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第2話:宿屋の部屋で吐いちゃった
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慌てて、あたしは宿屋へ全速力で帰る。
息が切れるー!
体中、汗ダラダラ。
宿屋の裏口について、壁をよじ登り、窓から二〇四号室に飛び込む。
パーティのみんなが、階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
二〇四号室と二〇三号室の中扉の鍵を開けようとするが、焦ってうまくいかない。
いちいち閉めなきゃ良かったあ!
やばい!
どうにか開けて二〇三号室に飛び込み、あたしが寝ているはずの二〇二号室への中扉を開けようとするが、また閉まってる。
いちいち、きちんと中扉の鍵を閉めておく、あたしのバカ!
みんなが二階の廊下に到着したみたい。
何とか開けて、二〇二号室のベッドに汗びっしょりで布団に滑り込んだ。
おっと、さっき市場でくすねたリンゴはベッドの上から、部屋の隅のカゴに投げ入れる。
ナイスシュート!
部屋の廊下側の扉が開く。
あたしは寝たふり。
アデリーナさんとサビーナちゃんが入ってきた。
セーフ! のはずが、たらふく食った後に、お酒を飲んだ上、全速力で走ったおかげで気分が悪くなった。おまけに、あたしはお酒は好きだけど、実はあまり強くない。
吐きそう!
やばい!
うーん、我慢、我慢。
ああ、我慢できない。
「オエ!」
あたしは起き上がり、床に思いっきり吐いちゃった。
ああ、やばい、どうしよう。
びっくりするアデリーナさんとサビーナちゃん。
「プルム、大丈夫」
アデリーナさんが近づき、あたしの顔を見てびっくりする。
「汗びっしょりじゃないの」
「だ、大丈夫です」
あたしは必死に誤魔化そうとする。
「もしかしてプルムさん、傷が化膿とかして、熱が出ているんではないでしょうか」
サビーナちゃんが心配してくれた。
優しいなあ、サビーナちゃん。
「シーツがすごく濡れてる」
アデリーナさんがベッドをさわって言った。
あっ、それはさっきベッドの上であぐらをかいて意地汚く食べてたら、うっかりコップの水をこぼして濡れてるだけですけどって、そんなこと説明できん。
「大変! 大変!」
サビーナちゃんがあたふたしている。
あたしの体の具合が悪くて発熱して、その汗で濡れてると誤解されちゃったみたい。
アデリーナさんがあたしに言った。
「とにかく体を拭いて、あと着替えないと」
「あ、いや、本当に大丈夫ですから」
「だめ、言う事聞きなさい!」
「は、はい」
真面目だなあ、アデリーナさん。
強制的に服を脱がされる。
女同士とは言え裸を見られるのは恥ずかしい。
「どうしたんだ!」
リーダーとバルドが騒ぎを聞きつけ、扉を開け部屋の中に入ってきた。
ひえ、男どもに裸を見られた!
「男の方たちは出ていきなさい!」
アデリーナさんが怒鳴る。
「アワワ!」
慌てて、部屋から出る男二人。
ああ、もういいや、どうにでもしてくれ。
寝たふりのつもりが、本当に寝てしまった。
気がつくと、シーツの交換はサビーナちゃんがしてくれたようだ。
あたしが汚した床の掃除もしている。
ちょっと悪い気がしてきた。
服はアデリーナさんがパジャマを貸してくれた。
いい人たちね。
そして、今は、部屋で一人、ベッドで安静にしている。
安静にする必要ないけど。
様子を見て起き上がり、部屋の隅にある洗面台で顔を洗う。
ゲロ吐いたんで口の中が気持ち悪い。
歯を磨いて、コップの水でゆすぐ。
鏡で自分の顔をしばし見る。
いつもの見慣れた童顔が映っている。
目がデカいわりに鼻が小さいし、顔が丸いから幼く見えるんよ。
おまけにチビだし。
小学生に間違えられたこともある。
もっと背が高くて、面長の美人顔に生まれたかった。
やれやれ。
髪形はショートボブ。
髪の毛がまとめて何本か立って、先端がカールしている。
気がつくと、いつも立ってるんよ。
このアホ毛何とかならんかな。
鏡を見ながら、アホ毛を直していると、パーティのみんなは隣のリーダーたちが泊っている部屋に集まっているようだ。
すぐに戻ってきたのは、目的のモンスターが他のパーティに先を越されて退治されちゃったからみたい。
えーと、どんなモンスターだったっけ。
名前がやたら難しいモンスターだった。
忘れちゃった。
けど、退治されたから、もうどうでもいいか。
みんなが何か話し合いを始めようとしている雰囲気。
さっと壁に張り付くあたし。
シーフ技の盗聴術! と言ってもコップを逆さまにして壁にあてるだけ。
この宿屋、かなりの安普請だ。
壁がスカスカ。
「えーと、プルムさんのことで相談したいのですが」
サビーナちゃんが議題をあげる。
「パーティから外した方がいいと思います」
ひえ、サビーナちゃん、大人しそうな顔して、いきなりあたしの首切り宣告かー!
