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第7話:人食い猿の群れ
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猿が集団で襲って来る。奇声をあげると俺たちに噛みつこうと飛び掛かって来た。俺たちは剣や斧、ナイフで対抗する。その猿の連中はカールの死体にも食らいついて、ボロボロにしてしまう。
「おい、人食い猿なんて聞いたことないぞ」
斧を振り回しながらジェイスンが叫ぶ。小柄な猿だが、数が多い。五十匹、いや、それ以上はいる。俺も何匹かに噛まれた。猿が多すぎて、ジェイスンやチャドがどうなったかも分からない。
「死ね、このキチガイ猿どもが!」
剣を振り回しては、猿を叩き斬る。何十匹か倒して、やっと、猿たちも逃げて行った。ジェイスンやチャドも、身体中噛まれたのか全身傷だらけだ。ただ、小さい猿なので、傷の方は深くない。
「全く、あんな狂暴な猿、今までの冒険でも見たことないぞ」
ジェイスンが呟いた。俺もそう思ったが、それと同時におかしな気もしてきた。急に襲って来たかと思ったら、あっという間に撤退していった。まるで誰かに操られているかのように。
「とにかくカールを埋葬しよう」
カールの遺体を見るとズタボロにされて、肉が食いちぎられている。何でここまで猿たちがするのかよくわからなかった。胸の辺りに大きく穴が開いていた。そのカールの遺体に土をかけると俺たちはまた木の枝を伝って、いかだに戻った。
「どうした。なんの騒ぎだよ」
冒険服を猿に噛まれてボロボロになって戻った俺たちに、ブレントが聞いてくる。
「猿の集団が襲って来たんだ。まあ、何かわからんが大した連中じゃなかった。あっさり撃退したよ。カールの遺体は埋葬した。とにかく出発しよう」
俺は大木につないでいた縄を外した。いかだはまたゆっくりと動いていく。猿に噛まれた腕が痛む。しかし、今日の午後には目的地に到着するはずだ。俺が前方を見ているとブレントがまた俺に小声で言った。
「何で猿が集団で襲ってくるんだよ。やっぱり、原住民の仕業じゃないのか。昨日、言っただろ。ここにいた原住民は動物を操れる能力があったって」
「だからと言って、何で俺たちを襲うんだよ」
「遺跡を守りたいんじゃないのか。いや、もしかしたら、俺たちの仲間に原住民が紛れている可能性もある。そいつが動物たちを操っているんじゃないのか」
何を言い出すんだ、こいつはと俺は思った。
「もし、操れるとしたら、もう一斉に動物たちを使ってさっさと俺たち全員を殺しているはずだろ」
「……そうだな、そうかもしれん」
また、いかだの上の小屋に座り込むブレントを見て、こいつは元々頭がおかしい奴じゃないかと俺は不安になった。そして、気が付くとバーソロミューがいない。そう言えば、俺たちが戻ってきたときに小屋の中で寝ていなかった。俺はブレントに聞いてみる。
「おい、ブレント。バーソロミューはどこに行ったんだよ」
「ああ、あいつなら便所だよ」
しかし、俺たちが戻ってきた頃からだいぶ時間が経っている。
「バーソロミューさん、便所の中で倒れてるんじゃないですか」
そうチャドが俺に言っていかだの後方の便所の扉を開けて中に入った。例の石の仕掛けで扉がバタンと閉まった。しばらくして、チャドの悲鳴があがった。チャドが便所の扉を開いて飛び出てくる。服が血で真っ赤だ。
「大変ですよ、バーソロミューさんが死んでます」
びっくりした俺やジェイスンがあわてて後方の便所へ行く。便所の中を覗くとバーソロミューが便所の穴に首を突っ込んでいる。いや、よく見ると首が無い。胸の辺りもグチャグチャだ。血がそこら中に飛び散っている。
