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第9話:ドラゴン退治に同行する
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と言うわけで、宿屋の場面に戻る。
「あんたも、ダサいバカ集団のドラゴン秘儀団の仲間でしょ。それともパシリ、それとも小間使い、それともメイド」
「このクソ女!」
宿屋の主人がカウンターを飛び越えて、いきなりナイフで襲いかかってきた。
お、やる気なの。
上等じゃない。
「死ね!」
宿屋の主人がナイフを何度も繰り出してくる。
余裕でよけるあたし。
大した相手じゃない。
サっとよけて、後ろにまわり、宿屋の主人の首の後ろにナイフをかすめる。
「ちょこまかと、この女……うっ!」
宿屋の主人は少しよろけはじめる。
「お前、毒を仕込みやがって……」
そのまま倒れる宿屋の主人。
殺したって? 違うわよ、眠らせただけ。
「出てきていいですよ」
あたしは声をかける。
王国情報省員たちが裏口から入ってくる。
「凄いですね、プルムさん。助ける必要なかったですね」
本当はあたしが挑発して、宿屋の主人が正体を現したところで、情報省の皆さんが逮捕する手はずだったんだけど。
「大したことないわ」
そう言いながら、片手でちょっと髪を直す、かっこいいあたし。
ふう、けど働いちゃった。
まあ、クラウディアさんには仲間を治癒してくれた恩があるから協力したんよ。
眠ったまま、情報省員たちに連れていかれる宿屋の主人。
役人たちに挨拶される。
「後のことはこちらにおまかせください」
「よろしくお願いします」
一応、情報省としては秘密にしたいみたいね、バカ集団のドラゴン秘儀団の件は。
まあ、後はまかせよっと。
さて、一仕事終えたし、昼寝でもするか。
鼻歌を口ずさみながら、二階の部屋に入り、ベッドへタイブ!
空中で横一回転、うつぶせで寝る。
眠れん。
頭の中は、リーダーのことでいっぱい。
ああ、どうしよう。
直接、告白しようか。
それとも、バルドを通じて、呼び出してもらうとか。
いや、手紙を書いて、アデリーナさんかサビーナちゃんを通じて、渡してもらうとか。
うら若き十六歳の夢見る乙女の心を悩ますリーダーが憎いけど、愛おしい。
しかし、とりあえずバカ集団のドラゴン秘儀団の件が片付いてからよね。
先に告白なんぞしたら、リーダーに伏線が張られて死んじゃうかもしれん。
全く、さっさとバカ集団を片付けてほしい。
さて、眠れないから、ホラー小説の続きを読もうっと!
ベッドで寝っ転がって読む。
おお、なかなか面白くなってきたぞと思いきや。
ん? 下が騒がしい。
窓から覗くと、国防軍精鋭部隊が街道を行進している。
ドラゴンを倒しに行くのかな。
例のバカでかい大砲とかも運んでいる。
確かクラウディアさんによれば、もうすこし情報を集めるみたいだったけど。
まあ、いっか!
頑張ってくれ、赤ひげ隊長。
あたしはホラー小説の続きを読むかな。
いま、いいところなんよ。
あれ、一番後ろから冒険者隊もついていく。
予備隊じゃなかったっけ。
リーダーがいる! 待って、あたしも行く!
おっと、剣を忘れるところだった。一応、女剣士ってことにしてるからね。この剣、全然手入れしてないから錆び付いているけど。
宿屋を飛び出し、街道を走って仲間に追いつく。
「あ、プルム」
バルドがあたしに気がついた。
「プルムさん、お体の方は大丈夫なんですか」
サビーナちゃんがあたしの体を心配してくれた。
全然、元気。
にもかかわらず、
「……ちょっとまだ、本調子じゃないけど、みんなが行くなら、私も……」
あたしはやや調子悪そうに返事をする。
一応、整合性がないとね。
「無理しないほうがいいぞ」
リーダーがあたしを心配そうに見る。
「はい……」
なぜかあたしは目をそらす。何で目をそらしちゃうのかな? ああ、顔が赤くなる。
乙女心がヒートアップ!
