RPG009

Virgin Read

文字の大きさ
2 / 4
はじまり

プロローグ2

しおりを挟む
「ふぁぁ~、よく寝た。」
 俺はいつものように宿に併設された馬小屋で目を覚ました。
 露原が俺を差別して雑に扱っているわけではなく、
単に耐久度が低くなっている麻の服を着ているためか、
宿屋のお姉さんが、宿の部屋に泊まることを断るように
宿屋の主から命令されているだけだろう。
 馬の糞尿のにおいが付いているといけないので
馬小屋の裏手にある井戸の水で麻の服と体を丁寧に洗った。
 春先を過ぎたとはいえ、まだ夏には遠い、朝に水を浴びるのは
正直、寒い。体を拭うものがないので、そのまま麻の服を着ると
水が気化するせいで、氷を浴びているようだ。
 日も上がってきているので、宿屋の一階のドアをノックすると
宿屋のお姉さんが出てきた。
「入っていいですか?」俺は明らかに迷惑そうな表情をする
受付嬢に露原を呼んできてもらえるように頼み、
 ドアの外でブルブルと震えながら、足踏みをしていた。
 一時間ほど待っていると、二階の部屋から宿屋の一階にある食堂に
露原が降りてきた。
「おはよう、そろそろ食事ができると思うよ」
露原はそうそっけなく言うと、隅にあるテーブルに座った。
「今日の朝食は何ですか?」俺がそう尋ねると、
 露原は、ベーコンとオムレツ、トマトスープと白パン、エールを注文した。
食事の内容は俺も同じだ。ただ、露原はテーブルで食事をするが、
俺は地面に木の皿を置いて食事をする。
「あのう、この服を何とかしてくれませんか?」
俺は心底、困ったように懇願した、実際心底困っている。
「鎧なんかは割と低レベル向けの物がマーケットに出てるけど、
木綿や麻の服を出品しているプレイヤーはいないようだからね。
それで我慢するしかないよ」
「そうですよね」同意しつつも俺は泣きそうになりながら、
馬小屋生活から開放されることを切望していた。
 俺と露原はここ、ビギニングヴィレッジの丸太を組み合わせてできた
粗末な北の門を出ると、薬草採集に向かった。
向かったといっても、門が見えるような範囲での薬草採集だ。
 危険はそんなにない。しかし、スライム程度とはいえすべてアクティブなので
麻の布だけの装備では戦闘になると死んでしまう。
 ダメージを負うと、回復に薬草が必要になるため、薬草採集に来ているのに
無駄な時間が増えることとなる。そのため俺に戦闘経験はない。
 スライムが近寄ってくれば、露原が処理してくれる。
 毎日、薬草を集めている俺たちだが、現実は残酷だ。
 貨幣価値がどんどん下がっていく、つまり、宿代、飲食費
生活費などの物価が上がっていく。そのうち生活できなくなるだろう。
スライム一匹の落とすのは銅貨一枚だ。144匹倒してようやく、
金貨1枚だ。1人が宿屋に1泊するのにスライムなら1440匹倒す
必要がある。薬草採集なら1回で1金貨相当だ。
 現在、俺たちは様々な薬草を採集してマーケットで売っている。
薬草自体は固定値の回復なのでレベルの高いプレイヤーには、
役に立たないのだが、高レベルのクラフターは錬金術でポーションが作れる
らしい。薬草から作られるポーションはパーセンテージ回復なので、
上級プレイヤーが頻繁に購入する。
 たいていの奴はレベルが上がると薬草採集などせず、戦闘で稼ぐ。
中級者になるかならないかまではマーケットのおかげで、
薬草採集のほうが効率よくお金を稼げるのだが、
 全く戦闘レベルが上がらないため、まず誰もしない。
 俺が生きていられるのは露原のおかげだ。スライムに襲われて
死にかけるという体験はもうしなくなった。俺一人ならとっくに野垂れ死にだ。
 いつものように薬草採集をしていると、何かが動いた気がした。
 薬草を入れている袋に、俺が露原に発見されてからずっと持っていた卵がある。
何の反応もなく、模様が気持ち悪いので捨てようとしたのだが、
 取引も捨てることもできない特殊アイテムだった。
 ぴくぴくと動く卵をじっと見ていると、ピンク色のスライムが生まれてきた。
