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緊張で、足が震える。いつもの癖で目線を下げてしまいそうだ。でも、今日だけは、その癖を出すわけにはいかない。どれだけ緊張しても、怖くても、顔を上げろ。今日会う人は国王と王妃であると同時に、シエロの両親だ。そんな二人に、失礼なことはしたくない。きちんと顔を合わせて、話したい。うるさい心臓に落ち着けと言い聞かせて、二人のところまで歩みを進めた。
部屋の中は、僕とシエロと、国王と王妃の4人だけだった。
「お久しぶりです、陛下」
「あぁ、久しぶりだな」
「本日は紹介したい方がおります」
「お初に、お目にかかります、テオ・アナベルと申し、ます」
自己紹介をして、頭を下げる。少し言葉に引っかかってしまったが、きちんと言えたことに安堵する。
「顔を上げなさい。君は、この国に留学へきていると聞いたが、この国はどうだ」
「とても、素敵な国です。人も、街も、いいところばかりです。この国に留学できたこと、とても誇りに思います」
「……そうか。そう言ってもらえること、国王として嬉しく思う。これからも勉学に励んでくれ」
「はい」
国王も、王妃も、さすが国の上に立つ人、といった迫力がある人だったが、怖いとは感じなくて、最初の緊張も少し和らいだ。やはり、シエロと血がつながっているからだろうか。
国王は一つ咳払いをすると真剣な顔をして話し始めた。
「ここからは、国王ではなく、シエロの父として聞きたいことがある」
「は、はい」
その一言で部屋の空気が変わったのを肌で感じた。
「シエロとの関係、君のこと、シエロから聞かせてもらった」
「勝手にごめんね。先に伝えておいた方がいいと思って」
「大丈夫、です」
「二人とも知っているし、陛下の時間は終わりのようだから、もう僕と普段通りの話し方で話していいんだよ?」
「あ、そ、そう、なの?」
シエロは僕にそう言いながらさっきまでのかたい姿勢を崩して僕にそっと近づいてくれた。
「テオ君、と呼んでもいいかな」
「はい」
「では、テオ君。君に問うが……もし、シエロが王族ではなく、普通の身分の者であっても、君はシエロを好きになってくれたか?」
「王族ではなかったら、ですか?」
「父上、お言葉ですが、なぜそんなことを」
「シエロは少し静かにしていなさい。……あぁ。君を助けたのが、出会ったのが、王子ではないシエロだったら、どうだろうか?」
シエロが王族ではなかったら。そんなこと想像もしたことがなかった。
そもそも、シエロが王子だってことを意識することもそんなにない。人に僕とのことがどう思われるかとか、仕事のお手伝いをしているときとか、そういえばそうだって思い出すことはあるけれど、僕の中で、シエロはシエロだ。王子という身分を取ってもそれは、シエロであることは変わらないから。そんなの答えは一つに決まっている。
「僕は、これまで、つらいことがたくさんありました。きっと、シエロがいなかったら、僕はこの年齢まで生きていない、と思います」
「……テオ」
僕の名前を呼んでくれる彼を見ると、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
今の僕は、シエロに出会えたから、ここまで生きれた。今も、生きている。だから大丈夫だと伝えたくて、思わずシエロの手を握った。
「……でも僕は、その今までがなければ、シエロと出会えなかったとも思います。シエロと出会っていなければ、人を好きになる気持ちを、恋を、知ることはできませんでした。シエロが王子だとか、そんなことは関係ありません。僕の中では、第二王子がシエロなのではなく、シエロが第二王子だって感じで……うまく言葉にできず、すみません」
「……つまりは……よければ、君の言葉で直接聞かせてくれないか」
「はい。……好きに、恋に落ちます。シエロがどんな身分でも、シエロがシエロである限り」
たくさん言葉を発して、言わなくてもいいことまで口から出ていた気もするが、伝えたいことはきっと伝わっただろう。
言い終わって、急に恥ずかしくなって、ずっとしないように気を張っていたのに、顔を隠すように俯いてしまった。
「……そうか。すまない、変なことを聞いて」
「い、いえ……って、うわぁ」
「テオ、僕も大好きだよ」
急にシエロが僕に抱き着いてきてそんなことを言う。僕はきっと、驚きと恥ずかしさでさらに顔が赤くなっているだろう。
「あ、あの、シエロ、二人の前、だから」