それに対して、文句を言うバルド。
「反対だ! ケガしたからといって、すぐにクビだなんて、かわいそうじゃないか」
いい人だ! けど、自分が酷いケガをさせたのであたしの調子が悪いと思い込んでいるからかな。
「うーん」
はっきりしないリーダー。
優柔不断だなあ。
「私も反対です。プルムさん、もう少しすれば体調も良くなると思います。それまで私たちでカバーしましょう」
アデリーナさんのご発言。
意外にもお優しい。
「うーん、うーん」
おい、はっきりせいリーダー。うーんしか言えないのか。
「私はプルムさんの体が心配なんですよ。もし無理してかえって悪くなったら」
おっ、サビーナちゃん、あたしの体を心配してくれてるのか。
悪い子ではなさそう。
「うーん、とりあえず様子をみよう」
さすが優柔不断リーダー。
問題を先延ばしにするだけね。
まあ、結論から言うと真面目な人ばっかりね、このパーティ。
さて、どうするか? よし、思いついたぞ。
泣き落とし!
パジャマ姿で部屋を出て、隣の部屋のドアを力弱く叩く。
「誰、開いてるよ」
リーダーの声が聞こえてきた。
あたしは、しおらしげに部屋の中に入った。
「……ご迷惑かけて本当に申し訳ありません」
ウソ涙目で頭を下げる。
「ああ、いや、そんなに気にしないで」
リーダーがちょっと慌てている。
優しいなあリーダー。
イケメンだし。
「迷惑かけるなら、パーティから外れます。私は必要ないでしょう。他の人を新たに募集したほうがいいと思います……」
あたしはなるべく弱々しい声で言う。
そんなあたしを見て、バルドが少し慌てている。
「ああ、そんなに思いつめないで」
サビーナちゃんが心配そうな顔をしてる。
「プルムさん、体の方は大丈夫なんですか」
「うーん、まだ冒険に出られないけど……ああ、そうだ会計の仕事なら」
「ああ、それがいい、そうしよう」
なぜか嬉しそうなバルド。
「代わってもらって、よろしいんですか」
よろしいですよ、アデリーナさん。
「うーん、とりあえず、そうしてもらおうか」
優柔不断リーダー、とりあえず結論を出す。
優柔不断でも優しいところは好き。
めでたく会計担当になりました。
ところで会計ってどうやるの。
適当でいっか!
息が切れるー!
体中、汗ダラダラ。
宿屋の裏口について、壁をよじ登り、窓から二〇四号室に飛び込む。
パーティのみんなが、階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
二〇四号室と二〇三号室の中扉の鍵を開けようとするが、焦ってうまくいかない。
いちいち閉めなきゃ良かったあ!
やばい!
どうにか開けて二〇三号室に飛び込み、あたしが寝ているはずの二〇二号室への中扉を開けようとするが、また閉まってる。
いちいち、きちんと中扉の鍵を閉めておく、あたしのバカ!
みんなが二階の廊下に到着したみたい。
何とか開けて、二〇二号室のベッドに汗びっしょりで布団に滑り込んだ。
おっと、さっき市場でくすねたリンゴはベッドの上から、部屋の隅のカゴに投げ入れる。
ナイスシュート!
部屋の廊下側の扉が開く。
あたしは寝たふり。
アデリーナさんとサビーナちゃんが入ってきた。
セーフ! のはずが、たらふく食った後に、お酒を飲んだ上、全速力で走ったおかげで気分が悪くなった。おまけに、あたしはお酒は好きだけど、実はあまり強くない。
吐きそう!
やばい!
うーん、我慢、我慢。
ああ、我慢できない。
「オエ!」
あたしは起き上がり、床に思いっきり吐いちゃった。
ああ、やばい、どうしよう。
びっくりするアデリーナさんとサビーナちゃん。
「プルム、大丈夫」
アデリーナさんが近づき、あたしの顔を見てびっくりする。
「汗びっしょりじゃないの」
「だ、大丈夫です」
あたしは必死に誤魔化そうとする。
「もしかしてプルムさん、傷が化膿とかして、熱が出ているんではないでしょうか」
サビーナちゃんが心配してくれた。
優しいなあ、サビーナちゃん。
「シーツがすごく濡れてる」
アデリーナさんがベッドをさわって言った。
あっ、それはさっきベッドの上であぐらをかいて意地汚く食べてたら、うっかりコップの水をこぼして濡れてるだけですけどって、そんなこと説明できん。
「大変! 大変!」
サビーナちゃんがあたふたしている。
あたしの体の具合が悪くて発熱して、その汗で濡れてると誤解されちゃったみたい。
アデリーナさんがあたしに言った。
「とにかく体を拭いて、あと着替えないと」
「あ、いや、本当に大丈夫ですから」
「だめ、言う事聞きなさい!」
「は、はい」
真面目だなあ、アデリーナさん。
強制的に服を脱がされる。
女同士とは言え裸を見られるのは恥ずかしい。
「どうしたんだ!」
リーダーとバルドが騒ぎを聞きつけ、扉を開け部屋の中に入ってきた。
ひえ、男どもに裸を見られた!