「これは用を足している間に穴からワニが入り込んできて、バーソロミューを殺したんだろうか」
俺がそう言うと、ジェイスンが首をかしげる。
「ワニが入りこんで来るにはちょっとその穴は小さいんじゃないのか」
「じゃあ、カミアキンを殺したような大型のワニじゃなくて、小型のワニか、または違う狂暴な魚にでもやられたのか」
俺たちが話していると、ブレントがゆっくりと近づいて来た。
そして、チャドを睨みつけて言った。
「おい、チャド、お前がバーソロミューを殺したんだろ」
「な、なにを言い出すんですか、ブレントさん。ふざけないで下さいよ」
いきなり犯人呼ばわりされて、チャドが驚いた顔をする。しかし、ブレントはさらに怖い顔で睨み、チャドの腕を指さした。
「お前の、その腕の刺青なんだが、冒険者ギルドで聞いたんだよ。原住民は腕に刺青をしていたそうだ。お前だろ、今まで俺たちの仲間を殺してきたのは」
「何をわけのわからないことを言い出すんですか」
「お前が獣を操ってたんだろ。お前、原住民の生き残りじゃないのか」
「ふざけないでくださいよ。この刺青は単なるおしゃれですよ」
「ふざけてねーよ。カミアキンがワニに引きずり込まれた時、お前は後方にいただろ。本当はお前がカミアキンを川に突き落としたんじゃないのか。オーガスタスの死体を見つけたのもお前だ。食料管理してたのもお前だろ。わざと捨てて、代わりに木片を入れて俺たちを混乱させようとしたんじゃないのか。カールが蛇に殺された時もそうだ。最初はお前を襲ったのに、何で蛇はお前を放したんだよ。おかしいじゃないか。今回のバーソロミューもお前が殺したんだろ」
「そんなわけないですよ。カールさんの時は僕の服がちぎれただけですよ」
「じゃあ、何でそんなに身体中、血まみれなんだよ」
「これは驚いて便所の中で転んじゃったんですよ」
俺はチャドに詰め寄るブレントを止めにはいった。
「おい、いい加減にしろ、原住民の伝説か呪いかなんか知らんがそんなもの信じるなよ」
俺の言葉にジェイスンが反応する。
「何だよ、原住民の呪いって」
ブレントが例の話をするが、ジェイスンは取り合わない。
「下らない。そんなこと信じてるのか。案外、あんたがバーソロミューを殺したんじゃないのか。俺たちがカールを埋葬しに行っている間に。バーソロミューのことを嫌っていたもんな。だいたい、チャドが便所に入った時、バーソロミューの悲鳴なんか聞こえなかったぞ」
「何だと、俺が獣を操ってたって言うのかよ」
「だから、その原住民の伝説とか呪いってくだらない考えは捨てろよ」
「じゃあ、今まで獣が襲って来たのは、いったいどういうことなんだ」
「単なる偶然だろ。だいたい、前に言ってたよな、あんたは。こういう時は一番大きく騒いでいるのが怪しいんだって」
「何だと、この野郎」
また、ブレントとジェイスンがケンカになりそうなる。
いい加減にしてくれと俺は思った。
「おい、落ち着け、二人とも」
「落ち着いていられるかって。この中に殺人者がいるんだろ」
ブレントが俺を睨みつける。こいつ、本当に頭がおかしくなってきたんじゃないかとブレントを見て俺は思った。すると、ブレントは便所の中に入って、バーソロミューの足を引っ張り死体を出す。そして、その胸から上が無くなったバーソロミューの遺体を川に投げ込んだ。水面が動く。バーソロミューの遺体をさっそく肉食魚が食べているらしい。
「何てことすんだよ、お前は。もう、許さねえぞ」
ブレントのひどい行為に怒り出したジェイスンを俺とチャドで押さえこむ。そのジェイスンがブレントに喚き散らした。
「仲間に対して、なんてひどいことするんだ!」
「もう、死んでるんだから、どうでもいいんだよ。まあ、このパーティーは解散でいいんじゃないのか。俺は目的地に付いたらさっさと帰らしてもらうぜ」