「はは、ぞっこん、だな。……シエロ。よく想い人を守った。さすが我が息子だ」
「……はい。ありがとうございます」
そう言って笑う陛下は、なんだかシエロに似ていて、やっぱり親子だなと感動した。
部屋の中は、僕とシエロと、国王と王妃の4人だけだった。
「お久しぶりです、陛下」
「あぁ、久しぶりだな」
「本日は紹介したい方がおります」
「お初に、お目にかかります、テオ・アナベルと申し、ます」
自己紹介をして、頭を下げる。少し言葉に引っかかってしまったが、きちんと言えたことに安堵する。
「顔を上げなさい。君は、この国に留学へきていると聞いたが、この国はどうだ」
「とても、素敵な国です。人も、街も、いいところばかりです。この国に留学できたこと、とても誇りに思います」
「……そうか。そう言ってもらえること、国王として嬉しく思う。これからも勉学に励んでくれ」
「はい」
国王も、王妃も、さすが国の上に立つ人、といった迫力がある人だったが、怖いとは感じなくて、最初の緊張も少し和らいだ。やはり、シエロと血がつながっているからだろうか。
国王は一つ咳払いをすると真剣な顔をして話し始めた。
「ここからは、国王ではなく、シエロの父として聞きたいことがある」
「は、はい」
その一言で部屋の空気が変わったのを肌で感じた。
「シエロとの関係、君のこと、シエロから聞かせてもらった」
「勝手にごめんね。先に伝えておいた方がいいと思って」
「大丈夫、です」
「二人とも知っているし、陛下の時間は終わりのようだから、もう僕と普段通りの話し方で話していいんだよ?」
「あ、そ、そう、なの?」
シエロは僕にそう言いながらさっきまでのかたい姿勢を崩して僕にそっと近づいてくれた。
「テオ君、と呼んでもいいかな」
「はい」
「では、テオ君。君に問うが……もし、シエロが王族ではなく、普通の身分の者であっても、君はシエロを好きになってくれたか?」
「王族ではなかったら、ですか?」
「父上、お言葉ですが、なぜそんなことを」
「シエロは少し静かにしていなさい。……あぁ。君を助けたのが、出会ったのが、王子ではないシエロだったら、どうだろうか?」
シエロが王族ではなかったら。そんなこと想像もしたことがなかった。
そもそも、シエロが王子だってことを意識することもそんなにない。人に僕とのことがどう思われるかとか、仕事のお手伝いをしているときとか、そういえばそうだって思い出すことはあるけれど、僕の中で、シエロはシエロだ。王子という身分を取ってもそれは、シエロであることは変わらないから。そんなの答えは一つに決まっている。
「僕は、これまで、つらいことがたくさんありました。きっと、シエロがいなかったら、僕はこの年齢まで生きていない、と思います」
「……テオ」
僕の名前を呼んでくれる彼を見ると、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
今の僕は、シエロに出会えたから、ここまで生きれた。今も、生きている。だから大丈夫だと伝えたくて、思わずシエロの手を握った。
「……でも僕は、その今までがなければ、シエロと出会えなかったとも思います。シエロと出会っていなければ、人を好きになる気持ちを、恋を、知ることはできませんでした。シエロが王子だとか、そんなことは関係ありません。僕の中では、第二王子がシエロなのではなく、シエロが第二王子だって感じで……うまく言葉にできず、すみません」
「……つまりは……よければ、君の言葉で直接聞かせてくれないか」
「はい。……好きに、恋に落ちます。シエロがどんな身分でも、シエロがシエロである限り」
たくさん言葉を発して、言わなくてもいいことまで口から出ていた気もするが、伝えたいことはきっと伝わっただろう。
言い終わって、急に恥ずかしくなって、ずっとしないように気を張っていたのに、顔を隠すように俯いてしまった。
「……そうか。すまない、変なことを聞いて」
「い、いえ……って、うわぁ」
「テオ、僕も大好きだよ」
急にシエロが僕に抱き着いてきてそんなことを言う。僕はきっと、驚きと恥ずかしさでさらに顔が赤くなっているだろう。
「あ、あの、シエロ、二人の前、だから」
「はは、ぞっこん、だな。……シエロ。よく想い人を守った。さすが我が息子だ」
「……はい。ありがとうございます」
そう言って笑う陛下は、なんだかシエロに似ていて、やっぱり親子だなと感動した。
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