バシリスマキナ

たき

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パーリッシュの杜

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 先程まで立っていた砂漠とはちょっと離れた森…とまでは言わないかもしれないがまぁ少々木々が立ち並んだ場所に佇む機構の美少女。
 そう、無論私。
 はいそこ、美少女にツッコミ入れない! いやツルっツルだし機構って名乗る程メカメカっこ良くないよねとか…触れないであげてお願い。
 まぁ冗談はさておき、イアにかかった謎のロック。籠庭という私のデータベースに存在しない地名。本当、謎しかない。
 探偵でもないし、そんなに謎の大安売りしてもらっても困るんだけども…。

「イア、籠庭って何?」

「情報がロックされています」

「じゃあ選ばれたって何?」

「情報がロックされています」

「私って可愛い?」

「情報がロックされて…いません。統計データ的には一般的には平均より美人に分類されると思われます」

 なんだ、あながち間違ってもいなかったのか。自分で自分を見た記憶なんて無いし、適当に美少女とか抜かしてたのがバレなくて良かった。
 ってそうじゃない。違う。寄り道するな私。

「じゃあ…そうね…なにか重要そうな情報でロックされてないのは?」

「…………明日は木曜日です」

「いや曜日っ! 曜日って! 何の役にも…」

「パーリッシュの民が日光を浴びに地上に出るのは水曜日です」

「…は?」

 ガサガサと周囲で草が擦れる音が鳴る。
 視線を感じる。それも全方位から。

「イア、総数は?」

「測定不能です」

「はぁ? ナニソレなんで?」

「…原因は不明です」

「一応…ブレードシフト」

「ブレードシフト起動」

 重心を少し落とし、銃を構える。まぁこの場合銃じゃなくて剣と表現した方が的確かもしれないが、この際そんな事はどうでも良いので放置。
 後の先の構え。多対一での肉弾戦、それも奇襲をかけられた場合の構えだ。確かこれは昔教官に教えてもらって…教官? 教官…誰だっけ? 
 まただ、また大事な記憶が欠けている。
 勘弁して欲しい。

「ア…」

「っ!?」

「アノ…ケルン…ワカル…コトバ…チョット…キク…ハナシ…ウツヤメル…コワイ」

 視線を向けていた者のうち、草むらから一人が歩み出た。
 髪は腰程まであり、蔓のような物で軽く纏めてある。
 何かの植物を編みこんで作ったであろう服で下半身を覆い、上半身に関しては胸のみを同じく何かの植物の編み物で隠してあった。
 野生動物の牙のような物で作ってある首飾りを下げ、右目の下に一本赤く線が描いてある。
 ボサボサとした黄金色の髪の毛から、角のような物が覗いている。もしかしたらアクセサリーの一種かもしれない。
 データベースの中にあるどこかの原住民のようだと思った。

「私はブレイズ、敵対する意志は無いがそちらが抗戦を希望するなら…」

「チガウ…ケルン…タタカウ…イタイ…イヤ…コワイ」

 両手を上にあげ、ふるふると首を横に振る。
 私は勿論、銃を下ろして一斉に襲いかかられでもしたらたまったものではないので、ブレードを起動したままにしている。
 
「名前、ケルンっていうの?」

「! ソウ! ケルン!」

「ケルン、貴方のお仲間が私を取り囲んでるのはなんで?」

「……パーリッュ…ヒ…アビナイト…イキテイケナイ…ソトデタ…オオキイオト…ミニキタ…ブレイズ…オチテキタ…ナカマヨンダ…デモパーリッシュコワガリ」

「なるほどね、様子見してるってわけか」

 こくりと頷く。感じるのは敵対心ではなく、警戒心…それと恐らくだが好奇心のような物なのだろう。いつでも起動できるようにだけし、銃を下ろした。

「ブレイズ…ニンゲン…?」

「んーん、私はマキナセラフィー。人じゃないよ」

「マキナセラフィー…!? ホント…? ブレイズ…ウソツク?」

「へ? 嘘じゃないよ?」

「…………ワカッタ」

「そんなに意外だった?」

「マキナセラフィー…ホロブ…ヨンヒャクネンマエ…」

「は? 400年前?」

 400年眠っていた…? 故障…? そんなまさか。仮に400年も眠っていたとするならどうして…今になって修復された…?

