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第16話:マクシミリアン様が私の部屋を訪ねてくる
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その夜。
私はドキドキしながらアラン様の寝室の前に立って、扉をノックした。
するとすぐにドアが開いた。
目の前にはポール様が立っておられた。
「やあ、フランソワーズ」
「あ、あの、なんでポール様がいらっしゃるんですか」
「明日、人間の使節が来るんだよ。例の人間の王国、ウロホリー王国との友好条約の交渉の件でさ。たった一人だけみたいだけどな。たった一人でこの吸血鬼城に乗り込んでくるとはなかなか度胸のある奴だな。まあ、友好条約交渉の最初の段階だから単なる下っ端かもしれないけどね。それで兄貴と最終打ち合わせをしてたのさ。じゃあ、俺はこれで。フランソワーズ、がんばって、兄貴を癒してやれよ」
ヘラヘラしながら、部屋から出て行くポール様。
そして、私は一礼して部屋の中に入る。
「失礼いたします、アラン様」
「ああ、フランソワーズか」
「あの、いつものように身体はきれいにしてきました」
「ああ、悪いけど、今夜はもう下がっていいよ」
アラン様の言葉にびっくりする私。
「あ、あの、アラン様、私になにか至らない点でもありましたのでしょうか」
「いや、君は別に悪くないし、関係ないんだ。ちょっと忙しくてね。明日のウロホリー王国との交渉の件もあるし、いろいろと考えなくてはいけないこともあってね」
そうか、まあ、吸血鬼国家連合評議会に出席されて、お疲れかもしれないなあと私は思った。仕方なく、部屋から出ようと思った時、例のタバコケースを思い出した。
「あの、アラン様」
「うん、なんだい、フランソワーズ」
「あの、実は陛下にお渡ししたいものがありまして」
そして、私は鉄製のタバコケースをアラン様にお渡しした。
「これはタバコケースじゃないか」
「はい、鏡をいただいたお礼として、あの私の給料では安い物しか買えなかったのですが、是非、陛下に使っていただければと思いまして。あの本当に安物で申し訳ありません」
「いや、大変嬉しいよ。ありがとう、大切するよ」
にこやかに笑ってくださるアラン様。
大切にする。
大切にしてくれるんだ。
嬉しい。
私は部屋を出て、また浮かれてしまう。
今夜は下がっていいと言われた時は、一瞬、もう私のことは飽きてしまったのかと思ってしまった。
けど、ちゃんと私のプレゼントを受け取ってくれたし、それに大切にしてくれるって言ってくれた。あまり、人に対してお世辞やら言わない方なので本心なんだろう。
私は階段を下りる途中、矢を発射するための狭間から身を乗り出して、アラン様の寝室を見る。窓を越えて、アラン様が寝室にも設置されている小机の上で仕事をされているのが見える。私はただじっとアラン様を見る。もう、見ているだけでいい。
すると、アラン様が黄金色、多分、金製かしら、その高級そうなタバコケースを机の中から取り出して、中身を私がプレゼントした鉄製のタバコケースに入れ替えている。ああ、ちゃんと使ってくださるんだ。そして、しばし私が贈ったタバコケースを眺めているアラン様。何を考えていらっしゃるのかしら。もう、それだけでドキドキしてしまう私。そして、アラン様は胸のポケットに私の贈り物のタバコケースを入れた。
私は嬉しくて飛び跳ねそうになった。もしかしたら、私が部屋を出たら、こんな安物いらないって感じでゴミ箱にポイッと捨てるかもしれないとも考えたんだけど。
嬉しい!
