陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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セナカヲ

私たちは水泳部③

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 その後も練習が進んでいき、気がついたら練習が終わっていた。加太さんがクラブの盛り上げ役って感じで練習を盛り上げていて、それにみんながついていくって感じ。

「どう?やっていけそう?」
「あっ、楓さん。」
「おつかれ。結構疲れたやろ?」
「まぁ、それなりには。でも、やっていけそうです。」

そうドリンクを飲みながら答えると、楓さんはふふっと笑った。

「真奈ちゃんと同じこと言ってる。やっぱ2人とも仲良すぎな!」
「そうですか?」

真奈のほうをチラッと見てみると目が合った。まじでそうなんや。

「早よダウン行ってき。明日もこんな練習やろうから疲れ溜めんようにせーへんと。」
「はい。」

 バカ兄が加太さんから聞いた話によると、楓さんは元選手らしい。だから、私たち選手のことをよく分かっていて、アドバイスが出来るようだ。

 ダウンを行き終わったら、プールサイドに上がって再度集合。また部長らしき人が喋る。

「これで練習を終わります。ありがとうございました!」
『ありがとうございました!』

まずは全員に一礼。そしてプールサイドに向いてまた一礼。そこまでは良かった。

『ありがとうございましたお疲れ様でした~!』

ほぼ早口言葉みたいな礼。かろうじて聞き取れるくらいの一文を、誰も噛まずに言う。

 そしてシャワーをバラバラに浴びに行く。プールサイドでそのまま喋っている人もいれば、ストレッチしている人もいて、ガヤガヤした空気が漂う。

 でも1つ違和感があった。それは、どこからも敬語が聞こえてこないこと。『〇〇先輩』とか『〇〇さん』とかそんな感じで呼んでいる人の方が少なくて、全員あだ名みたいな感じだ。

「楓さん楓さん!」
「ん?どうした?」
「このクラブって3年生しかいないんですか?」

私のその質問に楓さんは少し頭を傾げる。そして、何かに納得したように頷いた。

「うちのクラブって上下関係ほぼないんよね。あそこで奏と喋ってるのは2年の藍ってやつやし。今殴りかかっているのはタメやで。1年のパンパン。留年してん。」
「へ、へぇ~。」

私の脳が追いつかないほどの不思議な光景にショートしそうになる。なんでこんな感じなのに先生は静観してるんだろう。私たちの中学なら絶対注意されてるのに。

「まぁこんな感じがリレーん時とか応援の時の団結力に繋がってるから、先生も下手に口出し出来んみたい。行き過ぎたことは注意してるけど。」

楓さんはそう話しながら私たちにプロテインを渡してくる。

「アレルギーとか2人とも大丈夫やんな?これ、先生が大量に購入して消化せなあかんから飲んで。」
「はい。」
「ありがとうございます。」

キャラメル味のプロテインは初めてだ。味も想像出来ない。

「こんな感じやけど、居心地が悪いクラブではないから良かったら続けてみて。絶対楽しいから。」

楓さんはどこか寂しそうな目をしてそう言った。
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