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第4話:盗賊討伐隊結成
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翌朝、盗賊討伐隊が冒険者や村人を中心に結成された。
どうやってかき集めたのか知らんけど五十人くらい。
リーダー以下あたしたちのパーティも参加。
あたしは体調不良ということなので、宿屋でお留守番。
盗賊が隠れていると思われる場所は、偶然にも前回あたしがケガした洞窟の入り口近くらしい。
「いってらっしゃーい!」
あたしは街道で討伐隊に手を振る。
サビーナちゃんが手を振り返してくれた。
かわいい!
討伐隊が見えなくなると宿屋のロビーのソファに座り、ゆったりとタバコを吸う。
お前、タバコも吸うのかよって? 吸いますが、何か悪いかしら。
まあ、タバコはあんまり吸わないけどね、どっちかというとお酒の方が好き。
さて、ちょっくら新聞でも読むか。
一面には、でかでかと『カクヨーム王国との戦争不可避か?』と載っている。『外務省は、かねてからの懸案事項である領土問題で、カクヨーム王国当局者から先制攻撃をほのめかす発言を受けて、ボルド地域での戦争勃発が不可避になったと警告した』とある。
あら、大変。戦争になんの? 戦争なんて、疲れるからやめなさい。
戦争したら負け!
けど、このボルド地域というのは、このニエンテ村から一番離れているとこじゃない。
今んとこ大丈夫ね。
まあ、一介の泥棒でしかない、あたしにはどうしようもできないけど。
おっ、例のモンスターの件が三面記事に小さく載ってる。
『シアエガ湖のモンスター、ナイアルラトホテプ退治』
そうそう、ナイアルラトホテプよ、このモンスターの名前は。
しかし、どうゆう名前なの、ナイアルラトホテプって。
もっと覚えやすいのに改名しろって。
記事にはこう書いてあった。
『シアエガ湖付近に出現したモンスター、ナイアルラトホテプが冒険者によって退治された。シアエガ湖には有名な古代遺跡シアエガの石塔があり、管理しているニエンテ村の貴重な観光収入源になっている。ニエンテ村観光協会は今回のモンスター退治成功に基づき安全を確認の上、一般人の立入禁止を解除するか検討中である。なお、モンスターを退治した冒険者は下記のとおり。プルム・ピコロッティ(十六才)、アギーレ・グラツィアーノ(十九才)、バルド・ゴッジ(十七才)、アデリーナ・アストーリ(十八才)、サビーナ・バルディ(十四才)(HPL通信)』と書いてある。
こらこら、あたしらが退治したんじゃないぞ、このナイアルラトホテプは。
依頼されたのは事実だけど。
いいかげんな新聞ね、ちゃんと冒険者ギルドに確認せい。
だいたい、何であたしの名前が一番最初にあるんよ。普通、リーダーが最初でしょ!
それにしても、ナイアルラトホテプって本当に覚えにくい名前ね。三秒後には忘れそう。まあ、結局のところ退治されたんだから忘れちゃってもいいでしょう。
他に気になる記事はあるかな。
昨日の夕方に起きた、冒険者ギルドの主人が殺された件はまだ載ってない。あと、あたしが仲間のお金を博打でスッカラカンしたのを盗賊のせいにした件も載ってない。当たり前ね。載ってたら大変。今すぐトンズラしなきゃ。
気がつけば、ロビーにはあたしだけ。
極楽である。
仲間に働かせて自分は何もしない。
他人の労働で食べるメシは美味しい。
働いたら負け!
大好きなホラー小説でも読もうかな。
ん? お尻のポケットに何かあるぞと探ってみると、昨日拾ったペンダントがあった。
すっかり忘れてた。
忘れっぽいあたし。
あらためて拾ったペンダントを見るとなおさら安っぽい。
ドラゴンのデザインはやはりかっこいいけどね。
盗賊はドラゴンマニアかしら?
ペンダントをこねくりまわす。
安物の割には頑丈に出来ている。
表面がピカピカと光りはじめた。
こりゃ、縁日とかによくある安っぽいオモチャね。
吸い終わったタバコは灰皿に捨てて、三人掛けソファに寝そべり、ピカピカ光るペンダントを天井に向けて、ホイっと右手で投げては、落ちてくるところを左手でキャッチ!
ひとしきり遊ぶ。
宿屋の主人が胡散臭げにあたしを見てる。
さて、子供っぽいことはやめて、ペンダントのピカピカを消そうとした。
消せん!
いいや、放っとけば消えるでしょ。
安物だし。
カウンター近くにお土産用の絵ハガキが売っている。
しばし、手に取って、品定め。
鎖をつかんでクルクルとペンダントを回しながら、宿屋の主人に話しかける。
「何か面白い小説とか置いてない? できればホラー小説がいいんだけど」
「これなんかどうですかい」
主人から渡されたのが『インスマウスの影』って題名の本。
「面白そうね、借りとくわ」
二階の部屋に戻って、絵ハガキを見る。
山向こうの美しいシアエガ湖の絵が描いてある。このシアエガ湖って、水深がもの凄い深いらしい。湖の底まで潜った人はいないみたい。湖の上には小さいボートが描かれている。こういうきれいな湖の上でイケメン彼氏と二人でボートに乗って、素敵なデートをしたいなあ。
恋人はいないんじゃなかったのかって? いないけど、妄想ぐらいかまわんでしょ!
デートしたことあるのかって? うるさい! 無いよ!