私は浮かれたまま部屋に戻る。
ちょっと、スキップしながら廊下を歩いていると、私の部屋の前に大柄な人物がいる。
国王警備隊長のマクシミリアン様だ。
私は浮かれた気分がふっ飛んで、立ち止まってしまった。
怖くて、なかなか声が出ない。
すると、マクシミリアン様から私に声をかけてきた。
「こんばんは、フランソワーズ」
マクシミリアン様に話しかけられたのは、取り調べ以外では初めてだ。
「……こ、こんばんは、マクシミリアン様」
「いや、君が国王陛下の部屋から出るのを偶然見てね。どうやら、今夜は国王陛下はいろいろと忙しいようで、君もすぐにこの部屋に戻って来ると思って待っていたんだがね」
「あ、あの、私に何かご用でしょうか」
「部屋の中で話してもいいかな」
私はマクシミリアン様を部屋の中に入れた。
何だろう、私は怖くなった。
この方は、私を捕まえた人なんで、その時の恐怖がよみがえってしまう。
マクシミリアン様は部屋の中に入ると、私の机の上の薔薇を見てびっくりした顔をした。
「これは確か国王陛下がお妃さまのヴァネッサ様に贈った花じゃないか」
「ええ、そうです」
「何で君が持っているんだね」
どうしようかなあ、ポール様には本当の事を言ったけど、ここは一応公式見解を話すことにした。
「あのヴァネッサ様が余っているからって、私にくれたんです」
「いや、これは大変貴重なものなんだけど。これは国王陛下が愛の証としてヴァネッサ様に贈ったものなんだけどなあ。うーん、そうか、アラン様は、そういうわけか」
なんだか、やけに延々と考えているマクシミリアン様。
「あ、あの、その薔薇が問題なのでしょうか」
「いや、すまん。この花は関係ない。君が所持している銀のナイフを見せてほしいんだが」
「はい、けど、吸血鬼の方には危険なものではないでしょうか」
「そうなんだよ。だから机の上に置いてくれないか」
私はポケットから銀のナイフを取り出して机の上に置いた。
それをじっといろんな方向から眺めるマクシミリアン様。
「うーん、思ったより小さいものだな。君の暗殺部隊は全員同じものを持っていたのか」
「はい、そうですが、あの、確か、マクシミリアン様はこのナイフとか使って銀に対抗できる武器や防具を作ろうとしたと聞きましたが」
「うん。まあ、結局、廃棄されてしまったがな。ただ、部下にまかせていたんで、このナイフはじっくりとは見たことはなかったんだ」
依然として、ナイフをさわらずに見ているマクシミリアン様。
「国王陛下暗殺未遂の時の君たちの作戦は国王陛下の心臓を狙って、このナイフを投げるってことだったよな」
「はい、そうですが……あ、あの、マクシミリアン様、私は今はそんなこと全然考えていませんが」
「わかってるよ、今までもいくらでも機会はあったはずだもんな。それにしても、この大きさのナイフだったらどこにでも隠せる。ただ、このナイフは柄の部分も銀製だなあ」
「そうですね、全体が銀製です」
「すると、吸血鬼にはさわれないわけだなあ、さわれるとしてもほんの一瞬くらいか」
また、何か悩んでいるようなマクシミリアン様。
「あの、もしかして紛失した銀のナイフの件でしょうか」
「あれ、君は知っているのか」
「ええ、ポール様に聞かれました。何かこのナイフに仕掛けがあるのかどうかとか」
「そうか、なにせ紛失したのは大失態なんだよ。もし、誰かが国王陛下に投げたりしたら大変だ」
「あの、私の仲間はアラン様にナイフを投げたのですが、全部、叩き落されてしまって返り討ちになったんですが」
「そうだったな。ただ、間近に近づいて油断させることできる人間なら簡単に心臓に刺して、国王陛下を殺害できるわけだ」
私を見ながらマクシミリアン様が言った。
「あ、あの、マクシミリアン様、さっきも言いましたが、私は国王陛下を殺そうなんて、もう、思ってません!」
「いや、だから、わかってるよ、君は疑っていない。ただ、ポール様には怒られるし、明日の人間の使者との面会では失敗は許されないんだよ。使者の名前はオーギュスタンと言うんだが君は知ってるかね」