「ぴっぐー」と謎の音声を発するそれは非常にかわいかった。
 俺がしゃがみこんでじっとしているのを訝しんで、露原がのぞき込んできた。
「ぉおー、小さい、かわいいよー」
 露原は目をまん丸くして、ピンク色のスライムをしばらく凝視していた。
 片手に乗るサイズなので子猫のようだ。
「ぴぐー、ぴぐー」ひとなつっこい声を出しながら俺にすり寄って来る。
「ぴぐー」しばらく見ていた露原はやがて我慢できないというように、
 ピンクのスライムをぎゅっと抱きしめていた。
 レベルはまだ1だが仲間が1匹増えるのはうれしい。
 しかも、薬草採取のみで卵を孵したためか、回復魔法が使える様だ。
 露原も俺もこいつがいれば、戦闘しても赤字になることはないだろう。
 俺はピンクのスライムに『スラリン』と言う名前を付けた。
 スラリンの感覚は調教師である俺と共有されるらしく、
露原の感覚が伝わってくる。まあ、銅の鎧を着ているので
硬い鎧の感覚だが。
 スラリンはムスメスライムと言う種類らしい。本人がそう言っている。
 縦横10センチメートルほどで肉まんのような形だ。非常にかわいい。
「はぁ~今日も、薬草採集か~」
 うんざりした声で俺が言うと、「文句言うな!お前が弱いからだろ」
 薬草はたいてい水際に生えている。
「スラリン~、薬草集められる~?」
「ぴぐ~」スラリンと一緒に川沿いに行って薬草を採集し始めた。
 スラリンは薬草を食べらられるらしいが、集めるのは無理なようだ。
食べれば食べるほどスラリンの回復魔法が強化されるようで、
たくさん食べるように指示を出しておいた。
 何故そんなことがわかるのかと言うと、スラリンは俺とだけは
意思疎通が可能だからだ。ほかの人には「ぴぐ~」としか聞こえないが、
俺には何を言っているか理解できる。
 スラリンが黙々と薬草を食べるかたわら、俺と露原は必死に薬草を集めていた。
俺はスラリンが回復魔法を使えるらしいことを露原に伝えると、
「うん、いいよ。私も半腰で薬草摘んでたら、腰痛がしてきた」
「ついでにそこいらのスライムを5~6匹テイムして仲間にしたい」
「いいね、それ」露原も賛成してくれた。
「スライムでも数がいれば戦力になるよ」
 露原の攻撃だと1撃でスライムを倒してしまうため、俺が露原から
銅の槍を借りて、そこいらにいるスライムを適当に狩っていく。
 うまく1割以下にできたらテイムする。
 5匹ほどスライムをテイムしてスライムA~スライムEと名付けた。
スラリンの回復魔法はかなり強力で最大ヒットポイントの50%を
回復できる様だ。さらに魔法を使わなくても触っているだけで
1秒にヒットポイントが5回復する。
 スラリンの体液は高濃度の薬草でできているようだ。
 昼過ぎまで頑張って薬草採集した俺たちは、薬草をマーケットに出すため
始まりの村、正式にはビギニングヴィレッジに戻って来ていた。
 表通りに出ると急に露原が歩く速度を上げ俺を引きはがしにかかる。
「お前のその服装はどう見ても乞食だ。一緒にいると私まで恥ずかしい。」
露原は痛烈な罵詈雑言を吐いて、おれから離れて前方を歩いていく。
俺の姿がみすぼらしいので仕方がないことは認めるが、
そこまで言うことはないだろう。
「早くまともな装備が欲しい。」
 マーケットのコンソールに到着するとおれは少し離れたところで
露原を見ていた。
「よっし、登録完了っと!」
 この星全体に張り巡らされているネットワークにアクセスして、
採集してきた薬草200束程度を売りに出した。
 俺たちの唯一の楽しみはウインドウショッピングだ。
露原はこのあたりでは最強の、銅の鎧と銅の槍を装備しているが、
俺が戦力として役に立つのが分かったらしく、これからのことを考え
より強力な装備を探しているようだ。
 マーケットのコンソールをいじりながら一人つぶやいている。
「たっかいな~、鋼鉄の鎧、金貨7万枚か~、とても買える値段じゃあないな」
「なあ、露原さん。露原さんの買い物の前に俺の服装を何とかしてください!