「………ブレイズ…コレカラ…ドウスル?」

「んー…特には…」

「ウチ…クルカ…?」

「あー…まぁ行く場所も無いし…話も聞きたいし…」

「ヨカッタ! ケルン…アンナイ! ブレイズ…クル!」

「え! ちょ、ちょっと待ってよっ!」

 駆け出したケルンの後を追いながら、周囲の地形を確認する。
 木が多くなってきた。これならば森と言えるかもしれない。
 相変わらず視線は多いが、警戒されているような緊張感は感じない。単に興味があるのだろう。
 少しすると、地面から建物の一部が見えるようになった。材質は見たところ恐らくコンクリートだと思う。前時代的だ。
 
「ツイタ…ココ…ケルン…イエ…ブレイズ…クツログ…イイ…ケルン…ウレシイ…!」

 辿り着いたのは、地面からほんの少しはみ出した建物のうちの一つ。大きな木の根本に、根が絡むようにして生えていた。
 その窓の一つから、ケルンがもぞもぞと中に潜り込んで手招きする。
 服が地面に擦れそうだ…いやでも蟻の体液に比べればこのくらい…。
 迷う。乙女として服を砂だらけにするのはちょっと…いや手遅れとか言わないで…。

「? ブレイズ? フク…ヨゴレ…イヤ…?」

「うぅぅ…そりゃまぁ…」

「ワカッタ」

「え?」

「ブレイズ…フク…ヌグ…ケルン…ワタス…ブレイズ…ナカハイル…フクキル…ドウ?」

 つまりは全裸になれと? 外で? 勘弁してくれ私は変態じゃない。誰も見ていないとは言っても…その…イヤな物はイヤなんだ。
 これでも清らかな乙女なので……いや流石にそれは無理だキツい。
 清らかとか自分で言い出したらなんていうかアウトだ、気をつけよう…。

「いやそれはちょっと…ほら、ケルンも女の子だったら外で脱ぐのなんて嫌でしょ?」

「……? ……ケルン…オンナ…?」

「え、嘘、男の子だったの…!?」

「ケルン…ワカンナイ…オトコ? オンナ? …ナニ?」

「へ? ちょっとイア、これってどういう…イア?」

「おはようございます。マスター」

「いつの間にスリープモードに」

「要件を」

「あ、えっとねパーリッシュについて聞きたいんだけど」

「情報は一部ロックされていますが」

「…じゃあロックされてないとこで」

「種族名:パーリッシュ。一定期間毎に太陽光を浴びないと活動が停止する性質を持つ。身体のどこかに体内の液体金属が硬質化した角を持っている。性別という概念は成人するまで持たず、成人時にどちらかを選択する」

「あぁ…どっちでもないのね…」

「ブレイズ? ドウスル? ヌガセルカ?」

「いや、入る。脱ぐよりはマシだもん」

 屈んで、できるだけ裾が地面を擦らないように気をつけながら窓の中に潜り込む。中は意外と広くて快適だった。
 電気は通っていないらしく、部屋の中の明かりはランタンで補われていた。
 
「ブレイズ」

「ん? 何?」

「ムク…ムコウ…ケルン…キガエル」

「あ、うん分かった」

 言われた通りに窓の方を向く。外では、ケルンより少し小さいくらいの子供達…多分子供だと思う、が何か鞠のような物を蹴って遊んでいた。
 見ているとなかなか面白い。
 どうやら3対3に分かれて勝負をしているようだった。鞠が地面に落ちる度、落胆と歓喜の声が沸き上がる。
 勿論言葉は分からないので、なんとなくそういう風に聞こえる、というだけだがまぁおおよそ合っているだろうと思う。

「ブレイズ…オワッタ…ドウダ…?」

 振り返ると、先程のボロボロの服装とは違い、ふわふわしていて綺麗で…魅入られるような煌びやかな服を着ていた。
 一方私は機動力を重視した軽装。しかもボロボロ、あちこちほつれているし薄汚いし…うん、考える事を一回やめよう私。

「スゴい…似合ってるね…! 可愛い…」

「ケルン…ウレシイ! ブレイズ…キルカ…? ニアウ…オモウ…ケルン」

「いやそんな…申し訳ないし…」

「イイ…ブレイズ…ケルン…ナカマ…トモダチ…! ケルン…ウレシイ!」

「………じゃあ……ちょっとだけ…」

「ナニ…イイ? ケルン…ワカンナイ…ミル…エラブ…ブレイズ…フク」

 タンスの中を覗き込む。そこには、色々な服が詰め込んであった。一枚一枚丁寧に確認する。
 服には憧れがあった。今まで着た物といえば、戦闘や探索に特化した味気のない服ばかり。使い捨てのマキナセラフィー兵としては珍しいが、私はれっきとした「かつてシンデレラに憧れた女の子」の一人なのだ。全く、上官共は頭が固くて…上官…上官…? 上官って…誰の事だっけ…?
 またこれかと心の中で溜息を吐く。
 タンスの中を漁る私の肩に、遠慮がちにケルンの手が置かれる。