「いえ、外交関係の方は全く知らないです」
「ただ、もしかしたら政府内で会った可能性はあるよな。もしかしたら、軍の関係者が外交担当者のふりをしているかもしれない。そして、国王陛下の命を狙うかも。君もウロホリー王国の軍にいたんだから会った可能性もある。明日、中庭で、その使者が国王陛下と面会して、簡単な昼食会があるのだが、ちょっとそいつの顔を事前に確認してもらいたいんだが。そして、このことは秘密にしてほしい」
「わかりました。けど、あの失礼ですが、なんでマクシミリアン様がわざわざ私の部屋まで来て依頼されるのですか。別に部下の方、もしくはポール様を通じてでもいいと思いますけど。ポール様は一応防衛担当ですよね」
すると、また難しい顔をするマクシミリアン様。
「いや、もし国王陛下がいなくなって誰が得するかと考えると、ポール様になるんだよなあ。アラン様にはお子様がいないから、次期国王は弟のポール様が有力候補ってことになる」
「えー! ポール様に限ってそれはないと思いますけど。ポール様には失礼ですが、王様になるより遊んでいる方が好きって感じがしますが」
「私もそう思うが、今日も急に呼びつけられて怒鳴られたし、どうもいつもと雰囲気が違うなあと思ってなあ。それで直接、君のとこに来たってわけだ。まあ、明日はよろしく頼むよ」
そう言って私の部屋を出て行かれるマクシミリアン様。
それにしても、なんでみんな私に聞いてくるのかしらと考えたら、人間の国のことを知っていて、国王暗殺計画に関わって、その訓練まで私は受けたんだよなあ。私はアラン様暗殺未遂に関わった重罪人なんだ。酷い拷問の末、処刑されてもおかしくない存在なんだとあらためて思い出した。
生きているのが奇跡なんだ。生きていられるのはアラン様のおかげだ。吸血鬼城でメイド生活を続けているうちにすっかり忘れてしまっていた。
私は静かになるべく目立たないように暮らしていくしかないのかなあと思った。
けど、それでもいい。
アラン様さえ、私のことを相手にしてくれれば、他には何もいらない。
いや、相手にしてくれなくてもいい、遠くからアラン様を見てるだけでもいいと私は思った。
私はドキドキしながらアラン様の寝室の前に立って、扉をノックした。
するとすぐにドアが開いた。
目の前にはポール様が立っておられた。
「やあ、フランソワーズ」
「あ、あの、なんでポール様がいらっしゃるんですか」
「明日、人間の使節が来るんだよ。例の人間の王国、ウロホリー王国との友好条約の交渉の件でさ。たった一人だけみたいだけどな。たった一人でこの吸血鬼城に乗り込んでくるとはなかなか度胸のある奴だな。まあ、友好条約交渉の最初の段階だから単なる下っ端かもしれないけどね。それで兄貴と最終打ち合わせをしてたのさ。じゃあ、俺はこれで。フランソワーズ、がんばって、兄貴を癒してやれよ」
ヘラヘラしながら、部屋から出て行くポール様。
そして、私は一礼して部屋の中に入る。
「失礼いたします、アラン様」
「ああ、フランソワーズか」
「あの、いつものように身体はきれいにしてきました」
「ああ、悪いけど、今夜はもう下がっていいよ」
アラン様の言葉にびっくりする私。
「あ、あの、アラン様、私になにか至らない点でもありましたのでしょうか」
「いや、君は別に悪くないし、関係ないんだ。ちょっと忙しくてね。明日のウロホリー王国との交渉の件もあるし、いろいろと考えなくてはいけないこともあってね」
そうか、まあ、吸血鬼国家連合評議会に出席されて、お疲れかもしれないなあと私は思った。仕方なく、部屋から出ようと思った時、例のタバコケースを思い出した。
「あの、アラン様」
「うん、なんだい、フランソワーズ」
「あの、実は陛下にお渡ししたいものがありまして」
そして、私は鉄製のタバコケースをアラン様にお渡しした。
「これはタバコケースじゃないか」