ずっと初期装備で耐久度もやばくなってきています」
「このままいくと裸です・・・」
 露原はやるせない様子を表すかのように深くため息をついた。
「検索 5ゴールド以下 布製防具」露原が何となとなしに、そう入力すると、
「検索結果 1件 身かわしの服 3ゴールド」
 おおっ、安い!
 露原もそう思ったのか、すぐに購入ボタンを押した。
 コンソールから出現したその服を受け取り、装備してみた。
涙が出るほどうれしかった。
 もう乞食じゃない。
翌日、身かわしの服とスラリンとスライム5体を使った、
試験的な戦いをしてみた。当然のことながら相手はスライムだ。
のんびりと歩いている無防備なスライムにスライムAからスライムEが
体当たりを仕掛ける。ほぼ瞬殺だ。スラリンの回復の使いどころがないのが残念
ではある。レベルが5上がったところでいったん中止し露原に報告に行く。
「よかったじゃないか、私も肩の荷が下りたよ」
 そうつぶやくと露原は宿屋の部屋に帰ってしまった。
 ちなみに俺も露原の支払ってくれた宿代で、初めてベッドで寝ることができた。
 木の板に藁を敷き、布をかぶせただけのものだが、寝心地はすごくよかった。
「ふぁぁああ~、よく寝た」俺は翌朝、いつもより早めに起きると
 宿屋の食堂にいった。意外なことに露原はもうそこにいた。
俺が遠慮気味に向かいの席に座ると、無言で布袋を差し出してきた。
「2000ゴールドある。お前の取り分だ。今までありがとう」
「ちょっと、待てよ。取り分って何だよ!」
「1人立ちできたんだ、これからはひとりで生きていけ」
「ふざけるな、俺たち仲間だろ!」
 俺が大声で怒鳴ると、うるさいとばかりに露原は耳を塞いでしまった。
身支度を整えた露原にストーカーのごとくついてく俺に
 少しうっとおしそうに、少し寂しそうに薬草をとりに行こうとしていた。
 そんなとき、ここ、始まりの村、正式には『ビギニングビレッジ』の
メイン通りを歩いていると突然真っ黒い姿をした、
一見して黒魔導士だとわかる人物に声をかけられた。
 ドスの利いた声で話しかけているが、おそらく女性だろう。

「そこのキミ、珍しいものを連れているね」
 肩に乗っているムスメスライムのスラリンのことだろう。
「何か用ですか?急いでいるんですが?」突然話しかけられて
動揺するおれはそう答えていた。
「キミはテイマーかな?」
「はい、そうですが」
「つれないね~、綺麗なお姉さんに声を掛けられてそれはないでしょう?
キミ何歳?」
「今年で11歳になります」
「まあ、色づく前だから仕方ないか、よければ食事などどうだい?
当然私がおごるよ」
 俺と露原は怪しげな人物を見て2人そろって訝しんでいた。
「なあ、露原、話くらい聞こうぜ」
 だがこんな、初心者且つ子供のパーティーに何の用かは知らないが
話くらいは聞いてもよさそうだ。
 もしかしたらこのまま露原とお別れになるかもしれないそんな雰囲気が
漂っていた中、降ってわいたイベントだ。逃すことは愚かだ。
「なあ、ただ飯が食えるんだ。いいじゃないか、後、俺一人じゃあ不安だから
露原も付いて来てくれよ」
 露原は大きくため息をつくと、仕方ないなと自分に言い聞かせるように
「ただ飯が食えるならたとえ火の中水の中だ。喜んでついて行こう」
連れていかれたのは、この街で最も安い酒場だった。
「おいし~、久しぶりの肉だ」そう言うと露原は肉にかぶりついていた。
「いただきます。」
 そう言うと普段あまり食べていないので、肉に全力で攻撃を仕掛けた。
 俺と露原は未成年なのでお酒は飲めない。エールではなく水割りオレンジ
を注文した。
 飲むと毒耐性が付いて、さらに最大HPが上がるらしいのだが、
俺たちは飲めない。どうやら薬草をちびちび食べながら飲むのがよいらしい。
 俺たちが空腹を満たし、一服すると食事をおごっているホストが
おもむろに尋ねてきた。
「君たち年齢はいくつなの?」
「俺が11歳で、こいつは10歳です」
