愛されることを知らない僕が隣国の第2王子に愛される

鮎瀬ゆう

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 お茶会まであと1週間。礼儀作法の勉強をし始めて2週間と少し。楽しみな気持ち半分、不安な気持ちが半分だ。不安が少しでも減るようにお茶会まで勉強をきちんとしておかないと、と思い、今日も書庫へ向かう。


「あら、お兄様、ごきげんよう。まだ生きてらっしゃったのね」
「……あ、……」

 書庫から自分の部屋へ戻る途中、会いたくない相手に会ってしまった。
 最近はほとんど顔を合わせることはない。年齢が大きくなるにつれて、一緒に食事もしなくなっていた。
 今では自室で食事を取れるよう、自分で自室まで運ぶようにしている。だから、今ではほとんど継母にも、エミリアにも会わないのだ。会うのは2人から痛いことをされるときだけ。

「ご挨拶もできないの?口がなくなっちゃったのかしら?」
「ぁ、えと、申し訳ありません」
「もうすぐお茶会よ?きちんと礼儀作法のお勉強はしているの?」
「……はい」
「本当かしら?心配だわ…せいぜい私たちの恥にならないようにしてほしいってお母様も言っていたわ」
「はい」

 それで、終わると思っていたのに。

「その手に持っている本で勉強しているの?」
「……そう、です。」
「見せなさい。」

 そう言われたら、本を渡すしかない。少し躊躇しながら本を渡した。
 それが、間違いだった。

「これ、全然だめね。処分しておいて」

 そう言って、エミリアはメイドにそれを渡す。僕はすぐには何が起こっているかわからなかった。だって、本の中身はちゃんと見ていなくて、本当に一瞬の出来事だったから。

「ぇ、まって、ください」
「何?何か文句でもあるのかしら」
「ぁ、いや、あの……っ」
「はぁ、今日のしつけは一段と痛いものにしてもらわないとダメかしらね……」

 その一言で体が凍り付く。

「なんでも、ありません」
「そう?ならいいのだけれど。それじゃ、お兄様。当日までしっかりお勉強しておいてね?」
「……はい」

 この家に礼儀作法のことが書かれた本はそれしかない。それを知っているのか、いないのか。どちらかなんて関係ない。もう、僕にはそれについて知る術がないのだ。

(どうしよう、あの本がないと、僕には教えてくれる人もいないのに)

 どうしよう、それで頭がいっぱいになる。でも、そんなことを考えている場合ではない。そんなことを言っている間にもお茶会は近づいてくる。

(思い出せ、あの本に書いてあったこと。)

 確か部屋にペンと紙くらいはあったはず、と焦る気持ちを抑えて頭をフル回転させる。
 あの本は何度も読んだのだ。部屋に戻ってすぐ、本に書いてあった内容を思い出しながら紙に書き起こそう、大丈夫。もう、動きだって体に入っている。だから、きっと大丈夫。
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