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「あのね」
「うん」
シエロが、僕の涙を拭ってくれる。その手は、すごく優しくて、温かい。
「…夢を、見るんだ。その夢は、怖くて、痛くて、苦しくて」
「―うん」
やっぱり僕は少し弱くなってしまったかもしれない。夢の内容を口にすると、体の奥から恐怖がせりあがってきて震えそうになる。それに気が付いたのか、シエロは僕に寄り添って、手を握ってくれた。それだけで恐怖なんてどこかへ行ってしまった。
夢、というあいまいなものだからこそ、伝えるのも断片的になってしまう。うまく伝わっているかわからないけれど、シエロはいつものように相槌を打って聞いてくれた。
すべて話終わるとなんだかすっきりして、今まで心の中にあったもやもや、みたいなのがなくなった気がした。
話すのに時間がかかってしまったなと、一息つく。そして気が付くと、僕はシエロの腕の中だった。
「話してくれて、ありがとう。聞けて嬉しい。テオは、やっぱりすごいね。えらい。よく頑張ったね。今までも、今も、よく頑張ってる。でも、もう休んでいいんだ。一人で、頑張らなくていいんだよ。僕を、頼ってよ」
「…うんっ」
「僕に、苦しいと怖いを分けてくれて、ありがとう」
その言葉を聞いて、僕はどうしようもない気持ちになって、シエロにしがみついた。
「その夢を、見ると、夢と、現実がわからなくなって、目が覚めても怖いのが取れなくて、シエロに会いたくなって。僕、すごく、怖かったんだっ…」
「うん。会いにきていいんだよ。来てねって言ったでしょ?」
「で、でも、夜、だからって」
「時間なんて関係ないよ。いつでも、きていいんだよ」
一人で耐えなくて、いいんだよ。僕に怖いって、つらいって、言ってよって、シエロが言うから。その言葉たちが僕には、すごく温かくて、嬉しくて、嬉しくて。心がいっぱいで。
シエロは、どうして、僕にこんなにしてくれるんだろう。どうして、僕の側に居てくれるんだろう。僕は、シエロに何もできていないのに。
「テオは、僕の側は安心する?」
「…うん」
それに答えるのは、なんだか少し恥ずかしい。
「それなら、テオの寝不足が解消されるまで、僕の部屋で寝ること」
「え、で、でも」
「だめ。僕が心配でどうにかなりそうだから。ここで寝て。何かあればすぐ起こして。いい?」
「…それで、シエロが寝不足になったら嫌だよ」
「僕も、テオが側に居てくれる方が嬉しいんだけどな」
「…っ、うん、わかった」
そう言って、二人で目を合わせて笑いあった。
それから、保健室に運んでくれたのはシエロだという話を聞いてお礼を言って、いつものように夕飯を二人で食べた。支度は、僕も手伝おうとしたけれど、やっぱり手伝わせてくれなくて、シエロがすべてしてくれた。僕は、シエロに話したことで心が軽くなったからか、食欲が少し戻って、十分な量とまではいかないけれど、食べることができた。それを見たシエロは嬉しそうに笑っていた。
夢を見た。
もう、何度も見ている、夢。周りから僕を嫌う声が聞こえてきて、気が付いたらたくさんの大人に囲まれていて、その人たちに痛いことをされる。早く終われと心の中で願っても、終わらない。心が痛くなる、いつもの夢。でも、今日は、違った。
痛くて、怖くて、心が苦しくて、動けなくてうずくまっていた。そうしたら、どこからか、僕が大好きな、安心する声が聞こえてきて。大丈夫だよって、僕が側に居るよって言ってくれて。姿は見えないのに、シエロの体温で包まれているように感じて、それに安心する。
「―シエ、ロ…」
「うん、僕は、ここにいるよ」
「…あ、りがとう」
―テオ、泣かないで。
寝ている間も起きている間も、怖いことなんて、つらいことなんてなくなってほしい。テオには笑っていて欲しい。どんなことがあっても、僕が君の側に居て、幸せな気持ちでいっぱいにするから。そんな気持ちを込めて、僕は寝ているテオの瞼にキスを落とした。