「ちょっと、プルム、まだ熱があるんじゃないの」
真面目なアデリーナさんに追い返されそう。
「大丈夫ですから。いざとなったらすぐに撤退しますので」
あたしは必死。
「じゃあ、プルム! 一緒に行こう」
リーダーに言われた。
はい、一生ついていきます!
山向こうのシアエガ湖近くの洞窟付近に到着。
誰も居ないじゃん。
「ワッハッハ! どうやら、俺様に怯えてドラゴンは逃げていったようだな」
赤ひげ隊長が高笑いで勝利宣言。
「アレサンドロ将軍! 万歳!」
兵士たちが声を上げる。
ご満悦な赤ひげのおっさん。
何だ、これで終わりか。
ドラゴン秘儀団は精鋭部隊が来るのを見て逃げ出したのかな。
あたしは湖畔に降りていき、景色を眺める。
あらためてみると、本当にきれいな湖だなあ。
例の観光スポットの宗教遺跡の塔がいっぱい湖の周りに立っている。
大小さまざま。
古代の人たちは何のために建てたんだろう。
お、レンタルボート屋さんがある。
今は休業中だろうけど、再開したらリーダーと二人っきりで乗りたいなあ。
などと妄想していると、あれ、この間来た時の、何だっけ。
湖近くの洞窟に潜んでいたモンスター。
えーと名前が難しくて覚えられんかった。
新聞記事で読んで、また覚えたのにすぐに忘れた。
あたしはやはり頭が悪い。
えーとヒポポタマスだっけ。
違ったっけ。
えい、もう、ヒポポタマスでいいや。
そのヒポポタマスを退治に来た時と何か違うような感じがする。
いや、ヒポポタマスの時じゃなくて、うーん、思い出せん!
何か違う感じがするけど違いがわからない。
本当にあたしは頭が悪い。
まあ、いっか!
さて、さっさと帰ろうと思ったら、湖に咆哮がとどろき渡った。
あら、大変!
ドラゴン出現!
「あんたも、ダサいバカ集団のドラゴン秘儀団の仲間でしょ。それともパシリ、それとも小間使い、それともメイド」
「このクソ女!」
宿屋の主人がカウンターを飛び越えて、いきなりナイフで襲いかかってきた。
お、やる気なの。
上等じゃない。
「死ね!」
宿屋の主人がナイフを何度も繰り出してくる。
余裕でよけるあたし。
大した相手じゃない。
サっとよけて、後ろにまわり、宿屋の主人の首の後ろにナイフをかすめる。
「ちょこまかと、この女……うっ!」
宿屋の主人は少しよろけはじめる。
「お前、毒を仕込みやがって……」
そのまま倒れる宿屋の主人。
殺したって? 違うわよ、眠らせただけ。
「出てきていいですよ」
あたしは声をかける。
王国情報省員たちが裏口から入ってくる。
「凄いですね、プルムさん。助ける必要なかったですね」
本当はあたしが挑発して、宿屋の主人が正体を現したところで、情報省の皆さんが逮捕する手はずだったんだけど。
「大したことないわ」
そう言いながら、片手でちょっと髪を直す、かっこいいあたし。
ふう、けど働いちゃった。
まあ、クラウディアさんには仲間を治癒してくれた恩があるから協力したんよ。
眠ったまま、情報省員たちに連れていかれる宿屋の主人。
役人たちに挨拶される。
「後のことはこちらにおまかせください」
「よろしくお願いします」
一応、情報省としては秘密にしたいみたいね、バカ集団のドラゴン秘儀団の件は。
まあ、後はまかせよっと。
さて、一仕事終えたし、昼寝でもするか。
鼻歌を口ずさみながら、二階の部屋に入り、ベッドへタイブ!
