愛されることを知らない僕が隣国の第2王子に愛される

鮎瀬ゆう

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 ご飯を食べ終わり、僕たちは食堂を後にした。シエロが僕の部屋まで送ってくれると言うので、2人並んで部屋までの道を歩いている。
 ふと隣を見るとシエロがいて、目が合う。そんな些細な事が嬉しくて、今の時間をかみしめる。

「ここがテオの部屋?」
「うん」
「驚いたな。僕の部屋、ここのすぐ上だよ。近いね」

 僕の部屋に到着して、部屋の前でシエロが嬉しそうに話す。

「今度、僕の部屋に案内するね」
「うん。楽しみ」

 今日はもうシエロと離れないといけない。その時が近づいている。
 今離れても、これからは一緒に居られるってわかっている。今日さようならをしても、明日になればまた会える。でも、寂しいものは寂しい。

「…それじゃあ、また明日」
「…うん。…また、明日ね」

 シエロの手が伸びてきて、僕の頭をなでる。それで余計に離れがたくなってしまうが、そんなわがままは言えないので、飲み込む。
 ゆっくり遠ざかっていくシエロの背中を見えなくなるまで眺めていた。廊下の曲がり角、そこを曲がったら見えなくなるというところでシエロが振り向いて僕に手を振ってくれた。僕はそれに手を振り返して、名残惜しいと感じながら自分の部屋に戻った。

 
 今日は本当にたくさんのことがあって、僕の感情は忙しかった。
 
 まさかエミリアがこの学園にいるとは思わなくてすごく驚いた。この先何があるか、何をされるかわからなくて怖いけれど、それ以上に、それを忘れてしまうくらい、いや、実際に忘れていたくらい、今日は嬉しいことがたくさんあった。

 まさかこの学園でシエロに再開できると思わなかった。本当に、本当に嬉しくて、嬉しいという言葉だけでは表せられないくらい嬉しくて。この日を僕は忘れることはないだろう。僕にとって大切な日が増えた。一つはシエロと初めて会った日、もう一つはシエロと再会できた今日。
 こうしてあの日の彼と、シエロと、隣にいて、話せて、笑えて、ご飯を食べれて。全部奇跡みたいで、夢みたいで。こんなに嬉しい日なんてきっとこの先ないだろうな、なんて思うくらい、嬉しくて。
 こうやって、シエロと一緒にいられる日がこれからも続けばいいなと、続いてほしいなと、そう思った。
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