愛されることを知らない僕が隣国の第2王子に愛される

鮎瀬ゆう

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間章4

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「父上、お話があります」

 彼と、僕が初めて守りたいと思った人と会った日。家に帰ってすぐ、僕は父に彼の話をした。
 父は最初、驚いた顔をしていたが、僕の本気が伝わったのか話を真剣に聞いてくれた。

「お前は、その子のことを好いているのか」
「…それは、正直わかりません」

 その日初めて出会って、数時間話しただけ。ただ、それだけ。だから、その子に恋をしているのか、と聞かれたら正直、わからなかった。でも、心から守りたいと、その子の側に居るのは僕がいいと、笑ってほしいと思ったことは事実。

「でも、どうしても、守りたい。力になりたい。彼が笑顔になれる、安心できる、そんな存在に僕はなりたいと思ったのです」
「…そうか」

 それだけ言うと父は立ち上がり僕の目の前までくると、僕の目を見ながら話す。

「本気なのだな」
「はい」
「であれば、私は何も言うことはない。好きなようにやりなさい。ただし、私は何も手はかさないからな。それと、条件がある」
「条件、ですか?」
「あぁ」

 父からの条件はすごく簡単だった。勉学をおろそかにしないこと、王族として、やるべきことはしっかりやること、それが条件だった。

「わかりました。ありがとうございます」

 こうして、父の許可も出た。これからどうしようか。まずは彼の家を特定するところからだな、と考えながら自室へ戻った。

 まずはあの国の貴族について調べないといけない。そのためには、僕の力だけではだめだ。僕が隣国に直接調べに行くわけにはいかないし、それこそ、今は学園に通っていて、住まいは基本的に学園の寮だ。授業もある。それに出席しなくては父の条件に背くことになる。

「リアム、頼みがある」
「なんですか?」

 リアム・ブライトは最近僕に仕えるようになった直属の従者だ。いつも飄々としていて何を考えているかわからないが、悪い奴ではないとわかっている。

「隣国の貴族のことについて調べてきてほしい」
「隣国の貴族ですか?またどうして…」

 お願いするからには、僕の気持ちをきちんと伝えておくのが礼儀だろうとあの日の出来事を話した。あの子と出会ったときのことは詳しくは話さず、ある男の子と出会った、くらいにしか伝えていない。あの思い出は、僕と彼の二人だけのものだから。なんて、重いかなと思ったが、どうしても詳しくは話したくなかった。
 その子を助けたいこと、守りたいこと。力になりたいこと。でも、誰かわからない。名前も、どうしたら守れるかわからないから、手伝ってほしいと誠意を込めて伝えた。

「これは僕の個人的なお願いだが、どうか手伝ってほしい」

 僕は頭を下げた。
 しばらくして、ようやく頭の上から声が聞こえた。

「頭を上げてください。殿下がそこまで本気になっているのは大変珍しいですね。そんな顔は初めて見ました。僕も殿下を動かしたその子のことが気になってきました。ぜひお手伝いさせてください」

 そう言って、リアムは笑った。なんだか僕は初めてリアムの本当の顔を、心を見た気がした。
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