プラカーシュの首

守 秀斗

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第6話:渡船場にて

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 雨が降り続いている。
 この時期は一度降り始めると何日もやむことがない。

 川が増水して渡ることが出来ない。
 渡り船も中止になった。

 アヤンとクリシュナは川の前の渡船場の小屋で待つことにした。
 アヤンが布で宝石を拭いている。

「この宝石に付いた血が取れないなあ」

 クリシュナが言った。

「血まみれじゃないすか。値段が下がるんじゃないですか、ボス」

 アヤンが宝石の表面をさわりながら言った。

「拭いても、洗っても取れないんだよなあ」

 外は豪雨だ。
 小屋には二人しかいない。
 今日は舟渡人も帰ったようだ。

「ところで、ボス」
「なんだ」

「なんで、俺にあの二人を殺させたんですか」
「そりゃ、最初からそのつもりだったのさ」

「宝石と交換する金って用意してたんですか」
「するわけねーよ。偽札を見せて、あのダンって奴ともう一人、カイってのを騙したんだよ。カイはなぜか来なかったけどな」

「要するに最初から殺す気だったと」
「ああ」

「俺も殺す気じゃないんですか、ボス」
「おい、冗談でもそんなこと言うなよ」

「本当ですか」
「しつこいぞ」

「そう言って、俺が油断している時に、殺す気じゃないんですか」
「ふざけんな、酷い目に遭わすぞ」

「酷い目ですか。やっぱり殺す気じゃないですか」
「この野郎!」
 
 こいつを一発ぶん殴ってやると、アヤンが立ち上がる。
 クリシュナが笑って手を振る。

「冗談ですよ、冗談」
「二度とそんなこと言うなよ」

 アヤンはまた椅子に座る。

「その宝石の値段どれくらいなんですか」
「わからん」

「宝石には詳しくないんですか」
「ああ」

「詳しくないのに、殺すなんて、うかつじゃないですか」
「うるさいな」

「俺の分け前はどれくらいですか」
「三分の一だ」

「少ないですね」
「何言ってんだ、お前は」

「俺は二人殺した」
「ああ」

「ボスは一人殺した」
「何が言いたい」

「俺は二人殺した。ボスは一人殺した」
「はっきり言えよ」

「俺は二人殺したんですよ」
「だから、何が言いたいんだよ」

「だから、俺は二人殺したんですよ」
「てめえ、何が言いたいんだ!」

「俺は分け前の三分の二をもらう権利がある」
「お前、本当に殺されたいのか」

 アヤンは剣の柄を握った。
 またクリシュナが手を振ってアヤンをおさえる。

「冗談ですよ、ボス」
「ったく」

 アヤンが剣の柄から手を離した。
 すると、またクリシュナが言った。
 
「あっと、思い出した」
「何だよ」

「あの廃墟の衛士にとどめをさしたのは俺ですよ、ボス」
「だからどうした」

「つまり三人殺した。俺には全部もらう権利がある」
「ふざけんな」

 こいつぶっ殺してやる。

 その時、舟渡人が小屋に入ってきた。
 一旦、アヤンは剣から手を離した。

 クリシュナが指をはじく。

 舟渡人がいきなり剣でアヤンを後ろから刺した。

「てめえ……」
「あんたが俺にやらせたことだな」

 アヤンが床に崩れ落ちた。
 舟渡人がクリシュナに聞く。

「あっしの分け前はいくらです」
「これだよ」

 クリシュナは剣を抜くと、舟渡人を切り殺した。

 クリシュナは宝石を手に取る。

「これでこの宝石は俺のもんだ」
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