スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗

文字の大きさ
171 / 171

第171話:頭がフワフワするなあ、おめでとうございます、あの世っすね、ガマガエルリーダーの下らない人生もこれで終了、めでたしめでたしっすね

しおりを挟む
「うーん、うーん、気持ち悪いぞ」
「どうしたんすか」

「なんか、頭がフワフワするなあ」
「ようやく脳卒中すか。おめでとうございます。あの世っすね。ガマガエルリーダーの下らない人生もこれで終了、めでたしめでたしっすね」

「うるさいぞ。でも、体中がどんどんおかしくなっていく。もう爺さんだ。今日は冒険は無しだ。寝るぞ」
「今日は休日っすよ」
「おお、そうだったな。このまま寝てるか」

 寒い朝。
 だらんとコタツで横になっている俺。

 反対側では相棒もだらんと寝ている。

 俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
 普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。

 今は宿屋の屋根裏に住んでいて、副業で猫カフェのオーナーと山の湧き水の販売をしている。

 今はだらんとパーティー二人が屋根裏で横になっているだけ。
 
「おい、つまらんぞ」
「そりゃ、つまらんでしょ。ただ横になっているだけなんすから。もう誰にも興味を持たれませんね」

「いいのかよ、こんな人生で」
「いいんじゃないすかね。だいたい、みんな他人の事なんて気にしてないすよ。ガマガエルリーダーがコタツで突然死しても興味無しっす」
「だから勝手に殺すなって」

 しかし、おもろーないな。

「やれやれ。人生おもろーない。目も悪くなって、趣味の読書も出来ない」
「何か他の趣味でも見つけたらどうすか。ガマガエルの観察とか」
「カエルを飼ってもおもろーないぞ。ああ、ヒマだ、ヒマだ」

 何もしないでただ横なっているおっさんの愚痴を聞いても、誰もおもしろがらないだろうなあ。
 それにしても、相棒の奴、若いくせに俺よりだらだらとした生活だ。

「おい、いいのか、それで。いい若いもんがコタツでただ横になっているなんて。人生なんてあっという間なんだぞ。俺みたいになっていいのか」
「また、説教すかね。もう一兆回くらい聞いた気分なんすけどね。そんなガマガエルみたいな体にはなりませんよ。最近は野菜中心の食事っすからね、ガマガエルリーダーに付き合って」

「そうやって、油断していると、いつの間にか腹が出てくるんだぞ。いいのか、そうなっても」
「まあ、そうならないように注意しますよ」

「おい、お前はなにかにトライしてみないのか」
「何にトライするんすかね、ドラゴン退治すかね。そんな依頼されるわけないすよ」

「冒険ではない。株式投資ってのはどうだ。最近、非課税になったみたいだぞ。金額に上限があるがな」
「大して金を持ってないすよ。投資する金なんてないすよ。それに大して儲からないでしょ」

「やる気のない奴だな。テンバガー銘柄を狙うんだよ」
「何すか、そのテンバガーって」

「十倍に浮上する株だ」
「そんなの滅多に起こらないじゃないすかね。だいたい、人生最初から沈み切って貧乏神に憑りつかれている不幸の連続のリーダーのパーティーの一員の俺っちにはそんな幸運は来ませんね」
「うるさいぞ。俺にも少しは幸運があったのだ」

「どんな幸運すかね」
「小さい子供の頃、ぐるぐると体を回転させていたのだ」

「何すか、それ。どんな遊びっすか」
「別に意味のない遊びだな。子供ならよくやるだろ。それで体を止めると周りの風景が回転して面白いのだ」

「で、どうなったんすかね」
「フラフラになって、うっかり小川に落ちたのだ。でも、腰のベルトがちょうど川岸に飛び出ていた木の根っこにからまって助かったのだ」

「出腹でよかったすね」
「何言ってんだよ、子供の頃は出腹ではない」

「しかし、それでガマガエルリーダーは幸運を使い切って、今やあの世寸前ってわけっすか」
「うるさいぞ。まだ、死なないぞ。何とかしてやる。よし、冒険だ」

 俺はコタツから立ち上がる。
 フラフラするなあ。

「うーん、めまいがする」
「例の良性発作性眩暈症ってやつっすかね」

「うむ、しかし冒険するぞ」
「ギルドに行くんすかね」

「いや、この屋根裏部屋を歩き回るのだ」
「それのどこが冒険なんすかね」

 呆れ顔の相棒。

「このフワフワと頭の中が回転している状態に打ち勝つ精神力を養うのだ、これこそ冒険だ」
「それで壁に頭をぶつけて、あの世っすか。めでたしめでたしっすね」
「うるさいぞ。めでたくないぞ」

 ああ、でも子供の頃は何もかもが楽しかった。
 体を回転させるだけで面白かったなあ。
 生きること自体が楽しかったものだ。

 すべてが黄金色に輝いていた。

「ああ、それに比べて、おっさんになってから生きていること自体がつらいぞ。人生とは苦痛なり」
「また、ぼやいてますね。もう、ガマガエルリーダーの愚痴は聞き飽きましたよ」

「しかし、昔は楽しかったなあ」
「思い出補正じゃないすかね」

 それもあるかもしれないな。
 さて、屋根裏部屋を一周する。

「よし、冒険終わり」
「何言ってんすか。どこが冒険すかね。コタツから出て屋根裏をウロウロしたあげく、またコタツで横になっただけじゃないすか」
「しょうがないだろ。体調不良なんだ。これでも大冒険だ」
「あほらしいっすね。俺っちは二度寝しますよ」

 相棒は呆れたのかコタツに潜って寝てしまう。
 どうしようもない奴だ。

 でも、自分もこんな調子でいいのだろうかと悩む始末である。
 やれやれ。
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

A・l・m
2025.12.12 A・l・m

第一話
諦める勇気!?

渡れるうちにロープ張っちゃダメなんかね……吊り天井とか別の罠仕込んでそう……?

それはそうと、ここのダンジョンには若い裸の娘型モンスターは現れないようだ

解除
たかつき
2024.08.11 たかつき

新人では手に負えないスライムを専門に狩る、スライムスレイヤー! みたいなのを想像していたら、
超ほのぼのでほんわかしました。笑
コントみたいな二人組の出会いが気になります。

2024.08.20 守 秀斗

ご感想ありがとうございます。
>>「新人では手に負えないスライムを専門に狩る、スライムスレイヤー!」
おお、そのアイデア面白そうですねえ。別の作品で書いてみようかなあ。

この二人組の出会いとかは全然考えてなかったです。
後、この作品でも最後は大冒険させるつもりなんですけど、これまた何も考えていないです。
だらだらと続いていく予定です。
すみません。

解除

あなたにおすすめの小説

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。