空中で横一回転、うつぶせで寝る。
眠れん。
頭の中は、リーダーのことでいっぱい。
ああ、どうしよう。
直接、告白しようか。
それとも、バルドを通じて、呼び出してもらうとか。
いや、手紙を書いて、アデリーナさんかサビーナちゃんを通じて、渡してもらうとか。
うら若き十六歳の夢見る乙女の心を悩ますリーダーが憎いけど、愛おしい。
しかし、とりあえずバカ集団のドラゴン秘儀団の件が片付いてからよね。
先に告白なんぞしたら、リーダーに伏線が張られて死んじゃうかもしれん。
全く、さっさとバカ集団を片付けてほしい。
さて、眠れないから、ホラー小説の続きを読もうっと!
ベッドで寝っ転がって読む。
おお、なかなか面白くなってきたぞと思いきや。
ん? 下が騒がしい。
窓から覗くと、国防軍精鋭部隊が街道を行進している。
ドラゴンを倒しに行くのかな。
例のバカでかい大砲とかも運んでいる。
確かクラウディアさんによれば、もうすこし情報を集めるみたいだったけど。
まあ、いっか!
頑張ってくれ、赤ひげ隊長。
あたしはホラー小説の続きを読むかな。
いま、いいところなんよ。
あれ、一番後ろから冒険者隊もついていく。
予備隊じゃなかったっけ。
リーダーがいる! 待って、あたしも行く!
おっと、剣を忘れるところだった。一応、女剣士ってことにしてるからね。この剣、全然手入れしてないから錆び付いているけど。
宿屋を飛び出し、街道を走って仲間に追いつく。
「あ、プルム」
バルドがあたしに気がついた。
「プルムさん、お体の方は大丈夫なんですか」
サビーナちゃんがあたしの体を心配してくれた。
全然、元気。
にもかかわらず、
「……ちょっとまだ、本調子じゃないけど、みんなが行くなら、私も……」
あたしはやや調子悪そうに返事をする。
一応、整合性がないとね。
「無理しないほうがいいぞ」
リーダーがあたしを心配そうに見る。
「はい……」
なぜかあたしは目をそらす。何で目をそらしちゃうのかな? ああ、顔が赤くなる。
乙女心がヒートアップ!
「ちょっと、プルム、まだ熱があるんじゃないの」
真面目なアデリーナさんに追い返されそう。
「大丈夫ですから。いざとなったらすぐに撤退しますので」
あたしは必死。
「じゃあ、プルム! 一緒に行こう」
リーダーに言われた。
はい、一生ついていきます!
山向こうのシアエガ湖近くの洞窟付近に到着。
誰も居ないじゃん。
「ワッハッハ! どうやら、俺様に怯えてドラゴンは逃げていったようだな」
赤ひげ隊長が高笑いで勝利宣言。
「アレサンドロ将軍! 万歳!」
兵士たちが声を上げる。
ご満悦な赤ひげのおっさん。
何だ、これで終わりか。
ドラゴン秘儀団は精鋭部隊が来るのを見て逃げ出したのかな。
あたしは湖畔に降りていき、景色を眺める。
あらためてみると、本当にきれいな湖だなあ。
例の観光スポットの宗教遺跡の塔がいっぱい湖の周りに立っている。
大小さまざま。
古代の人たちは何のために建てたんだろう。
お、レンタルボート屋さんがある。
今は休業中だろうけど、再開したらリーダーと二人っきりで乗りたいなあ。
などと妄想していると、あれ、この間来た時の、何だっけ。
湖近くの洞窟に潜んでいたモンスター。
えーと名前が難しくて覚えられんかった。
新聞記事で読んで、また覚えたのにすぐに忘れた。
あたしはやはり頭が悪い。
えーとヒポポタマスだっけ。
違ったっけ。
えい、もう、ヒポポタマスでいいや。
そのヒポポタマスを退治に来た時と何か違うような感じがする。
いや、ヒポポタマスの時じゃなくて、うーん、思い出せん!
何か違う感じがするけど違いがわからない。
本当にあたしは頭が悪い。
まあ、いっか!
さて、さっさと帰ろうと思ったら、湖に咆哮がとどろき渡った。
あら、大変!
ドラゴン出現!
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