「ケルン…ヨブ」

「呼ぶ?」

「チガウ…ブレイズ…ヨバレル…パーリッシュ…オサ」

「…へぇ? 何の用で…?」

「ケルン…ワカンナイ…ケルン…コドモ…オトナ…オシエル…ナイ……」

「おーけー、じゃあちょっと行ってくるよ、どこに居るの? そのオサってのは」

「イチバン…オオキイ…キ…ネモト…ハイル…アル」

 ケルンが指を指す方を見ると、確かに大樹が絡まったビルの残骸のような物があるのが分かった。ケルンに別れを告げ、オサの元へと向かう。
 先程よりも多くの視線を感じる。単純な殺気ともまた違う、奇妙な感覚。
 …何か、悪い予感がする。
 自慢ではないが私の悪い予感は当たるのだ。…戦闘の準備をしておいた方がいいかもしれない。イアが起動できる状態である事を確認し、オサがいるという大樹の根本へと歩みを進めた。
 入り口がかなり大きい。これなら屈まなくても十分通り抜けられるはずだ。
 ランタンで室内が照らされていた明るい雰囲気のあるケルンの家とは違い、薄暗い。光源はあるにはあるようだが、室内を見回すのに支障があるクラスの薄暗さだった。
 全く、女の子を呼んで良い場所じゃない。せめて明かりくらいは確保してもらわないと…。

「くっ!?」
 
 油断していたのは、まぁ認める。でもこんな奇襲の仕方をされるとは思っていなかったので許して欲しい。
 建物内に入って数歩で入り口にシャッターが下ろされ、僅かでも光を放っていた電灯がことごとく消えた。
 それと同時に頭部に強い衝撃を感じる。勿論この程度で気絶する程やわには出来ていないが、イアを思わず手放してしまうには十分な衝撃だった。
 そして静寂が訪れる。いや、静寂ではない。気体の漏れるような音がどこかから…。息が苦しい。はやく、はやく逃げないと…。
 やがて視界が重くなり、私は意識を失った。

 目を覚ました。まずい事になった。猿ぐつわを噛まされ、両手両足は蔓のような物で床…というか視界の高さ的に何か台のような物? に拘束されている。
 周囲ではパーリッシュ達が何やら話をしているが、聞き取る事ができない。
 無論イアは手元に無く、近くにある机の上に無造作に置かれているのが見えた。
 パーリッシュ達が、私が目を覚ましたのに気付く。左手の拘束を外し、台の上に移す。ちなみに三人がかりなので私に抵抗する余裕はない。
 やがて別のひとりが、大きな鉈のような刃物を運んでくる。
 固定された左腕の上に刃物をかざした。
 まずい、本当にまずい。痛覚を遮断するには音声認識が必要なのに、猿ぐつわのせいで喋れない。鉈を振りかぶった。まずい、どうしよう嫌だ、いやだ。

「っっん”っん”ーーーーっっっ!!!!!」

 痛みで理性が飛びかける。反射的に切断された腕を見ると、どういう事かまだ繋がっていた。どうやら狙いを外したらしく、切れていたのは手首ではなく掌だったのだ。
 痛みで思い切り動いた反応で猿ぐつわが緩む。息を大きく吸い込み、力の限り叫んだ。

「イアっ!!!」

「要件をどうぞ」

「強制起動っ! コード:バーサークッ!!!!」

「バーサークモードを起動します。強制シャットダウンまで残り300秒」

 バーサークとは、マキナセラフィー兵に備えられた切り札のような物だ。エネルギー効率度外視の戦闘性能を引き出す代わりに、300秒後には確実な眠りが訪れる。
 普段だったら絶対に使わない機能だし、そもそも起動には今のような強制起動でなければ、起動するには時間がかかってしまうので、記憶している限りでは初のバーサークモード使用である。記念すべきかどうかは分からない。
 手足を縛る蔓を引きちぎり、素早くイアの元に向かう。

