な話があるんだ」
(ん? 少し様子がヘンだぞ?)

 テンションがジェットコースターなのはいつもの事だが、今日のメタ子はどこか雰囲気が違った。
 何かを抱えて悩んでいるかのような、メタ子には似合わない表情を浮かべていた。

「えっとね、見て欲しいのはコレなんだけど」
「……ん?」

 コトリと机に置かれた物体。それは堀の深いオジサンの顔が描かれた缶コーヒーだった。

「コーヒーだね」
「コーヒーだよ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……で?」
「え!? 分かんないかな?」

 分かるわけねぇだろう。
 何の変哲もない缶コーヒーを見せてきて私にどうしろというのだ。

「説明を求む」
「うむ! 仕方がないな梨々香は」
「なぜドヤる」
「ええとね、私は今日、紅茶を飲みたかったんだけど」
「うん」
「間違えてコーヒーを買ってしまったワケですよ。しかもブラック」
「うんうん」
「でね、買い直そうかと思ったんだけど、この期にブラックコーヒーにチャレンジしてみようと思ったのです!」
「……じゃあ飲めば?」
「冷たくない!? さっきから私に冷たくない!? 自動販売機の“つめた~い”より冷たいよ!! キンキンに冷えてやがるよ!」
「どんな比較だよ」

 それにキンキンするのはお前の声の方だバカやろう。
 相変わらずクラスの視線を悪戯に集めてくれやがる。やめてくれ、皆んなそんな哀れな目で私を見ないでくれ。悪いのは全部メタ子だよぅ。

「それで思ったの。私は苦いから飲んだ事のないブラックコーヒーだけど、世の中にはこれを美味しいと思ってる人もいるわけじゃん?」
「大人は好きな人多いね、知らんけど」
「でねでね、美味しく感じるのには何か理由があると思うんだよ」
「よく分からないけど、それが分かって何になるの?」
「私はただ、この間違えて買ったブラックコーヒーを美味しく飲みたいだけなの! カッコつけたくて買ってみたけど残した過去にバイバイしたいの!!」
「お前さっき飲んだことないって言ったじゃん。勝手にダウトしてんなよ」
「細かいことはいいんだよ!」

 机を叩くな。お前のテンションがピーキー過ぎて心配になるよ。

「ねぇ梨々香、私はどうすれば救われるの? この120円を対価に得た苦い汁をどうすればいいの?」
「苦い汁って言うな」
「あぁ、梨々香の言葉がコーヒーみたいに苦いよぅ」
「……はぁ、ちょっと待ってて」
「?」

 キョトンとするメタ子を残し、私は教室を後にした。

 二分後。

「はい」
「これは?」
「紅茶」
「見れば分かるよ」
「……コーヒーと交換」
「え?」
「私はブラック飲めるから交換しよって話」
「梨々香ブラック飲めるの!?」
「ずっと飲んでたら美味しく感じるようになったの。ほら早く」
「ありがとう梨々香! これで私の120円も報われたよぅ」
「はいはい……」

 喜んでくれて何よりだ。
 もっとも、ブラック=カッコいいという理由で飲み始めたのは同じだというのは黙っておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

処理中です...