ドラゴンキラーと呼ばれた女/プルムの恋と大冒険

守 秀斗

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第61話:国境を視察する

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 ランベルト第一副隊長と一緒にカクヨーム王国との国境付近を視察する。
 国境の平地には大量の監視塔や鉄条網などが設置されているが、ドラゴンが現れた場所は、険しい山岳地帯で、両国とも監視体制があまり整っていないようだ。

 カクヨーム王国とは六年前の戦争以来、ずっと緊張状態なのだが、お互い戦争はしたくないみたい。

 そして、ランベルト副隊長がある情報を教えてくれた。

「政略結婚の噂があるんですよ」
「え、政略結婚って、誰と誰ですか?」
「我が国は皇太子様です。カクヨーム王国の方はどういう女性かわからないですが」

 パオロさんもそんなことを言ってたな。
 へえ~王室も大変だ。
 王室を通じて、両国の友好を高めようとしているのかね。

「しかし、友好ムードを煽っておいて、実はカクヨーム王国はドラゴンで先制攻撃を狙っている可能性もありますね」

 ランベルト副隊長が心配そうな顔をする。
 いや、その認識はまずいぞ。
 けど、ドラゴン秘儀団の事は極秘なんだよなあ。

「ただ、おかしいところもあるんですよね。カクヨーム王国は積極的にモンスターを軍隊が退治して回っていた国なんです。ドラゴンなんて利用しますでしょうか」

 そうなのか。
 どうするか。

 うーん、仕方が無いな。
 ドラゴン秘儀団という名称を隠して、あたしはドラゴンを操っている連中がいることを説明することにした。

「実は、ニエンテ村のシアエガ湖で六年前にレッドドラゴンが暴れた事件というのは、人間がドラゴンを操るのに失敗したからなんですよ」
「え、そうなんですか」

「ドラゴンを操って、世界を支配しようとした団体がいて、それで、普通のドラゴンは操れたんですけどね。でも、巨大なレッドドラゴンには通用しなくて、山が吹っ飛んだんです」
「そのレッドドラゴンを倒したのがプルム隊長なんですね。すごいですね。山を吹っ飛ばすドラゴンを倒すなんて」

 いや、違うんですけど~。
 なんか恥ずかしいなあ。

 だいたい、何でみんな信じるのかなあ。
 こんな泥棒万引き女がドラゴンを倒せるはずないのになあ。
 まあ、いいか……今はあたしがドラゴンキラーじゃないとかそんなことを言っている場合じゃないもんなあ。

「今回も、その連中が関係していると、プルム隊長はお考えですか」
「多分、そうだと思います。その団体はシアエガ湖で、ほぼ全滅したんですが、多分、残党がが活動しているんじゃないかと思います」

 残党と言えば、デルフィーノさんを思い出してしまった。
 あの優しい分隊長のデルフィーノさん。
 あたしがラブレターを渡そうとしたデルフィーノさん。

 あんなやさしい人がなんでドラゴン秘儀団なんてバカ集団に入ったんだろうか。
 だいたい、ドラゴン秘儀団の目標って世界征服だったっけ。
 なんだか忘れちゃった。

 でも、あの心優しいデルフィーノさんが世界征服のために入るなんて、おかしいぞと今さら思ってしまう。

「カクヨーム王国と組んだんですかねえ」
「いや、それは無いと思います」

 ドラゴン秘儀団みたいな、あんなバカ集団と組むだろうか。
 もし、そうなら、もう大々的に攻めてきてもよさそうだし。

 しかし、バカなあたしでも、あのバカ集団の目的がなんとなくわかってきたぞ。
 ドラゴン秘儀団の連中は、わざとドラゴンを中立地帯で暴れさせて、ナロード王国とカクヨーム王国の間に戦争を起こさせて、その隙に世界を支配する気じゃないだろうか? いや、世界を支配したいのかなあ。よくわからんぞ。

 しかし、どうすればいいか。
 うーむ。

 ひらめいた!
 簡単に解決出来るぞ。

 ナロード王国とカクヨーム王国が共同でドラゴンを倒せばいい。
 そうすれば、戦争にならずに、むしろ仲良くなれるんでないの?

 もう、ドラゴンを倒せる大砲はあることだし。
 戦争したら負けよ!
 平和が一番。

 働いたら負け! とか今回は言えないな。
 緊急事態だ。

「ランベルト副隊長、カクヨーム王国と共同でドラゴンを倒せばいいんじゃないですか。向こうに連絡すればいいと思いますけど」
「いや、私が連絡しても、無理でしょう。かえって、誤解を招かねないですね。これは政府の上の連中同士が話し合わないと」

 そうなのか。
 よし、フランコのおっさんの出番だな。

「私から官房長官に連絡します」
「お願いします。カクヨーム王国の軍隊とドラゴンキラーのプルム隊長の共同作戦ですね」

 こらこら、あたしは一介の泥棒なんだって、と言おうとしたが、やっぱりやめた。
 ちと、今さら言うのは恥ずかしい。

 すぐに国境警備隊の施設に戻って、フランコ官房長官に電話で連絡する。

「軍隊に報告して、早くこちらへドラゴンを倒せる大砲を持ってくるよう命じてくれませんか。あと、カクヨーム王国にも連絡してください」
「了解した。閣議にかけて、外務省を通じて、カクヨーム王国に連絡を取ってみる」
「長官、これは緊急を要しますよ」

 フランコのおっさんもちょっと緊張してた。
 戦争なんてやだもんね。

 けど、これでなんとなくかたがつきそうだ。
 ちょっと、安心。

 官舎にもどって、とりあえず、ベッドヘタイブ!
 疲れたよ、国境付近の山とか登ってさあ。

 もう寝るよ。
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