「はい、鏡をいただいたお礼として、あの私の給料では安い物しか買えなかったのですが、是非、陛下に使っていただければと思いまして。あの本当に安物で申し訳ありません」
「いや、大変嬉しいよ。ありがとう、大切するよ」
にこやかに笑ってくださるアラン様。
大切にする。
大切にしてくれるんだ。
嬉しい。
私は部屋を出て、また浮かれてしまう。
今夜は下がっていいと言われた時は、一瞬、もう私のことは飽きてしまったのかと思ってしまった。
けど、ちゃんと私のプレゼントを受け取ってくれたし、それに大切にしてくれるって言ってくれた。あまり、人に対してお世辞やら言わない方なので本心なんだろう。
私は階段を下りる途中、矢を発射するための狭間から身を乗り出して、アラン様の寝室を見る。窓を越えて、アラン様が寝室にも設置されている小机の上で仕事をされているのが見える。私はただじっとアラン様を見る。もう、見ているだけでいい。
すると、アラン様が黄金色、多分、金製かしら、その高級そうなタバコケースを机の中から取り出して、中身を私がプレゼントした鉄製のタバコケースに入れ替えている。ああ、ちゃんと使ってくださるんだ。そして、しばし私が贈ったタバコケースを眺めているアラン様。何を考えていらっしゃるのかしら。もう、それだけでドキドキしてしまう私。そして、アラン様は胸のポケットに私の贈り物のタバコケースを入れた。
私は嬉しくて飛び跳ねそうになった。もしかしたら、私が部屋を出たら、こんな安物いらないって感じでゴミ箱にポイッと捨てるかもしれないとも考えたんだけど。
嬉しい!
私は浮かれたまま部屋に戻る。
ちょっと、スキップしながら廊下を歩いていると、私の部屋の前に大柄な人物がいる。
国王警備隊長のマクシミリアン様だ。
私は浮かれた気分がふっ飛んで、立ち止まってしまった。
怖くて、なかなか声が出ない。
すると、マクシミリアン様から私に声をかけてきた。
「こんばんは、フランソワーズ」
マクシミリアン様に話しかけられたのは、取り調べ以外では初めてだ。
「……こ、こんばんは、マクシミリアン様」
「いや、君が国王陛下の部屋から出るのを偶然見てね。どうやら、今夜は国王陛下はいろいろと忙しいようで、君もすぐにこの部屋に戻って来ると思って待っていたんだがね」
「あ、あの、私に何かご用でしょうか」
「部屋の中で話してもいいかな」
私はマクシミリアン様を部屋の中に入れた。
何だろう、私は怖くなった。
この方は、私を捕まえた人なんで、その時の恐怖がよみがえってしまう。
マクシミリアン様は部屋の中に入ると、私の机の上の薔薇を見てびっくりした顔をした。
「これは確か国王陛下がお妃さまのヴァネッサ様に贈った花じゃないか」
「ええ、そうです」
「何で君が持っているんだね」
どうしようかなあ、ポール様には本当の事を言ったけど、ここは一応公式見解を話すことにした。
「あのヴァネッサ様が余っているからって、私にくれたんです」
「いや、これは大変貴重なものなんだけど。これは国王陛下が愛の証としてヴァネッサ様に贈ったものなんだけどなあ。うーん、そうか、アラン様は、そういうわけか」
なんだか、やけに延々と考えているマクシミリアン様。
「あ、あの、その薔薇が問題なのでしょうか」
「いや、すまん。この花は関係ない。君が所持している銀のナイフを見せてほしいんだが」
「はい、けど、吸血鬼の方には危険なものではないでしょうか」
「そうなんだよ。だから机の上に置いてくれないか」
私はポケットから銀のナイフを取り出して机の上に置いた。
それをじっといろんな方向から眺めるマクシミリアン様。
「うーん、思ったより小さいものだな。君の暗殺部隊は全員同じものを持っていたのか」
「はい、そうですが、あの、確か、マクシミリアン様はこのナイフとか使って銀に対抗できる武器や防具を作ろうとしたと聞きましたが」
「うん。まあ、結局、廃棄されてしまったがな。ただ、部下にまかせていたんで、このナイフはじっくりとは見たことはなかったんだ」