「ふ~ん。」
「あ、私は、英島 豊 ゆたか、じゃなく、とよ、だよ。女性だからね」
「君はテイマー?モンスターを仲間にできるの?」
顔はフードに隠れていて見えないし、かなり低い声だが、話の通り女性だろう。
俺は自分の所有しているペットが戦力と言えるかはわからなかったが、
「はい、まぁ」と一応同意しておいた。そのほうが話がスムーズに進みそうだ。
「へぇ、どんなモンスターをテイムしたの?」
「おれの従えてるモンスターを知りたいんですか?がっかりすると思いますよ。」
「ここで出してくれないかな?」
「わかりました。ほんとはこんなところでペットを出すべきではないですが、
小さくて、かわいい系ばかりなので大丈夫でしょう」
「まず、うちのエース、初級回復魔法と初級状態異常回復魔法を
使用できるムスメスライムのスラリンです」
俺ははずかしがるスラリンを紹介した。
スラリンを見て英島さんは興味深そうだった。
ぶつぶつと(抱いて寝ると気持ちよさそう)などと独り言を言ってから口を開けた。
「回復魔法持ち?それはレアだ。本当にレアだ」
「私も長くここにいるけど回復魔法を持ったペットなど見たことがないぞ、
マーケットで売り飛ばせば、大金になるぞ」
スラリンは俺の嫁なので丁重にお断りした。
「残りはレベル5のスライムが5匹です。特に特徴のない普通の
スライムです」
「う~ん、レベルも低いし、経験もなさそう、かなり不安だね」
「私もあんたたちみたいなのは雇うの嫌だけど、調教師って稀少だからね」
「稀少なんですか?」
 稀少と言われ俺は問い返していた。
「うん、この世界に基本職の転職システムはないし、たいていは
火力が出せて、ソロでも戦える戦士系や魔術師系がほとんど、
パーティーってモンスターの敵意を引き受けて盾になって見方を守る『タンク』、
モンスターにダメージを与えて倒す『アタッカー』
敵にデバフ、味方にバフをかけて補助する『バッファー』
傷ついた味方を癒す『ヒーラー』で構成されているけど、
『テイマー』ってどれにも当てはまらない。だから役立たず」
役に立たないといわれてしょんぼりする俺に英島は言った。
「まあ、生産職の鍛冶屋や縫製屋とおなじでペット屋だと思えばいいでしょ。
調教師ってコストパフォーマンスがいいだけで、お金にならないからね。」
挨拶が済んだからか英島さんは本題を持ってきた。
「あなたたち、ウルティメットドラゴンって聞いたことある?」
「いえ、ないです」2人同時に即座に首を振った。
 名前的にウルティメット(究極)な、ドラゴン(龍)だ。
見た瞬間逃げるだろう。
「最強の雑魚でね、レベルは250台、ヒットポイントは100万以上、
体長は最小でも50メートル以上、ジャンボジェットみたいな大きさのドラゴン」
「それが僕らとどう関係あるんですか?」
「もしかして、討伐するとか?」
 冗談半分でこう聞くと英島豊は軽く首を振るとこう言った。
「倒すんじゃあない、乱獲する。何万匹と狩り殺す」
 自信たっぷりで発言する英島にこいつ頭おかしいのかとマジで思いつつ
「いやいや、無理でしょう」と言いながら興味は沸いてきた。
「まあ、そいつを倒した奴はまだ誰もいなくてね。でも普通に歩き回ってて
 元の位置にリポップするから、種類的には雑魚だと思うよ。と言っても、
普通に戦ったらラスボスより少し弱いくらい。話にならない」
 英島はビールをあおると、興奮気味にその魅力について説明しだした。
「まず、膨大な経験値が入る。君たちも1日でレベル100以上だ。
超レアアイテムを落とす可能性も高い、そして金貨も相当手に入る」
 英島は最底辺の職業、調教師である俺を見ながら微笑んだ。
「そして、もしテイムできれば、君は最強のテイマーになれる」
「最強のテイマーには興味ありますが、どうやって倒すんですか?」
 英島は最近ウルティメットドラゴンの生息域に行ったらしく、
「私はかなり修行して。中級魔法を取得したから