「ブレードシフトッ!」

「ブレードシフト起動」

 手始めに鉈の刃を根元から切り落とす。本当ならば首を最初に落とさなければならないが、顔を見るとケルンの笑顔が頭をよぎり、手元が狂ってしまう。

「…対象の排除を推奨します」

「……ダ、ダメかな…殺さないと……私…私っ! …殺したくない…!」

「排除を推奨します」

「…………ケルンの仲間なのに…そんな…」

「対象の排除を…」

 無言で一人目の首を切り落とす。怯えて縮こまる残りの三人にも銃口を向けた。
 濃厚な金属のにおい。むせかえるような、息苦しくなるような、そんな感覚。
 
 
「…情報のロックが解除されました」

「…え?」

「種族名:パーリッシュ。滅びゆく一族」

「滅びゆく…?」

「パーリッシュは金属しか栄養に変換する事ができない。しかし、ここ、パーリッシュの杜にはもう資源が存在しない為、命を繋ぐ為に共食いという形での種の存続を許容してきた経歴を持つ」

「え…じゃあ私って…私って…貴重な栄養源だった…って事…? まってそれじゃあ…最初からケルンは…私の事を騙して…連れ込んで……」

 沈黙が流れる。空気が重たい。鉛を体内に流し込まれたような、そんな感覚。
 
「………バーサークモード終了。強制シャットダウンを実行します」

 覚えているのは地下の冷たい床の感触だけ。

「ア…ブレイズ…メ…サメル…ケルン…シンパイ…スル…ダイジョウブ…?」

 目を開ける。ケルンが顔を覗き込んでいた。

「は、離れてっ!」

「!?」

 おずおずと後ずさるケルン。
 周囲を見回すと、そこはどうやらケルンの家らしかった。

「ブレイズ…カエル…ナイ…シンパイ…ミニイク…ブレイズ…タオレル…ハコブ…」

 身振り手振りで必死に説明しているが、頭に入ってこない。

「ケルン…嘘…ついてたんだね…」

「ッ!? ケルン…ウソ…ツカナイ…」

「騙してたんだ…」

「チガウ…ダマス…チガウ…ドウシテ…?」

「そんなに美味しそうだった? なんなら齧ってみる?」

「…ワカラナイ…ブレイズ…ナニ…イッテル…? ケルン…ワルイ…シタカ…?」

「白々しいんだよ…ハッキリ言ってよっ! 食べたくて連れ込みましたってっ! 騙しやすそうなカモでしたってっ!」

「…ソノ…ケルン……」

 涙目になっている。だが知ったことではない。こちらは捌かれかけたのだ。文字通り命の危機だったのだ。
 怒る権利くらいはあるはずだ。

「ブレイズ…ケルン…キライ……?」

「大っ嫌いだね」

「……………………ケルン…イル…ブレイズ…イヤ…キエル………サヨナラ………」

 外に駆け出して行く。追いかける気は無い。というかここにいる事自体が危険だ。感じた視線は好奇心ではなく食欲だったと考えると身の毛がよだつ。

「情報のロックが解除されました」

「…今度は何……」

「種族名:パーリッシュ。一定年齢に達するまでは体内の金属を消費して生活する為、金属を栄養源にするという知識は無い」

「………え? じゃあケルンは本当に…何も知らなくて………追いかけないと、イア、位置追える?」

「対象の現座標を転送……転送終了」

「ありがとっ」

 数分後、私とケルンは再開した。
 正確に言うならば、私は、ケルンの遺体と、再会した。

「情報のロックが解除されました」

「………………………」

「種族名:パーリッシュ。体内の金属が体表に現れた角はパーリッシュにとって重要な器官の一つであり、損傷は死を意味する」

「……………………………………イア」

「要件を」

「…………記憶の永久削除…お願い…」

「範囲指定を」

「パーリッシュの杜で起きた事全て」

「削除には時間がかかります。一度再起動を実行する必要があるので安全地帯まで退避をお願いします」

「良い、ここで…良い…」

「了解しました、システムを再起動します」

 
 夢を見た。内容は覚えていない。でもとても楽しい夢。というかこんな所で寝たのか私…全く、不用心にも程がある。
 ところで、この遺体はなんだろう。私が殺したという記憶は無いし…。

「イア、この遺体について何か知らない?」

「……情報がロックされています」

「またそれかぁ…ま、誰か知らないけどお墓くらいは作ってあげますかね、私って優しいから」

 静かな森に、ザクザクという土を掘る音だけが響いた。
 埋葬している途中で何故か涙が零れた。
 そうかそうか、私は見ず知らずの他人の死を悼むような心を持ち合わせていたのか。なんて心優しいんだろう。
 正直自分で言うのはやめた方が良いと思う。

「さて、これからどうしよっか」

「…北に多数の生命活動を確認」

「お、じゃあそっちに行ってみよっか!」

 籠庭の姫の旅は続く。
 




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