依然として、ナイフをさわらずに見ているマクシミリアン様。
「国王陛下暗殺未遂の時の君たちの作戦は国王陛下の心臓を狙って、このナイフを投げるってことだったよな」
「はい、そうですが……あ、あの、マクシミリアン様、私は今はそんなこと全然考えていませんが」
「わかってるよ、今までもいくらでも機会はあったはずだもんな。それにしても、この大きさのナイフだったらどこにでも隠せる。ただ、このナイフは柄の部分も銀製だなあ」
「そうですね、全体が銀製です」
「すると、吸血鬼にはさわれないわけだなあ、さわれるとしてもほんの一瞬くらいか」
また、何か悩んでいるようなマクシミリアン様。
「あの、もしかして紛失した銀のナイフの件でしょうか」
「あれ、君は知っているのか」
「ええ、ポール様に聞かれました。何かこのナイフに仕掛けがあるのかどうかとか」
「そうか、なにせ紛失したのは大失態なんだよ。もし、誰かが国王陛下に投げたりしたら大変だ」
「あの、私の仲間はアラン様にナイフを投げたのですが、全部、叩き落されてしまって返り討ちになったんですが」
「そうだったな。ただ、間近に近づいて油断させることできる人間なら簡単に心臓に刺して、国王陛下を殺害できるわけだ」
私を見ながらマクシミリアン様が言った。
「あ、あの、マクシミリアン様、さっきも言いましたが、私は国王陛下を殺そうなんて、もう、思ってません!」
「いや、だから、わかってるよ、君は疑っていない。ただ、ポール様には怒られるし、明日の人間の使者との面会では失敗は許されないんだよ。使者の名前はオーギュスタンと言うんだが君は知ってるかね」
「いえ、外交関係の方は全く知らないです」
「ただ、もしかしたら政府内で会った可能性はあるよな。もしかしたら、軍の関係者が外交担当者のふりをしているかもしれない。そして、国王陛下の命を狙うかも。君もウロホリー王国の軍にいたんだから会った可能性もある。明日、中庭で、その使者が国王陛下と面会して、簡単な昼食会があるのだが、ちょっとそいつの顔を事前に確認してもらいたいんだが。そして、このことは秘密にしてほしい」
「わかりました。けど、あの失礼ですが、なんでマクシミリアン様がわざわざ私の部屋まで来て依頼されるのですか。別に部下の方、もしくはポール様を通じてでもいいと思いますけど。ポール様は一応防衛担当ですよね」
すると、また難しい顔をするマクシミリアン様。
「いや、もし国王陛下がいなくなって誰が得するかと考えると、ポール様になるんだよなあ。アラン様にはお子様がいないから、次期国王は弟のポール様が有力候補ってことになる」
「えー! ポール様に限ってそれはないと思いますけど。ポール様には失礼ですが、王様になるより遊んでいる方が好きって感じがしますが」
「私もそう思うが、今日も急に呼びつけられて怒鳴られたし、どうもいつもと雰囲気が違うなあと思ってなあ。それで直接、君のとこに来たってわけだ。まあ、明日はよろしく頼むよ」
そう言って私の部屋を出て行かれるマクシミリアン様。
それにしても、なんでみんな私に聞いてくるのかしらと考えたら、人間の国のことを知っていて、国王暗殺計画に関わって、その訓練まで私は受けたんだよなあ。私はアラン様暗殺未遂に関わった重罪人なんだ。酷い拷問の末、処刑されてもおかしくない存在なんだとあらためて思い出した。
生きているのが奇跡なんだ。生きていられるのはアラン様のおかげだ。吸血鬼城でメイド生活を続けているうちにすっかり忘れてしまっていた。
私は静かになるべく目立たないように暮らしていくしかないのかなあと思った。
けど、それでもいい。
アラン様さえ、私のことを相手にしてくれれば、他には何もいらない。
いや、相手にしてくれなくてもいい、遠くからアラン様を見てるだけでもいいと私は思った。
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