そう捨て台詞を言って、いかだの中央の小屋に行くブレントを見て、ジェイスンが俺に囁く。
「全く、とんでもない奴だな」
「まあ、もうすぐ到着するから我慢してくれ」
「とにかく、あのブレントって奴は怪しいぞ。やはりバーソロミューを殺したのはあいつじゃないのか」
「おい、人食い猿なんて聞いたことないぞ」
斧を振り回しながらジェイスンが叫ぶ。小柄な猿だが、数が多い。五十匹、いや、それ以上はいる。俺も何匹かに噛まれた。猿が多すぎて、ジェイスンやチャドがどうなったかも分からない。
「死ね、このキチガイ猿どもが!」
剣を振り回しては、猿を叩き斬る。何十匹か倒して、やっと、猿たちも逃げて行った。ジェイスンやチャドも、身体中噛まれたのか全身傷だらけだ。ただ、小さい猿なので、傷の方は深くない。
「全く、あんな狂暴な猿、今までの冒険でも見たことないぞ」
ジェイスンが呟いた。俺もそう思ったが、それと同時におかしな気もしてきた。急に襲って来たかと思ったら、あっという間に撤退していった。まるで誰かに操られているかのように。
「とにかくカールを埋葬しよう」
カールの遺体を見るとズタボロにされて、肉が食いちぎられている。何でここまで猿たちがするのかよくわからなかった。胸の辺りに大きく穴が開いていた。そのカールの遺体に土をかけると俺たちはまた木の枝を伝って、いかだに戻った。
「どうした。なんの騒ぎだよ」
冒険服を猿に噛まれてボロボロになって戻った俺たちに、ブレントが聞いてくる。
「猿の集団が襲って来たんだ。まあ、何かわからんが大した連中じゃなかった。あっさり撃退したよ。カールの遺体は埋葬した。とにかく出発しよう」
俺は大木につないでいた縄を外した。いかだはまたゆっくりと動いていく。猿に噛まれた腕が痛む。しかし、今日の午後には目的地に到着するはずだ。俺が前方を見ているとブレントがまた俺に小声で言った。
「何で猿が集団で襲ってくるんだよ。やっぱり、原住民の仕業じゃないのか。昨日、言っただろ。ここにいた原住民は動物を操れる能力があったって」
「だからと言って、何で俺たちを襲うんだよ」
「遺跡を守りたいんじゃないのか。いや、もしかしたら、俺たちの仲間に原住民が紛れている可能性もある。そいつが動物たちを操っているんじゃないのか」
何を言い出すんだ、こいつはと俺は思った。
「もし、操れるとしたら、もう一斉に動物たちを使ってさっさと俺たち全員を殺しているはずだろ」
「……そうだな、そうかもしれん」
また、いかだの上の小屋に座り込むブレントを見て、こいつは元々頭がおかしい奴じゃないかと俺は不安になった。そして、気が付くとバーソロミューがいない。そう言えば、俺たちが戻ってきたときに小屋の中で寝ていなかった。俺はブレントに聞いてみる。
「おい、ブレント。バーソロミューはどこに行ったんだよ」
「ああ、あいつなら便所だよ」
しかし、俺たちが戻ってきた頃からだいぶ時間が経っている。
「バーソロミューさん、便所の中で倒れてるんじゃないですか」
そうチャドが俺に言っていかだの後方の便所の扉を開けて中に入った。例の石の仕掛けで扉がバタンと閉まった。しばらくして、チャドの悲鳴があがった。チャドが便所の扉を開いて飛び出てくる。服が血で真っ赤だ。
「大変ですよ、バーソロミューさんが死んでます」
びっくりした俺やジェイスンがあわてて後方の便所へ行く。便所の中を覗くとバーソロミューが便所の穴に首を突っ込んでいる。いや、よく見ると首が無い。胸の辺りもグチャグチャだ。血がそこら中に飛び散っている。
「これは用を足している間に穴からワニが入り込んできて、バーソロミューを殺したんだろうか」
俺がそう言うと、ジェイスンが首をかしげる。
「ワニが入りこんで来るにはちょっとその穴は小さいんじゃないのか」