何でいつの間にか絵ハガキ持ってんの、またくすねたのかって? まあシーフの腕が鈍るとまずいんでね。習慣ね。一枚くらいええじゃないか。
本当に育ちの悪い女だなって? 悪かったね。生まれるところは選べないんよ。
環境のせいにすんなって? そりゃ、そうだけどさ……。
いいや、小説読もうっと。
どうやってかき集めたのか知らんけど五十人くらい。
リーダー以下あたしたちのパーティも参加。
あたしは体調不良ということなので、宿屋でお留守番。
盗賊が隠れていると思われる場所は、偶然にも前回あたしがケガした洞窟の入り口近くらしい。
「いってらっしゃーい!」
あたしは街道で討伐隊に手を振る。
サビーナちゃんが手を振り返してくれた。
かわいい!
討伐隊が見えなくなると宿屋のロビーのソファに座り、ゆったりとタバコを吸う。
お前、タバコも吸うのかよって? 吸いますが、何か悪いかしら。
まあ、タバコはあんまり吸わないけどね、どっちかというとお酒の方が好き。
さて、ちょっくら新聞でも読むか。
一面には、でかでかと『カクヨーム王国との戦争不可避か?』と載っている。『外務省は、かねてからの懸案事項である領土問題で、カクヨーム王国当局者から先制攻撃をほのめかす発言を受けて、ボルド地域での戦争勃発が不可避になったと警告した』とある。
あら、大変。戦争になんの? 戦争なんて、疲れるからやめなさい。
戦争したら負け!
けど、このボルド地域というのは、このニエンテ村から一番離れているとこじゃない。
今んとこ大丈夫ね。
まあ、一介の泥棒でしかない、あたしにはどうしようもできないけど。
おっ、例のモンスターの件が三面記事に小さく載ってる。
『シアエガ湖のモンスター、ナイアルラトホテプ退治』
そうそう、ナイアルラトホテプよ、このモンスターの名前は。
しかし、どうゆう名前なの、ナイアルラトホテプって。
もっと覚えやすいのに改名しろって。
記事にはこう書いてあった。
『シアエガ湖付近に出現したモンスター、ナイアルラトホテプが冒険者によって退治された。シアエガ湖には有名な古代遺跡シアエガの石塔があり、管理しているニエンテ村の貴重な観光収入源になっている。ニエンテ村観光協会は今回のモンスター退治成功に基づき安全を確認の上、一般人の立入禁止を解除するか検討中である。なお、モンスターを退治した冒険者は下記のとおり。プルム・ピコロッティ(十六才)、アギーレ・グラツィアーノ(十九才)、バルド・ゴッジ(十七才)、アデリーナ・アストーリ(十八才)、サビーナ・バルディ(十四才)(HPL通信)』と書いてある。
こらこら、あたしらが退治したんじゃないぞ、このナイアルラトホテプは。
依頼されたのは事実だけど。
いいかげんな新聞ね、ちゃんと冒険者ギルドに確認せい。
だいたい、何であたしの名前が一番最初にあるんよ。普通、リーダーが最初でしょ!
それにしても、ナイアルラトホテプって本当に覚えにくい名前ね。三秒後には忘れそう。まあ、結局のところ退治されたんだから忘れちゃってもいいでしょう。
他に気になる記事はあるかな。
昨日の夕方に起きた、冒険者ギルドの主人が殺された件はまだ載ってない。あと、あたしが仲間のお金を博打でスッカラカンしたのを盗賊のせいにした件も載ってない。当たり前ね。載ってたら大変。今すぐトンズラしなきゃ。
気がつけば、ロビーにはあたしだけ。
極楽である。
仲間に働かせて自分は何もしない。
他人の労働で食べるメシは美味しい。
働いたら負け!
大好きなホラー小説でも読もうかな。
ん? お尻のポケットに何かあるぞと探ってみると、昨日拾ったペンダントがあった。
すっかり忘れてた。
忘れっぽいあたし。
あらためて拾ったペンダントを見るとなおさら安っぽい。
ドラゴンのデザインはやはりかっこいいけどね。
盗賊はドラゴンマニアかしら?
ペンダントをこねくりまわす。
安物の割には頑丈に出来ている。
表面がピカピカと光りはじめた。
こりゃ、縁日とかによくある安っぽいオモチャね。
吸い終わったタバコは灰皿に捨てて、三人掛けソファに寝そべり、ピカピカ光るペンダントを天井に向けて、ホイっと右手で投げては、落ちてくるところを左手でキャッチ!
ひとしきり遊ぶ。
宿屋の主人が胡散臭げにあたしを見てる。
さて、子供っぽいことはやめて、ペンダントのピカピカを消そうとした。
消せん!
いいや、放っとけば消えるでしょ。
安物だし。
カウンター近くにお土産用の絵ハガキが売っている。
しばし、手に取って、品定め。
鎖をつかんでクルクルとペンダントを回しながら、宿屋の主人に話しかける。
「何か面白い小説とか置いてない? できればホラー小説がいいんだけど」
「これなんかどうですかい」
主人から渡されたのが『インスマウスの影』って題名の本。
「面白そうね、借りとくわ」
二階の部屋に戻って、絵ハガキを見る。
山向こうの美しいシアエガ湖の絵が描いてある。このシアエガ湖って、水深がもの凄い深いらしい。湖の底まで潜った人はいないみたい。湖の上には小さいボートが描かれている。こういうきれいな湖の上でイケメン彼氏と二人でボートに乗って、素敵なデートをしたいなあ。
恋人はいないんじゃなかったのかって? いないけど、妄想ぐらいかまわんでしょ!
デートしたことあるのかって? うるさい! 無いよ!
何でいつの間にか絵ハガキ持ってんの、またくすねたのかって? まあシーフの腕が鈍るとまずいんでね。習慣ね。一枚くらいええじゃないか。
本当に育ちの悪い女だなって? 悪かったね。生まれるところは選べないんよ。
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