「男の方たちは出ていきなさい!」
アデリーナさんが怒鳴る。
「アワワ!」
慌てて、部屋から出る男二人。
ああ、もういいや、どうにでもしてくれ。
寝たふりのつもりが、本当に寝てしまった。
気がつくと、シーツの交換はサビーナちゃんがしてくれたようだ。
あたしが汚した床の掃除もしている。
ちょっと悪い気がしてきた。
服はアデリーナさんがパジャマを貸してくれた。
いい人たちね。
そして、今は、部屋で一人、ベッドで安静にしている。
安静にする必要ないけど。
様子を見て起き上がり、部屋の隅にある洗面台で顔を洗う。
ゲロ吐いたんで口の中が気持ち悪い。
歯を磨いて、コップの水でゆすぐ。
鏡で自分の顔をしばし見る。
いつもの見慣れた童顔が映っている。
目がデカいわりに鼻が小さいし、顔が丸いから幼く見えるんよ。
おまけにチビだし。
小学生に間違えられたこともある。
もっと背が高くて、面長の美人顔に生まれたかった。
やれやれ。
髪形はショートボブ。
髪の毛がまとめて何本か立って、先端がカールしている。
気がつくと、いつも立ってるんよ。
このアホ毛何とかならんかな。
鏡を見ながら、アホ毛を直していると、パーティのみんなは隣のリーダーたちが泊っている部屋に集まっているようだ。
すぐに戻ってきたのは、目的のモンスターが他のパーティに先を越されて退治されちゃったからみたい。
えーと、どんなモンスターだったっけ。
名前がやたら難しいモンスターだった。
忘れちゃった。
けど、退治されたから、もうどうでもいいか。
みんなが何か話し合いを始めようとしている雰囲気。
さっと壁に張り付くあたし。
シーフ技の盗聴術! と言ってもコップを逆さまにして壁にあてるだけ。
この宿屋、かなりの安普請だ。
壁がスカスカ。
「えーと、プルムさんのことで相談したいのですが」
サビーナちゃんが議題をあげる。
「パーティから外した方がいいと思います」
ひえ、サビーナちゃん、大人しそうな顔して、いきなりあたしの首切り宣告かー!
それに対して、文句を言うバルド。
「反対だ! ケガしたからといって、すぐにクビだなんて、かわいそうじゃないか」
いい人だ! けど、自分が酷いケガをさせたのであたしの調子が悪いと思い込んでいるからかな。
「うーん」
はっきりしないリーダー。
優柔不断だなあ。
「私も反対です。プルムさん、もう少しすれば体調も良くなると思います。それまで私たちでカバーしましょう」
アデリーナさんのご発言。
意外にもお優しい。
「うーん、うーん」
おい、はっきりせいリーダー。うーんしか言えないのか。
「私はプルムさんの体が心配なんですよ。もし無理してかえって悪くなったら」
おっ、サビーナちゃん、あたしの体を心配してくれてるのか。
悪い子ではなさそう。
「うーん、とりあえず様子をみよう」
さすが優柔不断リーダー。
問題を先延ばしにするだけね。
まあ、結論から言うと真面目な人ばっかりね、このパーティ。
さて、どうするか? よし、思いついたぞ。
泣き落とし!
パジャマ姿で部屋を出て、隣の部屋のドアを力弱く叩く。
「誰、開いてるよ」
リーダーの声が聞こえてきた。
あたしは、しおらしげに部屋の中に入った。
「……ご迷惑かけて本当に申し訳ありません」
ウソ涙目で頭を下げる。
「ああ、いや、そんなに気にしないで」
リーダーがちょっと慌てている。
優しいなあリーダー。
イケメンだし。
「迷惑かけるなら、パーティから外れます。私は必要ないでしょう。他の人を新たに募集したほうがいいと思います……」
あたしはなるべく弱々しい声で言う。
そんなあたしを見て、バルドが少し慌てている。
「ああ、そんなに思いつめないで」
サビーナちゃんが心配そうな顔をしてる。
「プルムさん、体の方は大丈夫なんですか」
「うーん、まだ冒険に出られないけど……ああ、そうだ会計の仕事なら」
「ああ、それがいい、そうしよう」
なぜか嬉しそうなバルド。
「代わってもらって、よろしいんですか」
よろしいですよ、アデリーナさん。
「うーん、とりあえず、そうしてもらおうか」
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