旧校舎の地下室

守 秀斗

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第22話:いろいろと京野に聞く

 他にも気になってたことを京野に聞いてみる。

「それで、今は例の叔母さんと一緒に住んでるのか」
「いや、一人で住んでるの。叔母さんはいい人なんだけどね。私が監禁されていたって信じてるの。だから、かわいそうに思ったのか、私を養子にして名字も変えることになったし、アパートも用意してくれたの。それに精神的にまずかろうと留年もさせてくれたわ。だから一年遅れたんだけど。まあ、私は平気だったんだけどね。ヒマなんで脱毛しちゃった。何だか子供の頃から裸を見ていたので、あそこのアンダーヘアとか脇毛とかが気になってね。子供のころは何も無くてきれいだったのにと思ってエステサロンに行ったの。半年もかかったわ、おまけに痛かったけどね。まあ、自分では満足。渡部君もしたら」
「いや、俺は自分の裸に自信はないよ、京野さんみたいにさ。裸を映してうっとりするとか出来ないなあ」
「やだ、そんなにナルシストじゃないわよ、そんな変な女じゃないわ。性奴隷になることを妄想してただけ」

 性奴隷になることを妄想する女よりナルシストの方がよっぽど変じゃないぞと思ったが黙っていた。

「ただ、叔母の娘さんに嫌われちゃってね。長女は私に同情してくれたんだけど、次女の方がね……」
「え、何で」
「……父親と寝ていた不潔な女だって。気持ち悪いって面と向かって言われちゃった。でも、今、私がやっていることを見れば不潔どころじゃないかもね。完全に変態だもん。娘さんに嫌われても仕方が無いってことね。自分の拘束された姿を撮影して、喜んでいるんだもん」

 京野は一人暮らしのアパートでいつも変態行為をしていたのかなあ。ちょっと想像してみる。一人で毎日慰めていたのか。何だか、変態と言うよりも寂しい感じがしてきた。いや、一人とは限らないぞ。恋人がいるんじゃないのか、こんな美人を周りはほっておくものだろうか。急に気になって、京野に聞いてみた。

「京野さんって彼氏とかいんの」
「いないわよ」
「今までも」
「いたことないわ」

 ふーん。こんな美人なのになあ。まあ、かなりの変態女だけど。

「告白されたこともないの」
「えーと、今の高校に転校した時に、同じ学年のある男子生徒にすぐに告白されたけど、びっくりして断っちゃった」
「なんでびっくりしたの」
「初めてだもん。ずっとみんなから無視されてたから。まあ、私の変態趣味を知ったら多分別れることになったから、断って良かったと思うわ」

 こんだけの美人ならやはり告白されることはあるんだろうな。そして、京野に聞かれた。

「渡部君はどうなの」
「いないよ、彼女なんて。俺は真性童貞さ。でも、そんな奴腐るほどいるだろ」

 ちょっと自嘲的に言った。相手は変態だから童貞とか経験してるとかしてないとか関係ないだろって感じだね。普段なら、ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ! ってきょどって言うだろうけど。でも、今は本当のことを全部言えるぞ、相手はハイパー真性変態だからな。

「ふーん、友達はどうなの」
「え、友人かあ」

 大谷の顔が浮かんできた。

「高校には一人もいないよ。でも、中学時代の奴なら一人いる。交通事故で今、入院してるけど」
「そうなの、友達がいるんだ。いいなあ……」
「京野さんは友達はいないの」
「全くいない……」

 ちょっと暗い顔をする京野。そう言えば、ずっと虐めに遭ってたんだよなあ。また憂鬱そうな顔をしている京野を見て話題を変える。

「えーと、それで、今も檻にはいってるの、アパートで」
「もう、やめたわ。ちょっと趣味が変わったのよ」
「……その、裸で撮影するって行為が好きになったのか」
「そういうことね。じゃあ、私は帰る。渡部君の勉強の邪魔しちゃ悪いもんね」

 さっさと荷物をまとめる京野。そして、ちょっと甘えた感じで俺に言った。

「来週もいいかしら……だめ?」
「あ、別にいいよ」
「ありがとう」

 にっこり笑って、京野は帰って行った。俺は自分の部屋で京野の事件について考える。檻に入って男たちにおもちゃにされるのを妄想してた変態女か。でも、実際にされるのは嫌。当たり前か。妄想と現実は違うもんな。

 しかし、父親も酔ってたとは言え、我慢しろよ。それともストレスが溜っていたのか、娘の変態行為に頭がおかしくなったのか。母親も何も刺し殺すことはないだろう。いや、殺す気はなかったのかもなあ。物の弾みってやつか。なんにしろ、原因は京野の変態趣味だよなあ、本人に悪気は全くないのだろうけど。誰しも、妄想はするだろうけど、京野はかなりの変態だなあと俺は思った。女子生徒の机に体液を出した俺は非難できないけど。

 でも、いずれはあんなことはやめるんじゃないかと思った。叔母さんの長女が働いているヨガ教室の仕事を手伝うらしい。忙しくなって、鏡に自分の変態行為を映してうっとりなんてヒマも無くなるんじゃないか。それに、檻に入るのはやめたって、多分、飽きたんじゃないか。何事もいつかは飽きるもんなあ。じゃあ、精神的におかしくなるとかはないのか。ほっておいてもいいってことになるなあ。

 あれ、俺はさっき、美人女子高生がいやらしいボンデージファッションを着て、おまけにお尻を高々と上げたその女の子の黒いショーツをずり下げたんだよな。目の前にはびしょ濡れのあそこが見える。いつもならすぐに自分でティッシュペーパーにいっぱい出しているはずなのに。なんだか、京野の変態行為にも慣れてしまったんだろうか。見てるときは興奮してたんだけどなあ。それとも、監禁事件の真相を聞いて呆れてしまったのだろうか。

 さて、勉強でもするかな。あまり、京野のことは考えないほうがいいかもしれん。机の隅に置いてあるペットボトル。京野が口をつけたものだ。そして俺も。捨てようかなあと思ったが、まあ、なんとなく貯金してたら少したまってきた。そのままにしておくか。青春の思い出、変態の思い出にな。

 でも、いつまで続けるつもりなんだろう、京野は。一応、俺に遠慮しているようだったけどなあ。でも、この地下室は使い勝手がよさそうだよな、変態には。しかし、受験間際になったら、ちょっと遠慮してほしいと思う。で、その後はどうなるんだろう。お互い、俺は大学、京野は就職ってことでこの変態活動も終わりってことになるのかね。帰宅部ならぬ変態部。

 でも、何度も考えるが俺は京野のことが好きなんだよなあ。変態だけど美人だし、俺と同じようにハブられてるし。まあ、机に出した変態男は相手にしてくれないだろうけどとまたいつもと同様のことを俺は思った。
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