「じゃあ、カミアキンを殺したような大型のワニじゃなくて、小型のワニか、または違う狂暴な魚にでもやられたのか」
俺たちが話していると、ブレントがゆっくりと近づいて来た。
そして、チャドを睨みつけて言った。
「おい、チャド、お前がバーソロミューを殺したんだろ」
「な、なにを言い出すんですか、ブレントさん。ふざけないで下さいよ」
いきなり犯人呼ばわりされて、チャドが驚いた顔をする。しかし、ブレントはさらに怖い顔で睨み、チャドの腕を指さした。
「お前の、その腕の刺青なんだが、冒険者ギルドで聞いたんだよ。原住民は腕に刺青をしていたそうだ。お前だろ、今まで俺たちの仲間を殺してきたのは」
「何をわけのわからないことを言い出すんですか」
「お前が獣を操ってたんだろ。お前、原住民の生き残りじゃないのか」
「ふざけないでくださいよ。この刺青は単なるおしゃれですよ」
「ふざけてねーよ。カミアキンがワニに引きずり込まれた時、お前は後方にいただろ。本当はお前がカミアキンを川に突き落としたんじゃないのか。オーガスタスの死体を見つけたのもお前だ。食料管理してたのもお前だろ。わざと捨てて、代わりに木片を入れて俺たちを混乱させようとしたんじゃないのか。カールが蛇に殺された時もそうだ。最初はお前を襲ったのに、何で蛇はお前を放したんだよ。おかしいじゃないか。今回のバーソロミューもお前が殺したんだろ」
「そんなわけないですよ。カールさんの時は僕の服がちぎれただけですよ」
「じゃあ、何でそんなに身体中、血まみれなんだよ」
「これは驚いて便所の中で転んじゃったんですよ」
俺はチャドに詰め寄るブレントを止めにはいった。
「おい、いい加減にしろ、原住民の伝説か呪いかなんか知らんがそんなもの信じるなよ」
俺の言葉にジェイスンが反応する。
「何だよ、原住民の呪いって」
ブレントが例の話をするが、ジェイスンは取り合わない。
「下らない。そんなこと信じてるのか。案外、あんたがバーソロミューを殺したんじゃないのか。俺たちがカールを埋葬しに行っている間に。バーソロミューのことを嫌っていたもんな。だいたい、チャドが便所に入った時、バーソロミューの悲鳴なんか聞こえなかったぞ」
「何だと、俺が獣を操ってたって言うのかよ」
「だから、その原住民の伝説とか呪いってくだらない考えは捨てろよ」
「じゃあ、今まで獣が襲って来たのは、いったいどういうことなんだ」
「単なる偶然だろ。だいたい、前に言ってたよな、あんたは。こういう時は一番大きく騒いでいるのが怪しいんだって」
「何だと、この野郎」
また、ブレントとジェイスンがケンカになりそうなる。
いい加減にしてくれと俺は思った。
「おい、落ち着け、二人とも」
「落ち着いていられるかって。この中に殺人者がいるんだろ」
ブレントが俺を睨みつける。こいつ、本当に頭がおかしくなってきたんじゃないかとブレントを見て俺は思った。すると、ブレントは便所の中に入って、バーソロミューの足を引っ張り死体を出す。そして、その胸から上が無くなったバーソロミューの遺体を川に投げ込んだ。水面が動く。バーソロミューの遺体をさっそく肉食魚が食べているらしい。
「何てことすんだよ、お前は。もう、許さねえぞ」
ブレントのひどい行為に怒り出したジェイスンを俺とチャドで押さえこむ。そのジェイスンがブレントに喚き散らした。
「仲間に対して、なんてひどいことするんだ!」
「もう、死んでるんだから、どうでもいいんだよ。まあ、このパーティーは解散でいいんじゃないのか。俺は目的地に付いたらさっさと帰らしてもらうぜ」
そう捨て台詞を言って、いかだの中央の小屋に行くブレントを見て、ジェイスンが俺に囁く。
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