「うん」
シエロが、僕の涙を拭ってくれる。その手は、すごく優しくて、温かい。
「…夢を、見るんだ。その夢は、怖くて、痛くて、苦しくて」
「―うん」
やっぱり僕は少し弱くなってしまったかもしれない。夢の内容を口にすると、体の奥から恐怖がせりあがってきて震えそうになる。それに気が付いたのか、シエロは僕に寄り添って、手を握ってくれた。それだけで恐怖なんてどこかへ行ってしまった。
夢、というあいまいなものだからこそ、伝えるのも断片的になってしまう。うまく伝わっているかわからないけれど、シエロはいつものように相槌を打って聞いてくれた。
すべて話終わるとなんだかすっきりして、今まで心の中にあったもやもや、みたいなのがなくなった気がした。
話すのに時間がかかってしまったなと、一息つく。そして気が付くと、僕はシエロの腕の中だった。
「話してくれて、ありがとう。聞けて嬉しい。テオは、やっぱりすごいね。えらい。よく頑張ったね。今までも、今も、よく頑張ってる。でも、もう休んでいいんだ。一人で、頑張らなくていいんだよ。僕を、頼ってよ」
「…うんっ」
「僕に、苦しいと怖いを分けてくれて、ありがとう」
その言葉を聞いて、僕はどうしようもない気持ちになって、シエロにしがみついた。
「その夢を、見ると、夢と、現実がわからなくなって、目が覚めても怖いのが取れなくて、シエロに会いたくなって。僕、すごく、怖かったんだっ…」
「うん。会いにきていいんだよ。来てねって言ったでしょ?」
「で、でも、夜、だからって」
「時間なんて関係ないよ。いつでも、きていいんだよ」
一人で耐えなくて、いいんだよ。僕に怖いって、つらいって、言ってよって、シエロが言うから。その言葉たちが僕には、すごく温かくて、嬉しくて、嬉しくて。心がいっぱいで。
シエロは、どうして、僕にこんなにしてくれるんだろう。どうして、僕の側に居てくれるんだろう。僕は、シエロに何もできていないのに。
「テオは、僕の側は安心する?」
「…うん」
それに答えるのは、なんだか少し恥ずかしい。
「それなら、テオの寝不足が解消されるまで、僕の部屋で寝ること」
「え、で、でも」
「だめ。僕が心配でどうにかなりそうだから。ここで寝て。何かあればすぐ起こして。いい?」
「…それで、シエロが寝不足になったら嫌だよ」
「僕も、テオが側に居てくれる方が嬉しいんだけどな」
「…っ、うん、わかった」
そう言って、二人で目を合わせて笑いあった。
それから、保健室に運んでくれたのはシエロだという話を聞いてお礼を言って、いつものように夕飯を二人で食べた。支度は、僕も手伝おうとしたけれど、やっぱり手伝わせてくれなくて、シエロがすべてしてくれた。僕は、シエロに話したことで心が軽くなったからか、食欲が少し戻って、十分な量とまではいかないけれど、食べることができた。それを見たシエロは嬉しそうに笑っていた。
夢を見た。
もう、何度も見ている、夢。周りから僕を嫌う声が聞こえてきて、気が付いたらたくさんの大人に囲まれていて、その人たちに痛いことをされる。早く終われと心の中で願っても、終わらない。心が痛くなる、いつもの夢。でも、今日は、違った。
痛くて、怖くて、心が苦しくて、動けなくてうずくまっていた。そうしたら、どこからか、僕が大好きな、安心する声が聞こえてきて。大丈夫だよって、僕が側に居るよって言ってくれて。姿は見えないのに、シエロの体温で包まれているように感じて、それに安心する。
「―シエ、ロ…」
「うん、僕は、ここにいるよ」
「…あ、りがとう」
―テオ、泣かないで。
寝ている間も起きている間も、怖いことなんて、つらいことなんてなくなってほしい。テオには笑っていて欲しい。どんなことがあっても、僕が君の側に居て、幸せな気持ちでいっぱいにするから。そんな気持ちを込めて、僕は寝ているテオの瞼にキスを落とした。
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