一度威力を試そうと思って、極竜は氷結魔法使うから
弱点は火炎属性かなと思って攻撃したら、真逆で氷結属性が弱点だった。」
「えっ、戦ったんですか?」おれはこいつ頭おかしい、
勇敢な馬鹿か、賢い自殺志願者だと思った。
「それはすごいですが、どうやって倒すのですか?乱獲以前に
1匹も倒すことできないと思いますよ。」
 それを 捕らぬ狸の皮算用と言うのだと思いつつも、聞き返していた。
 俺は英島の話が俺とどう関係があるのかわからなかったので、
意味がつかめずにいたからだ。
「そこで君の出番だよ」
 英島さんはビールを飲みきると言った。
「どういうことですか?」
 俺は意味が分からず質問しかできなかった。
「この街の近くの森に魔法常時反射の精霊カーバンクルが住みついているわ。
あんたがスライム10匹出した状態でカーバンクルがいれば、
ウルティメットドラゴン自身の最上級全体氷魔法が反射して10倍の威力になる。
大ダメージを与えられるはずだよ」
 英島さんは興奮気味に語り、ニヤッと笑った。
 あまりの荒唐無稽さに俺があきれていると露原が立ち上がりこう叫んだ。
「よし、やろう」
 いつも金欠で元気のない露原が珍しくやる気満々だ。
「おい、どうした露原。お前も頭おかしくなったのか?」
 俺がそう声を掛けると、
「私は竜騎士だ、そうだろう。乗るべきドラゴンを探すのは当然だ。
カズ、ウルティメットドラゴンをテイムしてくれ!」
 露原は目を爛々と輝かせ、腹の空いた狼のような謎の雄たけびを上げた。
 初心者で浅学の身であるおれでも、明らかに不可能だと思えるし、
実在の確認されていない報酬のために命を懸ける気はない。
 しかし露原はものすごく乗り気だ。
 命の恩人で、今まで生活の面倒を見てもらっていたのだ、
断ることは難しいだろう。
 露原イツキが『槍戦士ではなく竜騎士』だからだ。
「なぜ、そこまでドラゴンにこだわるんだ!」
「私は生まれおちた時、竜騎士という職業だった。
だが相棒であるはずの竜はどこにもいなかった!」
ああ、騎乗用のドラゴンが付いてくると思ったのですね。
「しかし、ドラキチは親に売り払われてしまっていた!」
 ああ、騎乗用のドラゴンはいたのですね。売られたのですか。
それは悲しいですね。
 俺は露原を落ち着かせると、依頼を受けることにした。
「すみません、質問をいいですか?英島さん」
「あぃ、いいよ。なんだい?」
「カーバンクルってすごく便利そうに見えるのですが、今まで誰も
テイムしなかったのはなぜですか?」
「フム、それはもっともな質問だな。」
「私も詳しいわけではないけれど、聞いた話では、
この世界にテイマーが現れて生き残ったのは
君を含めて100人もいない。何もないところからスタートするんだ
街まで来るのが難しい。この街も経験を積んだものはすぐに
次の街に行くから初心者以外は過疎気味だしな。
わたしもウルティメットドラゴンの生息域がここでなければ、
とっくにおさらばしていたよ。」
「おっと話がそれたな。知っている通りテイムするには、対象を
最大ヒットポイントの1割以下にしなければならない。
だが、カーバンクルの最大ヒットポイントは1だ。」
ビールのお代わりをもらうと英島は続けた。
「先駆者は、一時的に最大HPを増加させるポーションや
毒や回復、混乱、睡眠、誘惑、いろいろやったが、成功しなかった。
そもそも、我々のように明確な目標『ウルティメットドラゴンを倒す。」
などと思っていないため、全力で傾注する理由もない。
すぐにあきらめてしまったらしい。」
 英島さんの考えた方法は、カーバンクルの最大HPを毒を飲ませて
回復させて最大HPを十一以上にして死なないようにしてから、
テイムするというものだ。
 その日俺たちは、『カーバンクル』の住むという近くの森に向かった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

処理中です...